恋姫無双SS魏√ 真・恋MIX 7話 |
春蘭達の援軍が届く頃には徐州城はかなり大変な状況になっていた。
袁術と袁紹への2面作戦のため支城と本城の二つに戦力を分けての対応を余儀なくされていた。
「とりあえず支城の沛城へ向かうと言うことで良いのか?」
春蘭が稟に尋ねる。
「はい、情報に寄りますと本城は袁紹が、支城は袁術が攻めているそうです。」
「どちらかと言えば消耗している袁術を撤退させれば袁紹1人に的を絞ることが出来て、こちらが優勢になります。」
「本城の方が守りが幾分堅いので数の多い袁紹軍相手でもかなり持つ事も出来るでしょう。」
そして、一緒に来ていた趙雲に話しかけた。
「我々は背後から袁術軍をつきます。趙雲殿は何とか城に戻って呼応出来るように通達することが出来ますか?」
「解り申した。なぁに私1人ならどうにでも成りましょう。」
「よし、それでは趙雲殿が城に到達したら攻撃を仕掛けるぞ。各自準備をしておけ。」
そうして少し経つと物見から報告が入る。
無事趙雲が城にたどり着いたようだ。
「よし、仕掛けるぞ。」
そうして軍を移動させようとしたときだった。
突然横なりからジャンの音が響く。
「なに!」
「こんな場所に伏兵が・・・・我々の動きが察知されていたのでしょうか。」
「旗は!?」
春蘭が物見に尋ねると返事が返ってくる。
「孫の旗です。袁術の宿将の孫策かと。」
「なんか、さっきの城に突入した武将の雰囲気がおかしかったのよねぇ。」
孫策は春蘭の兵に奇襲を掛けながら呟く。
「さすが雪蓮の勘だな・・・あれだけのことで援軍に気づくとは・・・・・。」
感心したと言うよりは呆れたように周瑜が答える。
「まぁね、ウチの大将は周りのことなんか気にしちゃぁ居ないから。ただ、ここで負けて貰う訳にも行かないのよね。」
「ただな、アレのことだ。援軍を防いだことより勝手に軍を動かしたことの方を責めるかもしれんぞ。」
「まぁ、それはいつに始まった事じゃないから。気にしないわ。」
「だろうなぁ・・・。」
周瑜は苦笑いした。
「それより援軍にはお帰り頂くわよ。一気に行くわ。」
そう言うと孫策は北郷軍に切り込んだ。
「くぅ、我ら北郷軍なら、このくらいの奇襲はどうと言うことはないはず。押し返せ!」
そう叫ぶ春蘭に朗報が届く。
「夏侯惇様!援軍です。」
「なに!早いではないか。誰が来たのだ?」
「張遼将軍です。」
「霞が!これは助かったな。」
「でも不自然ですね。こんなに早く・・・。」
稟は訝しげに言うがそれでも霞の姿が確認出来ると安心した。
「城では劉備軍が待っているはずです。押し返しましょう。」
そう言って大分混乱している自軍を収拾しようとした。
前方で戦闘の気配がしたので急いで駆けつけた霞は奇襲を受けて劣勢の春蘭達を見つけた。
「むぅ、この状況・・・これを読んだったのか一刀様は・・・・いくえでぇ、春蘭を助けるんや。」
若干の思い違いはあったものの状況を変えるのには霞の兵は充分だった。
「撤退するぞ、雪蓮。」
周瑜が孫策に声を掛ける。
「そうね、そろそろ潮時かしら。」
孫策の兵が撤退を始める。
「逃がすか!」
春蘭がそれを追いかける。
「逃げっぷりが良すぎます。ここは自重してください。」
稟の進言も春蘭には届かない。
そうして間道まで追いかけたところで周瑜が合図をすると周りから弓兵が現れて一斉に弓を放った。
「なに!」
伏兵に伏兵を重ねる。周瑜の策であろう。これには春蘭も対応が遅れた。
それでも飛んでくる矢を直感でたたき落とす春蘭だったが、その姿を鋭く見つめる一対の目があった。
「あれが、夏侯惇か。あやつを倒せば北郷軍は総崩れじゃのう。」
言ったのは孫策の宿将、弓の名手黄蓋だ。
「どーれ、この状況ではわしの矢はかわせまい。」
黄蓋は弓を構えると春蘭めがけてその矢を撃った。
「夏侯惇、お命ちょうだい!」
その尋常でない矢筋には注意の散漫になっていた春蘭ではさすがに対応出来ない。
その矢は春蘭の顔に向かってまるで生きているように突進する。
そして、気が付いて振り向いた春蘭の目にその矢が突き刺さる一瞬前だった。
どこからか現れた大きな馬がまるで疾風のように春蘭に向かって近づいてくる。
そして、その馬から飛び降りた人影がその矢を剣でたたき落とした。
「ふぅ、間に合った。」
それは誰有ろう、北郷一刀本人だった。
黄蓋は矢を放った瞬間、当たることは確信出来た。それは長年の感というか手応えという物であった。
しかし、それが落とされたことは信じられなかったが、現れた人物も信じられなかった。
前に董卓討伐の際に見かけた天の御遣いだ。
