三国同盟 第四話〜奪還〜
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敵が進軍を始めたと聞いて出遅れてしまったと思っていた春蘭と霞だったが、2人が大急ぎで街から離れた所に本陣を張って敵の様子をうかがっていると予想に反してほとんど進んでいなかった事に驚いていた。

 

 

「どういうことだ!凪達の時は有り得ない進軍速度だったと言うのに今度はあの鈍さ…奴ら一体何を考えておるのだ!」

 

 

「せやなぁ〜話には聞いとったけど、ここまで読めん奴らとは思わんかったわ。でもまぁ、これでうちらにも策を練る時間が出来ただけ良しとしよか」

 

 

「何を悠長な事を言ってるんですか!!!」

 

 

本陣の中で2人が話し合っているところに風と稟が入って来て稟が声を荒げた。

 

 

「「風!稟!なんでお前達がここに!!」」

 

 

「筋肉バカ2人では不安だから付いて行けと華琳様が言いまして〜最悪、総力戦になる事を考えて私達が来たんです〜」

 

 

「だいたい、いつ敵の速度が上がるかも分からないのにこれから策を練るなど…」

 

 

「「はぁ〜〜〜」」

 

 

稟と風が大きなため息をついてうなだれた姿を見た春蘭と霞は言い返せずにいた。

そんな2人に対して風がある提案をした。

 

 

「前回こちらは伏兵というか奇策というか…まぁ、そんな感じにうまくやられたので今度はこちらから同じことをやり返そうと思うんです〜」

 

 

周りから見ても分かるくらい春蘭と霞は首をかしげて、その頭上には?マークが浮かんでいるような様子が見て取れた。

 

 

「まずは、敵の進路上に春蘭さんと数人が死にかけの様な感じで倒れててもらい、その周囲にたくさんの人に潜んでてもらって、春蘭さんの合図で奇襲を仕掛けてもらいます」

 

 

続けて稟が…

 

 

「その間に霞殿は敵軍の後方、もしくは敵と並行に進んでもらい春蘭殿の奇襲で動揺したところに追い打ちを掛けてもらうと言う方法で行こうと思います。こちらの兵は1000ちょっとなので少しならこの策に兵は回せるでしょう。それに敵はおよそ約三倍という報告があったので、いずれにせよ伏兵や奇襲は必要です。」

 

 

(い、いつの間に偵察を出してた)という突っ込みを入れたい春蘭であったが、その様子を察した風と稟が鼻で笑って答えていた。

 

 

「う、うむ…分かった。それで行こう…しかし、行き倒れの様な感じといわれてもどうすれば…」

 

 

「それは心配しないでください〜今、用意させますので〜」

 

 

一抹の不安を感じる春蘭をよそに策が着々と進んでいった。

 

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「宗閑さま…焔王様のお許しなしに軍を動かしてよいのですか?もし知られたら、みな重罪に問われます…」

 

 

「構わぬ、これは臨禅様のご命令だ。」

 

 

凪達から奪った砦に居る兵たちの中で宗閑と呼ばれたこの若い男は前回、臨禅に指示を受けていた臨禅の直属の側近でこの時代には珍しい背丈の高い男で、全身に傷のある武人としても有能で焔王の指示よりも臨禅の指示を優先する男であった。

 

 

「このまま捕虜の男女を進ませよ。しかし、足が遅いな…こちらの兵200ほどを回して、もっと急いで進ませろ。」

 

 

「わかりました」とだけ答えて、兵士はその旨を伝えに行った。

そして、入れ替わるように臨禅が入ってくると宗閑はすぐに椅子から降りて膝をついた。

 

 

「臨禅様、首尾はいかがでしたか?こちらはもうすぐ魏と戦闘になるかと…」

 

 

「うむ、ぬかりないわ。既に焔王の側近から指示が出た旨の書状を用意させた。これで負ければそやつの責任になるであろうな。後は、兵や捕虜がどれだけ減ろうと構わぬ。」

 

 

「承知しました。では、すぐに急がせて魏に仕掛けるよう指示を出しておきます。」

 

