とある 大事なことはぜんぶ銭湯に教わった混浴編
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とある 大事なことはぜんぶ銭湯に教わった混浴編

 

 

「御坂、そこのシャンプー取ってくれ」

 心臓のドキドキが止まらない。顔が熱くて堪らない。蒸気のせいだけじゃない。

 私はもう、緊張のせいでいつ倒れてもおかしくない状況に陥っている。

 竹を割ったようなサッパリした性格と評判の私らしくないかも知れない。

「御坂? 聞こえてないのか?」

 でも、緊張するなっていう方が無理ってもんでしょ。

 だって今私は、私は……。

「おい、御坂っ?」

「ひゃっ、ひゃいっ!?」

 今、手。手が、アイツの手が、私の肩に触れている。

 当麻の手が、私の肩を掴んでいる。

「にゃ、にゃに!?」

 恥ずかしいので決して見ないようにしていたアイツへと顔を向ける。

 黒子曰く美化300%処理が施されているという私フィルターを通じて、世界でもトップクラスのイケメンの顔が視界に入る。それと同時に意外と逞しい筋肉質の裸の上半身も。

 当麻の……裸の……上半身…………

「ふにゃぁあああああああああああぁっ!?」

 当麻の手を跳ね除けながら後ろに飛び退く。

 裸の当麻が隣にいる。

 そして、私も佐天さんが用意してくれたちょっと大胆な緑色のビキニタイプの水着姿。半裸と言えなくもない。

 裸の当麻と裸の私。そんな恥ずかしい空間にいることが耐えられるわけがなかった。

「なあ、佐天さん。御坂のヤツ、さっきからずっとおかしいんだが?」

「気にしないでください。上条さんと一緒にお風呂に入ることになって舞い上がっているだけですから」

 入口でカメラを構えて立っている今回の仕掛け人は、私の今のこの胸の爆発を全く理解してくれてない。

「この状態で、この風呂屋の宣伝になるとはとても思えないんだが?」

「可愛い状態の御坂さんの動画をネットにアップすれば全世界から注目を浴びます。そのロケ地であるこのお風呂屋さんは聖地として全世界から巡礼者が来ますよ」

「そんなもんなのかねえ」

 当麻は半分呆れた表情で佐天さんを見ている。

「というわけで、御坂さんの可愛い画がもっと必要なんです。上条さんはもっと御坂さんに絡んでください」

 佐天さんという名の堕天使がとても恐ろしいことを言っている。

 当麻がただ隣に座って体を洗っていただけでも恥ずかしくて死にそうだったというのに。これ以上何かさせようっていうの?

「具体的には何をすればいいんだ?」

「そうですね…………とりあえず、御坂さんの髪を洗ってあげるのはどうでしょうか?」

「そんなの絶対無理ぃいいいいいいいいいいぃっ!!」

 当麻が何か答える前に大声を上げて拒絶する。

「かっ、髪は女の命なんだから。美容師以外の男に触らせるなんてできないっての!」

 当麻が私の髪を洗う。

 当麻が私の頭に手を触れて指を撫で回す。

 その背徳的な光景をイメージするだけで……。

「ふにゃ〜〜〜〜〜〜っ」

 私はもうおかしくなってしまいそうだった。

「なあっ。やっぱり今日の御坂おかしいぞ。この姿を全世界に晒すのはマズいんじゃないのか?」

「大丈夫です。御坂さんはふにゃってる方が需要が多いんでバッチコイです」

「でも、これじゃあ、髪を触らせてくれそうにないぞ。もし御坂を怒らせて電気を放出でもされたら俺も佐天さんもタダじゃ済みそうもない」

「じゃあ、このカンペの通りに喋ってください」

 堕天さんがニッヒッヒと悪魔な笑みを発するのが聞こえた。半分腰が抜けて起き上がれなくなっている私ではどんな指示が出されているのかわからない。

 当麻は一体何を仕掛けてくるの?

