英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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6月15日―――

 

6月中旬―――若葉の季節を過ぎたトリスタでは珍しく長雨が続いていた。各地で実習を終えたリィン達”Z組”メンバーは通常の授業に戻っていた。目の回るほど忙しい日々と、ついて行くのでやっとの授業にようやく慣れてきた頃……かねてより告知されていたイベントがリィン達全員を待ち受けていた。

 

〜トールズ士官学院・1年Z組〜

 

「さて―――前から予告した通り、明日から”中間試験”になるわ。ま、基本は座学のテストだからあたしやレーヴェには何の力にもなれないけど。一応、それぞれ試験官として温かく見守るからせいぜい頑張ってちょうだい。」

「―――くれぐれもカンニングなどの不正行為をしないように。……まあ、俺の目を誤魔化せたらある意味称賛すべきかもしれんが。」

サラ教官の説明に続くようにレーヴェは答えた後口元に笑みを浮かべ

「完全に他人事ですね……」

「私達の成績が悪かったら教頭に嫌味を言われるんじゃ?」

二人の話を聞いたリィンとアリサは呆れ

「レーヴェがわたし達のクラスの試験官にならないように、今から女神に祈っておこうかな。」

「フィ、フィーさん……」

(というかその女神の一族は不正行為を許さないエステルさんだから、祈っても無駄……というか逆に天罰を降しに来ると思いますけど……)

レーヴェから視線を外して呟いたフィーの言葉を聞いたツーヤは冷や汗をかき、プリネは苦笑していた。

 

「フフン、このクラスにはけっこう成績優秀者が多いしね。せいぜい結果を楽しみにさせてもらうわ。そうそう、試験結果の発表は来週の水曜日よ。個人別の総合順位も掲示板に貼りだされるから。」

「成績で恥をかきたくないのなら、せいぜい頑張る事だな。」

「レ、レーヴェ……」

(レーヴェさんも完全に他人事ですね……)

サラ教官と共に答えたレーヴェの話を聞いたプリネは冷や汗をかき、ツーヤは呆れた表情をしていた。

 

「はあ……憂鬱だなぁ。」

「……超絶めんどくさい。」

二人の説明を聞いたエリオットは疲れた表情で溜息を吐き、フィーはジト目になり

「むむ、今度こそはエマ君に勝たなくては……」

「あはは……」

マキアスに名指しされたエマは苦笑していた。

 

「―――それともう一つ。クラスごとの平均点なんかも発表されたりするのよね〜。」

「クラスごとの平均点……」

「フン、クラス同士の対抗心に火をつけるのが狙いか。」

「なんか、露骨なやり方ですよね……」

「ふむ、それはそれでやり甲斐がありそうだ。」

「そうですね。クラスが一丸となって勉強するきっかけにもなりますし。」

サラ教官の話を聞いたガイウスは考え込み、ユーシスは鼻を鳴らしてツーヤと共に呆れた表情をし、ラウラとプリネはそれぞれ興味ありげな表情をしていた。

 

「さて、まだ昼過ぎだけど今日のHRは以上よ。残って試験勉強でもするか寮に帰るかは君達に任せるわ。委員長、挨拶して。」

「はい。起立―――礼。」

そしてHRが終わるとリィン達は全員集合した。

 

「は〜、どうしようかな。どの教化も心配だけど特に数学が厳しそうなんだよね。」

「だったら僕が見てもいいぞ?復習をするつもりだったし、まあ、片手間でよければだが。」

不安そうな表情をしているエリオットの話を聞いたマキアスは申し出

「え、ホント?やったぁ、助かるよ!」

マキアスの申し出を聞いたエリオットは嬉しそうな表情をした。

 

「オレは帝国史がやや不安だな。一応、授業で習ったところは把握できているとは思うが……」

「よかったら付き合おう。代わりと言ってはなんだが軍事学の設問を手伝ってくれ。」

「ああ、喜んで。」

一方ガイウスとユーシスも互いに共に勉強する事を約束した。

「フィーちゃんも、よかったら試験勉強に付き合いますか?」

「……むう。面倒だけど付き合う。」

エマに微笑まれたフィーは頬を膨らませながら頷き

「あ、だったら私もご一緒させてほしいかも。古典がちょっと不安なのよね。」

「あたしもお願いします。歴史や古典が不安ですので……」

「ええ、喜んで。よかったらラウラさんとプリネさんもご一緒しませんか?」

アリサとツーヤの頼みに頷いたエマはプリネとラウラに視線を向けた。

 

「ええ、いいですよ。」

エマの誘いにプリネは頷いたが

「いや……―――せっかくだが今日は遠慮しておこう。少々、個人的に復習しておきたい教科があってな。先に失礼する。」

ラウラは一瞬フィーに視線を向けた後誘いを断り、教室から出て行った。

 

「……?どうしたのかしら?」

「何だか、いつものラウラさんらしくありませんでしたね。」

ラウラの様子にアリサとツーヤは首を傾げ

「そうですね……」

「何かあるのでしょうか……?」

「……………………」

エマとプリネは考え込み、フィーはラウラに視線を向けて黙り込み

(今、一瞬フィーのことを見ていたような……?)

ある事が気になったリィンはラウラが去って行く様子を見つめていた。

 

「ねえねえ、リィン。」

「っと、どうした?」

その時エリオットに呼ばれ、エリオットに視線を向けた。

「リィンはこのまま寮に帰っちゃうの?」

「よかったら一緒に試験対策でもするか?」

「そうだな……とりあえず、すぐには帰らないつもりだよ。もしかしたら、どちらかにお邪魔させてもらうかもしれない。」

「ああ、了解だ。」

「気が向いたら来るがいい。」

その後リィンは学院内を回ってクラスメイト達やトワやアンゼリカと共に試験対策の勉強をした後寮に帰る為に学院を出た。

 

説明
第66話(3章開始)
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コメント
感想ありがとうございます 本郷 刃様 確かに剣帝の眼をごまかせたら凄すぎですww Kyogo2012様 無理でしょうね、あの二人は戦闘専門ですしww(sorano)
サラもレーヴェも他人事では済まないのではないかと・・・・。教頭に怒られたくなければ、きっちりと仕事をしなさいと言いたい。でも、二人はもっぱらの闘い専門だし。と思ったり。ケケケケケ(Kyogo2012)
確かにレーヴェの眼を誤魔化せたらホントに称賛に値しますねw(本郷 刃)
八神 はやて様 指摘ありがとうございます。できるだけ誤字はないように書いていますけど、やっぱりどうしても出てしまいますね(汗)(sorano)
誤字あったよ「いや……―――せっかくだが今日は遠慮しておこう。少々、個人的に復習しておきたい教化があってな。先に失礼する。」教化→教科(八神 はやて)
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