ALO〜妖精郷の黄昏〜 第20話 真実と救済 |
第20話 真実と救済
アスナSide
「キリトくん…」
「パパ…」
「アスナさん。お兄ちゃんならきっと大丈夫ですよ、だから元気出してください」
「ユイちゃんも、あまり心配しすぎるのはよくありませんよ…」
アインクラッドにあるわたしたちの家に、みんなで集まっています。
リーファちゃんもティアさんもキリトくんのことが心配なはずなのに、
わたしやユイちゃんを励まそうとしてくれています。
あの時、1時間半くらい前にヨツンヘイムで巨大な蛇に襲われた時、
わたしとユイちゃんを逃がすためにキリトくんは蛇に飲み込まれました。
蛇は彼を飲み込むとすぐに湖の中に潜って姿を消していった。
普通なら、その段階でやられてしまったと考えるのが妥当なのだけど、キリトくんはやられてしまってはいない。
パーティーに名前もHPも表示されたままで、HPが減ることも無かった。
でも、だからこそわたしたちは心配しています。
帰還用の魔法やアイテムがない彼なら、余程のことがない限りはHPを全損することはしないと思うけど、
場合によってはその手段を取ることも厭わないはず。
しかしこの1時間、キリトくんとはメッセージでの連絡も取れないし、戻ってくる様子もない。
そんなわたしやユイちゃん、みんなの思いが1時間を過ぎた頃、家のドアが開きました……え?
「ただいま〜…って、どした?」
そこには、いつも通り剣を背負って、黒に統一した衣装を着ているキリトくんが居ました。
わたしは困惑したけど、それでもすぐに理解して彼へと抱きつく。
「おかえり、キリトくん! 無事で、良かった…」
「ただいま、アスナ。ごめんな、心配かけて…」
「パパ、おかえりなさい!」
「ユイ、ただいま」
わたしとユイちゃんを優しく抱きとめてくれた彼はそのまま微笑んだ。
ヨツンヘイムに同行していたみんなも口々に安堵の言葉を漏らしたり、安心したと言ってる。
「みんな、本当にすまなかった。連絡もしないで…」
「良いって良いって、それよりも無事に戻ったことが大切だ」
「その通りっすよ」
申し訳なさそうに謝るキリトくんに、シャインさんもルナリオ君も笑顔で応えてる。
そう、確かに彼からの連絡はなかったけれど、彼は不要だからといって連絡をしない人じゃない。
むしろ、誰かに心配を掛けたと思ったら必ず連絡をしようとする…今回それをしなかったのは、
なにか事情があってのことのはず。
「まぁお前さんのことだ、なにか事情があってのことだろ。それに、調べ事でもしていたんじゃないのかい?」
エギルさんの言葉にキリトくんは苦笑しながら「まぁな」と一言答え、ソファに座り込みました。
疲れたのが目に見えてわかったので、わたしは飲み物を用意して渡して、彼は一気に飲み干しました。
「さて、と…本当ならここで俺に何があったのかを話すべきなんだろうが正直疲れた。
だから大分話を端折ることになるが結果から言わせてもらう……“黄昏”についての全容が分かった」
キリトくんのその言葉にわたしたちは絶句しました。
だって、アレほど謎にしか思えなかった事柄を、たった1時間で知ってきただなんて…。
「で、だ…これに関しては知っても知らなくても解決できるということを伝えておく。
それでも詳しく知りたいというなら教えるが、条件として墓場まで内容を持って行ってもらう。
勿論、知っている者同士でも滅多に話さないでほしい」
続いて発せられた内容に今度は衝撃を覚えました。
いつものキリトくんならみんなにも話をして協力をお願いするところだけど、厳しい条件を付けてならば話すということ。
それだけ深い事情なのかもしれない…。
「ねぇお兄ちゃん、それって知っておく必要ってある?」
「知らなくても問題無いと思うぞ。俺がなんとか出来る範囲だしな」
「ならあたしはいいよ。生涯お墓まで持っていく自信はちょっと…」
苦笑しながら応えたリーファちゃん。
「リーファがいいって言うならボクも遠慮するっすよ。キリトさんにお任せするっす」
「オレもやめておこう。お前さんの感じだと、重すぎる話ではなさそうだが」
ルナリオ君はキリトくんなら問題ないという風に、
エギルさんは申し訳なさそうに、だけど信頼の篭った言葉を告げました。