「な、なあ…………………」

 呼び掛けてからの長い沈黙。

「…………美琴」

 当麻は初めて私のことを『美琴』って名前で呼んだ。

 私のことを『美琴』って。

「ふにゃぁあああああああああああぁっ!?!?」

 頭が、頭が真っ白になっていく。

 どうしたら当麻に名前で呼んでもらえるのか。

 1年以上ずっと考えていた。その夢が唐突に叶ってしまった。

「なあ、佐天さん。これはやっぱり……」

「照れてるだけですから気にせずに続けて」

 当麻は小さく息を吐き出した。

「美琴、聞いて欲しいんだ」

 『美琴』『美琴』『美琴』

 当麻の口からこの響きが奏でられると何て心が洗われるのかしら?

 私はもう、幸せ過ぎて……。

「おっ、おいっ!? 御坂っ!? 急に倒れそうになって大丈夫かっ!?」

「御坂じゃなくて、美琴っ!!」

 当麻と言えども、ううん、当麻だからこそ私の幸せを打ち破らせはしない。

 こんな禁断の甘い果実を知ってしまったらもう『御坂』に戻るなんてできない。

「…………悪い……美琴」

「うん」

 当麻にはこれからずっと『美琴』と呼んでもらうことにしよう。

 そう決めた。

 

 

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「どう考えてもみさ……美琴の状態がおかしいんだが。撮影はまた後日ってことにしないか?」

「「却下」」

 私と佐天さんの声が揃った。

「御坂さんはいい感じになってるので、撮影は続行です」

「けどよ…………」

「いいから、カンペの続きをお願いします」

 当麻はため息を吐きながら再び私のむき出しになっている肩を掴んできた。

「あ〜。何だ、その……美琴」

「なっ、何?」

 私フィルターを通した世界一の美形が私の顔を見つめ込む。そして──

「責任はちゃんと取る。だから、俺に美琴の髪を洗わせてくれないか?」

 突然、私にプロポーズの言葉を述べてきた。

「せっ、責任って…………」

 男が女に取る責任っていったら、ひとつしか思い浮かばない。

「責任っていったら責任だろ」

「ふにゃぁあああああああああああぁっ!?」

 何かがおかしい。おかしいのだけど、何も考えられない。

「それじゃあ御坂さん。上条さんが御坂さんの髪を洗ってあげるってことで良いですか?」

「…………う、うん」

 髪は女の命。男に簡単に触らせちゃいけない。

 でも、相手が運命の王子さまなら。

 触ってもらっても全然構わない。

 古典文学でも千年前からそんな話をしてる。

 当麻が責任を取ってくれるのなら、私に異論があるはずがなかった。

「それじゃあ上条さん。御坂さんの髪を洗ってあげてくださいね。上条さんの剛毛と違って繊細な髪なんですから、優しく洗ってあげてくださいね」

「…………わかったよ」

 当麻が私の背後に回る。鏡越しに見える当麻の体は横で見るよりエッチなものを感じる。

 心臓がまた激しく高鳴り始める。当麻に今、うなじや背中を見られてしまっているんだと思うと恥ずかしくて堪らない。やっぱり、当麻に責任を取ってもらわないとこれ無理。

「それじゃあ、洗うぞ」

「う、うん」

 シャンプーで泡立った当麻の指が私の頭に触れる。

「あっ」

 ビクッと私の全身が震えた。敏感に体が反応してしまう。

 髪を切り洗うのが仕事な人が触れるのとは全然違う。好きな人に触れられているのだから当たり前の話だった。

「なっ、なあ……」

「大丈夫大丈夫。続けちゃってください」

 当麻はぎこちなくも指を動かし始めた。

 指遣いがぎこちなくて時々くすぐったい。

 私の頭皮を傷付けないように気を回しすぎて洗うというか撫でるみたいな感じになってしまっている。

 何だかちょっと滑稽。

 でも、すごく嬉しい。

 大好きな人に髪を洗ってもらえるってこんなにも気分がいいものだったなんて知らなかった。

「…………佐天さん。これ、俺が恥ずかしくて死にそうなんだが……」

「御坂さんが幸せそうな表情を浮かべてるんですよ。背景の苦情なんて却下です」

「俺は背景なのかよ……」

 当麻は諦めるようにして私の洗髪を続けた。 

 

