ワイルドアームズ4 〜とある休暇中の騒動、しかしそれが彼らの日常〜
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あの戦いから数年後、ジュードは森林保護官の仕事をしていた。

今まで仕事に追われておりなかなか休暇が取れなかったが、ようやく仕事にひと段落が付き、数日間の休暇をもうけることができた。

そんなある日の朝のこと。

 

 

 

「ジュード、朝食の準備ができましたよ。起きてください」

 

 

 

「ン・・・うぅ・・・ユウリィ……グゥ…」

 

 

 

ユウリィのその心地よい、優しい声を聴き一瞬意識が覚醒するも、生来朝に弱いジュードは再び寝息を立て始める。

 

 

 

「もう、早く起きてくれないとせっかく作った朝食が覚めちゃいますよ?」

 

 

 

「……んぅ」

 

 

「……もう、しょうがないですね」

 

 

 

困ったように溜息をつき、眉をハの字にさげるユウリィ。

しかし、何かを思いついたのか、微笑し頬を少し赤らめる。

そして眠っているジュードに近づいていき

 

 

 

 

 

……チュ

 

 

 

「…ン………ンゥ!?」

 

 

 

自身の唇に違和感を感じ、目を開けてみるとユウリィの顔がドアップ……つまるところ、キスをしていた。

 

 

 

「……ん、ぷはっ! ……ユ、ユウリィ!?」

 

 

 

「ふふ、やっと起きましたね」

 

 

 

そういうユウリィの頬はほんのりと赤くなっていた。

 

 

 

「そ、そりゃあんなことされたら誰でも起きるよ!」

 

 

 

「でも、ジュードもいけないんですよ? 折角朝食を作ったのに何度起こしても起きてくれないんですもの」

 

 

 

「そ、それは……ごめん」

 

 

 

「ふふふ、許してあげます。お仕置きもしましたし……ね?」

 

 

 

そういうとユウリィは自分の唇に人差し指を当てる。

そのお仕置きの意味に気付いたジュードは湯気が出るのではないかというくらい顔を赤くして俯く。

あのころから幾分か成長したにもかかわらずまだまだ子供っぽさが抜けない容姿で、初心な仕草を見せるジュードをかわいいと思いながらユウリィは微笑みながら見つめる。

 

 

 

 

 

『バタン!』

 

 

 

 

 

そんな微笑ましい朝の新婚夫婦(まだ結婚はしてない)のようなワンシーンを邪魔するものがあった。

部屋のドアが勢いよく開かれる。

 

 

 

「ユウリィ! どうしてお兄ちゃんを最初に起こしてくれなかったんだ!? お兄ちゃんはユウリィが起こしに来てくれるのを一時間前から待っていたのに! 何でこいつを最初に起こしに来たんだ!?」

 

 

 

いきなり入ってきたクルースニクはおはようの一言をするでもなくいきなり騒ぎ出した。

 

 

 

「に、兄さん、落ち着いて! ジュードの部屋のほうが近かったからしょうがないでしょ?それにジュードのことをこいつなんて言ってはだめですよ。私にとってジュードも兄さんも、同じくらい大切な人なんですから」

 

 

 

ユウリィは子供に分からせるときのように優しく言い聞かせた。

ちなみにこの優しさはジュードに向ける優しさとはまた別物である。

クルースニクはユウリィには弱い(兄が妹には弱いのは現実でも当たり前だがこの兄は別格である)のでこう言われてはもうなにも言い返すことができない。

 

 

 

「あ、あぁ、すまなかった(ユウリィが大切って言ってくれた! でもあいつと同格というのは)。 ……それはそれとユウリィ、なぜ顔を赤くしているんだ?」

 

 

 

「ッ! ……そ、そんなことより朝食の準備ができてますから早くきてくださいね!///」

 

 

 

 

その言葉に慌てたユウリィは、そう言うとクルースニクの脇を通り抜け部屋を出ていった。

 

 

 

「…………ジュゥゥゥゥゥドォォォォォォォ!!! ユウリィにいったい何をした!?」

 

 

 

「え!? い、いや、したっていうより、されたっていうか……」

 

 

 

「された!? 一体何をされたっていうんだ!? ユウリィに一体何をされたんだ! 答えろジュード!!!」

 

 

 

 

「(や、ヤバい)そ、それより、ユウリィが待ってるから早く行かなくちゃ! あ、『アクセラレーター』!!」

 

 

 

クルースニクは目を血走らせながら怒りの声上げる。

このままではいつ掴みかかってきてもおかしくないと思ったジュードは『アクセラレーター』を使いこの場から逃げ出した。

 

 

 

「あ、ジュード!! ……くっ、逃げ足が早い奴だ!」

 

 

 

クルースニクはまだ怒りが収まらないようだったがユウリィの作ってくれた朝食を早く食べたいので台所に行くことにした。

台所につくとすでにテーブルの上には朝食の焼きたてのパンにシチュー、サラダの盛り合わせ、ソーセージが乗せられていた。

相変わらずユウリィの作る料理はおいしそうだと思うも、それ以上に気が向けられるものを見つけた。

そこにはジュードとユウリィが席について仲良く話をしていた。

 

 

 

(ゆ、ユウリィ! なぜそいつにそんな笑顔を見せるんだ!? お兄ちゃんといる時にはそんな顔見たこと無いぞぉ!)

