【真・恋姫†無双if】〜死を与えることなかれ〜10話
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「……という事です。わかりましたか〜。一刀さん?」

 

「ああ、寡兵で倍以上の精兵に立ち向かう時は。臆病風に吹かれぬ様、

 味方を鼓舞し士気を高める事が重要であり、それが勝利の鍵だろう?」

 

「確かに。士気が低い部隊など赤子の手を捻る様なものだからのう〜」

 

「はい、その通りですよ〜」

 

 

一刀さんに内政、軍事の基礎、応用を御教えしてから早数刻、楽しいと時が経つのは早いですね〜。

 

一刀さんは素直で飲み込みが良いので、その聡明さに舌を巻いてしまいます。

 

まさに、優秀な生徒さんの鑑ですね。

 

………でもでも〜。

 

 

「祭様〜。同席は許可しましたが杯を片手に嗜まないで下さいよ〜」

 

「別に、迷惑を掛けてる訳じゃないから良いではないか」

 

 

そう言うと、祭様は杯を呷り気持ち良さそうに息を吐く。

 

そして、頬杖を付いて目を細め、楽しげにこちらを窺う。

 

 

「こうして、二人を眺めて呑むのが今日一番の酒の友じゃ。

 と言う訳で北郷、酌をせい」

 

「やれやれ、これで何度目だよ。祭さん」

 

 

言葉では軽く悪態口を吐きながら、仕方がないと苦笑を漏らしお酒をお酌する一刀さん。

 

注ぎ終えると私にお顔を向け同調を促す様に困り顔で首を傾げる。

 

流石にこのままではいけません〜。

 

 

「祭様。これ以上邪魔を致しますと、退席して貰いますよ。

 時は限られていますから」

 

 

少し怒気を孕み祭様を注意する。祭様はまたもや、お酒を口にして一息つくと…

 

 

「わかった、わかった。そう邪険に扱うではない。もう酌は頼まん。

 御主等は存分に軍法戦術の真髄に近付くが良い」

 

 

効果がありましたでしょうか?ともあれ祭様は邪魔をしないと約束してくれました。

 

これで集中して一刀さんと有意義な時を過ごせます〜。

 

 

「では、一刀さん。再開致しましょう。何処まで話しましたでしょうか〜。

 そうそう、寡兵での重要な事でしたね〜」

 

「ああ、引き続き宜しく頼むよ」

 

「はい〜」

 

 

一刀さんは筆を取り、準備万端、何時でもどうぞと言った具合にやる気に満ち溢れている御様子。

 

その証拠に、机の上においてある竹簡を御自身で用意し、重要な部分を書き写しております〜。

 

何時もは竹簡など用意しませんのに〜。

 

けれど、あの覚悟、決意表明を聞きましたら納得せずに入られませんよ。

 

 

『…今まで、俺は教わる事に恐怖を抱いていた。軍師の知識を得るという事は、

 自らの采配で人の命を刈り取る。俺の世界ではその行為は殺人教唆であり禁忌なんだ。

 頭では覚悟していた。けど、いざ戦場で采配を奮い策を駆使し、目の前の惨劇を目の当たりすると

 心の均衡が保てなくなった。それから、情けない事にその光景が何度も夢に出てきてその都度魘された。

 そして、夢の中で這い寄る無数の手が四肢に纏わり付き、耳元で囁くんだ』

 

『痛い身体が痛い!!貴様がいなければ、我は死なずにすんだ。

 この怨み晴らすべからず…!!』

 

『って、さ』

 

『一刀さん。辛いならお辞めになってもいいのですよ。

 誰も貴方を責めたりは致しません』

 

『少なからず、そう思っていたよ。辛かったし、逃げ出したいって。

 でも、そんな時、俺を救ってくれたのが国だった。

 こんなどうし様のない俺を募ってくれる兵の皆、隣で励ましてくれ切磋琢磨して強くなろうと誓った将の皆。

 大した事もしていないのに、感謝し優しくしてくれた民の皆。この皆の其々の温かさにが

 腐乱しそうな心に光を与えてくれた。それからだよ、あの悪夢に魘されなくなったのは』

 

『……………』

 

『国在っての人ではなく、人在っての国。なら俺は感謝の印として

 守るべき力を身に付けないとって思ったんだ。それが、皆の恩義に報いる唯一の方法だし、

 愛して止まない孫呉を守りたい、って言う俺の意志でもあるから』

 

『…立派な心掛けです一刀さん。やはり、貴方は、天の御使いですね』

 

『はは、止してくれ。俺は只の弱っちい人間だよ。

 本来なら天の御使いなんて大それた名に相応しくない。それに、本音は名なんて捨てたい位だよ』

 

『…申し訳ございません、一刀さん』

 

