魔導師シャ・ノワール月村偏 第三十三話 月村騒動終息 |
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『ガシャン!ドドドンッ!』
木々が茂る森の中をブリッツアクションを巧みに使いつつ、高速で銃弾を交わし。
人の姿と瓜二つの人形達をクローシュの刃で切り裂き。固まっていればミストラル・ミシィールで吹き飛ばす。
すぐ隣ではノエルというメイドが手刀で人形を貫いていた。
人形の動きとノエルの動きは少し似ている。
魔力も無しに凄まじい運動能力。跳躍など数メートルを超え。人間の域を超えていた。
「はっ!やるじゃねぇか!メイド!」
「ええ、そちらも結構な腕前ですね」
最初こそズラリと30体ほどで襲って来た人形たちは数を大きく減らし。
今では数体を残すのみだ。
誘拐の時では人形を指示していた人間が居たはずだが。ここには見当たらない。
あまり得意ではないがサーチャーで索敵もしているが見つからない。
もしかして....
「ノエル、後は任せてもいいか?ここは、陽動かもしれない」
「はい、私もそれは考えていました。手薄になっている屋敷の裏口方面が怪しいです」
俺とノエルが戦っているのは屋敷の正面にある庭。その反対にある裏口を攻めるのは合理的だ。
「わかった。じゃあ分かれるぞ..「待ってください」?」
敵の首を手刀で落としながらノエルが言葉を繋いだ。
「さっき、お嬢様に言われた言葉は本心ですか?裏口には私の妹が居ます。あまり戦闘には向かない子ですが。私にとっては大切な家族です。
貴方の戦闘能力からすると敵に回られれば私はもちろんこの屋敷で止められる者はいません。もう一度問います、貴方は誰の味方ですか?」
誰の味方....ね。傭兵として生きて来た俺にとっては雇い主ですら味方とは言えない。
今では傭兵でもなければ依頼を受けているわけでもない。元傭兵のただの魔導師だ。
「俺が言った言葉は偽りない。だが、俺は誰の味方かと問われば難しいな。
しいていえば自分か?俺が大切だと、守りたいと思った者を守るためにこの剣を振るう。今はただ、それだけだ。」
そういい捨てて俺は裏口へと走り去った。
「守りたい者のですか。悪くないですね」
誰に語りかけるわけでもなくそう言葉が毀れた。私はどうだろう?主人の為?なぜ主人を守る?
そんなの決まってます。
「私も守りたい人の為にこの武を振るいましょう」
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屋敷の裏口に到着するとすでに床のカーペットや装飾品などが幾つも傷ついている。
それに長く続く絨毯に黒いシミが屋敷の奥へと点々と続いていた。
どうやらメイドの妹は連れ去られたらしい。
黒いシミを指で軽く擦り。指先で遊んで感触を確かめつつ匂いを嗅ぐ。
機械系の油圧オイルのようだがメイド共に体の構造がどうなっているかわからないが。
連れ去られている以上、かなり損傷はひどいだろう。
幸いにして、絨毯の染みを辿れば追いつくのは容易い。
それにしては迂闊な行動だ。態々自分の向かっている先を教えるような真似をするとは。
このタイミングの襲撃。恐らくは俺が狙いか?
となれば....
「まあいいさ。罠だろうとなんであろうとやる事は変わらない。
狩ってやる!魔導師を舐めるなよ!」
絨毯に残ったシミを辿っていった先には大部屋が待っていた。
艶のある茶色のニスが塗られた大きな二枚扉。
「篭城ね....」
恐らくは、屋敷の状況から勝てないと踏んだのだろう。
ならばなぜ撤退しない?態々居場所を知らせるような後を残して篭城した?
後が無いからか。只の罠か。それともその両方か?
