ゆりおん!5〜ゆいvあず2〜 |
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あずにゃん、じっとしていて。
私と唯先輩の顔が近い。辺りにはドライフラワーの花びらと大勢の人の視線を感じる。
しかしそれよりももう間近のウェディングドレスを着た唯先輩と先輩の言葉が耳に残る。
「じっとしていて」私の体は緊張から硬直していて軽く震えているのがわかって先輩は
そう言ったのだろうか。
唯先輩の声を聞いていると胸のドキドキは強いままでもどこか安心することができる。
慣れない匂いの服装に華々しく飾った背景や知り合い達。
私と唯先輩の結婚式。
私が告白してから何度ともなくした唯先輩とのキス。
だけど今日のキスはいつもより特別で愛おしく感じられた。
「私、あずにゃんを幸せにするからね」
「唯先輩・・・」
よもや周りの音ははっきりと耳に届いてこない。それどころかのぼせたのか
目の前にいる唯先輩の声ですら遠く感じる。
私の手を握っていた温もりも向けてくれる笑顔も少しずつ薄くなっていく。
涙が出ているせいなのか・・・それとも・・・。
**
「あずにゃん〜」
頬にちょっとつねられる痛みを感じて私は飛び上がるように起きた。
その様子を見て楽しそうに笑う唯先輩がいた。
そうか・・・あれは夢だったのか・・・。
「どうしたの、あずにゃん?」
泣いてる? と心配そうに私に顔を近づけてくる。
夢のことがあってか少し照れくさい気持ちがありつつ私は動かなかった。
夢があまりにも幸せすぎて現実に戻ったときのさみしさが強かったのかも。
「これから色々決めるのにこれじゃ困るね」
「普段から困らせる先輩に言われたくありません!」
「でもでも、結婚式を行うための準備をこれから話合うのに〜」
先輩に言われて私は夢から醒めたのと同時に「忘れていた」ことを
思い出した。そうか、これから先私たちは結婚式をするんだった。
大学を卒業した先輩と、大学の単位を順調に取っていく私はお互いに
時間が余裕のある日と取って大まかな段取りを話し合うことになって。
私と先輩が集めてきた資料があまりに膨大で見ていると
眠くなっていって、いつしか眠ってしまっていたようだった。
気が遠くなるような内容もありつつ唯先輩の心地の良い声が
子守唄のようになっていたせいもあったかもしれない。
それにしても勉強とは違う疲れが私と唯先輩を襲っているのは確かで。
何だかんだ言っている先輩も私と大差ないほど眠そうにしていた。
「わかりましたから、とりあえずコーヒーのおかわりを」
「あ、私も〜」
人の出入りの少ない喫茶店で暇そうにしていた店員さんを呼んで
コーヒーを再度注文した。
そうか、私結婚式をするのか。
夢物語だったものが現実に。
籍を入れられるかは別として結婚式は他の人たちと同じようにプランを
立てられるようで安心した。他と違うのはウェディングドレスを着た
お嫁さんが二人いるということくらい。
この、お嫁さんが二人というのが私の心をくすぐっていた。
普通のカップルと同じような気持ちで好きになれた先輩と。
女の子同士で。
どこか背徳的で誰よりも特別のように感じられて幸せだった。
意外と周りの理解は良くてすんなりと私たちの関係を認めてくれた。
というより、他の友達や先輩たちもカップルとしてくっついているから
その流れも当然かもしれないけれど。
学生ももうすぐ終わり、将来に向けて考えたら形だけでも式を
行いたいと先輩が言って私は悩むこともなく即決した。
お互いに勉学の合間にバイトで貯めたお金を使って指輪を買って。
一緒に買いにいったけれど何を買ったかは当日のお楽しみということで。
それからどうやって式をするかの話し合いで躓いてしまっていた。
「けっこう大変ですね、これ」
「うん。こんなに大変だとは思ってなかった。はっきりして少し舐めてたー」
「唯先輩はいつも世間を少し舐めてると思いますけどね」