『謝らないでくれ。天の御使いを演じると決めたのは他でもない、俺自身。

 全て覚悟の上だし、天下泰平を迎えるなら、思う存分、利用して欲しい。

 これも、また、俺の本心さ』

 

『…はい』

 

『と言う事で今日もご指導ご鞭撻の程、宜しくお願いします。穏先生』

 

『ふふ、では一刀さんの申し出通りビシバシと容赦なくお教え致しますね〜』

 

『…やっぱり、お手柔らかに頼むよ』

 

『駄目ですよ〜』

 

『冗談だよ。うし!!気合をいれ頑張りますか!!』

 

 

 

 

 

 

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「…穏?どうかした?急にボーっとして」

 

「あ、いえ、何でもありません。どうかお気になさらず〜」

 

 

いけませんね〜。私がこの様な調子では。お教えする身ですからしっかりしないと〜。

 

 

「北郷。穏は御主の男っぷりに見惚れていたのじゃ。

 それ位察するべきじゃぞ」

 

「いやいや、見惚れるなんて。そんな様相、何処にもなかったでしょ」

 

「……いえ、祭様の仰ってる事はあながち間違ってないかもしれません〜」

 

「えっ!!!!」

 

 

ほんの少しだけ、からかおうと思ったが故にでた軽口。

 

一刀さんは戸惑い。照れている御様子。思わず笑みが零れてしまいます〜。

 

 

「ほほう、穏も中々言うではないか。これは、宣戦布告と受け取ったほうが良いかのぅ?」

 

「…私は最初から一刀さんを気に入っておりましたから〜

 今更、その様に受けとられても〜」

 

「ふむ。まあ、そういう事にしておこうかのう」

 

「はい〜。さてさて、一刀さん。何時までも照れていないで再開しますよ〜

 目指すは古の将軍、韓信です」

 

「国士無双ときたか!!それは良い!!北郷しっかりと学に励むのだぞ!!」

 

「…やれやれ、二人の期待が大きいな。でも頑張るしかないか。

 それこそ、背水の陣で臨む様に」

 

「はっは。上手い事言いおって」

 

「ふふ、そうですね〜。それでは一刀さん。決意を新たに頑張りましょう〜」

 

 

 

 

 

 

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一刀さんとの思い出、一度も四季が移り変わっていないのに、

 

何故か遠い日の思い出となった如く、懐かしく捉えてしまう。

 

目の前に居らっしゃる祭様も同じ気持ちでいるだろう。

 

だが、祭様に注視していると、ある違和感に気が付いた。

 

懐かしさの中に哀愁を漂わせる雰囲気を纏っている、私の目にはそう見えた。

 

 

「…祭様。一刀さんは………」

 

「その先は言うでない。今は世迷言に現を抜かすのではなく、

 目の前の現実、戦に勝利する事だけを考えよ」

 

「…世迷言、ですか」

 

「………そうじゃ、世迷言じゃ」

 

 

また、愁いを帯びた瞳。やはり、私の…私と祭様の疑念は――――

 

 

「…穏!!儂は弓兵部隊と連携し一当て、突撃を決行する。

 御主は援護を頼む。それと今は、妄執にとらわれるのてはならん。

 聡い御主なら北郷の為に、今、成すべき事がわかっている筈、

 よいな、我らもまた、北郷の様に孫呉の道標となるのじゃ!!何があろうとも!!!!」

 

 

そう言うと、祭様は急ぎ早に、乗馬し弓兵隊に命令を下して精鋭騎兵と共に、

 

曹軍目がけ突撃していった。祭様の叱咤激励、一刀さんの孫呉への想い。

 

…わかりました。私も、屈強なる意志で孫呉の勝利に導きます。

 

そして、この後待ち受けている未来が、残酷なものだとしても、

 

私は、孫呉の為に惜しみなく力を出し続けるのを約束致しましょう。

 

 

「………もう、迷わない。迷いはしません――――!!」

 

 

 

説明
こちらは真・恋姫†無双の二次創作でございます。
早めに投稿できました。・・・zzZZZ
稚拙な文章、口調がおかしい所があるかもしれません。
それでも、暇な時間に読んで頂けたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
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コメント
雪馬さん>余り期待をせずご期待下さい……あれ、文章がおかしいなwコメントありがとうございます〜(南無さん)
げんぶさん>涙を枯らせられる程、次も頑張りますwコメントありがとうございます!!(南無さん)
あとのこってるのが雪蓮と冥りんですね。孫呉では一番大切な人達だから楽しみです(雪馬)
本郷 刃さん>あれだけの覚悟ですから間違いなく届くでしょうね。コメントありがとうございます〜(南無さん)
naoさん>本当に辛いですよね…。コメントありがとうございます〜(南無さん)
一刀はまさしく背水の陣で戦場に立っているようなものですからね、穏の想いが届いて欲しいです・・・(本郷 刃)
気づいててもどうしようもできないってのはきついですな〜;;(nao)
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