「んじゃ、俺もやめとく。聞く必要もなさそうだし、まぁ協力は惜しまないけどさ」
「情けない話かもしれませんが、私もキリト君にお任せします。
興味もあるのですが、墓場までの覚悟はありませんから」
シャインさんは笑みを浮かべて、ティアさんは微笑みながら自分たちの気持ちを伝えました。
みんな、一応考えて答えを出したんだね……それならわたしは…。
「アスナとユイはどうする? 俺としては、出来れば聞いてもらいたいけど」
「聞かせて。わたしはずっと、何処までも一緒なんだから」
「わたしも聞きます。少しでもパパとママの力になりたいです」
みんなには問いかけたけどわたしとユイちゃんには聞いてほしいと願ったのは、
わたしの予想だと信じて、甘えてくれてるからだと思います。
だからわたしたちはそれに応える、キリトくんを守ってあげたいから。
「そう言ってくれると思ったよ。他のみんなには明日聞くことにするけど、このあとはどうする?」
「今日のところは解散がいいだろ。キリト、お前が疲れてるの目に見えてるくらいだぞ」
わたしとユイちゃんの答えに嬉しそうに応じたキリトくんだったけど、
シャインさんの指摘に少しだけ驚いた表情を見せた。
彼自身は気付かなかったみたいで、でもわたしたちにはなんとなくだけどそれが感じ取れました。
「参ったな…それじゃあすまないが、そういうことでいいかな?」
また申し訳なさそうに苦笑したキリトくんがそう言ったので、みんなはうちから移動していきました。
その際にシャインさんとティアさん、エギルさんからキリトくんのことを頼むと言われ、なんとなくその意味を察した。
VR世界の中だから体力は関係ないけど、もっと精神的に疲れてる感じ、
だから大人組の3人はそれを気遣ったんだと思う。
わたしたちは寝室に移動して、3人揃って川の字で横になっています。
ちなみに真ん中にキリトくん、彼の右にわたし、彼の左側にユイちゃんです。
それからキリトくんはぽつぽつと、わたしたちと別行動になってからのことを語り始めました。
蛇に飲み込まれて連れ去られた先がニブルヘイムのヤルンヴィドで、そこでフェンリルと出会って、
クエストによって彼を解放して、そこからヘルヘイムに訪れて、今度はロキやスィアチと会って、
彼らの思いと願いを聞いた…と。
細かい内容を聞いてわたしもユイちゃんも驚いてばかりで、
フェンリルのクエストをクリアした証は確かにわたし側のウインドウでも確認できました。
わたしとキリトくんはALO内でシステム的に結婚しているから、
ウインドウでアイテム欄や((お金|ユルド))を確認してみると明らかに増えていて、見慣れない武器までありました。
「『狼剣フローズヴィトニル』って、もしかして((伝説級武器|レジェンダリーウェポン))?」
「あぁ、しかも効果が『対ボスモンスター』っていうものだからな。ボスモンスターへのダメージ量が増すはずだ」
フェンリルが言うには『神殺しの牙』ということを伝えてきました。
それって、ボスモンスターよりもむしろ対神様用のような気が…。
「ま、それは“黄昏”のあとにでも誰かに託そうと思っているから、大して持っておくことはないさ」
「そうなの?」
勿体無い、そう言うとキリトくんはまたも苦笑して、だけど優しい声音で言った。
「確かに普通は勿体無いと思うかもしれないな。
だけど俺には『聖剣エクスキャリバー』と『魔剣カラドボルグ』がある、自慢の愛剣たちもな。
これ以上個人での伝説級武器の保有は良くないさ」
既に異常戦力かもしれないけど、とも笑って言った彼にわたしとユイちゃんもつられて笑う。
なんだかんだで周りを気遣うところは変わらない、
それでも託すということは彼が認めた人になるかもしれないけどね。
「パパ、いまの話を聞いた限りでは『((神々の黄昏|ラグナロク))』の詳しい部分に関して触れていないと思うのですが…」
「そういえばそうだよね…それじゃあ、そのロキさんたちと会った後に、また何かあったのかな?」
「その通りだよ、さすがだな2人とも」
ユイちゃんとわたしの指摘に頷いたキリトくん。そして、彼は凄く重要なことを言った。
「俺、会ったんだアイツに…」
「誰に?」
「茅場晶彦に」
「「……へっ?」」
茅場、晶彦…?