敵に人質が居なければ壁なり天井なりをぶち破って奇襲するところだが、そうもいかないか。
右手にクローシュを提げたまま、左手で二枚扉の中央左側のドアノブを回し。ゆっくりと扉を開く。
左の扉を中央から開き、その隙間が手首ほどの長さになる瞬間
俺は本能の赴くまま咄嗟にドアノブを掴んでいた左手を引っ込め。
右足で、開いていない。右の扉を蹴破った。
《ドォンッ!》
魔力で体を強化し。子供の力とは思えない重い蹴りは、いとも簡単に扉をこじ開け。
その裏に隠れていた斧を振りかざさんとしていた人形兵に激突する。
俺があのまま扉を開いていたら下手をすれば左手を失っていたかもしれない。
普通ならそんな考えが生まれると恐怖で体が動かなくなるのだろうが。
昔からの経験でそんな事に脳のリソースを割くほどバカじゃない。
蹴破ったまま右足で次の動作へ移り部屋へと一歩踏み込み。すぐさま体を回転させ。
相手の状況も顧みないままクローシュを体の回転に合わせた遠心力で
開きかけていた左の扉の裏へと叩きつけるように斬撃を放つ。
「ぐがっ!?」
それは見事もう一人隠れていた人形兵の胸部に斜めから直撃し。
口から真っ黒なオイルを撒き散らして機能停止に追いやった。
そんな一瞬の出来事も出来事も流し目で確認し。
部屋の奥に立っている。『荒々しい』という言葉が似合いそうな。
凶悪な目をしている短髪黒髪の男とその腕に抱かれている右腕部の中程から消失し、気を失っているメイド服姿の少女。
ノエルというメイドと同じ薄紫色の髪からあれが妹なのだろう。
その二人の左右には一体ずつ計2体の人形兵が銃と背中に大きな棒状の包みを一つだけ背負っていた。
オイルで黒く汚れたクローシュを手に彼らに一歩、一歩近づきながら。
扉ごと蹴り倒した床に転がっていた人形兵の後頭部に突き入れる。
グシャ!と金属やワイヤーをねじ切ったような感触が手に伝わり。
それと同時に人形兵は体を震わせて声もなく機能停止した。
それを見ていた男は腕に捕まえていた少女を横の人形兵に押しやり。嬉しそうに両手を叩き、拍手を始める。
「フハハハッ!素晴らしい戦闘技術だ!待ち伏せをいとも簡単にカンターを叩き込み!
一瞬の内に私の人形兵が潰されるとは!魔導師とは素晴らしいものだな!」
「お喋りなやつだ。すぐその口を黙らせてやる」
ゆっくりといつでも魔法を放てるようにしながら歩みを始めるが
男の「まあ、待てって」という言葉に続いて
男は胸元から拳銃を取り出し。人形兵が捕まえている少女の頭へ銃口を突きつける。
その予想できる最悪な未来予想に思わず足を止めてしまう。
「なんの真似だ?」
「文字通り動くなってやつだ。わかるか?」
「そんな奴が人質になるとでも?」
少女とは言え機械の体。つまりはロボット、だが....
「人質になる?なるに決まってるだろ。じゃなけりゃ今頃俺はその人形共と同じく死んでらぁ」
「・・・」
確かに殺ろうと思えば一瞬だ。だが、あの少女が邪魔だ。
彼女を無事に助けれるかどうかは分からなかった。
故に動けなかった。状況は最悪だ。
「沈黙は肯定と受け取るぜ?ここで一つ相談なんだが」
「なんだ?」
「お前さん幾らで雇われてんだ?この家によう」
「なんの事だ?」
「お前さんは魔導師って言ってもファンタジーにあるような研究者とか魔法使いという感じじゃねぇ。
あの戦闘技術は磨かれた物だ。つーことはお前さん、魔導師という名の傭兵か何かだろ?」
なるほど、この男も臭うと思ったら俺や士郎と同業者。気づくのも無理はない。
経緯から考えれば誘拐された、すすかとアリサを助けた事で俺のことを
この家に雇われた傭兵か何かだと思っているらしい。勘違いも肌話し位だ。
「最初は、誘拐に失敗した仲間の人形から回収した映像で嘘かと思ったが。
目の前でこれほどの物を魅せられたんだ。子供とは言えあんたほどの腕ならウチじゃいい金額を出すぜ?な、手を組まねぇか?」
「遺言はそれだけか?」
「なあ、悪い話じゃねぇだろ?金には困らねぇぜ?俺と組め」
馬鹿らしい。勘違いに勘違いを繰り返している。
それに俺が仮に月村家に雇われていた傭兵だったとしても依頼主を金で裏切るような真似は絶対にしない。
一々と順序立てて誤解をとく必要はない。単純に答えを口にした
「答えはノォン(いいえ)だ。お前に逃げ場は無い。大人しく捕まるんだな」
「そうか、そりゃあ残念だねぇ。だが、状況は変わらねぇぞ?」
ああ、状況は最悪だ。人質を取られ動くに動けない。
結界魔法などが得意なユーノ・スクライアなどが居たならば。あの男だけを隔離などという荒業もできたのだろう。
だが、残念ながらここには居ない。なのはからの支援も期待できない以上は....
