ソードアート・オンライン アクチュアル・ファンタジー STORY25 遊び手VS刈り手 |
前回のあらすじ
モンスター出現の原因であるテラーメモリーを破壊するため、密林へと向かったベリル。
街から伸びる電撃を追って森を進み、テラーメモリーの置かれている最深部に到着した。
するとそこで、テラーメモリーから具現化した旧SAOのボスモンスター“フェイタルサイズ”と対峙する。
しかし、アスナに“死の恐怖”を与えたモンスターとのことで期待していたベリルは、常人なら恐怖で震えるようなその姿を見て「しょぼいな」と落胆。
強敵であるはずのフェイタルサイズを半ば遊ぶような感覚で、あっという間に撃破してしまった。
フェイタルサイズから入手した大鎌を使ってテラーメモリーを完膚なきまで斬り刻み、その後記憶の結晶を回収してから、再び先を目指すべく歩き出す。
STORY ]]X 遊び手VS刈り手
ベリル視点
密林を抜けて平原を進み、俺はプラントに再び訪れた。
以前来た時は教団の目的を知るための調べ物をしただけだったので、下側の探索は((キリト|坊や))たちに任せてしまったが、そのせいで事態がややこしくなったことを考えるとやはり自分で行った方が良かったかもしれない。
プラント内にも入り込んでいるモンスターを相手にしながら、下に続く隠し通路を下りる。
地下牢のような部屋を通過し扉を開けて奥に進むと、壊れた檻と鎧の残骸やモンスターの死骸、そしてその中で戦闘を繰り広げる異形の生物と鎧騎士の姿があった。
ベリル「面倒臭せぇな・・・」
ちょうどモンスターを屠った鎧騎士の一体が俺の言葉に振り返る
そして、手に持ったランスをこちらに向けて突っ込んできた。
ベリル「邪魔だ・・・」
ため息交じりに抜剣し、突進してきた鎧騎士を一刀両断。
鎧の崩れる音に反応して襲ってきたモンスターと鎧騎士を剣と大鎌の二刀流乱舞でバラバラにし、その血を払ってから武器を戻して再び奥へと進む。
やがて俺は、円形になっている巨大な部屋にたどり着いた。
部屋を覆う壁の一ヶ所に四角い穴が空いていて、その向こうにも部屋がある。
だが、部屋の奥にはそれ以上に目を引くものが鎮座していた。
あの板状の建造物、テラーメモリーだ。
ベリル「((フェイタルサイズ|前の奴))は呆気無さ過ぎたし、いっそ何か出てくる前にぶっ壊すか・・・ってもう遅いか」
俺が呟いている間に、すでに電撃が集まって球体化を始めていた。
ベリル「まぁ、さっきの奴よりはマシなのが出てくるのを期待するか」
球体に変化したエネルギーはこちらに飛んで来てすぐに弾ける。
光が収束し目を開けた俺の前で、巨大なモンスターがこちら睨んでいた。
簡単に表現するなら、その姿はムカデである。
全長は10mほど。
灰白色をした複数の体節に区切られた骨は、虫というより人間のそれに近い。
円筒形のその1つ1つには鎌を思わせる鋭い脚。
凶悪な形をした頭蓋骨は人間のものとは異なり、流線型に歪んだ形状の骨に二対四つの鋭く吊り上がった眼窩の内部で瞬く青い炎。
大きく前方に突き出したあごの骨には鋭い牙が並び、頭骨の両脇からは鎌上に尖った巨大な骨の腕が突き出している。
表示された名前は“((The Skullreaper|スカルリーパー))”骸骨の刈り手というらしい。
ベリル「また骨か・・・もしかして嬢ちゃんって幽霊とかゾンビとかの類が苦手なタイプなのか?」
言い終わりに抜剣して構え、無数の脚を蠢かせながら鎌を振り上げて迫ってきた骨ムカデを迎え撃つ。
耳を劈くような金属音とともに、金属の大剣が骨の大鎌を受け止める。
ギリギリと軋む音を立てて鎌を抑えていると、反対側の鎌が振り上げられた。
ベリル「おっと!」
それを見た俺は、受け止めていた鎌の刃を流して滑らせ、床に叩き付けさせてから、それを足場に跳び上がる。
直後、俺の下を横薙ぎに振るわれた鎌が通り過ぎていった。
一旦距離を置いて着地した俺は、再度接近してくるスカルリーパーに向き直る。
ベリル「さっきの死神君よりは楽しませてくれそうだな」
手に持った剣を頭上に放り投げ、ベルトから鎌を取り出して展開。
ベリル「せっかく死神と殺り合うんだ。どうせなら同じ大鎌で勝負といこうか」
