模型戦士ガンプラビルダーズI・B 第22話 |
「はぁぁっ!!」
宇宙の暗礁宙域、暗黒の空間でナナの機体『フリーダム・アルクス』が目の前の敵にビームサーベルを振り下ろす。
「来い!」
相対する敵、コンドウのレジェンドBB『騎士ガンダム』は右手に持った電磁ランスでサーベルを受け止めた。
「片手で!?」
「フリーダムは確かに早い!だがパワーには劣るという事だ!」
盾を持った左手でフリーダムの腹部を殴り飛ばす騎士ガンダム。フリーダムは後方へ吹っ飛ぶ。
「くっ!」
振動するGポッドでナナは呟き、格闘戦では勝てないと判断、一度距離を取る。
「む、何か考えたか!?」
コンドウはその場で動かずフリーダムを目で追う。騎士ガンダムには遠距離用の装備がない。
そしてフリーダムは周囲に浮かぶ隕石の影に隠れた。身を隠しながらコンドウの出方を伺う気だ。
暫くしてコンドウのGポッドに警告音が走る。
「後ろか!」
後ろからスナイパーライフルのビームが飛んできた。コンドウは真上に上がり回避、すぐさま撃ってきた方向に目をやると、かなり離れた所に撃った本人、ナナのフリーダム・アルクスがいた。
「仕留められなかった?!」
「甘いな!」
ランスを前に構え、高速で突っ込んでくる騎士ガンダム。ナナはスナイパーライフルじゃ狙えないと背部のバラエーナとクスィフィアスを展開、そして連射、
弾は騎士ガンダムに向うも、コンドウは軽く左右に機体を動かし回避、撃ち続けるナナ、それでも接近のスピードは緩めず近づいてくる。
距離を積まれつつあるナナは、こうなったらと左腕のスナイパーライフルを近・中距離用の三連バルカンに変形、騎士ガンダムに乱射する。
だが乱射の細かい弾幕に騎士ガンダムは気にも留めず突っ込んでくる。
そうこうしてる内にバルカンの弾が切れた。
「あっ!」
もう騎士ガンダムは目の前だ。今度は逃げ切れる自信がない。
焦りながらナナは背部の装備発射スイッチを押す。が、バラエーナとクスィフィアスは反応しない。
――撃てない?!どうして!?――
そう思ったと同時にGポッドの警告音が走る。モニターの端には『energy・shortage(エネルギー不足)』の表示があった。
「エネルギーの残りと残弾には常に気を配れって言っただろ!」
コンドウはフリーダムを切り裂きながら叫んだ。
「そんな事言ったってぇぇ!!」
ナナが答えると同時に乗機は爆発した。
「くぅ……何度もやってると脳みそに響くわね……」
Gポッドから出たナナは眼を回しながらぼやいた。フリーダムの高速移動はかなりの振動をともなう。
「あそこはビームサーベルにしとくのが正解ッスよ、ハジメさん」
観戦していたソウイチが指摘する。
対戦していたコンドウもGポッドから出てきた。
いつも皆が集まる模型店『ガリア大陸』だが今日はいつもと違いアイはいない。学校で生徒会のヤボ用だ。
今日のお馴染みのメンバーはナナとコンドウ、ツチヤ、ソウイチの四人だけだった。
「そうはいってるけどねアサダ、オッサンあんな勢いで突っ込んでくるんだもん。本気で来るんだから正直怖いわよ」
「いや、だとしてもどんな時でも平常心を保つのは大事だよ。突っ込んでくるコンドウさんが怖いのは解らんでもないけど」
「……そんな怖いか俺……」
『うん。かなり(っス)』
ナナが自信を失い、それから立ち直って以来、ナナは積極的にコンドウ達とバトルを通じた特訓をしていた。
初めコンドウ達が手加減を加えたメニューだったが今ではコンドウも本気を出し始めてきている。
「でもちょっとずつ自信はついてきてるって感じ、いつかオッサン達にも勝って見せるわよ」
「その意気だ。ヤタテの力を借りたとはいえお前はしっかりサツマに勝った。奴にもいつか追いつけるさ」
「バトルの実力は、ね。でもまだ自信ないのあってさ」
「?」
首をかしげるコンドウにナナはフリーダム・アルクスを見せる。
「こいつもアイやオッサン達に手伝ってもらって作ったけど、いずれはアタシ自身で改造できるようになりたいんだ。でもアタシ改造した事ないし……」