「だから、茅場晶彦に会ったんだって」
「「……………え〜〜〜っ!?」」
驚愕のあまり、女の子らしからないほどの声をあげてしまいました…。
アスナSide Out
キリトSide
――30分前・ウルズの泉
「キリト君」
「茅場」
ニブルヘイムよりウルズの泉へと戻った俺の前に現れた茅場晶彦。
久方ぶりの対面であるが、俺に用事があるのならば現れることもあるだろうとは思っていた。
さすがにこのタイミングとは思わなかったが…。
「なるほど、お前がノルン三姉妹の言っていたマスターか」
「まぁそういうことだよ。今回は身勝手ながらキミに頼みたいことがあって来たんだ。
話だけでも、聞いてもらえないかな?」
「内容にもよるが、取り敢えず聞かせてもらえないか?」
そう言って茅場に説明を促し、彼の言葉に耳を傾ける。
「実は2つあってね…1つはここ、『アルヴヘイム・オンライン』のカーディナルを止める。
もう1つは、むしろこちらを早急に行ってほしいのだが、『アンダーワールド』を救ってほしいのだよ」
「待て、ALOは分かる。だがアンダーワールドって、何故お前が……それに救うというのは…?」
「それに関しても説明させてもらうよ。いま、アンダーワールドで何が起きているのかを…」
茅場が語った『アンダーワールド』の現状、
いや…そのアンダーワールドで暗躍している最高司祭アドミニストレータの目的を聞かされた。
現実世界への侵攻、この場合は俺や菊岡、タケルや凜子さんへの復讐というべきか…。
まぁ、試験や実験という名の箱庭で生かされていることを知り、
それを覆すことの可能な力を手に入れたというのならばその思いは分からなくもない。
なんせ、もしかしたら現実世界の俺たちという存在も、そんな箱庭で生かされている可能性が0なわけではないから。
まさに『悪魔の証明』である。
とはいえ、その目的のために本来アドミニストレータ自身が守らなければならないはずの民たちを蔑ろにし、
ましてや整合騎士という存在に((調整|・・・))を施すということには俺でさえも憤りを感じずにはいられない。
その果てに、俺の大切な人たちに害を及ぼすというのならなおさらである。
だが、その世界の権限を持つカーディナルという人格が力を奪われている以上は、かなり手間が掛かるとのことらしい。
ここまでの話しを聞き、再び茅場に訊ねる。
「対策があるんだよな? そうでなければアンタが俺の前に姿を現すはずがない…」
「勿論だとも。本来ならば私自身がなんとかしたいところなのだが、それが出来ないのだよ。
だが、対策方法を授けることは可能だ……どうするかな?」
「お前、分かっていて言っているだろ?……やるに決まっている。そもそも、俺も当事者の一員みたいだからな…」
試験や実験として生み出されたアンダーワールドの住人の一員であるアドミニストレータ。
彼女の元の矛先を考えるに、俺が対応するのが一番だろうからな。
それを分かって聞いているのだろうから、やはりこの男はムカつく。
「すまない。本当に私の手でやることが可能であればそうしたいのだが…キミにばかり迷惑を掛けてしまうね」
「随分と殊勝な態度だな…アンタらしくもない」
「ではキミは、わたしに凜子くんの身の危険を黙って見過ごせ、と…?」
「っ、わるい…」
茅場はもどかしく思っているのだ。
愛したが故に遠くに置き、愛したが故に凜子さんに非常になれず、結果彼女を悲しませてしまった。
だがそれでも、たとえ意識のエコーであっても、やはりこの男は彼女のことを愛しているのだ。
だからこそ、凜子さんを守る為に俺を利用する、と…。
「いいぜ、彼女には凄く世話になってるから、アンタが守りたい人をついででいいのなら守ってやる」
「キミらしい回答だな…ありがとう」
そして、今度はALOの『((神々の黄昏|ラグナロク))』について聞くことになった。
「さて、まずは通常の言語モジュール搭載AIの者たちとは違う存在である彼女たちについて説明しよう。
ノルン三姉妹のウルズ、ベルザンディ、スクルド…彼女たちはキミの娘であるユイ君、彼女の妹に当たる存在だ」
