えいぷりるふーる大謀戦! in 魏 〜懲罰編〜 |
激動の謀略大会から一夜が明けた……
昨日、あのあと鬼神たちに捕まった俺は、口ではとても言えないような仕打ちを受け、それはもう……心も体もボロボロになった。
今日は一日寝ていよう、と部屋の寝台で横になっていたところに、華琳はやってきた。
「一刀、罰の執行に付き合いなさい」
そう…昨日一度も勝てなかった春蘭・桂花・季衣の三人には、本日、厳しい罰が執行されるらしいのだ。
俺はそれに、是非も言わせてもらえず、付き合わされるのだった……
………………
…………
……
許城下の大通りを、一陣の風が通り抜ける。
(ヒュ〜〜〜〜)
「ひゃぁっ!……こ、これでは、何も穿いてないのと変わらんではないかっ!」
「ちょっと春蘭!こんな時くらい、そのでっかい図体で私をうまく隠しなさいよ!」
「うぅ〜〜……恥ずかしいよ〜〜」
「ふふっ…三人とも、良く似合ってるわよ?」
「「「か、華琳さま〜〜……」」」
三人に執行された罰と言うのは、俺が天界にいた頃の学校『聖フランチェスカ学園』の女生徒用の制服を着ての、市中引き回しの刑(?)だった。
大会の少し前、俺は華琳に聞かれ、覚えている限りの制服の意匠を、華琳と華琳お抱えの仕立て屋に伝えていた。
まぁ、こういう形で使われるとは、思ってもいなかったが……
驚くべきは、ほぼ完璧なフランチェスカの制服が完成したことか。
恐るべし、職人パワー!
しかも、ただの制服にあらず。
スカート丈が、膝上2〜30cmはあろうかという、かなりのミニスカートだ。
罰に使うためだからなのか、華琳の個人的な趣味によるものかは不明だが…
少し屈もうものなら、あるいは少し風が吹こうものなら、すぐに中身が見えてしまうだろう。
三人には悪いが、みんな普段とは違うスカート姿で、とても新鮮だ。
華琳……いい仕事してるぜ!
眼福眼福…
華琳を先頭に、三人を引き連れ、最後に俺と言う形で大通りのど真ん中を歩く。
脇には申し訳程度に、親衛隊が2名ずつ左右を固める。
通りの両端には、何事かと集まってきた住民が、二重三重の人垣を形成している。
ちょっとした大名行列みたいな感じだ。
見慣れぬ意匠の服に興味を示す人もいれば、それを着ている人に興味を示す人もいる。
耳をそばだてれば、方々から
「曹操様の後ろの人らは誰だ?」
「…もしかして、将軍様じゃないか!?」
「軍師様もおるぞ」
「いや、そんなはずあるまい。あれは曹操様の奥の方たちであろう…」
「……相変わらずじゃのう」
…………
その他その他
様々な民の声が、聞こえてくるのであった。
「兄ちゃ〜ん…」
「ん?」
そんな中、スカートを気にしながら、季衣がひょこひょこと近づいてきた。
今日の季衣は、髪を下ろしている。
桃色の髪をなびかせ、髪の毛とお揃いのピンクのベレー帽をかぶった季衣は、まさに野に咲く一輪の花のような可憐さを見せる。
普段の快活な季衣も魅力的だけど、これはこれで、また違う季衣を感じさせる。
「兄ちゃん…ボク、変じゃない?」
「変?どこがだ?」
「だってボク、あんまりこういうヒラヒラした服着ないし……こんな可愛い服、ボクには似合わないんじゃないかって……」
季衣は袖口を弄りながらモジモジしている。
ったく…そんなこと気にするなんて…
まっ、季衣らしいと言えば、そうなのかもしれないけどな…
俺は季衣を安心させるために、帽子の上から頭にポンと手をやる。
「まったく…馬鹿だよな、季衣は」
「むぅ…馬鹿ってなんだよぉ〜……」
ほっぺたを、プゥっと膨らませる季衣。
そんな顔も可愛いんだけど…
「それ着た自分の姿、鏡か何かで見たか?」
「見て、ないけど…」
頭にやった手を肩にもっていき、腰を落として季衣と目線を合わせる。
「今俺の目の前には、飛びっきりの可愛い女の子がいるよ。季衣……それは、季衣だよ」
「ウソ…っ」
「嘘なんかじゃないさ。季衣は可愛い!それは俺が保証する」
「に…兄ちゃん……っ!」
「だから自信を持って、みんなに見せびらかすくらいの気持ちでいろよ、なっ?」
「うん!ありがとう、兄ちゃんっ!!」
ニコッと満開の笑みを俺に見せ、季衣は先頭を行く華琳のところへ走っていった。
あ、あぁっ!そんなに動いちゃ見える、見える〜っ!