両手で大鎌を構え、スカルリーパーの振るう鎌と打ち合う。
左から来る鎌を刃で弾き返し、右側は石突で軌道を逸らして空いた間接部に斬撃を加える。
今度は飛んできた反対側の鎌に飛び乗り、回転しながら斬り付けてダメージを与え、そのまま駆け抜けて後ろに回り込んだ。
すると、長い槍状の骨が付いた尾が持ち上がり、こちらを薙ぎ払いにかかる。
ベリル「なんの!」
素早く鎌を横向きに咥え、空いた手で襲い来る骨の尾をガッチリと掴んで押さえ込んだ。
ベリル「((Are you ready|覚悟はいいか))?」
腰を落として踏ん張り、掴んだままの尾ごとスカルリーパーの全身をぶん回す。
床に擦り付けられ、壁に激突しながら大きく円を描いて回る骨ムカデは、鎌や脚を突き立てようともがくが、そのたびに逆回転したり縦に振り回して叩き付けたりするためダメージが増えるだけで拘束からは逃れられない。
ベリル「((Catch this|くらえ))!」
掛け声とともに握っていた手を放し、一番近い壁に向かって投げ付ける。
投げ出された骨ムカデが、頭から壁に激突。
凄まじい振動が施設全体を揺るがし、大部分が無くなっていたHPが大きく削られる。
ベリル「とどめだ」
俺は咥えていた鎌を口から放し、右手で握り締め直した。
そして、起き上がろうとする骨ムカデに向かって突進し、頭部目掛けてジャンプする。
鎌を大きく振り被り一気に振り抜くと、その刃がスカルリーパーの頭を縦一閃に斬り裂いた。
頭部を半分にされた骨ムカデは悲鳴(?)を上げながら爆散して消滅した。
崩壊した巨体が、無数の光る粒子となって消えていく。
そのポリゴン片に交じって、またもあの光球が漂っていた。
前回同様に手を差し伸べると、飛来した光球が俺の手に収まる。
指先に触れた瞬間、光球は眩い光を放ち、同時に俺の両手足を服の上から包んだ。
光が消え去って現れたのは、骨に似た材質の手甲と脚甲だった。
両手の前腕部からは巨大な鎌状の刃がトンファーのように突き出しており、脚甲の踵部分には、スカルリーパーの脚を思わせる短めの刃が3本ずつ伸びる。
名を“骸骨甲スカルリーパー”。
ベリル「格闘スタイルか・・・」
手甲に覆われた手を握ったり開いたりしてみるが、手の感覚に問題はなさそうだ。
グッと左手を突き出し、腰を落としてファイティングポーズを取る。
どうやら脚甲の方も動作には影響なさそうだ。
それを確認した俺は、テラーメモリーの方に歩み寄る。
建造物の前で拳を引き付けて構え、そこから全力で右ストレートを叩き込んだ。
打ち込まれた拳が板にめり込み、そこを中心に亀裂が走っていく。
次いで俺は、後ろ向きに伸びている手甲の刃を左手側だけ前方に展開して板を横に斬り裂いた。
横向きに切断されたことで支えを失い、こちらに倒れてくる板の上部に、今度は右のアッパーを打ち込む。
すでに入っていた亀裂が、打ち上げられた衝撃で深くなり、板状だった上部は空中で崩壊した。
ベリル「((Too easy|イカすぜ))」
アッパー後の体勢でそう呟いた俺は、天井に投げて突き刺していた剣を銃撃で落として回収、次に骸骨甲をキーホルダー化させてベルトに吊るす。
ベリル「あとは・・・」
起動装置を蹴り付けて、吐き出された球体を手に取る。
薄い水色の輝きを宿す球体は、まるで友人をもてなすような感覚を俺に伝えてきた。
久しく感じた感覚に少し癒されてから、それを専用のポーチに詰める。
ベリル「これでよし!さて、次行くか」
気分が僅かだが晴れやかになった俺は、近くにあった扉から部屋を抜け出し、地上に向かって伸びる階段を上がった。
説明 | ||
並の戦闘では、彼のウォーミングアップにもならない。 | ||
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コメント | ||
本郷 刃さんへ ベリル「なるほど、だったら次会った時にはそれをネタにからかってやるか(ニヤリ)」(やぎすけ) アスナが幽霊やゾンビが苦手? まったくもってその通りですよ、ベリルww(本郷 刃) |
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