想の挑発 |
南町奉行所の中で時代劇にある風景の様に砂利が敷かれた地面の上にゴザが敷かれた庭の様な所に八雲を含めた数人の男女が引っ立てられていた。
「秋月君…なんでここに居るのか分かりますか?」
「ええっと…その…」
「お、想よぉ〜なんであたしまで縄で縛る必要があんだよ〜ちょっと、飲み過ぎただけじゃんかよ…。」
「遠山さんは黙っててくださいね。」
顔は笑ってはいるが目が笑っていないというのが見て分かる想があまりにも恐ろしくなり、朱金は思わず「うっ…」と押し黙ってしまう。
「でも、奉行はん?うちは関係ないでっしゃろ。なんも悪い事はしてへんし…」
「そうです。なんで私と新までこんな事をされなきゃいけないんですか?」
うんうんと新が頷いて異議を唱えている。山吹と詠美も異議を唱えていると朱金に向けられた顔が3人へと向かい、3人も朱金同様に押し黙ってしまう。
「あなた達は自分たちのしたことが分かってないようですね…言っておきますが、牢に入れられなかっただけでも感謝してくださいね。」
「牢に入れるって…遊んでただけで大げさなん…」
朱金が何かを言い終える間に頬をかすめるように短刀が飛んできて地面に突き刺さった。
「大江戸学園のそれも執行部の部屋で…しかも、部外者を入れただけでなく、あの乱痴気騒ぎ…そのせいで部屋はめちゃくちゃ、それを見た長谷川さんに無理にお酒を飲ませたため酔いのせいでダウン…その片づけを誰がしたと思います?」
静かな怒気を含めた声が全員の耳に聞こえてくると、その場にいた全員があまりの恐ろしさに冷や汗を流していた。
「徳河さんともあろう人まで…遠山さんや越後屋さんならいざ知らず…では、皆さんはこれより長谷川さんのもとで学園のために尽力してもらいます。」
「「「えぇ〜〜!」」」
「み、皆…ここは素直に従わないと断るともっとひどい目に遭うよ」
「さすが秋月君、理解が早くて助かります。」
既に刀に手を掛けている想が行動を移す前に八雲がみんなに助け船を出す。
「しょうがないなぁ〜八雲が言うなら…」
「そうどすなぁ〜うちもこれ以上、面倒は起こしたくないさかい。八雲はんがおるんなら、まぁ〜ええでしょう」
「確かに私たちに非がありますからね。秋月君もいる事ですし…それなら…」
朱金だけは納得できない様子でいたが、想が皆を名前で呼んでいない時は刺激しない方が良いというのは理解しているため、仕方なく従うことにした。
「秋月君は長谷川さんではなく、私のもとにいてもらいますよ?」
「えっ???な、なんで…?」
「何か問題でもありますか?」
視線を向けられて恐ろしくなった八雲はものすごい勢いで首を横に振った。
そして、他のみんなは南町奉行所から大江戸学園の執行部の部屋へと移送されていった。
その時に八雲だけが免除されたことと想といることに不安を感じた新達が異議を唱えていたが、その声が届く事はなかった。
「…………」
「えっと〜俺はどうしたらいいのかな…?」
八雲が困惑していたが、それも無理はなかった。
なぜなら、今は八雲と想の手首は縄で繋がれた状態で八雲は想の隣に座り、想はその横で執務をこなしていたのだった。
「どうもしなくて良いんですよ?秋月君は少し目を離すと朱金みたいな事をしかねませんからね。まぁ…問題を起こしても私が一緒に逝ってあげますから安心してください」
この時、八雲は「逝くの字が違うよ〜」と突っ込みたかったが、今それをするとどんな目に遭うか想像できなかったため、その言葉を飲み込んだ。
なんとかこの状態を抜け出すために八雲が取った行動は…
「お、想さん…?ちょっとお手洗いに行きたいんだけど…」
「そうですか、わかりました」
それだけを言うと八雲の隣へと移動して八雲のつながっている方の腕を自分の胸で抱きかかえるようにしてから満面の笑みを浮かべて…
「では、行きましょうか」
「えっ…あのですね…これは…」
色んな意味で抵抗しようとした八雲だが想が向けてきた笑顔に完敗して用もないのにお手洗いへと向かっていくと、想は男子の中まで普通に付いて来ていた。
「えっと…あのですね…」
「何か問題でもありましたか?…あ、そうですね。私とした事が…」
そういうと想は八雲の隣から背後へと移動して背中合わせの形になるようにしていた。
なにを言っても無駄だろうと思った。八雲はほんの少しじっとしてやり過ごした後に2人は再び部屋に戻ろうとしていたが…
「どこに行くんです?」
「え…当然さっきの部屋に戻るに…」
「その必要はありませんから、少し行きたいところがあるので一緒に来てもらいますね。」
再び八雲の腕を抱きかかえるようにしてくっ付くと2人で他のみんなが移送された大江戸学園執行部へと向かっていた。