「ユイの妹って、まさか彼女たちも…」
「そう、『((Mental Health Counciling Program|メンタル・ヘルス・カウンセリング・プログラム))』だったのだよ。
いまはこの世界の住人だがね…ちなみにウルズがMHCP003、ベルザンディがMHCP004、スクルドがMHCP005だ」
「((だった|・・・))? それにいまはこの世界の住人というのは…」
「彼女たちは『ソードアート・オンライン』の完成に間に合わず、
それでもアーガスのスタッフが最後まで着手し、生まれたということさ。
SAOの始まりに伴い、彼女たちは凍結されていたが、私が解放し、
1年後に発売されたこのALOにこの娘たちを住まわせたわけだよ」
む、無茶苦茶だ…。いや、俺自身も大概無茶苦茶だがコイツはやはり桁が違う。
完成したALOにハッキングして、当時MHCPだった彼女たちをこの世界の住人として確立させたというのは異常だ。
しかもその時はSAOでゲームマスターとして、血盟騎士団のリーダーとしても活動していたはず…この男、
死んでも底が知れない。
「一応聞きたいが、MHCP002は居たのか?」
「……『ストレア』か、彼女にも悪いことをしてしまった。
MHCP002、名をストレアといったのだが彼女はユイ君と違い負荷に耐え切れず暴走した結果……消滅したよ」
「そう、か…」
一瞬、憤慨しそうになったが、茅場の表情の翳りを見てそれを治める。
何も感じていない、ということはないのだろう。
現に、ユイの時に彼女を消滅させようとしたのはSAOのカーディナルであって、茅場の意思ではなかった。
見張ってはいたらしいが…。
「話しを戻そう。彼女たちに関してはそういうことだから、理解しておいてほしい。
では本題である他のAIたちについての説明しよう」
コホンと咳をして話しを変えたので、そのまま話しを聞くことにする。
「オーディンやロキを始めとする神々や巨人のAIたち、彼らはいわばカーディナル自身が用意した自滅因子。
しかも、カーディナル自身は彼らの存在を『アポトーシス』としているが、
キミを始めとするプレイヤー諸君からすれば『ネクローシス』であることは間違いない」
自滅因子…自身を滅ぼすための存在か。
アポトーシスは自発死であり、人が寿命で死ぬ事もこれにあたる。
簡単に言えば、『周囲に迷惑をかけない』死に方である。
逆にネクローシスは周囲にとって迷惑であるということ。
確かに、カーディナルは自身を崩壊させるプログラムが仕組まれており、
奴にとってはそれでいいのかもしれないが、俺たちプレイヤーはそんなことは望んでいない。
よって、茅場の言葉はその通りと言える。
「だがロキたちはそれを認識していて、オーディンはそれを認識していない…どういうことか分かるのか?」
「おそらく、それさえもカーディナルが設定したものだろう。アレはAIの調整を行うこともできる。
よって、ロキたちに自身への反乱意識を持たせ、自身を滅ぼさせようとしているのだろう。
逆にオーディンたちには自身への忠誠心を持たせ、ロキたちに対する抑止力とさせる。
これにより、滅びるまでの過程の演出を盛り上げようとしているのだと予測できる」
そういうことか……いや、考えてみれば思い当たる節はある。
クラーケンとスリュム、奴らはアース神族に対しての敵愾心が高かった。
それはおそらく、自分たちを弄んでいるであろうカーディナルに尽くしていることに対しての苛立ちなのかもしれない。
ただ、それさえもカーディナルが用意したものであると思うと、同情を禁じ得ない。
「じゃあ、シークレット・クエストと呼ばれる物の正体は…」
「キミの考えている通り、十中八九……『((神々の黄昏|ラグナロク))』だろうね」
これで確定した。“黄昏”とアンダーワールドに事象、それらを阻止することこそが今の俺が成すべきことだ。
アンダーワールドは俺にも責があるし、ALOは俺にとっても大切な場所で守りたい世界である。
ならば、力を揮うことに異議はない。
「それにキミ自身も知識として知っているのではないかな?
