英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
〜1年Z組〜
「今見えたのは……本当の事なの?」
映像が消えるとアリサは真剣な表情でエマに尋ねた。
「……ええ、間違いありません。”深淵の魔女”と呼ばれる私の”身内”の得意技……特定のイメージを唄声に乗せて遠くに届ける事ができます。」
「う、唄の”魔法”ですか……今まで聞いた事のない”魔法”ですね……」
「”深淵の魔女”…………」
「あ、あのミスティさんがそうだっていうのか……」
エマの答えを聞いたセレーネは戸惑い、リィンは真剣な表情をし、マキアスは信じられない表情をし
「じゃ、じゃあクロチルダさんがレオンハルト教官を”レオン”って親しげに呼んでいた理由もしかして……”結社”の仲間だったから?」
エリオットは不安そうな表情で推測した。
「……まるで夢でも見ているような心地だが……」
「だが……間違いなく現実だろう。」
「ま、その事についてはとりあえず置いときましょう。問題は宰相が暗殺されて―――帝都が占領されたことだわ。」
「そ、そうだった……!」
「まさか、今頃父さんも……」
サラ教官の言葉にエリオットは我に返り、マキアスは不安そうな表情をし
「くっ……(もしかして女学院も……?)」
エリスの身が心配になったリィンは唇を噛みしめた。
「……あの巨大な飛行船に”機甲兵”という兵器……用意したのは間違いなく”貴族派”というわけか……」
「……わたしの身内もあの映像に映っていた。ずっと行方がわからなかったのにこんなタイミングで……」
「フィー……」
「以前すれ違ったあの男達はそんたの身内だったのか……」
「最強の猟兵団”西風の旅団”……”帝国解放戦線”と同じように貴族派に雇われているみたいね。そして――――」
「やっぱり”C”の正体は睨んだ通りだったみたいだねー。なんか蒼くて凄そうなのに乗ってっちゃたけど。」
「クロウ、どうして………」
「……………………」
クロウが敵になった事に様々な想いをリィン達が抱えていると放送が入った。
「……校内に残った皆さん、どうか落ち着いて下さい。今しがた、ラジオ放送中に不思議な映像が映りましたが……その事について学院長からの連絡があります。」
「―――学院生諸君、学院長のヴァンダイクだ。先程我々が見た映像はおそらく本物の可能性が高い。だが、確かな情報はまだ何もわかっていない状況じゃ。現在、確認を急いでおるのでどうかしばらく待機して欲しい。」
トワとヴァンダイク学院長による放送を聞いたリィン達は黙り込んだ。
「あの映像、他のクラスのみんなも見ていたのね……」
「ラジオ放送を通じて俺達士官学院の人間とケルディックにいると思われるレオンハルト教官にだけあんな映像を見せる……そんな事が可能なのか?」
「はい……私の”姉さん”なら造作もないと思います。」
リィンの問いかけにエマが重々しい様子を纏って頷いたその時サラ教官のアークスに通信が来てサラ教官は素早く通信を開始した。
「はい、こちらバレスタイン―――ナイトハルト教官、これから緊急会議ですか?…………………なんですって!?当然、あたしも手伝います!ええ、ええ……それでは正門前で。少し出かけてくるわ。君達は絶対に学院から出るんじゃないわよ。」
通信を終えたサラ教官は血相を変えて教室から出て行った。
「な、なんだったんだ……」
「どうやら尋常ではない出来事があったようだが……」
「も、もう十分すぎるほど尋常じゃないと思うんだけど……」
「一体何があったのでしょう……?」
サラ教官の様子にクラスメイト達が戸惑っていると何かに気付いたガイウスが窓を開け、フィーも窓に近づいて様子を伺った。
「ガイウス……どうした?」
「……西の方から何かが近づいてきている。」
「……装甲車数台。この駆動音は……あの人形兵器も来てるね。」
「ま、まさか……」
「帝都に続いてトリスタまで……というより、この学院を押さえるつもり!?」
ガイウスとフィーの話を聞いたマキアスとアリサは仲間達と共に血相を変えた。
「んー、可能性は高いかも。貴族派、革新派の子弟とか、学院長みたいな重鎮もいる上メンフィル帝国の貴族の子弟や子女もいるし。保護するから人質にするか……ま、どっちもありそうかな?」
「そんな……!他国の貴族の子弟や子女にそんな事をすればどうなるか、わかっているのでしょうか……?」
「クッ、ふざけるな……!」
「狙いはどうあれ、あのような暴挙を認められるものか……!」
ミリアムの推測を聞いたセレーネは不安そうな表情をし、ユーシスとラウラは怒りの表情で声を上げ
「も、もしかして教官たち、それを喰い止めるために……?」
エリオットは不安そうな表情で推測した。
