ALO〜妖精郷の黄昏〜 第24話 ザッカリア剣術大会 |
第24話 ザッカリア剣術大会
???Side
――不思議な子たち
163日前、((マスター|・・・・))から黒髪のキリトという少年と亜麻色の髪のユージオという少年の直接観察を命ぜられた。
当初は外見や言動において、同性・同地域・同年代のユニット群から逸脱しているところはないと思いもしたけれど、
それはすぐさま覆される事となった。
ユージオという少年の方は例における同年代のユニットと比べれば、
計画性・規則性が不足し、旺盛な好奇心や探究心を表している。
しかし、驚くべきはもう1人の少年キリトだと思う。
同性・同地域・同年代のユニット群から逸脱しきっている体力や筋力に知力、剣術の技術に戦闘方法、戦術に戦略、
計画性と規則性が充足しながらも前者よりも旺盛な好奇心と探究心、発想力と行動力、
年齢不相応な性格と雰囲気と経験値、そして神器ともみられる出所不明の黒い剣。
本当に彼は何者なのだろうか…?
とはいえ、それは『マスター』の観察命令を行使していれば分かるだろう。
既にキリトという少年には何度もはらはらとさせられている。
なにせ幾度となく禁忌目録を破るか破らないかの瀬戸際の行いをしているのだから。
それに、彼は『マスター』の仇敵である『((かの者|・・・))』が世界の各地に施した、
((永久障壁|・・・・))を僅かな日数で破壊してのけるという事をしてみせた。
しかし、いまのこの2人の状況は今後も観察を続けるにあたって看過することができるものではない。
明日にこのザッカリアの街の衛兵隊になるための剣術大会があるというのに、
住み込みで働かせてもらっている農場の古びた納屋の床に、干し藁を分厚く積み重ねて作られたベッドで寝ている。
けれど、彼らにはこの農場で働いたことで稼いだ給金があり、
それを使ってせめてこの日だけでも宿屋でしっかりと体を休めればいいものをと、何度も口出ししたくなってしまった。
病に掛かり、体調を崩してしまっては元も子もないのだから。
だが彼らへの直接接触は『マスター』より許されていないため、忠告することもできずにやきもきしたものだ。
特にキリト、彼は寒さが残る中で干し藁を被ることなく眠っている。
さすがにいただけないと思い、この程度の干渉ならば『マスター』も許してくれるだろうと考え、
納屋の高い梁の上で右腕をそっと振り、小声で術式を唱え、手の先に小さな緑の光、
《風素》を生み出して慎重に誘導し、キリト少年の傍の干し藁に潜らせようとした……その瞬間…。
「っ!」
「えっ…」
高速で身を起こし、《風素》を黒い剣で斬り裂き、静かに飛び上がって梁にぶら下がり、
伸びてくる手によってこの身は捕まってしまった。
あまりの早業、あまりの行いに呆然とし、しかし我に戻るも捕らわれのまま。
音も無く着地した彼はユージオ少年を起こさないよう、けれど厳かな口調で告げてきた。
「ようやく尻尾を見せてくれたな。さぁ、話しを聞かせてもらおうか。敵にしても、味方にしてもな…」
それはつまり、存在に気付かれていたということ。
深い笑みと共に逃がさないという威圧感を込めて放たれた言葉に、
身を凍えさせられるという感覚を生まれてはじめて覚えた。
マスター、私はもしかしたらとんでもない存在に触れてしまったのかもしれません…。
???Side Out
ユージオSide
「んっ、キリト。おはよう」
「あぁ、おはよう」
朝になって目を覚まして、先に起きていたキリトと挨拶をした。
相変わらず起きるのが早いなと思ったところで、1つ気になっていたことを聞いてみよう。
「あのさ、キリト。夜だと思うんだけど、誰かと話していなかったかい?」
「いや、夜にお前以外の誰と話すんだよ…。夢でも見ていたんじゃないのか?」
「それもそうだね」
なんだか夜に彼が誰かと話す声が聞こえてきたと思ったけど、基本的に夜中に出歩くことは禁止されているから、
キリトの言う通り夢をみていたのか、寝ぼけていたのかも。
「それより、朝の仕事を終わらせよう。今日の予定の最終確認と最終練習をしないといけないからな」
「ついに今日だね……よし!」
干し藁のベッドから体を起こして、藁を抱えあげて壁際の木桶に移す。
この作業も、この藁のある納屋での生活も今日でお終いかもしれないと思うと、ちょっと感慨深いかな。
「ユージオ。早く済ませないとおやっさんに怒鳴られるぞ」
「あ、ごめんごめん」