「とりあえずは、武器を...たしかデバイスって言ったか?」
「なッ!?」
「驚くことでもないだろ?俺も噂にくらい聞いたことがあるぜ。違う世界から来て暗躍する魔導師達をよう。 嘘か真か半信半疑だったが・・・。与太話もバカにできねぇな!おい!」
こいつ...初めから月村家ではなく、俺を狙ってここに来たわけか。
「まずはデバイスを捨ててもらおうか。魔導師さんよ」
「わかった・・・」
ゆっくりと右手に持ったクローシュを部屋の端に放り投げ。両手の平を相手に向けて手を上げた。
「結構結構、素直でいいねぇ。じゃあ次はバリアジャケットを解除してもらおうか?」
「詳しいな....」
「さすがに何がでるかって、吸血鬼が出る屋敷、それも魔導師がいる屋敷の情報を詳しく調べずに踏み込む分けねぇだろ?」
「なにが与太話だ」
確実にそういった情報を持っている相手から情報を入手した上での行動だろう。
実際、バリアジャケットの無い魔導師は普通の人間とあまり変わらない。
続いて指示された通りにバリアジャケットを解除する。
黒いゴツゴツとした厚みのあるジャケットが弾けるように消え去り。黒いTシャツと黒いカーゴパンツの姿へと変身した。
一方、男の隣で捉えられている少女がいつの間にか意識を取り戻し。とても心配そうな目でこちらを見つめていた。
その目に向かって静かに微笑み返し。すぐさま男に向かって目を細める。
「これでいいか?」
「ああ、それで結構だ。やれ!」
少女を捉えていない側の人形兵が背中の包から対戦車兵器(無反動砲)を取り出した。
名前をRPG−7 この世界一有名な対戦車兵器の一つ。
弾頭によるが厚さ数百ミリの鉄板をも貫通させる兵器。とても人相手に撃つような物でない。
「正気か?」
「正気さ。お前さんには銃は効かなそうだしな。俺は用心深いんだ」
「それにしてはお粗末な終焉だな」
《ドゴッン!》
軽口を叩いたその瞬間、ロケットの発射音と発射の際に発生した反動を逃がすために発射機後方に設けられた穴から高圧ガスが吹き出し。
大部屋の窓ガラスは粉砕され。その結果として発射された弾頭が飛翔し、俺は爆発に飲み込まれた。
??side
「フハハハハッ!もったいねぇ選択だったなあ!魔導師さんよ!」
「あ、ああ・・・」
爆炎で部屋の入口が全く見えない。あんな爆発に巻き込まれて無事でいるはずがない。
私の所為だ・・・。私が強かったら。あの人を死なせずに済んだのに。
私がもっとしっかりしていれば・・・・。あの人が私なんかを助けようとしなければ・・・。
体に力が入らず。そのまま床へ倒れそうになるが。え?なんで体が自由に?
そんな事も考える暇もなく無傷の左腕が引っ張らられ。誰かの胸の中へと顔をうずめた。
「なっ!?てめぇ!」
「悪いな、一芝居打たせてもらった」
そう、あの人の声が聞こえた。とても澄んでいて優しい声が....