「……相手は主力戦車すら凌駕できるほどの新兵器だ。いくら教官達が強いとはいえ、限界があるだろう。俺達の力がどこまで通用するかわからないが―――みんな、せめて助太刀くらいはさせてもらわないか……!?」
「リィン……ええ!」
「言うまでもない……!」
「ど、どこまで力になれるかちょっとわからないけど……」
「こうなった以上はとにかく全力を出すだけだ!」
「……私も。全力を尽くさせて頂きます。」
「わたくしも短い間ですがこの学院の皆さんにお世話になったのですから、お手伝いします!」
「フン、立場がどうあれ、無礼者に遠慮するつもりはない。」
「めんどくさいけどま、仕方ないか。」
「えへへ、ガーちゃんのチカラ、どこまで通用するかなー。」
「時間がない……正門へ向かうとしよう。」
「ああ……!」
リィンの言葉に頷いたクラスメイト達は次々と戦う決意を表明した後正門へ急行していると教室からパトリックとフェリスが出て来た。
「アリサ!?な、なんですの!?そんなに慌てて……」
「フェリス……そっか、まだいたのね。」
「き、君達……いったい何があったんだ!?教官達が正門から出て行くのを窓から見かけたんだが……!」
リィン達の尋常じゃない様子にフェリスは戸惑い、パトリックは真剣な表情で尋ねた。
「くっ……もう打って出たか。」
「パトリック……どうか学院にいてくれ。他のクラスと協力して士官学院を守るんだ……!」
そしてリィン達は正門へ急行し
「お前達……」
「い、一体なにを……?」
リィン達の様子をパトリックとフェリスはそれぞれの想いを抱えて見つめていた。
〜正門〜
リィン達が正門に到着する頃にはトワ達―――生徒会が市民達の避難誘導をしていた。
「会長、ジョルジュ先輩!」
「リ、リィン君たち……?」
「君達、どうして……」
リィン達の登場にトワとジョルジュは戸惑ったがすぐにある事を察した。
「ま、まさか……!」
「教官たちの助太刀に行くつもりかい!?」
「その、まさかです。」
「迫りくる狼藉者を迎え撃たぬはアルゼイド家の名折れですゆえ。」
「無理をしない程度に全力で助太刀するつもりです。」
「お願いします!どうかわたくし達を行かせてください!」
「む、無茶苦茶だよ〜!」
「……あの映像は見たがとんでもない兵器みたいだ。生身の人間が勝てる可能性は限りなく低い……それでもやるつもりかい?」
リィン達の決意を聞いたトワは慌て、ジョルジュは重々しい様子を纏って問いかけた。
「ええ、俺達がこれからも共に学び、高め合う場所―――この士官学院を守る為に!」
「あ……」
「……参ったな……君達が来たら止めろって、教官たちに言われたのに……」
「……わかったよ。生徒会長として許可します。でも、リィン君達はまだ軍人じゃないんだから……!命が危ないと思ったら絶対に、絶対に無理をしないこと……!逃げるか、相手に投降するか……とにかく死んじゃダメなんだから!ちゃんと約束できますかっ!?」
リィン達の揺るぎなき決意を知ったトワは真剣な表情でリィン達に問いかけた。
「会長……はい!」
「約束します……!」
その後最後の準備を整えたリィン達はトワ達に正門を開けてもらおうとした。
「……クロウ君……」
「テロリスト……”C”……まさかあいつが、鉄血宰相を狙撃するなんて……この学院を、襲撃しようとしているだなんて……」
「会長、ジョルジュ先輩……」
悲しそうな表情をしているトワとジョルジュをリィンは静かな表情で見つめた。
「……今にして思えば、クロウ君はいつも事件の現場にいたんだね。夏至祭の事件のときだって……あの時負っていた酷い怪我はリウイ陛下との戦いで負った傷だったんだね……」
「僕も……ルーレの時は微妙に違和感を感じていた。それが何かなんて疑いもしなかったけど……」
「……無理もありません。この目で映像を見た今でさえ、信じられないくらいですから……」
「……去年、テスト実習でクロウと初めて出会って……最初は、人当たりはいいのにどこか虚ろなやつだって印象だった。でも、すぐにアンがそれを真正面から言い当てて……」
「えへへ……最初の頃は衝突もあったよね。でも、実習を通じて少しずつ仲良くなっていったんだ。……どうしてこんな事になっちゃったのかな……」
昔を思い出していたトワは悲しそうな表情で呟いた。
「会長……」
「……とにかく、”敵”の思い通りになんかさせません。俺達が必ず、この学院を守ってみせます。そして……クロウにも真意を問いただしてみせる……!」
「……リィン君。」
「……うん、そうだよね。リィン君達……どうか頑張って。アンちゃんや学院のみんな……クロウ君の友達であるわたしたちの分まで……!」
「はい……!」
そしてリィン達は二人に開けられた正門を越えて街道に急行した……!
