紅を纏いし将〜七〜 |
ここの一刀君はチートです。
また、物語が三国志演義とも、恋姫無双からもずれています。
ご了承ください。それでもいい方はどうぞ。
<華雄>
「一刀、いるか?」
華雄は一刀の部屋の前で一刀を読んでいた。
「その声は華雄さんですか。(ガチャ)はい。何でしょうか?」
「そのな・・最初、前の手合わせで感じていた欠点の思慮の無さを克服するために詠のところに行ってみたのだが・・」
「だが?」
「詠に気味悪がられてな。もともと政務も忙しいこともあり相手にされず・・・」
「それで俺のところへ、か。」
「詠が『一刀も出来ると思うから一刀から教えてもらったら。』と言っていたからな。」
「まあ良いけど。何から知りたいの?」
「すまないが、私には作戦の『さ』の字も頭に入ってなくてな。何から始めたらいいのか・・・
一刀、お願いできるか?」
「う〜ん・・・じゃあ、基本的な陣の形とその相性を学ぼうか。」
一刀は、紙を取り出して、図を描きながら華雄に説明していた。
「で、ここはこうなる。すると・・・」
「ふむ。こうなる訳か。だったらこの時は・・こうなるのか?」
「正解。飲み込みが早いね。」
「そうか?嬉しいは嬉しいが・・・こうなってくると、前の自分が情けなくなってくるな。」
「猪武者と言われていた時のこと?」
「ああ。あの時は罠があったとしても力でねじ伏せれば問題ないと思っていたのだ。それを、思い直す時期がいくらでもあったのに・・・少し考えれば気づけたかもしれないのにな。私は未熟者だな。」
「でも華雄。完璧な人なんて世の中にはいない。生きとし生きるものの中に、完璧なものなんて1つも無い。必ずどこか欠けている、短所となる部分があるんだ。そんな完璧な人なんていたらそれは、神様なのかもね。」
「では、一刀。お前も未熟者なのか?あれほどの戦いを繰り広げていて、しかも、こんな私に分かりやすく教えられるほどの知恵もある。それほど完成されていながら、まだ高みを目指すと言うのか?」
「俺は、そこまで賞賛されるほど完成されちゃいないし、高みにも上っていない。そもそも、自分から、完璧だ!っていう人いないでしょ。よっぽどの馬鹿でない限り。一人ひとり目指す完璧、目標が違う時点で人として完璧なんてものは存在しないんだよ。」
「そうか・・・」
「でも、人は完璧を目指そうとする。失敗しないように。誰にも負けないように。それは、どんな人も同じ。無論、世の中どんな人がいるか分からないから、そんな完璧じゃなくてもみんなと仲良くしたいって言う人はいる。だから、未熟者とか、完璧とか。そういうことに拘らなくても、人は頑張れるんだよ。」
「拘らなくても・・・か。」
「そう。人が頑張る理由は人それぞれだけど、突き詰めたらきっと誰かを守る為なんじゃないかな?」
「誰かを守るため・・・」
「そう。その守る対象が自分か、それとも他の大切な、家族、友人、恋人などかは人それぞれだけどでも、守る人がいるからこそ頑張れるんだよ。人は。それは華雄も同じでしょ。」
「ああ。わたしは月や詠を守るために今、頑張っているのだ。」
「だったら、未熟者とかで頑張るんじゃなくて、大切な人を守るために頑張ったほうがもっと成長できると思うよ。それに、大切な人のために頑張るのなら俺も全力で応援するからね。(ニコッ)」
「///よ、よろしく頼む。そっ、そういえば一刀は誰のために頑張っているのだ?」
「ん?俺?俺はね。今は亡き父や母の為、俺の『家族』のために頑張っていくつもりだよ。」
「そうか。ならばよろしく頼むぞ、一刀。勝手に死んだら許さないからな!」
「ああ。皆といつまでも笑顔で一緒に居たいから、簡単に死ぬつもりは無いよ。」
そう言って2人は微笑んでいたのであった。
<霞>
「お〜い一刀〜」
「ん?霞じゃないか。どうしたの?」
「手合わせしてほしいんや。恋にさっき負けたんやけど、本気で頼むで!」
「いいよ。けど、『白龍』はちゃんと使いこなせてる?」
「まあぼちぼち、やな。」
「じゃあ、『白龍』との同調率を上げるのも含めて、頑張りますか!」
2人は鍛錬場に向かった。そこには恋がいた。
「一刀、霞とやるの?」
