英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜
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ユミルに戻った後リィン達は線路の雪だまりを除去し終えた後動けるようになったケーブルカーで帰る事にし、シュバルツァー男爵達に見送られようとしていた。

 

〜ユミル・ケーブルカー乗り場〜

 

「そうですか……もう出発するのですね……」

「はい……予定より少し遅れてしまいましたが、父さん、母さん……元気で……」

残念そうな表情をしているルシア夫人の言葉に頷いたリィンはシュバルツァー男爵とルシア夫人を順番に見回した。

 

「本当にお世話になりました……!」

「気を付けてな。」

「兄様や皆さんにはもっとごゆっくりして頂きたかったのですが……」

両親と共にリィン達を見送るエリスは残念そうな表情でリィン達を見回した。

 

「”身喰らう蛇”がまさかユミルに姿を現すなんてね……それでリィン。”怪盗紳士”はリザイラが起こした雪崩に巻き込まれたそうだけど死んではいないのね?」

「はい、リザイラの話では山の麓まで流されたけど生きている事はユミルの山に住む精霊達に聞いたようです。」

「そう。チッ、そのままくたばってくれたら”執行者”が一人減ってラッキーだったんだけどね。」

「だったら、次に会った時はエヴリーヌが殺してあげるよ、キャハッ♪」

リィンの答えを聞いて舌打ちをしたサラ教官と凶悪な笑みを浮かべて言ったエヴリーヌの物騒な発言を聞いたリィン達は冷や汗をかいた。

 

「今回の狙いは結局何だったのかわからずじまいだったけど……」

「テロリストに手助けしているくらいだ……組織として他の狙いが何かありそうだが……」

「”身喰らう蛇”……一体何を目的としている組織なのでしょう?」

アリサとガイウスと共に考え込んでいるセレーネは不安そうな表情をした。

 

「どちらにせよ、彼はこれだけの事件を起こして見せた……油断できない連中なのは、間違いないだろう。次に出会う時の為にも、俺達はもっと成長しないとな……!」

「うん、頑張らないと!」

「フフッ、リィン。どうやら老師の宿題は解けたようだな?」

決意の表情のリィンの言葉にエリオットは力強く頷き、微笑ましそうに見守っていたシュバルツァー男爵はリィンに尋ねた。

 

「はい……正しいかどうかはわかりませんが、今まで俺は自分の中にある得体のしれない”何か”を畏れ……どこかで自分を誤魔化していました。父さんと母さん、そしてエリゼとエリスに後ろめたく思うあまりに……

「リィン……」

複雑そうな表情で語ったリィンをルシア夫人は心配そうな表情で見つめた。

「でも、やっぱり俺は俺自身の真実を無視できません。この身に眠る得体のしれない”力”がなんなのか……そして12年前、俺を吹雪の中に残して行ったのは誰なのか、知りたい……それが偽らざる本心です。」

「兄様……」

「エリス、心配しないでくれ。俺はどこにも行かないからさ。」

「え……」

「俺が俺を知りたいのは真の意味で”リィン・シュバルツァー”でありたいからだ。胸を張って大切な家族の一人として……そして仲間の一員である為に、俺は何としてでも真実を見つけたいと思うんだ。」

「どんなに厳しい真実だとしてもか?」

決意の表情で語ったリィンの話を聞いたシュバルツァー男爵は真剣な表情で問いかけた。

 

「はい。受け止めるだけの器を養って見せます……!トールズ士官学院で、みんなと共に成長する事で。」

「そうか……いい仲間を持ったようだな。―――合格だ。これを受け取るがいい。」

リィンの答えに満足したシュバルツァー男爵は懐から巻物を取り出した。

 

「この巻物は……」

「八葉一刀流”中伝”目録。お前が剣の高みに可能性を示した時に渡して欲しいと、先日ユン老師から託されていたものだ。」

「老師が……!」

シュバルツァー男爵の説明を聞いたリィンは目を見開いた。

「ハハ、彼もお前の成長を期待してくれたのだろう。謹んで受け取るがいい。」

「確かに……賜りました。」

シュバルツァー男爵が持つ巻物を受け取ったリィンは嬉しそうな表情になった。

 

「よかったね、リィン!」

「おめでとうございます、お兄様!」

「受け取ったからには今後は一層励む事だな。」

「ああ、勿論だ!」

エリオットとセレーネはリィンを祝福し、口元に笑みを浮かべるユーシスの言葉にリィンは力強く頷いた。

 

「フフッ、私からも祝福させてもらおうか。」

「アンゼリカ先輩……」

「この調子だと、”例の返事”も期待していいのかな?」

「アンちゃん………導力バイクの件だね。」

アンゼリカの問いかけを聞いたトワは静かな表情でアンゼリカを見つめた。

 

「ああ……―――リィン、心は決まったか?」

「はい!ありがたく受け取らせて頂きます……!」

「そうか……!」

リィンの答えを聞いたアンゼリカは満足げな表情で頷いた。

 

「でも、預かるだけですよ?いつか先輩が戻ってくると信じていますから!」

「………………フフッ、ハッハッハッ……!これは一本取られたな……!わかった、その時まで君に預かってもらうとしよう。」

リィンの答えに呆けたアンゼリカは突如笑い出した後口元に笑みを浮かべてリィンを見つめた。

「はい。」

「ふふっ、アンちゃん嬉しそう♪」

「フフッ、今回の旅行も貴重な経験になったみたいね?……おっと、そろそろ時間よ?」

「あ…………」

サラ教官の言葉を聞いたリィンは時計を見てケーブルカーの発車時刻である事に気付いた。

 

「リィン、次の休暇にまた帰ってくるがいい。今度はエリゼと一緒にな。」

「フフ、このユミルこそがあなたの故郷(ふるさと)なのですから……」

「はい!」

両親の言葉にリィンが頷くとケーブルカーの発射を知らせるベルが鳴り響いた。

 

「どうかお元気で……!兄様、学院祭、楽しみにしていますから……!」

「ああ、待っているよ。―――それじゃあ、また……!」

そしてリィン達はケーブルカーに乗り込み、ユミルから去って行った。

 

こうして……小旅行はトラブルもあったが、何とか無事に終え……学院に戻ったリィン達は学院祭の準備に向けて猛特訓を始めた…………

 

 

 

説明
第266話(インターミッションU終了)
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コメント
感想ありがとうございます 本郷 刃様 閃U篇を早く書きたいものですww ジン様 一体どんな展開が待っているのでしょうね?(sorano)
俺マクバーンがリィンの親族って言われても驚かないからな!(ジン)
結社自体がメンフィルやクロスベルにいるメルキア組によって閃U編で壊滅することになるんでしょうけどねww(本郷 刃)
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