超次元ゲイムネプテューヌmk2BURST
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「とうちゃーく! ルウィーの大地に、颯爽とヒーロー降り立つの巻き!」

ラステイションから出発して数時間後、よく分からない名乗りを上げた日本一の声と共にシンヤ達はルウィーの大地に足を踏み入れた。

 

「うわあ、寒い…でも、きれいな街…」

ネプギアが言ったように、ルウィーは『夢見る白い大地』と呼ばれ、ゲイムギョウ界の最北端の地域で、気候は極寒。寒いのも当然である。また、ここルウィーはプラネテューヌ、ラステイション、リーンボックスとは異なり、魔法文化が主流である。

 

「ルウィーは一年中、雪に覆われてるですからね。上着を買っておいた方がいいかもです」

 

「確かに、少し寒いな。寒いと知っていれば、上着を送ってもらった方がよかったかな」

あまり寒いのが好きではないのか、シンヤは少し愚痴を洩らした。

 

「時間があったらね……というかこれで少し? 体感でもマイナス5℃位はあるわよ」

 

「あぁ。このくらいの寒さ、もう慣れちまった」

と、元の世界での体験を思い出して苦笑した。具体的に言えば、鎮魂の廃寺と呼ばれる常にマイナス20℃位はあるであろう廃寺で、思い出したくも無いくらい辛い目に3回も遭っているからだ。

 

「ま、慣れたと言っても寒いのは苦手なんだ」

 

「ふーん……ま、いいわ。まずは情報収集から始めないと」

 

「そうですね。やっぱりギルドからですか?」

 

「いや、今回は教会から行きましょう。ここの教祖は悪い噂聞かないし、多分大丈夫だと思うわ。それに、新しい教祖ってのも気になるし」

 

「新しい教祖……一体、どんな人なんでしょう?」

 

「分からん……ま、行けば分かるだろう」

そう言って、シンヤ達は教会へ向け足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その新しい教祖こそ、シンヤの―――――第一部隊に因縁のある人物である事を、この時は予想すら出来なかった。

 

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「えっと、教会に行くにはこの道をまっすぐ行って…」

教会へ向かうこと数分後。ネプギアはルウィーの地図を広げ、協会への道のりを確認している時だった。

 

「ねーねー。向こうの方がなんか騒がしいよ。行ってみない?」

 

「寄り道してる時間なんて無いって…ん? あれは…」

アイエフが日本一に寄り道はしないと言おうとした時、その騒がしい広場に見覚えのある物を見つけた。それはシンヤの目にも留る。それは、灰色のパーカーと緑色の髪だった。それを確認するや否や、急いで広場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーい。みんな寄っといでー! 楽しい楽しい犯罪組織マジェコンヌだよー!」

……案の定、下っ端であった。そしてその前には簡易な作りのテーブルに布をかぶせ、その上にマジェコンが置かれていた。それを見ながらシンヤはこんな事を思っていた。

 

(……楽しい犯罪組織って何? と言うか犯罪組織って言っている時点で駄目だろ。というか警察は如何した。確かに巨大な組織だってのは分かるが、せめて抵抗くらいはしようぜ)

当然の反応である。そんなことを思っている間にも、下っ端は何やら怪しげな布教活動を行っていた。

 

「マジェコンヌに入信すれば、どんなゲームもタダで遊べちゃう! 好きなだけゲームし放題だよー!」

と、最初は勢い込んで活動していたものの、ほんの数分で元気がなくなり、今は落ち込みムードに入っている。

 

「…はぁ。なんでビラ配りなんてみじめな真似しなきゃなんネェんだろうな」

落ち込みムードの中、ぶつくさと文句を言い始め、段々とお怒りムードに入ってきた。

 

「それもこれも、アイツ等がジャマばっかしくさってくれたから…!」

アイツ等、と言うのは当然シンヤ達のことだ。それを理解した上で、シンヤは正面からこんな事を言った。

 

「ほう。それで、アイツ等とはどんな奴等なんだ?」

 

「アァ? 決まってんだろ、スカした銀髪の男と、クソチビガキんちょと、生意気タカビーと、トロそうなボケ女と、時代遅れのヒーローバカ…」

其処まで言ってようやく気がついたようで、顔を上げる。其処には、無表情で腕を組んでいるシンヤと、下っ端の言葉に少し傷ついたネプギア達がいた。

 

「あら、これでも礼儀正しい方だと思ってるんだけど?」

 

「スカした……気取っているって意味だと思うけど、俺はそんなつもりは無いんだけどな」

 

「クソチビ…うぅ、そんなに小っちゃいかな…」

 

「時代遅れなんかじゃないよ! ヒーローはいつでも皆の憧れなんだからね!」

日本一がそう言ったところで下っ端は見るからに嫌そうな顔をする。

 

「げぇっ!? テメェ等! こ、こんなところまで追ってきやがったのか!?」

 

「アンタを追ってきたわけじゃないけど、その布教活動はちょっと見過ごせないわね」

 

「また悪い事をして! 今日こそ正義の鉄槌を下してやるからね!」

そう言いつつ二人は下っ端に歩み寄り、それに合わせて下っ端は後ろに後ずさる。

 

「クソッ、さすがに分が悪いか…おっ。おい! そこのガキ!」

 

「ふぇ…?」

下っ端は後ずさるのを止め、近くにいた青いコートと帽子を着た少女に近づき片手で抱きかかえ、鉄パイプを少女の首に向ける。すかさず日本一が動こうとしたが下っ端が脅しを掛けてきた。

 

「動くんじゃネェ! テメエは人質だ! へへっ、手ェ出せるものなら出してみな。そん時はこのガキの首、コキッとイっちまうぞ!」

 

「相変わらず汚い真似を…」

 

「やめてください! その子は関係ないです!」

ネプギアが少女を放せと言うが、下っ端は当然のように言い返す。

 

「うるせェ! 犯罪組織が汚ぇのが当然だろうが! んじゃ、アバヨ!」

 

「ふぇぇ…助けて、ラムちゃ…」

 

「……?」

シンヤは下っ端が去るとき、人質の少女が何か言っていたのを見た。しかし、声が小さかったので聞き取れなかった。

 

「どど、どうするです? 子供がさらわれちゃいましたよ?」

コンパが慌てたように言ったが、シンヤは冷静に言葉を返す。

 

「どうするもこうするも、アイツを追いかけて人質を取り返すしかないだろ」

 

「だね! 正義のヒーローとして見過ごすわけにはいかないよ!」

 

「ええ! 急いで追いかけましょう!」

ネプギアが言い、シンヤ達は下っ端を追いかけ始める。

 

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シンヤ達が去り数分後、誘拐事件が発生したという事でようやく駆けつけた警察や、野次馬が多くなってきた広場に一人の少女が歩いてきた。それは、色が違うだけで形は同じコートと帽子を被った少女だった。

 

「ロムちゃん? ロムちゃーん? もう、どこに行ったのよー。ここで待ってて言ったのに…」

 

 

 

 

 

数分後、少女は少し前にこの広場で自分と同じくらいの少女が誘拐されたと聞き、シンヤ達と同じ方向に向かった。

説明
更新が遅くなり申し訳ありません。
進路を決めたりモチベーションが上がらなかったりして更新が遅くなりました。

第十六話 ルウィー到着と誘拐事件
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