 時間が過ぎて、頭の上から適度な温度のシャワーが流れてきた。

 40度ぐらいのお湯がとても心地いい。当麻が流してくれているお湯だと思うと更に気持ち良い♪

「はいっ。これで頭を洗うのは終了な」

 十分な量のお湯が髪に掛かったところで当麻は洗髪の終了を宣言した。

 それは私に一抹の物足りなさを招来させた。

 当麻にもっと洗って欲しい。

 その欲求が首をもたげる。

「じゃあ次は体を洗いましょうかね〜」

 佐天さんの言葉に首を縦に振って頷く。

「いいっ!? まだやるのかよっ!? さすがの上条さんもこんなに女の子と密着していると胸の鼓動が大変なことになってるんですよ!?」

 当麻も私のことを意識してくれている。それがとても嬉しい。

「それじゃあ、体を洗うのに水着は邪魔ですのでブラを外しちゃってください」

「うん。わかった」

 佐天さんの指示通りにブラを外す。これで当麻に洗ってもらい易くなった。

 早く洗って欲しい♪

「みっ、美琴っ!? おっ、おま……む、胸っ!?」

 鏡越しの当麻がとても驚いた表情を見せている。

「えっ?」

 それで気が付いた。

 今、自分がどんな状況にいるかを。

「ええっ?」

 裸の胸を当麻に晒してしまっていることを。

 お嫁に行くまで見せないと決めていた胸を当麻に見られてしまっていることに。

「ふっ、ふっ、ふっ…………」

 体が激しく震える。そして同時に体のいたる所から電気が漏れ出す。

 当麻に見られた当麻に見られた当麻に見られた。

 私の恥ずかしさは遂に臨界点を越えようとしている。

「ちょっ、ちょっと待てっ!? 風呂場で、水が大量にある所で電撃はまずい。右手じゃ防ぎきれないぞ!」

「この映像はさすがに使えませんし、カメラを守るためにも一時退避ですね」

「汚えぞ、佐天さんっ! 自分だけ逃げるなんて」

「上条さん。生きていたら撮影の続きをしますのでよろしく〜」

 佐天さんが浴場と脱衣所を分ける扉を閉めるのと私の電撃が放出されるのは同時だった。

「ふにゃぁああああああああああああああああああああぁ」

 浴場は真っ白い閃光に包まれた。

 

 

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「裸見られた。当麻に裸見られた。もう、お嫁に行けない。絶対行けない。恥ずかしくて死んじゃいたい……」