フリーダム・アルクスはアイやコンドウ達のアイディアを元にフリーダムを改造した物だ。だが実態は、ナナがコンドウ達の作ったパーツをくっつけただけだった。
ナナ本人としてはいずれサツマとの戦いにおいては純粋に自身で作ったガンプラで挑戦したいと思っていた。
「初めての改造か……、よし、ならいいのがあるぞ」
怖いと言われたショックを隠しながらもコンドウは提案した。
一階、店の奥の工作室、そこでコンドウら三人はナナにレクチャーをしつつ改造ガンプラを作っていた。
「そこでビルドストライクの額にウイングの角を接着するんス。で乾いたら頭部を接続して完成」
「こうやって……、これで完成ね!」
完成した改造ガンプラを目の前に立たせる。その名は……
「ビルトワイバーンガンダム、完成だな」
『ビルトワイバーンガンダム』ビルドファイターズのコミカライズ外伝、『プラモダイバーキット&ビルド』の主人公機。
ビルドストライクガンダムにウイングガンダムのパーツを組み合わせており両者のいいとこどりとでもいうべき機体だ。
劇中ではこれを基本に、様々な追加改造を施し世界大会を勝ち進んだのだ。ちなみに読みは『ビル(ド)』ではなく『ビル(ト)』製作者が『館山ビルト』という少年だからだ。
「なんか凄いアッサリ完成しちゃったわね〜」
ナナは目線をビルトワイバーンの高さに合わせ見つめた。ただ二体のガンプラを分解し組み直す改造だ。改造というともっと難しいイメージがナナにはあった。
「わざわざ最初っから難しい改造をする必要もないだろう。誰だってこれ位から経験を積むもんだ」
「ただこれだけってのもなんだから、これから何か追加してみるか?」
「うーん、いきなりそう言われてもなー」
ナナはワイバーンの全身をくまなく見つめる、ふとシールドが目についた。
――コイツ、ストライクと違って純粋な手持ち式なんだ――
ナナがそう思ったときだった。
「たのもーっ!ですぅ!」
勢いよく工作室のドアが開き一人の女が入ってきた。
「?!」
「ハジメ・ナナちゃんさんいますかァ?」
染めた金髪ショートの長身の女の子だ。フリルがやたらついたピンクのロリータファッションを着ており異彩を放っていた。
声もやたら甘ったるく喋っており妙なオーラがでていた。ナナと年が近そうだ。
「……えと、ナナはアタシだけど?」
恐る恐る名乗るナナ
「ぅみゅ〜!ハジメ・ナナさん!ユキとガンプラバトルしてください!」
女の子はピョンピョンはねながら自分を指さす。ユキと言うのは自分の名前らしい。
「え?アタシ?アイじゃなくて!?」
「ユキは『ゴウセツ・ユキ』っていぅんですぅ、模型店『ルジャーナ』でサツマ・イモエにバトルで勝つなんてすごぃですぅ〜!」
「『ルジャーナ』?という事はサツマさんのいた所からわざわざ来たのかい?」
「そぅなんですゥ〜、ナナちゃんさんに憧れちゃってユキとバトルしてほしぃなぁって思ってきたんですゥ」
「『ルジャーナ』って隣の県っスよ。喋りの割には熱心なビルダーっスね。もしかして学校休んできたんスか?」
「……ぅみゅぅ、学校さんゎすれちゃった〜☆てへっ」
――なんだこの人……――
自分を小突く動作をするユキ、男を骨抜きにする動作ではある物の言動やら外見やらであまりにも行き過ぎてる。
コンドウ達はうすら寒いものを感じていた。
「……いいよ、バトルしてあげる」
やや悩むもナナはバトルに応じた。その反応にソウイチがえぇ、と驚く
「ハジメさん、いいんスか?ヤバイッスよこの人、正直関わんない方が……」
「む〜っ☆そんな事言うなんてひどぃんだよぉ、閻魔様にベロひっこぬかれちゃぅんだからぁ!」
頬を膨らませるユキ、それはウソつきの話だとツチヤが返す。
「形はどうあれアタシだって認められたって事でしょう?アタシだって自信はそれなりにあるしね」
「わぁい!よろしくぉねがぃしますぅ☆」
「ただ、少し時間を頂戴、使うガンプラの調整がしたいの」
そしてユキが出て行った後、ナナはコンドウ達を集める。