ついで、しばらく経っても慣れない様子の二人にも声をかける。
春蘭は、大きな体を隠すようにコソコソと歩くのだが、それが逆に目立ち、さらに体を小さくしようとし、またそれが目立ちと悪循環に…
露出度は、普段着ている服のほうが高いだろうに。
桂花は、たまに送られる強烈な男の視線に卒倒しそうになりながらも、何とか春蘭にしがみついて耐え、大事には至っていないようだ。
ちなみに、春蘭は緑が基調の三年生タイプ、桂花は青が基調の二年生タイプ、季衣はピンクが基調の一年生タイプを着ている。
春蘭も凛としていれば、不動先輩に似てなくもないんだが……
「おう、何をコソコソしてるんだ、春蘭、桂ふ…」
「こっち来ないで!!」
俺が近付こうとすると、桂花がそれを大声で制する。
「な、何だよ…」
「近付かないで!こんな格好のときにアンタに近付かれたら、いつ孕まされるか分かったもんじゃないわ!!」
「ちょっ……おい!人聞きの悪い…」
慌てて周りを見回せば、桂花の発言を聞きつけた通りの人たちが、俺をチラ見しながら何かコソコソと話している……
これ以上何かあらぬことを言われては、俺の天の御使いとしての威厳(?)がっ…!
「分かった!桂花、俺はもうこれ以上近付かないから!!」
「ふ〜〜〜〜…!」
俺の言葉など信用せず、八重歯をむき出しにし、威嚇することを止めない桂花。
「それで何の用だ北郷。こんな格好の私たちを笑いにでも来たか?」
何故か自分を卑下する春蘭。
やれやれ、自分の魅力に気付かないものかね…?
「いやいや、結構似合ってるぞ、春蘭?」
「な、なななっ……」
「普段のピッタリとした服もいいけど、こういうフリフリの服もなかなか可愛くていいじゃないか」
「お…おのれ北郷!私を愚弄する気かっ!!」
今日は丸腰のため、素手で組み敷かんと、俺に飛びかかろうとする春蘭。
でも、そんな格好でそんなことすると……
「おい、春蘭…」
「なんだ!?命乞いなら聞かんぞ!!」
「いや……」
ピッと俺はスカートを指差し
「見えるぞ、春蘭」
「なっ……!」
ババッと春蘭は、スカートの前と後ろを押さえる。
「ぐっ……おのれ北郷…卑怯なり!」
「いやいや、文句はその服を着せた華琳に言ってくれよ」
「くぅ……」
華琳の名前を出すと、押し黙る春蘭。
これでしばらくは大人しいだろう。
俺はもう一人の桂花にも、少し遠目から
「桂花も良く似合ってて可愛いぞー」
と言っておく。
すると桂花は、おおよそその体からは想像もつかないような形相で、俺を睨みつける。
「はぁ!?アンタなんかに褒められたって、これっっっっっっぽっちも嬉しくないわよ!!!」
……そんなに促音をつけますか。
「……じゃあ、桂花は誰に褒められたいんだよ?」
「そりゃあ、私を褒めていいのは、この世に唯一人…華琳さまをおいて、他にいらっしゃらないわよ!」
やっぱりか、と嘆息しつつ、俺は視線で前方の華琳に助けを求める。
俺と目が合うと華琳は、得たり、と俺の方に向かってくる。
この辺の阿吽の呼吸が、かなり嬉しかったりする。
「桂花…一刀の言うとおり、その格好、とても良く似合っているわよ」
華琳に声をかけてもらうと、桂花は恍惚の表情を浮かべる。