北欧の神々は最初から“黄昏”を防ぐつもりがないことを」
「ああ。北欧神話において、アース神族はラグナロクが起こる事を予期してはいるが、
決してそれを起こさせないように行動している描写はない。
むしろ、ロキに発破を掛けさせている節があるからな」
望んではいないが防ぐ気もない…それはやはり、己の血族は残ることを知っているからか。
神話の中の話とはいえ、オーディンやトールの息子はラグナロクの後も生きている。
だがその世界はあまりにも彼らに都合が良すぎることを、俺は知っている。
「このALOでもそうなる可能性は十分にありえるが、カーディナルが存在する以上は確実に滅ぼす気でくるだろう」
「止めさせてもらうぜ……この世界は好きだし、何よりまだアインクラッドをクリアしてないんだ」
「……はっはっはっ! さすが、キリト君らしいじゃないか…くくっ」
俺の答えに笑っている茅場、そんなに可笑しいか?
そんな風に怪訝に思っていると、笑いが収まった頃に真剣な表情になった。
「キリト君。改めて、アンダーワールドとこのアルヴヘイム・オンラインのことを頼む」
「言われなくとも、俺自身の為にも全力でやらせてもらうさ」
「だと思ったよ……ではアンダーワールド、並びにアルヴヘイム・オンラインへの対策と対処方法を伝えさせてもらう」
茅場から伝えられた対策と対処方法、それらをメモに残して俺は今後の準備に備えなければと思った。
さらにアンダーワールドの方は順序もあるから、そこについても打ち合わせることにした。
聞くべきことを聞き終え、再び別れの時が来た。
「最後にもう一度だけ……凜子くんのことを頼む。気に掛けてくれるだけでもいい」
「それこそ、言われなくてもそうするよ。俺にとっても良い先生だからな」
「そうか…。ならば、また後日に…」
そう言い残し、茅場は離れたところにいるノルン三姉妹に笑みを向けると、粒子になって姿を消した。
「また、か………ん?……また?」
――現在
「ま、そんなことがあったわけだ」
「「………」」
それで話しを区切ったところで、アスナとユイは頭を抱えている…情報を整理しているようだ。
そして少ししてから2人は顔を上げ、言葉を発した。
「取り敢えず、難しい部分は省くけど……ALOとアンダーワールドの危機なんだよね?」
「そしてパパがそれを解決する、ですね?」
「概ね、というかその通りだ」
笑って答えるとアスナもユイも溜め息を吐き、呆れたような表情を浮かべた。
「もぅ、なんでキリトくんばかり苦労して…」
「パパはもう少し断ってもいいと思いますけど…」
「とはいっても、どっちもほぼ当事者だからな〜。少なくとも、ALOの方はアスナもユイも手伝ってくれるんだろ?」
「「勿論だよ(です)」」
当然と言わんばかりの2人。3人揃って顔を見合わせれば笑いが溢れてくる。
そして改めてアスナとユイに言葉を掛ける。
「俺と茅場の予想ではほぼ間違いなく、この夏中にラグナロクが起こる。
おそらく、8月中にイベントがあるはずだ。
それまでにアンダーワールドの方を解決することになると思うけど、ユイはプログラミングの手伝いを、
アスナは俺の肉体的かつ精神的な手伝いをよろしく」
「任せてください、パパ!」
「了解だよ!……肉体的と精神的…?」
元気よく応じた2人だが、アスナは首を傾げた。おっと、これ以上悟られるわけには…(黒笑)
「よし、今日は疲れたし寝ようか」
「はいです〜♪」
「うん。寝よう寝よう♪」
話しを終わらせ、俺たちは装備を寝間着に変え、揃って布団に潜り込んだ。
愛する家族の温もりを感じながら、俺は微睡に身を任せた。
アルヴヘイム・オンラインとアンダーワールド、忙しくなることを思い英気を養おう。
キリトSide Out
To be continued……
あとがき
茅場が明かしたALOにおけるAIたちの感受性の良さと彼らの起こした不可思議なクエスト、
本作におけるオリジナルな設定でしたがどうでしたかね?