「天の御遣いが居るぞ。北郷だ。奴を倒せばわしらの勝ちじゃ。」
その言葉に気が付いた周瑜が間道から兵を戻させる。
伏兵を使った時点で反攻は考えていた策だ。
しかし、その狭い間道に1人の武将が立ち塞がる。
その武将に、押し寄せる孫策の兵がことごとく討ち取られ、そこから誰1人として進むことは出来ない。
「私が!」
そう言って出てきたのは甘寧、呉の猛将だ。
しかし、彼女もその武将の前に簡単にはじき飛ばされてしまう。
「・・・・お前、弱い・・・弱い奴は死ぬ・・・。」
「よせ、思春。そいつは呂布だ。」
後ろから周瑜が叫ぶ。
「・・ご主人様、私が守る・・・。」
その武将こそ愛馬、赤兎馬にまたがる恋その人だった。
霞の部隊を見送った後も俺は嫌な予感が抜けなかった。
城の中庭を何気なしに彷徨く。
するとウィッシュ・コーギーのセキトと一緒に歩く恋を見つけた。
「やぁ、恋。セキトとお散歩かい?」
気晴らしに声を掛ける俺。
「・・あ、ご主人様・・・今日は馬の世話。」
最近月達の影響で恋は俺のことをご主人様と呼ぶ。
「馬・・・か。」
呂布の馬と言えば赤兎馬をすぐ思い浮かぶ。しかし、セキトはそこの犬だ。
「どんな馬なんだい?」
「・・この子と同じ名前・・・・赤兎馬・・・。」
「へぇ、やっぱりそうなんだ。俺も見せて貰おうかな。」
そうして厩に行くとそこには普通の馬より2倍くらいのサイズはある真っ赤な馬が居た。
「うおっ、これは凄いな・・・・・・・・この馬なら、俺を乗っけても相当早そうだ・・・。」
「・・うん、ご主人様くらい・・・問題ない・・。」
恋も見た目はとても軽そうだし、二人乗りでも・・・・・・
「なぁ、恋。」
「・・・・遠乗り?」
「うん、今すぐ良いかい。」
「・・セキト預けて・・・武器取ってくる・・・。」
馬にまたがった後、恋に、急いでくれ。と言った言葉を俺は若干後悔はした・・・・・・・・
「一刀様!」
春蘭が俺に駆け寄ってくる。
馬から飛び降りながら矢をたたき落とした俺の曲芸は、さすがに着地までは保証してくれなかった。
それでも何とか受け身は取れたので、素早く俺は立ち上がる。
「春蘭、無事で良かった。」
「こんな無茶を・・・無茶は私だけに任せておいてください。」
いつも無茶なのは自分でも解って居るんだなぁと、ちょっと可笑しくなるが、今はそんなことを考えている暇はない。
「ともかく撤退をするよ。孫策軍の所為でウチの軍は崩壊寸前だ。」
「申し訳ありません。」
「勝敗は兵家の常だ。今回は孫策を褒めるしかないね。」
状況はここに来る前に稟に聞いてきた。まさか奇襲に来て奇襲を掛けられるとは思わない。
恋のお陰で敵の攻撃も今は抑えられている。俺たちは素早く撤退をした。
「まさか呂布が北郷軍にいるとは・・・・・。」
「さすがは侮れないわね・・・・今回倒しておければ良かったかしら。」
「今袁術軍の全軍を使えば可能だろうがな、まぁ、夢物語か・・・・。」
「あっちは今、袁紹との競争状態だからねぇ・・・・。北郷軍の主力が来る前に何とかなればいいけど。」
「とりあえず報告かな。あの顔を見るのは嫌だけど。」
孫策は渋々袁術の本陣に向かうのだった。
孫策の奇襲はかなり有効に働いた。
俺たちが約束のタイミングで仕掛けられなかったので、反攻の準備をしていた劉備軍を落胆させた。
すでに仕掛ける準備をしていた兵はお預けを食らった形となった。
しかも、一部武将は先走って袁術軍に突撃してしまった。
多勢に無勢、突出した兵はこっぴどく叩かれ、その所為で戦力を大分減らすこととなった。
劉備軍の中には、一度援軍を約束しておきながら来なかったことに対する不信感も一部では起きあがっていた。
俺は一時撤退して本軍の到着を待った。
我が陣営でも1陣が叩かれた事による慎重論が起き、時間の遅れと戦力の減少という結果になってしまった。
「これは完全にやられたな。」
待つ間に稟に話しかける。
「申し訳ありません。私たちに油断の会った所為です。」
稟は項垂れて詫びを言った。
「いや、油断は俺にもあったよ。孫策を念頭に置けばもう少し慎重に対応するべきだった。」
そう言いながらも出陣前の軍議を思いだす。
『孫策かぁ、全く失念していた訳ではないけどね。』
情報では今回の遠征にあまり乗り気ではないとの報告が入っていた。
『俺たちの対応が逆に孫策への呼び水になってしまったかもしれないな。』
こちらに来てから初めての敗戦だった。
その痛みは両肩に重くのしかかる。
だが、逆を言えば1回の敗戦でも次が有るところまでのし上がっているのだ。
少し油断をしていたかもしれない、そう思うと身が引き締まった。