キリトの言葉に反応してから僕たちは木桶いっぱいに移した干し藁を持って納屋を出て、隣の厩舎に入る。
そこで10頭の馬の餌桶を満たして、キリトと2人でそれぞれ馬を1頭ずつブラシで擦っていく。
これが僕とキリトがザッカリアの街の衛兵隊になるための剣術
大会があるまでの間にやってきた『ウォルデ農場』での仕事。
仕事を終わらせるとこの農場の双子の子供のテリンとテルルが挨拶と一緒にやってきた。
いつも通りに返事をしようとしたら、先にキリトが返事をして、リボンを入れ替えていた2人を見破った。
僕はいつも2人の入れ替わりに気付かないのに、真っ先に気付きキリトは相変わらず凄いな〜と思う。
ウォルデさん一家と朝食を食べてから、農場主のバノーさんに全員で応援に行くと言われて、嬉しかった。
奥さんのトリザさんからは負けてもウチの娘の婿になれば言いって笑いながら言われて、
キリトは恋人が故郷で待ってるので言って返して、僕1人に委ねられることになったのは困ったよ。
こういう時のキリトは恨めしい…。
農場からザッカリアの街に向かう途中、僕はキリトにザッカリアの街があることを信じていなかったことを言った。
だって、前の衛士長だったドイクさんも、他の村の誰もザッカリアに行ったことがなかったからね。
だけどそのすぐ後、予想外の事に巻き込まれた。
騎馬衛兵の乗っていた馬がいきなり暴れ出して、すぐ側にいたキリトが危なかったけど彼は即座に回避していた。
キリトは馬の前に立ってその長い首の真ん中あたりをしっかり掴んで、僕に指示を出してきた。
馬の後ろへ、それを聞いてすぐに尻尾あたりに向かうとここら辺ではあまり見ない、
けれど知っている虫が馬にくっついていたからそれを引きはがした。
それで馬は静かになって、キリトが衛兵に戻るように促してから僕のところにきた。
捕まえた虫は『オオヌマアブ』、もう死んでいるし、人には特に害はないからね。
でも、僕もキリトもおかしいって思った。
この虫は濁り沼が近くにないと発生しないし、一番近い場所でも7キロル(7km相当)もある場所、
そこから飛んでくるのはまずありえない。
ともあれ、僕も彼も何もなくて良かったと考えることにして、僕たちは街の中へ入った。
大会前に少しだけ腹ごしらえということになったけど、緊張している僕は食べ物が手につかない。
一方のキリトは周囲の視線も気にせずに串焼きや肉まんじゅうを食べている。
はぁ、こういう時はキミの大胆さが羨ましいよ…。
そしてついに、ザッカリア剣術大会の出場者登録窓口まできた。
まだ緊張している僕の代わりにキリトが登録を済ませてくれてる。
初老の衛兵、彼が怪訝に僕たちを見てきたけど、キリトが偶に見せる威圧感を出して相手を怯ませてる。
お願いだからそういうことは控えてほしいなぁ〜、僕の心の臓にも悪いんだけど…。
そんな僕の考えも空しく、キリトが村長から預かった羊皮紙を促してきたからそれを衛兵に渡して、
僕たちの出場は認められることになった。
最初は予選で型の演武、残ることができたら本選で東西に別れて試合、
それぞれの勝者がザッカリア衛兵になれるという説明を受けて、
僕たちは予選の始まる12時まで待機することにしたけど…。
「キリト、同じ組になったらどうしようか…?」
「その時は俺が負けるからお前は衛兵になれ。そうなったら俺は他の方法でお前に近づくから。
ま、同じ組になることはないと思うけどな」
「どうして…?」
彼の提案は分かるけど、どうして自信満々に同じ組にならないと言えるんだろう。
「勘」
「……なにそれ」
キリトにしては珍しい勘頼みだなぁ。
それから11時半を告げる鐘が鳴って、僕たちは試合場の控え室に入った。
そこで視線が一気に集まって、僕は怯んじゃったけどキリトは颯爽と進んで椅子に座ったから僕も続いた。
みんながみんな、衛兵見習いや壮年の衛兵たちばかりで、強面の人もいればなんだか凄い傷の人もいる。
「はぁ、そろそろアスナの作った飯が食いたい…」
「キリト、こんな時くらいは彼女さんの話しはやめない?」
「だがもう半年だ、彼女と離れてな。それにアスナの料理はメチャクチャ上手いんだぞ」
「うん、何度も聞いたよ。まぁ僕もそのアスナさんの料理を味わってみたいけど…」
いきなりいつものキリトのペースになったから脱力しちゃって話しを続けたら、
いつの間にか周囲の興味が僕たちから無くなっていた。