 

宗閑の指示で加速した敵軍の捕虜や兵士達は、魏の本陣のはるか手前の林の中で全身の服が泥だらけでお腹や肩、太ももから下は丸出しになって顔の半分を布で隠しる女を見つける。

その隣では、馬が完全に座り込んでいた。

 

 

これを見つけた敵軍の捕虜の女達が声を掛ける。

 

 

「どうしました?こんなにひどく汚れて…」

 

 

「む、村が賊に襲われて…い、命辛々逃げてきたところで…」

 

 

「あいにくだが、こちらは先を急ぐ身だ。貴様に構っている暇はなんでな。やれ!」

 

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女(春蘭)が言い終える前に兵士が割って入り、周りを取り囲んでから1人の捕虜兵の男が斬りかかった瞬間、その男の胸に矢が刺さった。

 

 

「今だ!!!やれ〜〜〜!!!!」

 

 

春蘭の声と同時に周囲から魏の兵士達が飛び出し、敵軍に襲いかかって行った。

 

 

「伏兵か!小癪な〜〜〜!!迎え討て!!!」

 

 

春蘭も地面の中に隠しておいた武器を取って戦闘を始めると、捕虜兵の女たちよりも兵を中心に討ち取って行った。

 

 

その状況を見た敵軍の兵士たちが一斉に加勢に来て春蘭たちと戦闘を始めた瞬間、更にその敵を取り囲むようにして霞が飛び出して奇襲を仕掛け始めた。

 

 

「また伏兵だと!!くそっ!」

 

 

敵兵の中に切り込みながら進んでいく霞に敵は動揺するだけでなく、気を抜くと春蘭が攻め込んでくると言う状況に敵はパニックを起こして逃走し始める者も出始めた。

 

 

「敵は混乱しとる!一気に攻め込むんや!」

 

 

「このまま一気に敵を追いこめ!女は狙うな!兵のみを狙え!!!」

 

 

春蘭と霞は後退を始めた敵兵に対しても追撃するように指示して、その勢いに捕虜兵として参加していた敵軍の女達はその場を動けず、逆に男達は兵と一緒に後退していた。

 

 

「宗閑様、臨禅様…先発隊が敵伏兵に遭遇!捕虜の女達は降伏し、なすすべなく男や兵たちはこの砦へと後退を始めました!」

 

 

「なんだと!伏兵に遭っただけで後退しているだと!!役立たず共め!!!」

 

 

「臨禅様…ここは私が引き受けますゆえ、今は本国へとお引きください。じきに援軍も来ますが、ここは用心しておくのが得策かと…」

 

 

怒りをあらわにする臨禅に対して宗閑は撤退を促しているところへ再び伝令が駆け込んでくる。

 

 

「申し上げます!本国からの援軍が蜀の馬超、馬岱の軍と呉の孫権、甘寧軍と遭遇…戦闘に入るも敗走とのことです!」

 

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それを聞いた宗閑は…

 

 

「なに!!これでは援軍も望めんうえに挟み撃ちだぞ!こうなったら、この砦と前線の捕虜兵や兵士は捨てるぞ。本国へと帰還する、臨禅様の退路を確保せよ。」

 

 

「おのれぇ〜小娘ども…この屈辱いつか晴らしてくれる…」

 

 

完全に怒りの表情を前面に出した臨禅とともに宗閑と砦の兵士達は本国へと撤退していった。

そして、奪い返した砦の軍議をする部屋に稟、風、春蘭と霞がいて、そこに翠と蒲公英、蓮華と思春が合流していた。

 

 

「まさか、後1日はかかると思っとったけど、こんなに早うくるとはな〜。どうやった来たんや?」

 

 

疑問に思っている霞に蓮華が答えた。

 

 

「話すと長くなるから本人から直接聞いた方が良いと思うけど、一刀が言うには中国大返しと言うらしいわ。天の世界で実際に使われた方法みたいね。」

 

 