??side out
「悪いな、一芝居打たせてもらった」
「なぜ生きてやがる!確かに当たった筈だ!」
「確かにバリアジャケットが無ければ魔導師も只の人間と変わらん。
だが、俺はバリアジャケットをすべて解除したわけじゃないし、それだけじゃないがな」
あのTシャツとカーゴパンツは訓練時などに使用するバリアジャケットの形態で。防御力こそ最低だが
魔力及び筋力負荷など変わった性能を発揮させることが出来る。それにゴテゴテとしたジャケットからあの格好になれば
普通の人ならばバリアジャケットと思わない。無論、それだけならロケット弾を防げる訳はない。
さらにデバイスを経由せずに自身の力のみで発動させたシールド魔法を直撃寸前に発動させた。
だが、それをもっても防ぎきれずにダメージが入っている。脳は揺れているし。あちらこちらに裂傷が広がっていた。
そして、爆発で吹き飛ばされた廊下から外に出て。大部屋の裏に位置する窓から音もなく侵入し。
魔力とバリア魔法でコーティングした手刀で少女を捕まえていた人形兵を倒すので精一杯だった。
少女を抱きかかえてからは、もはや俺が動くまでもない。
「てめぇ、舐めた真似を」
「悪いけど、体も限界なんだ。あとは俺じゃなく後ろのお姉さんに相手してもらってくれよ」
「はっ?」
その言葉の瞬間、後ろに迫っていたノエルの回し蹴りが炸裂し。男はもう一人の人形兵と共にくの字に曲がって壁へと激突した。
それを見届けると俺は尻餅を付き。絨毯の上へと座り込んだ。
爆発の衝撃で体が揺さぶられているかのように視界が揺れ。立っているのが辛い。
「だ、大丈夫ですか!?」
先ほどまで腕に捕まえていた少女が俺を心配そうに屈みこみ訪ねてくる。
「平気だ....ちょっと無茶が過ぎたかな。お前、怪我は?」
「えっと・・・腕がやられただけで、他は大丈夫です。腕も忍さんならすぐに直してくれます」
「そうか。なら・・・よかった」
少女の頭を一撫でするとさらに体にガタが来たのか座っているのも辛くなり。柔らかな絨毯の上へと倒れこんだ。
「わっ!?し、しっかりしてください!!」
「ノワール様!?」
ああ、俺も甘くなったものだ。昔の俺なら少女に構わず攻撃してただろうに....
うっすらとしていた意識が覚醒していく。
瞼をあけたその先には二人の少女の顔があった。
「ノワールくん?」
「ノワール様?」
「くそっ....どれくらい寝てた?」
すずかとあの少女を退けるように、上半身をゆっくりと体を起こして初めて自分が大きなベッドに横になっていたことに気が付く。
体はどうにも重く。打ち身が酷いようだが、言うなればそれだけだ。
すずかと名も知らない少女が気遣ってか体を支えてくれた
部屋の窓から外を眺めるとすでに月が登っており。真っ暗だった。
「夜か・・・」
「はい、あれからもう戦闘らしい戦闘は起こってません。もう、安全です。で、その、あの、ノワールくんにはその....」
すずかがどうにも言いづらそうに口を噤む。俺はそれを見てため息をつき、言葉を放った。
「別に礼も謝罪もいらない。そもそも俺がここに来なかったら襲撃も無かっただろうしな。なんなら恨んでくれても構わないぞ」
自虐的にそう言って笑うと。すずかが行き成り泣きそうな顔になり。目に涙を貯め始めた。
「お、おい?」
「うっ...な、んで.....」
「あ?」
「なんで...そんな悲しいこというんですか....わたし...わたし・・・」
余程心配されていたのかすずかが完全に泣き出してしまい。横にいるメイドの少女も目で非難していた。
「いや、だってな?俺が来なかったらこんなことならなかったし。この子も」
メイドの少女の右腕は包帯に巻かれており。第二関節ほどから先が無くなっていた。
長い付き合いでもなく、恨まれることはあってもここまで心配されるとは思わなかった。
「私の方は大丈夫ですよ?また、忍様が直してくださいますから。それにすずか様はそういう事を気にしてるのではありません。ただノワール様が心配でずっと付きっきりで居たのですが。起きて早々に
『恨んでくれても構わないぞ』なんて言われたら泣きますよ。
女の子の気持ちをなんだと思ってるんですか?ノワール様、ドライ過ぎです〜」
「うっ・・・」
遇の音も出ないとはこの事か。隣では嗚咽を漏らしてすずかが静かに泣いている。
そして、メイドの少女を見るとハンカチをこちらに差し出してきた。
つまりはこれで拭いてやれと?
また、なんとも自業自得というか...嫌な予感しかしないが
俺は小さくため息をついてハンカチをメイドから受け取り。
すずかの真っ白な肌にゆっくりとハンカチを押し付け。涙を拭う。
「えっ?」
「ほら、拭いてやるからもう泣くな。真っ赤になってウサギみたいだぞ?」
「う、うん....」
大人しく顔を拭かれるすずかはまるで借りてきた猫のようにおとなしい。元から騒ぐような性格ではなさそうだが
「悪かったな」
「え?」
「その、なんだ・・・。誰かを恨んだりした方が気が楽になったりもするし。あんな事の後だろ...