 湯船に頭から浸かって鬱な気分に浸る。

 当麻に完璧に見られてしまった。しかも、私が馬鹿やって。

 ラッキースケベとかそんな次元じゃなくて、私が自分から当麻に晒してしまった。

 もう、本当に死んじゃいたい。

「まあまあ。御坂さんが上条さんと結婚したらどうせたくさん見せることになるんだし、ちょっとぐらいのフライング。別にいいじゃないですか♪」

 私を誘導した堕天さんは朗らかに笑いながらカメラを回し続ける。

 悪びれもしなければブレもしない。

 どうしてパーソナルリアリティーの塊みたいな子がレベル0なのかイミワカンナイ。

「せっかく上条さんと二人っきりの入浴なんですからもっと笑顔になってくださいよ」

「いや、そんなの無理だから……」

 私は死んじゃいたいくらい恥ずかしい。

 そして、隣で浸かっている当麻は気絶中。白目じゃあんまりだったので目を瞑らせてはいるものの、風情も色気もない。

「これから何度も一緒に入ることになる上琴夫婦の記念すべき初お風呂じゃないですか。ほらっ、笑って笑って」

「そんなことを言われても無理なものは無理だから」

 当麻が目を覚ましてくれない限り、そんな気分になれない。

 でも、当麻が目を覚ましてさっきのことを思い出したら。恥ずかし過ぎて私は本当に駄目になってしまいそう。

「まあまあ。さっきの一幕で上条さんは完璧に御坂さんを女の子として意識しましたよ。精神的な距離がグッと近付いてラッキーだったじゃないですか♪」

「ふにゃぁあああああああああぁっ!?!?」

 大声でふにゃったら、当麻の体が傾いた。

「えっ?」

 当麻は私へと重なってきた。

 気絶したままの人間の顔を湯に浸けるわけにはいかないので、慌てて抱きかかえて体を支える。

「だっ、大丈夫?」

 返事はない。やはりまだ気絶しているらしい。

 当麻が水没してしまわないように抱いた姿勢を維持するしかない。

 でも、私より大きくて体重の重い、しかも傾いてくる当麻を支えるのは至難の技だった。

「お風呂で抱き合う上条当麻・美琴夫妻。いい絵が録れてますよぉ」

「いや、のん気にカメラを構えてないで……助けて欲しいんだけど」

「カメラを構えているんで助けられません」

 佐天さんはごくあっさりと私のSOS要請を断った。

 レベル0は私に非情だ。

 抱きしめているコイツはいつまで経っても私の想いに気付いてくれない。

 目の前の少女はいつだって私をオモチャにする。

 レベル0は私に対する愛情が足りてないと思う。

「って、そろそろ目を覚まして。いい加減、限界なんだけど……」

 このままじゃ2人とも湯の中に沈んじゃうっての。

 立て直そうにも水底が滑ってむしろ体勢は悪くなっていく。

 本気でピンチだった。

「あれ……?」

 ようやく当麻が目を覚ました。

「美琴? 何をやってんだ?」

「何をやってんだじゃなくて。目を覚ましたのなら離れてっ! 早くっ!」

 私の体はもう限界。

「あっ、ああ。何だかよくわかんねえけど」

 当麻が上半身を起こし直し、離れようとしたその時だった。

「上条さん、逆です。御坂さんを思いっきり抱きしめてください」

 堕天が妙なことを喚いたのは。

「わっ、わかった」

 佐天さんの命令を従順にこなすことに慣れてしまった当麻は指示内容に何も疑問を持たずに私を抱きしめてきた。

「ふっ、ふにゃっ!?」

 裸の当麻に正面から抱きしめられる。

 その体験は私の乙女羞恥限界許容を遥かに超えるものだった。

 そして──

「どうですかあ? さっき裸を見てしまった御坂さんの抱き心地は〜?」

「あっ」

 当麻の顔が急激に赤く染まった。先ほどのことを思い出したらしい……。

「裸見てこんな風に抱きしめちゃってるんですから、ちゃんと男らしく責任を取って御坂さんのことをお嫁にもらってあげないと駄目ですからねえ」

 言いながら佐天さんは脱衣場に向かって全力ダッシュを開始している。カメラだけはこっちに向けたまま。

「ちょっと本気で待って! ここ、風呂の中っ! ここで電撃放たれたらどう考えても死ぬっ! 死んじゃうって!」

「上条さんが御坂さんから右手を離さなければ能力が発動されることはありませんよ」

「そ、そうかっ!」

 当麻は腰に回していた右手で改めて私の腕を掴み直そうとした。

 でも、その手は……。

「わっ、悪い。わざとじゃ、ないんだ……」

 私の胸をわし掴んでいた。

「わっ、私の胸を見ただけじゃ飽き足らず……直接触ってくるなんて……」

「いや、だから。全ては不幸な事故なんだ……」

 事故だと言いながら当麻は私の胸を放さない。その理由はわかる。わかるけれど……。

「後でアンタには絶対に責任を取ってもらうからねっ! 超電磁砲(物理)ッ!!」

「ぶべらっ!?」

 右ストレートが当麻の顔面に炸裂。水面に跳ね上がった当麻の体。その右腕が私から放れていく。

 そして私は──

「ふにゃぁああああああああああああああああああああああぁっ!?!?」

 今日最大の絶叫とともに大電撃を当麻に向けて放ったのだった。

 

