真・恋姫無双 雌雄の御遣い 第三十八話 |
〜華琳視点〜
「まさか、鞘華が援軍としてだけでなく呂布を従えてくるとわね」
涼州を殆ど制圧して、最後はあの馬騰を従えるだけだと思っていた矢先、馬騰死去の報せが届いた
それ故、涼州制圧の興味が薄れ、若い三羽烏に軍師として稟を就け全指揮を任せて主城を攻めさせた
だが結果は鞘華達の援軍で撤退
「鞘華と云うか一刀の所に呂布が居るのは予想外だったわ
月、貴方が呼びかけて呂布を此方に寝返させられないかしら?」
私は呂布の武を好ましく思っている
あれ程の武を手元に置きたいのは当然だ
「それは無理ね」
月でなく詠が答えた
「恋・・呂布が此方に来ても裏切り者として周囲から良い目で見られないわ
呂布はその辺の事を深く考えられないけど勘で察するわ
それに前に霞が言ってた高順がこの位の事、直ぐに思い至る
呂布は深く自分が考えられない事を知ってか知らずか、この手の事は高順の言に従うわ
つまり、呂布にも感づかれ、副官の高順にも見破られる、呂布が此方に寝返った後の処遇
寝返らせるのは不可能よ」
詠の言葉に反論は無かった
私は呂布が寝返ったら冷遇はしない ここに居る将達も実力を示しているので問題ないだろう
だが一般の兵達にはそうは行かない
実力は知っていても「裏切り者の将」として嘲るものが出るだろう
その程度の事は容易に察しがつく
「この乱世で以前味方だった人が今は敵になるのはあり得る事です
過去の縁に縋って、敵になった人を安易に味方に引き入れるのは愚策でしょう」
月に止めの一言を言われた
「呂布の事は諦めるにしてもこれからどうするかが問題ね」
私達は戦略の見直しを始める
〜鞘華視点〜
私の長安まで攻め込まないかと云う提案に
「だめだ、涼州の将が仕えるのは天子様のみ
鞘華の所に劉協陛下がいらっしゃるのは知っているが流石に長安を取り返せなんて命は受けてないだろ
受けたと言っても陛下から直に聞かなければ司隷の長安に攻め入る事は出来ない」
この返答は想定済み
確かに今回陛下から何も言われてはいない
「じゃ、それは諦めるけど、どの道華琳を撤退させないと
音々、策は無いの?」
音々は恋崇拝が過ぎるが、良い軍師になる素質はある
あの陳宮だからね
「簡単な事です
糧道を断てば良いだけです
つまり、此処を死守する部隊と、もう一つ部隊を造り天水を攻めればよいのです
天水を落とされれば涼州に長く留まる事は出来ないので撤退するしかなくなるのです
ただし、追撃はしない方が良いのです
追撃をすると此方にも被害が出るのです
今回は撤退させられてもまたいずれ来るであろう戦に備えて少しでも被害を抑えるべきなのです」
陳宮の策を採用することになった
「天水を攻めるのは速さが要になるから蒲公英、馬休の二人が行け
兵は1万で良いだろ」
「桔梗も連れて行って、門をぶち壊すのには最適よ」
そして、夜の闇にまぎれて蒲公英たちが出撃していく
「翠が残っていないと此方の士気は下がりまくるから翠は出撃出来ない
私達は騎馬に置いては涼州兵の足元にも及ばないからこの編成が最適
でも、ちょっと不安だよね」
「蒲公英も馬休も将として十分な素質は有るんだ
後は経験と自信さ だから不安は無いよ」
翠の言葉は嘘偽りのない物だと分かった
2日後、態勢を整えた曹操軍がやって来た
その数、約20万
「まったく、どんだけ予備兵力を持ってんだ」
翠がぼやくが無理もない
でも籠城だけだと士気も持たない
「飛将軍、呂布と『天の御遣い』北郷鞘華が援軍に来たんだ
この戦、乗り越えられるぞ!」
翠が私達の名前を利用して兵を鼓舞する
「すまん」
翠が兵達に隠れて頭を下げるが別に名前を士気向上に利用されても問題は無い
実際、益州では名前を利用して統治を効率よくやってるしね
曹操軍が攻め入って来た
城門の上から見るとよくわかる
曹操軍は正面門(東門)に主力を割き、左右の門にもそれなりの兵を配置して此方の出撃を牽制している
「華琳、いや桂花の策かな
でも恋を飛将軍呂布と私の実力を怒りを過小評価してるわよ!」
私は援軍の全兵力を以て、北門から出撃した
曹操の部隊が居たが数も、将の質も此方が圧倒している
目的となる大将がこの方向にはいないので天水で使ったの呂布対策は通じない(灯里の情報でその対策は知っている)
戦況が一方的になってきたところで撤退する
正面の兵を動揺させ、攻撃を鈍らせるのが目的だからだ
此方の兵力は合わせても10万
完全に壊滅させる事は不可能だ
これで士気も暫くは持つ
後は蒲公英、桔梗、馬休、貴方達の仕事だよ
〜蒲公英視点〜
「彼方の戦力って5千位か
じゃあ、さっさと落とすよ」
此方は涼州騎馬隊の1万 敵は歩兵の5千
敵は先ず、野戦を挑んできたがこれなら蒲公英でも勝てる
程無く、敵は城に撤退する
「う〜、籠城戦は騎馬隊は苦手なんだよ〜」
と蒲公英がうなっていると
「こんな時の為に儂が同行したんじゃ
まあ、見ておれ」
桔梗が豪天砲を放つと門に穴が開いた
「うん?閂を外したか
ならばもう少し下かな」
そう言ってもう一発放つ 今度は門にめり込んだ
「よし、あそこじゃな」
そして今度は同じ位置に命中させると閂ごと門に穴が開いた
「よしこれで門は役に立たない
上からの矢に気を付けて 突撃〜!」
門が破られ浮足立ってた兵は次々討ち取られ、天水は陥落した
やったよ、お姉様、鞘華お姉様
〜華琳視点〜
「華琳様、天水が落とされました」
「何ですって?
いくらなんでも早すぎるわ」
天水を別働隊で強襲する可能性は考慮していた
だが別働隊の規模は此方に発見されない事を考えれば1万が限度
その兵力で5千の天水を落とすには10日でも足りない筈
だが現実は落とされた
「く、撤退する」
私は断腸の思いで長安まで撤退した
〜あとがき〜
恋の裏切りについてですが彼女は「恋」で「”史実の”呂布」ではないので簡単には裏切りません
鞘華が私怨を以て戦っていますが前話で書いたように「私怨”も”」です
天水の戦いですが桔梗が活躍しました
あの武器ってこの位の威力は有りますよね?
更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです
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涼州の戦い | ||
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コメント | ||
恋は史実の呂布とはだいぶ違うからね〜後一刀の人間たらしの能力も発動されるしなw(nao) 『翠』の名前が「兵」になっている所があります。(劉邦柾棟) |
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真・恋姫無双 華琳 桔梗 月 翠 詠 | ||
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