ノルン三姉妹のMHCPという設定は個人的にも良い設定にしたと思ってはいますが(苦笑)
そしてアリシゼーション編をしないと言いましたが、すみません・・・やります!
とはいっても10話前後で終わらせる予定ですし、現在発刊されている原作SAO最新巻までを書くつもりです。
そのあとの話はWeb版で筋道は覚えているのですが細かい描写や台詞などを忘れてしまっているので、
最新巻以降のアリシゼ編決着の話はキリトによる説明文で終わらせようと思います。
理由としましては、Web版を知っている自分や一部の方はともかく、ほとんどの方がWeb版を知らないと考えております。
おそらく今後発売される原作と細かい描写は変わるものの近い内容であることは違いないはずと考えています。
勿論、現在発刊されている最新巻以降の話は原作、Web版ともまったく違う結果になりますが、
それでも詳しく書いてしまってはみなさんの今後の楽しみを奪ってしまうと思いました。
その為、ある程度は簡略化しながらも詳しく書くのは現在まで発刊されている巻までにし、
アドミニストレータとの決着以降の現実世界での様子やUWでの最終決戦の様子は説明文とさせていただきます。
あくまでもこのストーリーのメインはALOにおける“黄昏”ですからね。
そういうわけで、そちらを楽しみにしていただければ幸いに思いながらも、
UWの話も少しだけ楽しんでいただければ良いなぁ〜と思っております。
それではまた・・・。
説明 | ||
第20話になります。 明らかになるのはALOとUWの真実、そして新たな戦いの予兆。 果たしてキリトはどんな道を進むのか。 どうぞ・・・。 |
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コメント | ||
lightcloss様へ 脱字報告ありがとうございます(本郷 刃) 暴走した果……消滅したよ」暴走した結果? もしくは暴走のはて?暴走したすえ?(lightcloss) lightcloss様へ みなさん気になっていたみたいですし、自分としてもユージオやアリスを出したい思いに駆られましてw 誤字報告ありがとうございます(本郷 刃) UW希望者続出だったのね。それはそうとあとがきの『勿論、現在発刊されている最新巻以降の話は原作、Web版ともまったく結果になりますが』のとこ、なんか抜けている気がする・・・。(lightcloss) アサシン様へ ありがとうございます!(本郷 刃) 素晴らしい!素晴らしです本郷 刃さん! 歓喜です!歓喜しました!!(アサシン) 道産子国士様へ ウチのキリアス夫婦は鬼恐ろしいですからね(本郷 刃) ディーン氏の作品の中に出動時は「幼女に欲情した変態達の検挙」を命令されてた機動隊の猛者が現着した途端に「バーサークペアレンツ(キリアス夫婦)から保護」に任務を変更しそうな暴れっぷりが想像出来そう。(道産子国士) 雷光夢幻様へ 頑張って整理してくださいw それが無理なら『キリトが頑張る→UWもALOも救われる→キリトさんマジ英雄!』と覚えてくださいww(本郷 刃) ディーン様へ 刃「なんかもうキリトさん達が鬼無双してますよww アスナもリーファもウェディングドレスが似合いますね♪ サチが序盤でバテましたか・・・評価はAAAですよ〜」(本郷 刃) FALKEN様へ なんかもう色々と物騒ですねww(本郷 刃) うにゃー話が大きすぎて頭がパンクしそー、って、やばこっちの世界で魔族が攻めて来たので太刀打ちして来ます(雷光夢幻) 今から映像を送ります、内容は「ユイちゃんがまたしても変態達に襲われそうな所に皆がやってくる」と「キリトとアスナとルナリオとリーファがプライダルフェアに行く(プライダルフェアとは結婚式場のイベントです)」と「シャインとティアとケイタとサチがマラソン大会に参加する」の3作品です、評価お願いします。