するとキリトは席から立ち上がって、他の参加者の座る席の近くをゆっくり歩きながら呼吸を繰り返していた。
戻ってくると僕に1人の衛兵見習いの人を示して注意をしてきた、何かを仕掛けてくるかもしれないって。
ここに居る人たちは知らないけど、キリトは本物の剣士だ。
その彼が言うのなら間違いないかも……もしかしたら、
さっきの会話も僕たちから気を逸らさせるためだったのかもしれない。
そう思って彼をみると、不敵な笑みを浮かべた……やっぱり、凄い…。
ついに東西の組み分けを行うことになって、
説明が終わる瞬間にキリトが立ち上がって箱の前に行ったから僕も続いてそのあとを他の参加者も続いてきた。
手を入れたキリトはあっさりと青い球を引いて列から離れて、僕も箱に手を入れた。
少し迷って手を中でうろうろさせていると、1つの球に触れたからコレだと思って手に取り、
手を引き出すと赤い球だった。やった、これでキリトとは別だから、2人とも受かれるかもしれない。
そう思いながら僕もキリトのところへ向かった。
ちなみに、キリトが注意を促した人は彼と同じ青の球を引いた。
キリトと彼は西ブロックか…。
そして、12時を告げる鐘が流れて、予選が始まった。
僕のあとから演武を行うキリトに言われたのは、予習通りに型を披露すれば落ちることはないだった。
一流の剣士である彼の言葉は心強くて、緊張が少しなくなる。
そのまま僕を含む他の人の番になってキリトに言われた通りに集中してから、
披露するべきザッカライト流の型を行った。
一心不乱に集中していたから気付かなかったけど、
終わってみれば僕の歓声が凄くて、少なくとも観客には認められたんだと思えた。
僕はキリトに向けて笑いかけ、彼も親指を立てて応えてくれた。
次に行われたキリトの番に、僕は改めて彼の凄さを感じ取った。
10秒以内に行うザッカライトの型を彼は5秒くらいで、
自分とは別の流派であるにも関わらずにお手本以上に綺麗にそして力強く剣を振るっていた。
終わってみれば会場は大歓声に包まれて、キリトは丁寧なお辞儀をしてから舞台の外に居る僕のところまできた。
「ユージオから見て俺の演武はどうだった?」
「……文句の付けようもない、お手本以上の凄さだったよ…。よく他の流派の型をあそこまで綺麗にできるね」
「再現するのは得意なんだよ」
慣れてるからな、と言ってくる。もぅなんというか、脱帽ものだよ…。
結果、僕もキリトも本選に残ることができた。
軽食とシラル水をもらって、30分の休憩が終わってから本選が開始になった。
僕は東ブロックの1回戦第3試合、キリトも西ブロックの第3試合。
だけどキリトの相手はイゴームっていう名前の注意人物。
いきなりって思ったけど、キリトが笑みを浮かべている様子から丁度良いって思ったみたいだ。
なんにせよ、僕もキリトも優勝してみせる。
僕たちは互いに右拳をぶつけてから、それぞれの舞台に向かった。
僕の相手は凄く緊張しているみたいで顔中汗まみれだ。
悪いけど、僕はこのチャンスを逃がすつもりはない。
お互いに剣を構えて、開始の合図を待ち…。
「始めっ!」
その言葉に、僕と相手は斬り合った。
ユージオSide Out
キリトSide
「始めっ!」
「イオオオオオッ!」
審判の合図と共に俺が注意している対戦相手、イゴームが斬り掛かってきた。
ギャリンッという甲高い音、俺が剣を振るうことで奴の剣を受け止めた。
それに驚愕しているのはイゴーム自身だ。
当然だろう、なにせ俺は手を震わせることもなく平然と受け止めたのだから。
それに対して奴は両手で力を込めるも、まったく俺を動かす事が出来ず、
力を込め過ぎて逆に奴の手が震える有り様だ。焦る表情のイゴームに俺は囁きかける。
「お前、ネジレヅタの匂いがするな。
ネジレヅタの用途は乾かしてから燃やすことで毒虫を麻痺させる煙を出すことができる……オオヌマアブとかな」
「っ、おまえ…!」
「今朝、ザッカリアの西門で暴れた馬にオオヌマアブを放ったのはお前だな? いや、それを責めるつもりはないよ。
大会の前に他の参加者を潰すのも作戦の内だしな。だが、どうやらお前はよほど剣の腕に自信がないみたいだな」
「お、おまえぇっ!?」
ネタがバレたこと、さらに挑発を受けたことで、どうやらこの無駄にプライドだけが高い奴はキレたようだ。
剣をぶつけ合いながら話す俺に、奴は周囲には聞こえないように昂ぶった声で言い放ってくる。
「お前らのような宿無しの天職無しが、気に入らないんだよ!