 

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「いやぁ、おかげでいい画が録れましたあ♪ お二人の結婚式の紹介VTRにも使わせてもらいますね♪」

 ホックホク顔の佐天さん。

 一方で、制服に着替えた私の表情は暗い。

「そんな映像流されたら、私は新婚早々引き篭もりになるっての」

 当麻に今日1日で恥ずかしい姿を何度も見られてしまった。

「まあまあ。男らしく責任取らせることには成功したんですから、良かったじゃないですか♪ これでいつでもお嫁に行けますよ♪」

「こんな形で行きたくはないっての」

 当麻には、責任という名目で何か食事を奢ってもらうことにしようと思う。

 責任という言葉を掲げながらのデート。

 そんな所が今回の騒動の終着点としては妥当なんじゃないかと思う。

 今回のことが原因でお嫁入りしたのでは私の人生がとても悲しい物になってしまう。

「ほらっ、アンタもいつまでもフラフラしてないでちゃんと立ちなさいっての」

 着替え終えた当麻は合流した後もフラフラしている。

「そんなこと言われても、電撃のショックのせいでまだ体の調子がおかしいんだよ」

 当麻は私の顔を全く見ずに答えた。

「だらしないわね。電気に耐性ぐらい付けておきなさいよ」

「無茶言うな」

 ちなみに私も当麻の顔は全く見ていない。

 理由は簡単。恥ずかしいから。

 裸見られて胸を揉まれた。

 少年向けのラブコメ漫画じゃあるまいし、この状況でどうしろって言うのよ。

 しばらく当麻の顔は見られそうになかった。

「ところで佐天さん。さっきの映像だけど……やっぱり、公開するの止めないか?」

 当麻は至極妥当なことを述べてくれた。

「私もその意見に賛成よ」

「ああ。さっきの映像なら、もう編集してアップしちゃいました♪」

 色んな意味で落ちこぼれを自称する少女はこんな時だけいい仕事ぶりを発揮してくれていた。

「すごいんですよ。もう再生回数が1万を軽く突破。これは、ミリオンヒット間違いなしですね♪」

 当麻と2人、膝をついてorzな姿勢になる。

「特に、上条さんと御坂さんが湯船の中で抱き合っているシーンに大きな反響がきています。whiteblackさんは『類人猿殺す!』って何度もコメントを発してますよ♪」

「って、それはヤバいじゃねえかっ!」

 当麻は慌てて飛び起きた。

「お姉さまに不埒を働いた現場はここですのぉおおおおおおおおおおおぉっ!」

 次の瞬間、ツインテールの悪魔が、今にも視線だけで人を殺せそうな形相を浮かべながら脱衣所に現れた。

「お姉さま、そして類人猿っ!!」

 黒子の怒りに満ち満ちた瞳が当麻へと向けられる。

「みっ、美琴……」

 助けを乞う瞳が私へと向けられる。

「無理。こうなった黒子は私には止められないの」

 目を瞑って首を横に振る。

「みっ、みっ、美琴ぉおおおおおおおおおおぉっ!?!?」

 当麻の私の呼び方が火に油を注いでしまった。

「殺スッ!!」

 瞬間跳躍して姿が見えなくなる黒子。

 一瞬遅れて、当麻の後頭部にドロップキックが炸裂する。

「ふっ、ふっ、不幸だぁあああああああああああぁっ!!」

 タフさには定評のある当麻が駆け出して逃げていく。

「これもオモシロ映像として注目を浴びそうですね。撮影しておきましょう♪」

 カメラを回して面白がる佐天さん。この子、マジパネェわ。

「さて、責任のデートではどこで何を奢ってもらおうかなあ?」

 目の前の事態を収拾することを諦めた私は、当麻とのデートコースを考えることでパーソナルリアリティーへと逃げ込むことにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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お風呂屋さんで上琴
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上条当麻 御坂美琴 とある魔術の禁書目録 とある科学の超電磁砲 

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