戦国†恋姫 の続きを妄想してみた。その5 |
古代中国のとある三国志の外史。とある王宮の一刀専用の執務室にて、一刀付きの侍女の一人である大喬がお茶を運んでいた。
「では、ご主人様。また、お声をおかけくださいませ。私は、娘の元に行ってまいります。」
「あぁ。ありがとうな。俺も顔を出せるようにするから、雪蓮と小喬、それにあの子によろしくな?」
「はい。なるべく、早く来て下さいませ?ご主人様…いえ、旦那様。」
彼女は一刀に抱きつくも、すぐに離れて部屋から出ていった。さてっと、一刀はそうつぶやくと貂蝉の方を向き、お茶を渡した。執務用の椅子に腰かけ、報告を聞いていた。
「ご主人様ぁ〜あの外史で暗躍しているのは〜神仙よん!それもぉ〜、か〜なり凶悪な奴だわ。」
一刀は目を細めながら、やはりっとつぶやく。元々、貂蝉から噂を聞き剣丞のいる外史に赴いたのが約1年前。その時、一刀は一人の女性を救ったが、それ以上の深追いはしようとしなかった。いや、正確には犯人の尻尾がつかめなかったのだ。自身の調査によって外史の選定者に仕立て上げられたルイス・エーリカ・フロイスが、織田信長を殺そうと暗躍していることは分かった。だが、これは剣丞に与えられた試練。過去の者となった、三国の御遣いである自分が手を出してはならない。
「だが、今回は事情が違う。神仙が動いてきたということは…奴らの狙いはあの世界の破壊だろう。そうなれば、あの世界の『過去の世界』であるこの外史にも影響が出てしまう。」
「えぇ。だ〜から、私もぉ本気で捜査したのよん?大切なぁ〜この外史をまもるためにぃ〜。昔馴染みの八仙の長、呂厳ちゃんにも出張ってもらってね?」
「呂厳?」
「えぇ。八仙と呼ばれる八人の肯定者の神仙を頭としている大組織よん。実は、この外史のぉ〜管理者もしてくれているのよん。」
八仙呂厳…聞いたことがない名前だったが、貂蝉の言葉からは親愛を感じさせられた。
「分かった。では、貂蝉。報告を続けてくれ。」
一刀に話の続きを促された貂蝉はこくりっと頷くと、話を再開した。
「あの外史でぇ〜、暗躍している神仙はぁ〜、呂厳ちゃんにかつて封印されたぁ〜とある神仙よん。彼は、北郷一刀とその血筋のモノを嫌っているわぁ〜。」
「なぜだ?」
「全てはぁ〜始まりの外史からぁ〜はじまったのぉよ〜。そして、あの男もぉ〜始まりの外史に関係しているわん。」
貂蝉の顔は少し、悲しげな様子だった。一刀もそれ以上は何も聞かず、そうかと呟くと、お茶で口を潤した。
「始まりの外史…始まりの俺…全ては繋がっているのか。剣丞…この根は深い、無事でいろよ。」
外史を渡り、ここは戦国時代の外史。剣丞たちがいる戦国の外史。重傷を負うものも、一刀に救われ、一発屋に運ばれた剣丞は親交があった天主教の金創医によって治療されていた。剣丞の額の汗を手ぬぐいで拭きながら、おきよは剣丞に寄りそう。剣丞の隣には小波が寝かされており、こちらの処置はすでに済まされていた。両手は縛られているが、きよの父が世話を焼いていた。
「あの…」「ん?気がついたか?」
小波が目を覚ましたようだった。小波はあたりを見渡し、自分の置かれている状況を把握しようとする。
「あ!あの!ご主人様は?剣丞様は、ご無事ですか!?」
それに答えたのは剣介を治療していた医師だった。
「大丈夫、利休先生は無事じゃよ。おそらく、君が無意識のうちに薬に抵抗した結果じゃろう。急所が外されていたよ。じゃが、不思議なのがここからじゃ」
「えっ!?」何事かと小波は目を見開いた。おきよは小波に向き直り、状況の説枚を始めた。
「医者を呼んでくるまでに、私たちでせめて応急処置はしようと思ったの。でも、剣丞の傷は半分以上が消えて無くなっていたわ。医者の先生が処置したらほとんど治ってしまったの。」
なんですって?っと驚く小波に医師も苦笑いしながら続けた
「ワシも…医者をやって長いが、こんなことは初めてじゃよ。これが、天人の血がなせる奇跡なのじゃろう。」
ありがたやありがたやと剣丞を拝む医師に、小波は笑顔になる。
「では、ご主人様は…ご無事なの…ですね!?」
小波の瞳に涙がたまる。だが、それをぐっとこらえたが…「えぇ…安心して。」と言うきよの言葉を聞いた瞬間、小波は耐え切れなくなり、声をあげて泣き始めた。自身の過ちが未然に防がれたことへの安堵か?いや、それは良人が無事だったことへの喜びだった。
???…剣丞の心の中
剣丞は一人、何もない空間を漂っていた。真っ暗な空間に不安を抱くも、何もすることができない。一体、どれくらいたったのか?一時間?一週間?一年?いや、一秒か?とにかく、ここが現実世界ではないことは分かる。
「あれぇ〜?俺…死んだ?」冷汗を垂れ流しながら剣丞は空間を見渡した。ここが天国…いや、地獄ならなにかあるかもしれない。そんな剣丞に突如、後ろから声をかけるものがいた。
「おいおい…何いきなりキョどってんだ、お前?」「へっ?」
後ろにいたのは、見たことのない服を着た青年だった。その男は中華風の導着を着ていた。そして、顔をフードで覆ていた。
「え〜っと、どちら様で?」
「第一声がそれか…?貂蝉からマイペースな奴とは聞いていたが、ここまでとは。まぁ、いいだろう。オレは…呂厳。神仙呂厳、この外史の管理と維持を司る者だ。初めまして…かな、天の御使いを継ぎし者新田剣丞よ。」
いつの間にか、周りは荒野になっていた。月の無い新月だった。だが、なぜかは知らないがこの男からは伯父…北郷一刀と同じお日様のような温かさが感じられたのだった。
つづく
説明 | ||
ごらんいただきまして、ありがとうございます。 第5話です。今回は短いですが、どうぞお付き合いくださいませ。 皆様からのご意見、ご感想をお待ちしております。 |
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