このイゴーム・ザッカライト様と競い、衛兵隊に入る? ふざけるな、許せるわけがねぇ!
お前らが大会要項を取りに来た時から絶対に潰すと決めていた!」
「なるほど、領主の一族ということか。ご立派な家柄だが、勝てなければなんの意味もないだろ?」
「お、のれぇっ!」
貴族の血と家柄に溺れ、本当の戦いも知らず、ぬくぬくと育ってきたような無駄に誇りが高い人間。
典型的な貴族といえばそうかもしれないが、コイツは特にその負の面を濃く継いでいそうだな。
話しながらも剣をぶつけ合う中、奴の剣に僅かに罅が入り、それを見てイゴームは驚愕している。
「なっ、バカなっ!?」
「お前の剣が俺のよりも上等な物なのは見てわかるよ。
それどころか俺のは他の奴のよりも古い物を渡されている。
差し詰め剣の貸出係の衛兵を金で抱き込んだのだろうが残念だったな」
「なんで、なんでだっ…!」
「タネ明かしは簡単だよ。お前はさっきから俺と打ち合えていると思い込んでいるみたいだが、大きな間違いだ。
俺とお前では筋力に差があり過ぎ、さらに俺はさっきからお前の剣を剣で受け流しているのに対して、
俺はお前の剣の一箇所を狙い続けている。何度も同じところに攻撃を受ければ、そうなって当然だよ」
「そんな、そんなことが、あるわけ…!?」
「あるんだよ、それが本当の戦いというものだ」
静かに、ただ淡々と言い放つことで怒りに顔が歪んでいく。コイツはダメだ、他の参加者の方がマシだ。
その時、俺から僅かに距離を取ったイゴームは両手で持っていた剣を右手だけで持ち、
ゆっくりと振り上げて肩に担ぐような位置で止めた。それにより、刀身を仄かな青い光が包み込む。
「ザッカライト流秘奥義《((蒼風斬|そうふうざん))》」
イゴームの言葉に会場全体がざわめく。審判も審査員も戸惑っているのは当然のことだ。
本来、秘奥義はその名の通り『秘伝の型』によって行われるもので、
流派の奥の手であるのだから無闇に使ってはならないのが普通だが、
あくまでも使い手の判断次第なので問題無いといえばそうである。
俺としても、そう来なくては面白くない。
「最上位スキルと『神霆流』は勿体無いな。普通に決めるか」
俺は右手に持つ剣を左脇に抱え込むように構え、刀身に紫色の光が迸る。
その様子を見た全観客と全審査員が息を呑んだのが分かった。
既に試合を終わらせている隣の舞台のユージオだけは、引き攣った表情をしている。
イゴームは顔が震えてから歪み、歯をむき出しにする。
「キエアアアアアー!!」
雄叫びと共に迫りくるイゴーム、肩に担いでいた剣が斜めの軌道を描いて襲い掛かってくる。
それに俺も応え、剣で左から右へ、そして右から左へと剣で軌跡を描き、イゴームの剣を破壊した。
「アインクラッド流二連撃技《スネークバイト》」
「ひっ…」
イゴームの耳元でそう囁くと同時に、恐る恐る俺を見てきた奴に向けて殺意を向ける。
それを受けたイゴームは腰を抜かしたように座り込んだ。
「次からは真面目に剣術を学んで体を鍛えるんだな。二度目はないぞ…」
周囲に聞こえないように忠告し、奴が恐々と頷いたのを確認してから一礼を行う。
審判による勝者宣言により、俺の勝利は決まった。
そのあとは俺もユージオも2回戦と3回戦を突破し、共に優勝が決まった。
晴れて、俺たちはザッカリア衛兵隊へ入隊許可を得て、そのまま入隊へと相成った。
バノー氏、トリザさん、テルルとテリンのウォルデ一家から祝いということで豪勢な夕食をご馳走してもらったあと、
いままのお礼を告げると同時に少しのお金を渡し、農場をあとにした。
俺たちは衛兵隊の隊舎へ向かい、完全に入隊して2人部屋を割り当てられることになった。
就寝時間まではまだ時間があり、俺は人気の無い場所へ向かい、((彼女|・・・))を呼んだ。
「ここなら大丈夫だから出てきてくれないか、((シャーロット|・・・・・・))」