「本当によかったんスか?あれ何か腹に一物抱えてる感じッスよ」
「まぁなんか接していてそんな感じはしていたけどさ、アタシに憧れてなんて嬉しかったし断りきれないよ」
「まぁ、判断するのはお前自身だしな。外見で差別するのもよくないし」
「で、調整と言ったがビルトワイバーンに何かやっておきたい事でもあるのかい?」
「まぁね、……それでちょっと手伝って欲しいんだけど」
そして数分後、ガンプラバトルが始まった。ステージは極寒の雪山、曇天の中をビルトワイバーンは飛ぶ。
『どうだ?ビルトワイバーンの感覚は』
観戦モニターからナナにコンドウが声をかける。観戦モニターからは悠々と雪山を飛ぶビルトワイバーンが見えた。
「前使っていたストライクをそのまま強化したって感じね。ストライクで慣れてる分、フリーダムよりも使いやすいかも」
感想を漏らすナナ、と、Gポッドに警告が響く。
「?!」
ナナは警告した方向へシールドを構える。その方向、下の雪原から一発の弾が煙を引き迫ってきた。
「ミサイル?!うぅんバズーカの弾!」
飛んできた弾をシールドで受ける。着弾により起こる爆発。
「んっ!」
耐えるもすぐさま後ろから警告音が響いた。「また?!」とナナが防御を取ろうとするが対応する前にビームがワイバーンに飛んできた。背中に直撃するビーム、
Gポッドに右の羽根の損傷を知らせる警告が出た。
「しまった!これじゃ飛べない!?」
ナナが叫ぶ中、下の雪原に落ちる。積もってる雪はかなり深い、起き上がったワイバーンの膝まで雪は積もっていた。
「くっ!撃ってきたのは!」
「ぅみゅ〜☆ここなんですぅ」
気の抜けるユキの声だ。しかし彼女の乗ってる機体を見てナナは、コンドウ達は愕然とした。
「見て下さい!ドムトルーパーっス!」
観戦モニターを見ていたソウイチが叫ぶ。ドムトルーパー『ガンダムSEED DESTINY』に登場したSEED版のドムとも言うべき機体だ。
『ファースト』に登場したドムは重量級でありながらもホバーで軽快に飛び回る高機動機だ。オマージュであるこの機体も同じ特徴を兼ね備えていた。
ユキの機体は全身を白と青系で塗装、背中には『ケルベロスバクゥハウンド』という機体の装備を取り付けており、かたの後ろから首長竜の頭の様なビーム砲が伸びていた。
「寒冷地仕様というわけか!」
「これがユキのパートナー、『ドムトルーパー・スノーマン』さんなんですゥ☆」
そのままドムトルーパーは全身にビーム状の赤い膜を張り、ビルトワイバーンに体当たりを仕掛ける。
膜は雪を溶かしながらワイバーンに突っ込んできた。
「っ!?」
シールドで防御するナナ、しかし重量級のドムの体当たり、吹っ飛ぶことはなくとも後ずさりはしてしまう。
「いっくよ〜☆」
なおも何度も体当たりをぶつけようとするドムトルーパー、
「くっ!」
ナナはワイバーンを一度後ろに大きくジャンプする。そのまま右手に構えたバスターライフルを構える、
「何度も良い様にされるもんですか!」
そして最大出力で撃った。エネルギーの奔流はドムトルーパーを飲み込む。起こる大爆発。
「……やったの?!」
着地するワイバーン、だが爆炎の中をドムトルーパーは平然と突っ込んできた。
「ちょ!効いてない!?」
「残念だったですねぇ〜このフィールド、『スクリーミングニンバス』は攻性の防御フィールドなんですょ〜、
更に発生させてる胸の部分にはクリアパーツを取り付けてぁるんだぁ。無改造のバスターライフルだって無効な位出力はアップですょ〜」
先程の言葉づかいよりもしっかりした口調でユキは答える。そしてなおも容赦なしに体当たりをかます。シールドで防御を続けるもシールドの赤い表面は砕ける。
下の白いパーツも亀裂が入っていた。
「ぁは☆シールドさんがぉでかけしちゃったぁ☆」
言葉とは裏腹に確実にワイバーンを追いつめていく。ドムトルーパーの表面にはウェザリングと呼ばれる汚し塗装が施されており。
それがガンプラバトルでは機体強度を高めていた。
「なら接近戦で!」