「ああ。恋、審判お願いできるか?」
「ん。」
2人は位置に付く。
「それじゃあ・・初め。」
「退屈させないでくれよ。」
「ほな、行くで!」
一刀は無形の位をとったまま動かず、霞が距離を詰める。
「うちから行くで!」
霞は残像を織り交ぜた7連続の突きを放つ。
一刀はその突きの間に入り、避けきれない攻撃は流して反撃する。
それを、霞は下がって避け武器のリーチを活かして攻撃する。
一刀は隙を伺いながら、攻撃を流し続ける。
霞もこの状態が続くのを良くないと思い、攻撃の速さを変化させながら一刀を近づけさせないようにする。
一刀は近づくのを止め、攻撃を見切るのに力を注ぐ。その為、最初は動揺していたものの、しっかりと攻撃を殺し続ける。
無論霞もそろそろ危険と思っていたのだが、途中から速さを変えるのは体力をとても消費するため、新しく攻撃のパターンを変えるわけにもいかず焦っていた。
霞の攻撃が少しずつ荒くなってきたのを見た一刀は、好機だといわんばかりにその距離を少しずつ詰め始める。
そして、霞が生んでしまった一瞬の隙、しかし一刀にとっては大きすぎる隙を一刀が見逃すはずも無く。
「はっ!!」
一刀は一撃を加える。
「っ!!」
霞は体を反って避けたものの完璧に一刀のペースになってしまう。
途中で剣筋が変わる変幻自在の一刀の攻撃は避けたと思っていても当たってしまうため霞は苦戦する。
もう既に疲れていた霞が攻撃を捌けるはずも無く、すぐに首筋で「麒麟」が止まる。
「勝者、一刀。」
勝敗が決すると、いつの間にか周りで見ていた武官などから歓声が上がる。
「張遼将軍はもう、見えない頂に上っているのだな。」
「もう、後を追えない・・・」
「しかし、呂布将軍や呂紅将軍も強いのだな。」
「当たり前だろ!あの二人に勝てる人などこの世にいないと思うぞ!」
そんな声が上がっているなか、
「ぜぇぜぇ・・・ふぅ〜やっぱ、強いんやな。一刀。」
「まあ、『麒麟』も力を出してくれたしね。負ける訳にはいかないよ。そういえば、『白龍』はどうなの?」
「悪くないとは思うんやが・・試合やっちまうと疲れるんや。それに、兵の調練をしているときに、全然加減できないんや。」
「そうか。だったら、精神修行をしたほうが良いんじゃない?」
「ええ〜そんなの嫌やわ〜」
「『白龍』を上手く扱うためには必要なことだよ。それに簡単だから。まず座って。」
そう言って一刀が座り、霞も座る。
「目を閉じて、その闇の中に自分を思い浮かべて。」
「うぅ〜ん。」
「その自分の中に流れている物があると思うんだ。それが気だよ。ここでは、気の流れ方を自分で思い浮かべてほしいんだ。そして、その循環の仕方を身に染み付かせる。」
「つまり、想像したもんを体に慣らすちゅうことやな。」
「そういうこと。ずっと続けていけば気がすぐに隅々に行き届くはずだよ。」
「ん〜こんな感じで良いんか?」
「!霞、早いね。気が目に見えるようになるのが第一段階だけど・・・扱い方うまいね。」
「そんなことないわ。やけど・・・なんか一刀の気と違うな。」
「それは、その人が特化している性質が気の色で表されるからだよ。白色は基本的に素早さ、赤色は基本的に力、黄色は基本的に技術に特化しているよ。俺は黄色と白が混ざった色だから素早さと技術を主としているよ。」
「うちは、白と赤が混ざっとるから、素早さと力やな。」
「でも、白が多いから基本的に素早さだろうね。『白龍』の型とあっているから。結構良い組み合わせだね。」
「型?なんやそれ?」
「型っていうのはその武器が特化している部分。人と同じだよ。武器と使っている人の型が合うと、すべての能力が少しずつ高くなる。それに、技も強化されやすいんだ。」
「奥が深いんやな〜」
「まあ、それほどでもないけど。」
「やっぱすごいんやな、一刀は。恋よりも強くて、こんなことにも詳しくて・・・」
「そんなこと無いよ。まあ、努力した量は誰にも負けてないつもりだけど師が良かったから。」
「謙虚な部分が無ければいいんやけどな。その謙虚さが他人の自信を傷つけることになるかもしれんから、気をつけてな。」
「ああ。」
二人は城の中に入っていった。