「あたしと蒲公英も早さにはそれなりの自信があったけど、ご主人から聞いた時はこの方法があったか〜と思った。でも、普通はこんな事はしようとは思わないぞ。」

 

 

「蓮華と翠が言うんだ。それだけ大変なものなのだろうな…」

 

 

まるで分かっているかのように2人の言ったことに返した春蘭に対して霞は…

 

 

「春蘭、ホンマにわかっとるんか?」

 

 

「うっ…」と言う声が聞こえてきたが、それを無視して思春が話し始める。

 

 

「あと3日もすれば、蜀の劉備や雪蓮様達もいらっしゃる。見たところこの砦自体に大きな損壊はないようだな…蜀と呉の本隊が魏に来るまで我らはここで敵を監視してた方が良いだろう。」

 

 

「そうね。お姉様たちの軍や桃香の軍が到着したのを確認でき次第、ここを出発しましょう。」

 

 

「そうですね〜では、私と稟ちゃんで華琳様に戦勝報告の伝令を送っておきますし、捕縛した敵捕虜兵さん達の処遇もこちらでしておくので、皆さんは休んでてください」

 

 

風がそう言うと翠と蒲公英は頷いて室内から出て行き、蓮華と思春もそれに続いて行った。

 

 

「じゃあ、ウチと春蘭でこっちの兵の損害を調べとくわ」

 

 

霞がそう言い残して春蘭とともに部屋から退室していった。

 

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その頃、魏では…

 

 

緊急事態が発生したとの報告を桂花から受けた華琳が、執務部屋に凪達を呼んで緊急の軍議が開いていた。

 

 

「このタイミングで仕掛けてくるとはね。しかも、この規模…こちらが本命と言う事かしら…桂花、桃香達はまだ来ないの?」

 

 

「はい…おそらく、もうしばらくかかるかと…春蘭や風達からも未だ伝令が無いため今は私たちだけでやるしかないかと。」

 

 

「敵の視察はどうなってるの?」

 

 

「現在、天和達に敵が作ったと思われる砦の偵察をさせていますが、あの者達に満足な成果を求めるのは絶望的かと…」

 

 

華琳と桂花は突如進軍してきた敵の対応に頭を悩ませていた。

 

 

「敵に目立った動きが無い今の内にこちらも準備を整えていく必要があるわね。凪達は兵にいつでも出陣できるように支度をさせておいて、最悪こちらから仕掛けることも考えたうえで準備しなさい。桂花はこの事をすぐに風達に伝えなさい。流々は長期戦も考えて食料などの手配をしておきなさい。」

 

 

「はい!」と返事をして、皆がそれぞれの役目を果たすために部屋から出て行った。

 

 

「敵の狙いは分からないけど、なんとかするしかないわね。頼むわよ、皆…それに一刀」

 

 

みんなが出て行ったあとで華琳は1人になった室内で小さくつぶやいていた。

 

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あとがき

 

 

恋姫第四話アップです!!読んで頂いてありがとうございます!!!

 

 

全く就活をしなくなったニート3年目の俺は最近、いろんな作品で二次元創作をして色んなサイトにアップする事が楽しみと言うか、仕事みたいになってきました(笑)

 

 

あぁ〜人生詰んだな(笑)最初はゲームばっかりしてたんだけどなぁ〜

 

 

緊急事態のため、中途半端になってしまいましたが、第五話はそれを補うため少し長めにする予定で現在書いています。

 

 

そのせいでまた少し遅れてしまうかもしれませんが、広い心と長い目で待っててもらえると助かります。現在は第五話と他作品のキャラ別を2本書いてまして…

 

 

他作品のキャラ別をここに載せる予定は今のところはありませんが、読んでみたいと言う希望があれば…掲載するかも。

それでは、第五話も宜しくお願いします!!!

 

説明
第四話をアップです!
長編になって2828要素が全く無くなってしまい、書いてる俺自身がモヤモヤしてます。


やっぱり俺は2828要素を少し入れた方が良いのではとも思っている今日この頃です。
それでは第四話も温かい目で見てください。誤字脱字の指摘は容赦なくしてください。
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