「あぁ…華琳さま!ありがとうございます……このゴミクズの言うとおりだというのは引っかかりますが…もったいないお言葉です〜〜♪」
桂花はそう言いながら、俺をさりげなく突き飛ばし、華琳にすすすと近寄る。
「華琳さま………私、このような格好は華琳さまの前以外ではしたくありません!」
「そうねぇ…こんなに可愛い桂花なら、独り占めしてしまうのも悪くはないかもね?」
「――で、でしたらっ…!」
「でもね桂花?それじゃ……お仕置きに、ならないでしょ…?」
桂花の両肩に手をポンと置き、にっこりと薄ら笑う華琳。
……あれ?華琳、ちょっと怒って…る?
「我が魏の筆頭軍師・荀文若ともあろう者が、与えられた情報を冷静に分析もせず、誤った判断を下したなんて……ねぇ?」
「ひっ!」
微笑を湛える華琳に睨まれると、桂花は蛙のように身を硬くする。
そんな桂花に、華琳は諭すようにこう言った。
「せいぜい男からの視線に耐え抜いて、忍耐力と冷静な判断力を養いなさい」
そう言い捨てると華琳は、列の後方へ下がってしまった。
「か……華琳さまぁ〜〜…!」
……不憫なり桂花。
でもまぁ…しょうがないか。
俺たち、懲罰行列(?)の先頭は、季衣に変わっていた。
偉くご機嫌な感じで、通りからの声援にも笑顔で手を振って応えている。
……俺の言葉が少しは役に立ったかな?
春蘭と桂花はと言うと、先ほどと同じようなポジションに…
春蘭はスカートの前後を押さえながら歩いているので、前よりも奇妙な歩き方になっている。
若干瞳を潤め、羞恥の表情を浮かべる顔は、なかなかにそそるものがある…
桂花はと言えば、先ほど華琳に言われたせいか、前より男の視線に敏感になり、卒倒しそうになる頻度が高くなっている。
そんな三人を見つめながら、俺と華琳は後方をのんびりと歩いている。
「……なぁ、華琳」
「なに?一刀」
「昨日の大会はさ、華琳がこれを見たいがために、開いたのか?」
「ん〜……半分くらい当たりかしらね?」
半分もあるのかよ…
「あとさ、さっきの桂花のことだけど……本当は怒ってないんだろ?」
「あら、上手くやったつもりだったけど…うふふっ、一刀には見抜かれていたのね」
俺に当てられたことが、さもおかしい(嬉しい?)と言わんばかりに、微笑む華琳。
「いや〜〜、まぁ何となくだったけどね?」
「でも、これも半分くらい当たりかしら」
「えっ?」
「本気で怒るつもりはないけれど、桂花はいとも簡単に私の罠に嵌ってしまったでしょう…」
「…何だって?」
今、罠とか嵌ったとか……
「何でもないわ。私も軍師三人には期待していたのだけれど、桂花はあっさりと負けてしまったでしょう?不甲斐ないっていう怒りは、少しあるわね……それに立場もあることだし、お咎めなしって訳にはいかないわけ」
「そりゃまぁ…そうだよな」
一応、桂花は魏のトップクラスの軍師なわけだし。
いかに戦場ではないとは言え、あっさりと負けてしまったからには、華琳も王として、叱責をしないわけにはいかないだろう。
「それに……最近はあまり桂花にお仕置きする機会もなくなってきたから、たまには恐怖と絶望に慄く顔も、見ておきたくなるのよね」
「…………」
やばっ…久々のドSモード華琳だよっ!