「本当に大丈夫なのですか…?」
薄暗い道の中、俺の髪に隠れていた5ミル(約5mm)の何かがその姿を大きくし、
10セン(約10cm)くらいの女性の姿へ変化した。
「今日は助かったよ、シャーロット。お陰でユージオと一緒に入隊できた」
「まったく…。貴方は私をなんだと思っているのですか? マスターの使い魔なのですよ」
彼女はアドミニストレータの敵であるがゆえに、俺の協力者になりえたのだ。
彼女の名は『シャーロット』、カーディナルの使い魔である。
シャーロットの言葉の意味、それは今日の剣術大会における東西に別れる抽選にある。
俺は彼女に頼んで俺とユージオを別ブロックになるように球を箱の中で動かしてもらい、
またイゴームには俺と同じブロックになるようにしてもらったのだ。
そんな雑用みたいな行いに機嫌を悪くしているということだ。
「すまないとは思ってるよ。だけど、これでイゴームを警戒した理由も解ってくれただろ?」
「それは、まぁ…」
彼女はなぜ俺があの男を警戒していたのかを気にしていた。
俺にとっては些細なことだが、この世界の意味を知り、
それでいてこの世界を観察してきたシャーロットにとっては興味が沸いたのだ。
そもそも、俺とシャーロットが出会ったのは今日の夜、深夜ともいえる時間だった。
前々から気配を感じてはいたが、上手く実体を掴めず困っていたのだが、
俺が緩んでいるフリをしているところで神聖術を行うというボロを見せてくれて、気配を辿り捕まえたわけだ。
まぁ捕まえた時はユイよりもあまりにも小さな妖精のような存在に驚いたものだ。
そんな彼女を共に行動させているのかには理由がある。
それはシャーロットがカーディナルの使い魔であり、アドミニストレータと敵対しているからだ。
それを聞いた俺は、俺自身の実状を全て話し、幾つかの証拠もみせることで納得してもらえた。
また、アドミニストレータを倒し、カーディナルを救うことを絶対条件として、彼女の協力を取りつけたのである。
ともあれ、シャーロットは一度俺たちから離れることになっている。
「一度話したとは思いますが、私は今日のことをマスターに報告して、指示を仰がねばなりません。
マスターのことですから断ることはありえないでしょうけど、念の為です」
「それは当然だ。カーディナル本人の協力が得られるのなら、それほど心強いことはないからな」
「……本当に不思議な人ですね、貴方は…。では、私はそろそろマスターのところへ向かいます」
「あぁ。気を付けて」
「えぇ。貴方と、ユージオ少年も…」
そういうと、彼女は体を5ミルほどの大きさに戻すと空を飛んで行った。
翌日の夜、彼女はカーディナルの指示で俺に協力することを伝え、戻ってきた。
そして俺とユージオがザッカリア衛兵隊になって半年後。
俺たちは帝立修剣学院を受験するのに必要な推薦を得て、受験を行い、見事に学院への入学が決まった。
このUWに来てから、この世界の時間軸で1年、ようやく俺とユージオは央都セントリアへと訪れることができた。
キリトSide Out
To be continued……
あとがき
ザッカリア剣術大会の様子を1話で纏め、次回からは帝立修剣学院での話になります。
まぁこれもそこまで長くなりませんがw
流れは原作と変わりませんので、主にユージオ視点で書いてみました。
さて、原作においてキリトとユージオを観察していたシャーロットですが、この作品では半オリキャラに設定しました。
というのも、蜘蛛ではなく少女にした方が万人受けしますからね…そういうわけで彼女をよろしくどうぞw
また、この段階でキリトとカーディナルが組むことが確定し、
アドミニストレータの完全敗北フラグが着々と立派に立てられていますw
それでは修剣学院での話をお楽しみに〜・・・。
説明 | ||