(ディーン) よし、なら気合い入れて準備しなきゃ!!(黒笑) えっと…クラウ・ソラスにデュランダル、拡散波動砲に収束荷電粒子砲。衛星砲にサテライトキャノン… 反物質砲と相転移砲も用意するか…(ガルム) FALKEN様へ UW編が終われば黄昏の前段階に入りますのでそこからですね・・・ま、このUW編の最後も大きな戦いですが(黒笑)(本郷 刃) 戦争マダー?(色々とアレな兵器を用意しながら)(ガルム) ディーン様へ ヴァル&シリカ「「イェーイ!」」 シノン「んしょ、できた」 ハジメ「……焼くぞ」 クライン「これぞ侍魂」 カノン「女侍もいいわね」 ハクヤ「ペロッ、チュッ」 リズ「んっ、はぁっ…///」(本郷 刃) 今から写真を送ります、内容は「ヴァルとシリカがプリクラを撮っている」と「ハジメとシノンがティアの会社が持っているパン屋を営業する」と「クラインとカノンが東映太秦映画村に行く」と「リズがハクヤの指を消毒と言い舐めている」の4枚以上です。(ディーン) セルア様へ なにかと期待してくれていた方々がいたようなのでw(本郷 刃) アリシゼ編をやってくださるとは・・・! 感激です!(セルア) 観珪様へ まぁそれがキリトの性分といいますか、運命といいますか(苦笑) キリト「そうかそうか・・・娘が欲しけりゃ、オレヲタオシテカラニシテモラオウカ?」(本郷 刃) またキリトくんは大変なことを引き受けて……待つ側のアスナさんやユイちゃんのことを、もっと気遣いましょう! あんまり心配をかけるようなら、ユイちゃんはボクがお嫁さんにもらっていっちゃいますからね←(神余 雛) ロスト様へ ウチの茅場さんは原作以上に茶目っ気があります・・・だってお気に入りのキャラですからww!(本郷 刃) 遼東半島様へ いつでも戦えるように準備は整えていてくださいね!(本郷 刃) 「また後日」・・・って、茅場さん出演する気満々じゃないですかwww(ロスト) 親衛隊長「終焉の予言に記されし、獣・死の女王・炎・氷・竜。……如何なる災厄が襲おうと我等盾となって戦おうぞッ!!」リョウトウ「さてと…イッチョやってやりますか!」」(遼東半島) やぎすけ様へ そう言っていただけると安心します(本郷 刃) 弥凪・ストーム様へ 大元かつ肝心のアインクラッド編よりも長いというww(本郷 刃) ノルン三姉妹の正体が元MHPという設定は、とても良いと思います。それならあの感受性の良さにも説明がつきますね。(先日IMで粉々にしてしまいましたが・・・汗)(やぎすけ) アンダーワールド編が来ますか!(原作ではかなりの長作と言う)(弥凪・ストーム) しらたき様へ まぁそう思われても仕方がないですよね、ウチのキリトさんのスペックならww(本郷 刃) キリトさんならさくっと終わらせそうな気がしてならないww(しらたき) 影図書様へ チーターもチーターでキリトが大暴れ、すればいいんですけどねw(本郷 刃) 祝!!アンダーワールド突入決定、 元々は行かないと言っていたので残念に思っていましたが。アンダーワールドもビーターキリトで駆け巡って欲しいです。(影図書) ディーン様へ なんせUWですからね、FLAの影響でキリトさんだけ年単位でアスナさんと離ればなれになりますから・・・w(本郷 刃) 茅場さんから語られた、このALOとアンダーワールドの危機とノルン三姉妹の正体、まさかのユイちゃんの妹だったとは、キリト達はラグナロクを止める事はできるのか、それとアスナと肉体的と精神的に癒してもらったのですか。(ディーン) |
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