ナナはバスターライフルをその場に突き刺すとシールドからビームサーベルを取り出す。そのままドムトルーパーに斬りかかった。
「だぁぁっ!」
「あはッ!」
ユキは笑みを浮かべるとドムのバズーカを尻にマウント、背中のバクゥのトサカを切り離し、合体させる。これにより短剣状の手持ち武器になるのだ。
ドムトルーパーはその武器でワイバーンのビームサーベルを簡単に受け止める。
「っ!だったら!」
ナナはワイバーンの頭部からバルカンを発射、だが向かい合うドムの装甲は強固で傷にもならない。
「たぃしたことなぃですねぇ〜」
そのままもう片方の手でワイバーンを殴り飛ばした。悲鳴を上げるナナ、ワイバーンの顔に亀裂が入る。
「このスノーマンさんは頑丈なんだぁ☆、全身にウェザリングを入れてるからねぇ〜」
ウェザリング、汚し塗装の意味でガンプラに実際の戦場に出た兵器の様なリアリティを持たせる手法だ。
ガンプラ以前から戦闘機や戦車モデル等、スケールモデル時代からあった技術であり、全身に汚しをいれたドムはユキのイメージからますます遠ざかって見えた。
「だからあれだけの機体強度を実現してるわけか……」
コンドウがドムトルーパーを見ながら呟く、
「あれで機体強度が上がるなんて…アタシにはただボロくなってる様にしか見えないけれど」
ナナの何気ない一言に、コンドウ達は『がくっ』とずっこける。
『ボロいってお前なぁ……』
『まぁ、鉄だって生より焼きを入れた方が固くなるって事だな』
「あ〜そういうもんね」
呆れ説明するコンドウ達、だが一人ナナの発言に違う反応をする人物がいた。
「ボロい?ユキのスノーマンがぁ?人が丹精込めて作ったもんを馬鹿にすんじゃねぇ!!」
ユキだ。いきなり怒気を孕んだ声で叫び、ビルトワイバーンに斬りかかろうとする。
「!?」
ナナは大きくバックステップをかけながら、ビルドブースターのビームキャノンを展開、ドムトルーパーに発射、
「その言葉遣い、ちょっとは芝居から素に戻ったって感じね」
「チッ!ユキとした事が……!憧れたは芝居だけどそれ以外は趣味ですょぉ!実力はともかく、もうちょっと知識のある奴かと思えば!
ここまでの素人とは拍子抜けですよぉ!わざわざ憧れたなんて理由つける道理もないですねぇ!」
――趣味だったのか……――
ユキはビームシールドでビームキャノンを防ぎながら暴露。
あまりにもわざとらしすぎる振る舞いだった。全員があれは素じゃないと思っていた為、今の荒らい雰囲気を誰も不思議に思っていなかった。
「サツマ・イモエを倒したあなたを仕留めればユキは有名ビルダーになれるんですぅ!」
再びスクリーミングニンバスを稼働させタックルを仕掛けるユキのドム。
――ビームサーベルじゃ分が悪い!やっぱりバスターライフルが無いと!――
ナナはドムから背を向け、バスターライフルを突き刺したところへ戻ろうとバーニアを吹かす。今現在結構ライフルからは離れてしまっている。
ユキはバズーカを構え、ワイバーンにタックルを仕掛けようと追いかける。(射撃や武器の使用が出来なくなる為、スクリーミングニンバスは解除)
「手ごたえなぃですねぇ!ヤタテ・アイの方がもっと強いですぅ!」
また元の口調に戻りながら(表面だけだが)ワイバーンを襲うユキ
「だったらアタシよりアイを狙った方がいいと思うけど?」
ワイバーンの背後からバクゥの頭部からのビームガン、バズーカの弾が飛んでくる。それを凌ぎながらナナは反論。
「おバカさんですねぇ。ハジメさんだからぃぃんですょぉ。強さは関係なぃの。重要なのはイモエに勝ったハジメさんを倒したとぃぅ事実ですぅ。
でもハジメさんの力はまだ未熟、あのイモエを倒したハジメさんを倒せばイモエに適わなくとも名を上げることができますぅ」
『お前!それが真っ当なビルダーのやる事か!』
コンドウがユキのドムに抗議する。
「アハハハ!勝てばぃぃんですょぉ!」
笑うユキを尻目に丁度バスターライフルを突き刺した場所についたナナはライフルを引き抜いた。