俺たちが本陣と合流するとほぼ同時期に劉備から使者が訪れた。
その使者によると現状城を守りきれないので脱出して西に向かいたい。
その為に領地を通過することを許して頂きたいと言うことだった。
俺は、先日の負い目もあるので二つ返事で了承した。
それには我が軍の軍師(特に桂花)は異論を唱えたが「俺を恥知らずにしたいの?」といった言葉に渋々了解した。
俺としてはお詫びと言うより見てみたくなったのかもしれない。
三國志を・・・・・
俺は国境線に兵を展開して言った。
「袁紹、袁術の軍は一兵たりとも通すな。我が軍の、日頃の調練の成果を見せてやれ。」
「「「おおっ!」」」
兵達も先日の失態の挽回をしようと気勢が上がっていた。
どうやら追いかけてきたのは袁紹軍だけだったがあっという間に追い返した。
その後、一旦兵を引いて戦力を立て直すと、袁紹と袁術がタッグを組んで攻めて来るという情報が入った。
「予想はしていたけれど、結構早かったね。」
俺は桂花に言うと、呆れたように桂花が答える。
「先日の戦いで味を占めたのでしょう。馬鹿達が一緒になったところで連携など出来るはずはありませんが。」
劉備攻略で図らずも連携する形になったことを言っているのだろう。
互いに好き勝手やっていただけなんだが・・・・
「別々に攻めてこられるよりは対処がしやすいですね。」
稟が発言する。
確かに、別々に攻められてナチュラル連携とかされた方が嫌すぎるな・・・・
「風はどう思う?」
「ぐぅ・・・・・・・。」
風に尋ねると相変わらず寝ている。
なんか可愛くて、目覚めのキスとかしたくなるが、軍議なので出来ないのがもどかしい・・・・・
「ふぁっ、寝てませんよ。」
そんなことを思っていると風は目を覚ました。
「おはよう。で、風は今回の対応はどう思う?」
「袁紹軍も袁術軍もさしたる脅威ではないでしょう。問題があるとすれば・・・・・・・」
「孫策か・・・・・・・・・。」
「いえ、目覚めのキスなど考えていたおにいさんの頭の中です。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
周囲から冷たい視線が集まるが、あえてそれをスルーして風に尋ねる。
「ともかく、孫策には充分気を付けた方が良いかな?」
「鎖に繋がれた虎はさしたる脅威ではありません。鎖を解かれたら脅威ではありますが・・・・。」
「しかし、鎖を解かれた虎が大人しく敵を襲ってくれるとは思えません。飼い主が殺される事などは普通でしょうねぇ」
「なるほど、鎖が解かれる前に飼い主を弱らせておくことが肝心という訳だね。」
「孫策さんはその気が満々のようですから・・・。」
「では、細かい戦術はその場で立てよう。出陣の準備を頼むよ。」
そうして俺たちは袁家連合軍と対峙した。
説明 | ||
7話目となります 真・恋姫無双のSSではなくてあくまで恋姫無双の魏ルートSSです。 ただしキャラは真・恋のキャラ総出です。 無印恋姫無双は蜀ルートでした。 そして桃香の代わりが一刀でした。 このSSは魏ルートなので華琳の代わりが一刀です。 この外史には華琳出てきません。 その代わり一刀は華琳の代わりが出来るほど強化してあります。 一刀が格好良いと思って頂ければ作者は嬉しいです ブログより少し改変、割り増ししてあります |
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コメント | ||
裏切りとかしないかわりにちょっとした手違いで少しヒール役だね。一刀。(motomaru) [乱] さん、まぁそこは雰囲気でw(とにー) [九里虎]さん、というか風が凄いんです・・・いや宝ャが凄いのかもw(とにー) キス→接吻では・・・おおっそうか一刀に教わっていたのか!やるな一刀。(乱) ↓失礼しました!一刀さん見破られすぎですw 今後どういった展開になるのか!非常に楽しみです!頑張ってください、応援してますw(九里虎) 一刀さん見破られすぎ(九里虎) [混沌]さん、風は凄く本質を突きますね。真のようでオリジナルな展開です。お楽しみに(とにー) [ヒロキ]さん、誤字報告有り難うございます。直しました。(とにー) どこでもやっぱり風は凄いなぁw次回もどんな展開になっていくのか期待してますw(混沌) おもしろいです。続き待ってます。誤字報告 雪蓮の「感」→「勘」同じようなところが何ヶ所かあります。(ヒロキ) |
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