「そんなぁ、照れるな〜」
「褒めてないですけどねっ」
でもそういう風に自分に素直に直情的に私に気持ちを伝えてくれる先輩が
好きでここまで来たわけだけれど。
「あずにゃん、いい考えが浮かんだよ。憂に」
「今回は私たち二人で。憂は禁止」
「うぇー、いつまで経っても決まらないよ〜」
「そんなに急ぐことじゃないんだからゆっくり決めていけばいいじゃないですか」
「それもそうだけど〜」
唯先輩は今日明日で出来るものだと思っていたらしくて 落ち着きなく体を
揺らして駄々を捏ねていた。それを見て私は顔を少し赤くしながら
先輩の耳元に手を当てて小さい声で囁いた。
「帰ったら先輩のしたいことしますから。ちゃんと考えましょう」
その言葉に聞いた先輩はいきなりやる気を出してイキイキした表情で
私に声をかけてきた、
「さっ、サボってないでがんばるよ!あずにゃん!」
「サボってたのは先輩でしょっ」
二人の住んでいる場所で何をするかは想像にお任せとして、普段時間が
多く取れるわけでもないからこういう瞬間がほんとに大事で好きだった。
だからついつい私もちょっとハメを外したりすることもあったりして。
ちゅっ
不意打ちするかのように先輩の隙だらけの唇を奪ってちょっとツンっとした
ように言った。
「これで私もがんばれます。さっ、唯先輩も口だけじゃなく。ちゃんと意見くださいね」
「うん・・・」
一瞬呆気にとられたような顔をしながらもその後すぐに顔を赤くして小さく頷いた。
結局その後もちょっとしか進展はしなかったけれど、将来の目標は決まってるから
いつか行えるであろう。
さっきの夢はそのフライング的なものなのだった。
いつの間にかテーブルにあったコーヒーはすっかり冷めてしまっていて
私と先輩は早めに飲み干してから資料をまとめて喫茶店から出た。
涼しかった喫茶店から外に出ると日差しの強い夏の陽気。
結婚式をする頃はいつの季節になるだろうか。
でも、もし例え遅すぎたり最悪しなかったとしても今私の手を離さない
この人を私はずっと愛していくだろうということは強く、強く感じていた。
「さぁ、あずにゃん。帰ったらイチャイチャしようね」
「はいはい、お手柔らかにお願いします。唯先輩」
「そういえば式するときも先輩呼びなの?」
「え?」
「彼女に向かってずっと先輩も変じゃないの?」
「そ、それはいつか直しますよ」
「じゃあ今から練習しよう」
「え!?」
「はい、あずにゃんからどうぞ」
「ゆ・・・ゆゆゆ・・・ゆ・・・い・・・」
「きこえなーい」
「ゆい!」
「はい、ちゃんと言えましたね〜。あずにゃん」
「先輩もちゃんと私のこと普通に呼んでください」
「え?」
「おあいこですっ」
「あ、あずさ・・・」
「はい、よくできました〜」
二人で顔を赤くしてこそばゆい気持ちに浸りながら
話していると後ろから懐かしい声が聞こえてきた。
「おい、そこのバカップル。人がいるとこでイチャイチャするな〜」
驚いて振り返るとそこには高校生の頃一緒にいた澪先輩、
律先輩、ムギ先輩が苦笑いして立っていた。
「み、見てたんですか!?」
「見たくなくても目に入るとこでやってるんだろー」
律先輩のツッコミがすごく久しぶりに入ると気持ち良くて
つい笑ってしまった。
ちょっと予定が変わってしまったけれどこんな日も悪くはない。
そんな昔を振り返るようにみんなで賑やかに話をしながら時間を過ごした。
・・・案外、あの夢はそう遠くない未来で待ってるのかもしれなかった。
お終い
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ブログで書いてたもの。どこかで百合結婚式してた本を見て 高まったまま書いてみたもの。後悔はしていない。 というか二人の結婚はよ( ゚∀゚)o彡゚はよ! 中身としては結婚式を夢見る乙女梓と唯のお話? |
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