この時に八雲の頭の中では想が仕事を放棄したのではと思ったが、それを指摘するとどうなるかは今の想を見ていれば分かる事なので口に出さないようにしていると執行部内で雑務をしていた山吹やシオン、詠美に朱金などが2人の方へと視線を動かした。
「ちゃんとやっているようですね。ここに送って正解でしたね〜ここでも手に負えないようだったら、最後の手段を考えてましたが必要はなさそうでよかったです」
「えっ〜っと…もしかして俺も皆と一緒に雑用をしろってこと?」
「なにを言ってるんですか?秋月君?私達は見てるだけですよ」
そう言うと想は雑用をしているみんなの周りを八雲を連れて歩き回り始めたのだが…普段ならそれくらいは何とも思わないメンバーだったが、2人の姿を見てその時ばかりは驚いていた。
「ちょっと!逢岡さん!そ、それはどういうことですか?」
「そうだ、そうだ〜!不公平…じゃなかった。八雲も同罪なんだからあたい達と一緒に雑用するべきだろ〜!」
「ふむ…八雲よ…おまえもそこまで籠絡されたか?あれだけ私を可愛がっていたくせに…」
詠美たちの抗議の声を全く気にすることもなく想は南町奉行所にいた時の状態のままで八雲にくっついていた。
「えっと…あんまり皆を刺激するようなことは控えた方が…」
「そんなに私と一緒にいるのが嫌なのですか?さっきはあんなに私の事を…」
想が火に油を注ぐような事を言ったために八雲が想の方を見ると恐怖よりも殺気の様なものを感じたため思わず黙り込んでしまう。
「はぁ〜仕方ありませんね…では、秋月 八雲争奪戦でもしますか?賞品はもちろん、秋月君で内容は…そうですねぇ〜彼のためにどこまで出来るかを競うこととしましょう。彼のためなら何しても良いですよ?もちろん…斬り合いも…ふふふ…」
斬り合いと言った後の想の笑みは言いようのない恐ろしさを含めていた。
「とりあえず、今は秋月君は私の物ということで…その後は争奪戦で決めましょう。場所は天狗党が反乱を起こした学園のあの広場で…まぁ〜そうなっても私が負けることは有り得ませんけど…終わったあとが楽しみですね…秋月君?」
そう言うと想は八雲を抱き寄せると体を密着させて足を絡ませていく。
「えぇ…っと…俺の意思は…?」
八雲の問いかけに想は笑顔を返すだけで、情勢が変わる事は有り得なかった。
それを聞いた詠美が…
「良いでしょう。では、参加するのは私達を含めた皆で命の危険が伴う可能性もありそうなので、腕に覚えのない人や自信のない人達には参加は強制しないということにしましょう」
詠美の言葉に首を縦に振って答える想は相も変わらず八雲との密着状態を崩してはいない。
「「「望むところだ!!!」」」
そして、秋月八雲を掛けた争奪戦が始まることとなった。
あとがき
キャラ崩壊と話のめちゃくちゃ感、そして更新が遅くなった事…本当にすいません!!!
正直に言うと年末年始で書くことをすっかり忘れていました…。(余談ですが、就活で少しトラブルもありまして…)
想編と言っておきながら、そんな感じは全くない事に今は猛烈に反省しています。
この続きを書かせていただきますが、その時は○○編などのくくりは作らない予定です。そのため参加キャラが俺個人の好みになる可能性も…
恋姫の長編の方もアップするべく現在、執筆中であります…ニートだから色々とアイディアが出て迷っていまして…(そのせいで話がグダグダ…才能ないな〜俺…)
関係ないですが、こういうのを書いてるうちに原作のゲームをやりたくなってきたけどお金が…それでは、次の作品も宜しくお願いします。
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あっぱれ!天下御免!の逢岡 想編を書いてみました〜! 少しリクをいただいたので、リクに応えるためにヤンデレなどの色々な要素をつめてみました。 正直、ヤンデレなどが良く分かんなかったので、感想などを聞くのがものすごい怖いです。 誤字脱字の指摘は遠慮なくしてください。 |
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コメント | ||
ご指摘ありがとうございます。修正いたしました(クライシス) 誤字です 徳永じゃなくて徳河ではなくて(コーヒー大好きmk.2 ) いつもありがとうございます。面白く読んでいただけたのなら、嬉しいことこの上ないです。(クライシス) 投稿お疲れ様&ありがとうございます こんな感じのほうが俺は好きなので怒るきはしないですよ 最後にありがとう(コーヒー大好きmk.2 ) |
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