俺だって家族や仲間が傷つけられたら嫌だし。怒ると思う。そんなことの原因になった相手が目の前にいたら怒るだろ?」
「それは違うよ。元はと言えばわたしが誘拐されたのが始まりだし。ノワールくんは助けてくれたんだもん」
「それは違うな。俺は恩を返しただけだ。無償ってワケじゃない」
「例えそうでも今日で二回目。今度はファリン...それにみんなを助けてくれた。」
「結果論だな。そもそも「ううっ...」わっ!泣くな!泣くな!」
水掛け論に発展すると再びすずかが泣きそうになった。
それに俺が慌てていると部屋のドアから楽しそうに弾んだ声が聞こえてきた。
「フフフッ女泣かせねぇ〜ノワールちゃんは」
「うっせ!黙ってろ!」
不意に現れた忍さんが茶化してくるが目の前の自体に集中しよう。
「なあ、すずか。俺が悪かった。だから「うっ...ひぐっ..」う・・・俺も泣きてぇ」
すずかを見て自分の気持ちを簡素にして素直に伝えることにした。
肩を震わせるすずかの肩を取り。体を抱き寄せる。
「う...え・・・?」
「ごめん。ただ、俺は謝りたかっただけなんだ。怖い思いをさせた事、隣の子の事とか。ただ、それだけ
俺って弄れてるからさ。上手く伝えられなくてごめんな。ただ、悪かったって言いたかったんだ」
「でも...ノワールくんは全然悪く.....」
「いいんだ。ただの気持ちの問題だ。その方が俺の気が楽なんだからそうしてくれ」
「・・・うん」
これ以上は無駄だと悟ったのか大人しく、すずかは腕に抱かれ続け。不意に小さく「ありがとう」と耳元で囁いた
その後、高町家一同を引き連れた、なのはと共に俺は家に帰ったが。
無茶な行動のせいか、なのはの説教を小一時間聞かされることとなった....
数日後....
「ノワールくん!」
「ん?なんだ?」
「ううん!なんでもないよ」
喫茶翠屋のカウンターでジュースを飲みながら時折名前を呼んでくる、月村すずか。
あれから再び話し合いの場が設けられ。
互いに抱えるものを理解した同士として、お互いの秘密を守りさらに幾つかの条件と共に友好を結ぶ事を決めた。忍さんからは、将来的にすずかの婿になってほしいとか言っていたが。
子供相手に何を言ってるんだ?と俺がその場を諌めたが。
なのはの目は鋭く光り。すずかの目も鋭く光っていた。
唯一置いてきぼりなアリサは静かにため息をついてその場を見つめていた。
現在も熱い目線を送ってくるすずかの方は満更でもないらしいが。
俺の方はというとそんな気はまったく無い。借りを返しただけだしな。
月日が経てばそんな気持ちも消えていくだろう。
「ノワールくんッ」
「ノワールくん!」
ただ、一つ言いたいのは....
「てめぇら....退店させるぞ?」
なのはも一緒になって無闇に俺の名前を呼ぶことだ。二人そろって仕事の邪魔をする。
その二人の横では不機嫌そうに睨むアリサ・バニングスの姿があった.....
視点変更が多いので2話分割にしようかと悩みましたが1話で行って見ました。
文章の長さ的にはこれくらいで一話にしたいですね。
次回は、空気だったアリサの話を挟みます。
※読んでくれてありがとうございます!感想などなどはお気軽に!
※誤字脱字などの指摘もどんどんお願いします。
※また誤字脱字や妙な言い回しなど見つけ次第修正しますが特に物語りに大きな影響が無い限り報告等は致しませんのであしからず。
説明 | ||
神様などに一切会わずに特典もなくリリカルなのはの世界へ転生した主人公。原作知識を持っていた筈が生まれ育った厳しい環境の為にそのことを忘れてしまい。知らず知らずの内に原作に介入してしまう、そんな魔導師の物語です。 ※物語初頭などはシリアス成分が多めですが物語が進むにつれて皆無に近くなります。 ※またハーレム要素及び男の娘などの要素も含みます。さらにチートなどはありません。 初めて読む方はプロローグからお願いします。 | ||
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