 

 

 

 

実際にユウリィの笑顔はほぼ毎日見ている。

しかし、ユウリィが今ジュードに向けている笑顔はクルースニクにいつも見せている笑顔とはまた別物、いわゆる恋する乙女が異性に向ける笑顔というものだ。

心の中でジュードに対する怒りが5割増した。

 

 

 

「あれ、兄さん? どうしたんですか、そんなところで立ったままで?」

 

 

 

「い、いや、なんでもないよ」

 

 

 

そう言うと席についてユウリィが作ってくれた朝食を食べようとしたその時

 

 

 

「……!? ユウリィ! お兄ちゃんのソーセージより、ジュードのソーセージの方が少し大きいぞ!」

 

 

 

「……へ?」

 

 

 

「……え?」

 

 

 

クルースニクの発言にジュードもユウリィも唖然とした。

実際のところ、ソーセージの大きさなどほとんど変わらないのだが、どうやらクルースニクの目にはジュードの皿に乗せられているソーセージの方が大きく見えたようだ。

 

 

 

「ジュード! このソーセージとそのソーセージを交換しろ!!」

 

 

 

クルースニクはジュードのソーセージを強奪にかかった。ジュードもなぜかわからないが対抗心が湧き『アクセラレーター』を使ってまでソーセージを必死に守り続けた。

 

 

 

「……兄さん」

 

 

 

「む? どうした、ユウ…リィ……?」

 

 

 

振り向いたクルースニクが見たのは、いつものかわいらしい笑顔……ではなく、いや笑顔であることには変わりないのだが怖い、どこがと聞かれると困るが本当に怖い笑顔を浮かべていた。

 

 

 

「……静かに……食べましょうね?」

 

 

 

「……はぃ」

 

 

 

こうして、クルースニクは大人しくなりジュードのソーセージは奪われることがなかったのだが、その怖い笑顔でジュードが台所の隅でブルブルと小動物のように震えていたのをユウリィが目撃して慌てて慰めていた。

ユウリィがジュードに構うのが面白くなかったクルースニクだが、怯えるジュードを『いい気味だ』とニヤニヤと嗤いながらユウリィの美味しい料理を味わうことにした。

……別に、さっきの今で、またユウリィに怒られるのが怖かったからとかでは決してない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな騒動を起こしながら時間が過ぎていき、いつの間にか夜。

あの朝食の後、いろいろとクルースニクの暴走の被害にあっていたジュードは疲れたから先に寝ると言い自分の部屋に行ってしまった。

 

 

 

「……おっと、もうこんな時間か。ユウリィ、お兄ちゃんはもう寝るけど、あんまり遅くまで起きていては駄目だよ」

 

 

 

「はい。お休みなさい、兄さん」

 

 

 

「……ユウリィ、もし寂しくなったらいつでもお兄ちゃんが一緒に寝t」

 

 

 

「お休みなさい、兄さん」

 

 

 

「……いや、あの」

 

 

 

「お休みなさい」

 

 

 

「……お、お休み」

 

 

 

笑顔でクルースニクを送り出した。

 

 

 

「……ふぅ、やっと寝てくれましたか、兄さん」

 

 

溜め息をもらすと席を立ち、ある部屋の前まできた。

『トントン』と軽くドアをノックをすると中から「開いてるよ」と声が聞こえて中に入っていく。

 

 

 

「遅かったね、ユウリィ」

 

 

 

「すみません。兄さんがなかなか寝てくれなくて」

 

 

 

そういい、ユウリィはジュードの座っているベッドの隣に座った。

ジュードは笑っていた。自然とユウリィも笑っていた。

 

 

 

「……それじゃぁ、ユウリィ……いいかな?」

 

 

 

「ふふ……はい///」

 

 

 

2人はゆっくりと顔を近づけて唇を交わした。

 

 

 

こうして今日も1日が過ぎていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……その後、二人がナニをしたのかは皆さんの心の中でご想像ください。

 

 

 

 

 

 

説明
皆さんこんにちは、ネメシスです。
最近実家に帰って戸棚の中を片付けていた時、昔購入したワイルドアームズ4のゲームを発見し、懐かしく思いプレイしていました。
……うん、久しぶりにやったけどやっぱり面白かったですね。
ユウリィかわいいよ、超かわいいよ!
しかし、ジュードの子供らしいちょっと青臭い考えや言動に、若いなぁって思える私は、もうおじさんなんだろうかとちょっと真剣に悩みましたが(汗

それで、です。これはend後無事だったクルースニクとジュードとユウリィが一緒暮らす事になったIF&パロディ&ラブストーリーです。
キャラ崩壊はご勘弁を!

それではかなり短い超短編ではありますが、この作品を見て皆さんにも懐かしいと思ってもらえれば幸いです。
できれば、皆さんにも私と同じように再びゲームをプレイしていただき、ジュードに若いなぁって感じてもらえればなおのこと幸いです、同じオジサン的に考えて(黒笑
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コメント
ネメシスさん、コメントへのご返事ありがとうございました。他にもシリーズをいくつかプレイしてみると共通点やおや?と思うネタが仕込まれていて楽しいですよ。(双子辰)
コメントありがとうございます。私は4だけしかやったことがないのですが、クルースニク似の人が5に出てくるのですか、ちょっと興味わいてきました!時間があればちょっとプレイしてみたいものです。 今後も、暇ができた際にでもまた一読いただければ幸いです。(ネメシス)
『ブリューナク』のクルースニク改め『ぶっとびな』クルースニク…平和になってたらこんな感じに暴走しそうですね、実際5(設定的には平行世界の別人)では結構暴走気味でしたし。(双子辰)
タグ
ワイルドアームズ4 IF ジュード ユウリィ クルースニク生存 超短編 キャラ崩壊 

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