現在閃U篇終章で離宮突入前なのである程度閃U篇を書く際の内容が固まってきたので、今の内に言っておきます。閃Tの最後は原作通りす。ただし、セレーネは閃U篇の最初からいるのは確定していますし、ヴァリマール撤退後のオリジナル話も書くつもりです。ちなみにその際、ベルフェゴールとヴァレフォルがヴァリマール撤退後に駆け付けて来る”援軍”と共に大活躍する事は確定していますのでその時をお待ちくださいwwさすがにその時点でクロウが死んだり、オルディーネが破壊される事はありませんのでご安心下さい。まあ、酷い目に合う事は確定していますが(黒笑)後、閃U篇にて貴族連合……特にアルバレア家が悲惨な目にあいます。理由は閃Uをやっていればわかるでしょう?リウイやリフィアっつーか、メンフィル帝国の逆鱗に触れて戦線布告されてエレボニア帝国を滅ぼされる当然の行いを1度ならぬ、計3回もする予定なのですから。あ、ユーシスの救済は確定していますから、そこはご安心ください。そして貴族連合の行いに業を煮やしたリウイ達が第一部終盤と幕間で大活躍という名の蹂躙戦をする事も確定しています(黒笑)
説明 | ||
第293話 | ||
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コメント | ||
完全ROM専様 ちなみに現在考えている終章ではシャロンも決戦前夜の時点でいる事になっていて当然の如くリィンと18禁展開、その後アリサに見つかって3人でプレイ……という展開をちょびっと考えているんですよね。フッ…………(sorano) ってことは、ラウラもヒロイン入りの可能性が!(最後の絆イベントのラウラが可愛すぎた・・・)(完全ROM専) ジン様 いえ、オーロックス砦はメンフィル領じゃないです。 kanetosi様 アルバレア公については惨たらしい最後を予定しています(ニヤリ) 後、マクバーンと戦う相手はとんでもない相手を予定していますww(sorano) 本郷 刃様 ルーファスですか?さあ、どうなるでしょうねぇ(遠い目) Sakura0130Sea様 救済といっても生かす事はできますけど、無罪放免とかはできませんよ? 八神 はやて様 閃Uの所業を知ったらねぇ?(sorano) マジロン様 ヴァリマール撤退については後にわかるかと kelvin様 閃Uをプレイして、アルバレア公爵は死ぬべきだなと思いましたね(怒) 完全ROM専様 はい、自分の想いを告げてリィンとセ○ク○しまくっている仲なので、失恋は100%ありえません。 というかそれ以前に閃Uは終章は原作が最初から崩壊するから、決戦前夜イベントをどうするか悩んでいるんですよね(sorano) 追文 勝てる奴いるのか?本気出したマクバーンってある意味退治できない感じなんだが・・・まあ神格級のやつが出てくればその限りではないんだろうが、少なくとも大苦戦すること間違いないしだな(kanetosi) アルバレア公、貴様に慈悲はいらないな?あんだけひどいことをしたんだし、惨めに消えろ! ↓はおそらく、オーロックス砦にも貴族連合が侵攻するからだと思う。さすがにアルバレア公が取られたままにしておくわけがないしね・・・というか、結社の執行者gTのマクバーンに勝てる奴(kanetosi) 思ったんですけどリィンはアイゼンガルド連峰まで行く必要ないよね?だってオーロックス砦は既にメンフィルの砦になってるし。(ジン) アルバレア公・・・・・貴方の行為には呆れを通りこしてますよあんたになんという言葉を送ったらいいのやら・・・(八神 はやて) クロウにはどうか救済措置を………(Sakura0130Sea) まぁアルバレア侯爵は仕方が無いですよね〜・・・光と闇の軌跡ではルーファスは死にましたが、ここでは生きていて欲しいと思ったり・・・(本郷 刃) 閃Uの決戦前夜の絆イベントは、現状ではアリサ、エマ、トワ、アルフィンは確定しているようですが、他のキャラも加えるのですか? 本作のアリサは既に結ばれているので、終章である(らしい)アリサの失恋イベントは無くなるようですね。よかったよかった (完全ROM専) アルバレア家、仏の顔すらも省みぬ所業ですか(間違いなければ既に二回も喧嘩を売ってるので)……というか、トリスタに侵攻した時点でメンフィルに喧嘩を売ったのが四度(一・二・四章)目にw私はもう知りませんw(kelvin) もうすぐわかることなんでしょうが先に突っ込みを、ヴァリマール撤退はともかくリィンが撤退に追い込まれる自体が想像できませんねwクロウ魔神や女神に妖精王女相手にどこまで太刀打ちできるのかwww(マジロン) |
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