第24話です。 剣術大会とそれまでの様子になりますが、大したものにはならないと思います。 どうぞ・・・。 |
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コメント | ||
ディーン様へ ユイ「お菓子作りは楽しいですよね」 キリト「む、ラーメンの次はそばとうどんか・・・」 アスナ「翠さんは翻弄するからなぁ」 刃「ルナリオとリーファ、微笑ましいですね・・・評価はAAです」(本郷 刃) これから映像を送ります、内容は「ヴァルとピナが一緒にお菓子を作っているを見ているシリカ」と「シャインとティアがラーメンの次はそばとうどんを巡る旅行をする」と「ケイタとサチが翠さんに出会う」と「ルナリオとリーファが本物のカピパラを枕にして寄り添って寝ている」の4作品です、評価お願いします。(ディーン) ディーン様へ キリト「我らが兄貴、恭介だろう」 アスナ「理樹君と鈴ちゃん頑張ったなぁ…」 ユイ「わふ〜!」 ハクヤ&ハジメ「「乾杯」」 リズ&シノン「「ぽ〜///」」 クーハ&リンク「「おじゃまします」」 キリト「よく来たな」 クライン「すげぇな〜…」 カノン「はい、綺麗ですね…」(本郷 刃) これから写真を送ります、内容は「キリトとアスナとユイちゃんがリトルバスターズのゲームとアニメを見る」と「ハクヤとハジメが酒を飲むシーンをじっと見ているリズとシノン」と「クーハとリンクがキリト達の学校に来る」と「クラインとカノンが天体観測をしている」の4枚以上です。(ディーン) イバ・ヨシアキ様へ ユイ「パパとママが学校を卒業して落ち着いたらでいいので、弟か妹が欲しいです」 キリト「任せろ、ユイ」 アスナ「う、うん///」(本郷 刃) イバ・ヨシアキです。ではユイちゃんに最後に質問です。「パパとママにお願いがありますか?」 (イバ・ヨシアキ) 弥凪・ストーム様へ ウチのキリトさんですからね、これであくまでも平常運転というww(本郷 刃) やっぱキリトTUEEEEEEEEEE!!(弥凪・ストーム) タナトス様へ いまのところは仕方がないのですよww(本郷 刃) ユージオの影が薄くなってるようなwww(タナトス) イバ・ヨシアキ様へ ユイ「やっぱりパパみたいな人が良いですし、ママみたいな大人になりたいです! パパとママが誇れる娘になれるよう頑張ります!」(本郷 刃) ボルックス様へ むしろセントラル・カセドラルでの戦闘がキリト無双の本番ですがね・・・(黒笑)(本郷 刃) イバ・ヨシアキです。ハジメさんがシノンさんを持っていちゃいましたので、今日はキリトさんとアスナさんの娘ユイちゃんに質問です。「将来結婚したい男性のタイプは?」「将来なりたい女性のタイプは?」「パパとママに将来の一言」 (イバ・ヨシアキ) いや〜予想通りの無双っぷり、 といってもこれから自分の予想の遥か上のキリト無双が展開されるだろうなww 期待していますよ、キリトさん!!(ボルックス) 観珪様へ キリトくんがどうするかをお楽しみにww(本郷 刃) キリトくんが通常運行な件についてww これはあれか、上級練士(?)になっても主席の座は渡さないってことですよねww(神余 雛) 影図書様へ これで平常運転だから異常ですよねw(本郷 刃) アサシン様へ 彼は何がしたかったのでしょうかねww(本郷 刃) ディーン様へ キリトは誰にも彼にも無双します(本郷 刃) キリトの見抜きレベルが半端ないですね。(影図書) ハッハッハ♪『イモーブ』ザマァです♪(アサシン) キリトの勘は鋭いですからね、まさかのカーディナルから使いがきた、アドミニストレータが完全に終わったな、次回は修剣学院での話ですか、次回もキリトの無双を期待しています。(ディーン) |
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