「あった!これさえあれば!」
ナナはそのままドムトルーパーにライフルを構えようとする。だが振り向こうとした瞬間、
ユキは笑いながらバズーカを放つ、実弾のバズーカは振り向こうとしたワイバーンの背中に当たり爆発を起こした。
「うわっ!」
ナナのワイバーンは雪原に倒れ込む。すぐさまうつ伏せから仰向けに体勢を変え、バスターライフルを向けるが、
ナナの目の前に映ったのは手持ちのビーム短剣を構えたドムトルーパーだった。
「ゲッ!」
すかさずナナはワイバーンのシールドを胴体前面に構える。
「見てくださぃ!ユキのドムトルーパー!元々黒い色から塗り辛い白を塗り、全身にデカールとウェザリングは欠かさないんですょぉ!」
ワイバーンに馬乗りになると、ドムトルーパーはワイバーンのコクピットに短剣を突き刺した。シールドを構えてはいたが半壊状態のシールドでは防ぎきれず
短剣はシールドを貫通する。手ごたえがあったと確信するユキは立て続けにワイバーンのシールドに突き刺した。突き刺すたびにシールドは貫通する。
「それに比べ、ハジメさんはただ組み替えただけの簡単改造のビルトワイバーン!そんな素人でもできる改造でユキに勝つことなんてできないんですぅ!!」
ガッ!ガッ!と何度も短剣を打ち付け、ユキは動きのないビルトワイバーンが沈黙したと確信する。
「ハハハ!これでユキは勝った!ユキのスノーマンは強いのだぁ!」
勝利を確信し、高笑いをするユキ。だがコンドウは笑みを含めて言った。
「確かにそのドムトルーパーはいい出来だ。だが……自分で言ったことを痛感することになるな?」
「なにっ?!」
と、突然ユキのGポッドに警告音が響く、ビルトワイバーンがまだ生きてる?とユキが思った直後、ドムトルーパーの左部分を大型のビームが襲う、
左半分はそのまま吹き飛んだ。
「なぁっ!」
その際の衝撃で高く吹っ飛ぶ右半身だけのドムトルーパー、どういう事だとビルトワイバーンを見るとバスターライフルを構えたビルトワイバーンが見えた。
「そんなっ!まだ生きてた!?なんでっ!」
納得できないとワイバーンを見るとワイバーンの左腕にシールドは握られておらず、緑色に光る六角形の盾が見えた。
「ビ!ビームシールド!」
ビームシールド、その名の通りビーム状のシールドで、手持ちではなく腕から発生器を取りつける機構だ。
ちなみに流用キットは『HGUCガンダムF91』
「そ、アタシがいつも使ってるストライクやフリーダムは腕からシールドをホールドしてたからね。ビルトワイバーンのシールドは手で持つしかなかったから、
落とした時の為にこれをつけてたってわけ、ビームシールドって奴の存在は知ってたからね」
『いつだってビルダーは簡単な改造から経験を積むし、それから独自のアイディアを思いつくものだ。
それを甘く見たお前の敗因という事だ。(人が丹精込めて作ったものを馬鹿にするな)というな』
「畜生……この……スットコドッコイがぁぁっっ!!!」
右半身だけのドムトルーパーはそのまま爆散、至近距離で撃たれたバスターライフルによって勝負はあっけなくついたのだった。
「クッ!ユキのドムトルーパーが倒されるなんて!」
ユキはドムトルーパーを大事そうに持つ一方でワナワナと怒りに震えていた。
「少しはこれでハジメの強さを認める気になったか?」
「フンだ!『ウルフ』のメンバーに手伝ってもらったおかげで勝てたって事!忘れんじゃないですょぉ!」
なおも悪態をつくユキ、そんな彼女の後ろで一人の人影が現れる。
「なに言ってんだ?この愚妹」
野太い声だ。その瞬間、ユキの表情が強張る。恐る恐る振り返るユキ
「ゲェッ!ヒョウお兄ちゃん!!なんでここに?!」
お兄ちゃんと呼ばれた男、坊主頭のコンドウに負けない体型の大男は凄みのある顔でユキを睨みつける。
「今日学校サボっただろ?お前の友達から連絡が来たんだよ。(ユキの病気は大丈夫ですか?)って」
「な……なんでここが?」
「机の上に今日の計画表が乗ってたんだよ。アホか、自分で証拠遺すとか」
「し……しまった……」