「春蘭の恥らう姿も、なかなか乙よね。こんなことなら、たまにこういうお仕置きも取り入れようかしら?」
「…………」
「季衣はあれで良いわ。……誰かさんが無理やりこじ開けてしまった蕾でも、今は健やかに…そして美しく咲き誇って欲しいの」
「……さいですか」
本当に久々に顔を出したな、このモードは…
話を聞くに、俺が天界に一度戻って以来、以前のような女漁り(?)も影を潜めていたらしいのだけど……
まぁ願わくば、ドS華琳の矛先が俺になるべく向きませんように!
…………
……ん、待てよ?
「あのさ、華琳……もう一ついいか?」
「なによ」
「………もし俺が昨日、一人も騙せずに負けたときは、どうするつもり…だったんだ?」
「それは……」
「…………」
「…………」
「ま、まさか……」
「…さ、そろそろ城に戻りましょうか。あの娘たちも反省したことでしょうし」
華琳らしくなく、視線と話を逸らし、三人の方へと踵を返す。
「ちょっ……おい!待てってば、おいっ華琳!!」
慌てて後を追う俺。
もしかしたら、俺がアレを着せられてたかも…しれないのか?
そう思うと昨日一回でも勝っておいて良かったと、心からそう思うのだった……
説明 | ||
だいぶ間が開きましたが、前作の翌日、懲罰編です。 自分としては、短めにテンポ良く進んでると思うので、いつもよりは読みやすいと思います^^ 私事ですが、恋姫まつり開催中に書いた作品 『さようなら、一刀? 〜『絶』対にあなたといつまでも〜』↓ http://www.tinami.com/view/54289 が、この度1万閲覧を超えました。 4ヶ月近く前の作品ですが、毎日こつこつと読んでくださる方がいらっしゃるようでして、自分としても嬉しい限りです。 この場を借りて、自分の作品を読んでくださった方に、改めてお礼申し上げます^^ 次回更新は、今月中に行えればなと思います。 よろしければ、楽しみにしていてください。 ご意見ご感想、誤字脱字、またリクエスト等々ありましたら、どしどしお寄せ下さい! よろしくお願いしますm(_ _)m |
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コメント | ||
motomaruさん>たまには見せないと忘れられそうで…w(DTK) やべ〜ドSモード脅威すぎんだろ!!(motomaru) Nyaoさん>稟に見せる手はありそうですねwまぁryですがww(DTK) ブックマンさん>一刀だけならず、他の娘もやりましょう。ただ、お仕置きのためとなると、なかなか風には着せられないかも?w(DTK) ふじさん>そのフラグも狙いですよ?( ̄ー ̄(DTK) 皆さんコメントありがとうございます^^一刀の女装希望が多くてビックリしましたwいつかやりましょう!ww(DTK) 一刀の女装、意外と似合ってそうw 稟に見せたらどうなるんだろう・・・ry(Nyao) 制服いいですね。ぜひほかの武将たちにも着てほしいです。(ちなみに風希望です)(ブックマン) Σ( ̄Д)(零壱式軽対選手誘導弾) 一刀のミニ・・・ ちょっと見てみたいかもwww(YUJI) 一刀の女装・・・・ロングのカツラ+化粧すればいけr(ry) 次回も期待ですねwww(Poussiere) 一刀の女装かですか?是非みたいですwww(フィル) いやでも一刀は割りと女顔な気がするからメイク次第で化け・・・桂花フラグ1(ぇー(ふじ) 一刀の女装…見たi……なんでもないです!次も期待させていただきます! (つよし) 一刀のミn…………よかったね一刀w(混沌) |
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