「明日先生に報告するからな?ちゃんと説教受けろよ?」
怯えるユキからナナ達に顔を向けるヒョウと呼ばれた男、険しい表情は一変、強面ながら優しい笑顔になる。
「すいません、うちのバカ妹がご迷惑をおかけしまして」
いぇいぇとナナ達は答える。
「それにしても遠目ながらもバトルを拝見させてもらいました。いずれは私ともバトルしてみたいものですね……」
ビルダーとしての表情を見せながらヒョウは言った。
「じゃ、帰るぞ」
ひぃぃぃ助けてぇぇとわめくユキの首根っこを引きずりながらヒョウは帰っていった。
「やったじゃないスか。あのドムトルーパーを倒すなんて」
珍しく褒めるソウイチ、だがナナの表情は勝利に喜んでる様子はない。嬉しくないのかと聞くツチヤ
「うぅん、アイツの言った通りだよね。オッサン達の力借りて勝ったって思ってさ。ビルトワイバーン自体オッサン達に習った機体だし」
「だがあのビームシールドの機構はお前のアイディアだ。お前の実力さ。胸を張れよ」
コンドウのフォローにうん、と頷くナナ、そしてユキ達と入れ違いざまにアイが二階に上がってきた。アイはナナ達を見つけるとすぐさま駆け寄る。
「ぁ、いたいた。遅くなっちゃったけどまだ皆いてよかったよ。ところでさっき入れ違いで変な二人みたんだけど」
「アイ!それがね!さっきの奴とアタシバトルして勝ったんだよ!」
コンドウの言葉を聞いた所為かナナは嬉々としてアイにバトルの事を話そうとする。
――ハジメも実力をつけてきた。こうやって自分で改造のアイディアを出してるという事は、コイツも一人前になりつつあるな――
コンドウはアイに武勇伝を語るナナを見ながらそう思っていた。
お待たせしました。コマネチです。今回はナナが単独で挑戦者を撃退する話となります。
設定画を描き始めましたが未熟ですが枕に顔突っ込んで足ジタバタさせる状態にはなってないので今後も乗せ続けたいです。今回はウルフの面々の設定です。…コピー用紙じゃ限界があるな…
コンドウ
ツチヤ
ソウイチ
毎度のガンプラ投稿です
ビルトワイバーン
http://www.tinami.com/view/693990
ドムトルーパー・スノーマン
http://www.tinami.com/view/693985
よろしければどうぞ。
説明 | ||
第22話「改造のススメ」(ビルトワイバーン『コピー』 VS ドムトルーパー・スノーマン) ナナはアイと協力し、サツマを撃破、しかしその所為(+イモエという名前を笑ってしまった為) 彼女に因縁をつけられたナナはいつか自分自身の手でサツマに勝ちたいと思うようになってきた。 |
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コメント | ||
飛鳥さん 読んで頂き有難うございます。ま、濃いっつってもゲストキャラなんですけどね。その所為でアイやナナのキャラが押されるのも問題かもですが…、一途ですよアイもナナは、しかし絵を描く前はガンプラをゲストヒロインのつもりで貼ってたからな…やっぱ浮気しょ(ry(コマネチ) イモエに負けず劣らず、凄まじいのが来たなぁ…( ̄▽ ̄;) この前フリーダムが新機体で出てきたと思えばもう次の機体…。( ゚д゚)ハッ!ナナは浮気性なのか!?(飛鳥) mokiti1976-2010さん コメント有難うございます。確かにここんとこナナがメインですな。しかしアイが「絶対許さないよそんなのぉぉ!!」と叫んでおります。ま、実際他のキャラにもスポット当てて群像劇みたいにしたいなと考えてはおります。でも主人公はアイで固定ですよん。でもアイの設定画まだ貼ってないな…(コマネチ) また変なのが…兄貴の方はまだマシそうですが。とりあえず頑張れナナ!この調子だともうナナが主人公になる日も近いか?(mokiti1976-2010) |
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