心・恋姫†無双 第八話 |
心・恋姫†無双 〜大陸動乱編〜
第八話 〜覚悟〜
「では、お館さまにこれからの方針を決めてもらわんと。」
「その前に一つ聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「何ですかな?」
「董卓って名前をどこかで聞いてきた?」
「うむ、涼州の董卓が都に入城したらしい。それがいかがなされた?」
「いや、ならいいんだ。今後、俺たちは暫くまだ静観する。」
「どうしてですか、ご主人さま?」
「今はまだ言えない。けど、俺を信じて時が来るまで待ってくれないか?・・・・・・多分、反乱を起こす絶好の機会がくるから。それまでは民達の負担をなるべく軽くするための活動をしよう。」
「うむ、お館さまがそういうなら仕方があるまい。」
「わかりました、準備は進めておきましょう。」
「ありがとう。・・・・・・・・・・・・千里。」
「はい。」
「都や諸侯の動きを探ってくれないかな?」
「わかりました。」
「焔耶・嵐・白は反乱への準備を紫苑さんと一緒に進めてくれ。」
「ご主人さま。」
「何?」
「紫苑で結構ですよ。」
「え、でも・・・・・・。」
「私たちのご主人さま何ですよ?」
「そうだよな。わかった。」
「じゃあ一刀のために頑張るか!」
「・・・・・・・そうですね。」
「仕方がないな。」
俺の意見に皆が賛成してくれた。
このまま俺の知っている歴史どおりなら・・・・・・・董卓か・・・・・・・・・・・・。
ある程度決めることを決め、俺たちは各自解散し、部屋へと戻った。
「・・・・・・・反乱か。」
皆のためと思い、何より自分のためだと思い俺は承諾したけど・・・・・・。
「何かしっくりこないな。」
こんなものなのだろうか?
現在の王朝に対しての反乱・・・・・・・。
民のため、理想のためとはいえ・・・・・・ようは命を捨てること。
諸侯を英雄と呼ばれる人たちを敵にまわすということ。
「どっちに転んでも良い事は起きない・・・・・・か。」
ウジウジしても仕方が無いことだけど・・・・・・
「本当にこれで良かったのかな?・・・・・・何か他に方法が・・・・・・・・・・。」
「駄目だ!仮にも皆のために主になることにしたんだ!・・・・・・よし!今日はもう寝よう!」
「覚悟を決めるか・・・・・・・。」
次の日、俺は千里に頼んで無地の旗と習字用具を用意してもらった。
「まさか、初めてが俺を切ることになるなんてな。」
昨日、黒髪の子からもらった日本刀を鞘から抜く。
「何度見ても凄いな。」
日本刀を左腕に当てる。
「そういえばこの刀の名前知らないな・・・・・・“白帝”にするか。」
「我ながら何か変なネーミングセンスだけど・・・・・・。」
目を瞑り、深呼吸。
ザシュ!!
左腕から血が落ちる。
一刀は流れ出る血を硯に落とす。
「ふう、こんなもんかな・・・・・・止血しないと。さすがに死ぬかな。」
苦笑いをしつつ動く右腕で左腕を止血し、筆を持ち一刀は血で何かを書き始めた。
――軍議の間、改めて玉座の間――
「昨日の今日でどうしたのだろうな。」
「いいじゃないの。」
「それはそうと紫苑はいつまでいるつもりじゃ?」
「そうねぇ、明日には城に戻ろうと思うわ。」
「はやく無事な顔を見せてやらんとな。」
「えぇ、そうね。」
玉座の間に入り驚いた事が二つ。
一つは一刀が左腕に包帯を巻いて怪我をしているため。
もう一つが無地の白い旗に、血文字で
「全てを犠牲に全てを救う」
と書いてあること。
「・・・・・・・・どう?」
「どうと言われましても、開いた口が塞がらないとはこの事ですぞ。」
「本当ね。他の子達に怒られますわよ。ご主人さま。」
「そんな不味いことしたかな?」
「そんなことはありまねぬ。ただ、その怪我は・・・・・・いただけませぬな。」
「そうですね。ご主人さまの体は大事な体ですから。」
「いいと思ったんだけどな。」
「何ですかその怪我と旗は?」
千里が入ってくるが、即座に機嫌が悪くなったというのがわかる。
「えっと。こ、これは・・・・・・ですね・・・・・・・・その・・・・・・・・・・。」
冷や汗が止まらない。
「わかりますよ。ご主人様の覚悟はわかりますけど・・・・・・・ねぇ?」
「ね、ねぇ?」
次に入ってきたのは嵐と白の二人組み。
「一刀は、やっぱり馬鹿だな。」
「・・・・・・・・馬鹿ですね。」
「・・・・・・はい。ごめんなさい。」
「このやり取り何回目だ、白?」
「・・・・・・・わかりませんね。・・・・・・・これからも繰り返されるのを考えると、数えるだけ無駄ですよ。」
「そ、そこまで言わなくても。」
最後に入ってきたのは焔耶。
「おい、お前。」
「・・・・・・・・なんでしょうか?」
「ワタシに一回殴らせろ。」
「・・・・・・・勘弁してください。」
「それは駄目だ。」
この後、何だかんだで殴られるのは免れました。
「して、お館さま。この言葉を意味は?」
「意味はね・・・・・・己の大切な人・物を己自信を本当に全て犠牲にして、民の幸せ・・・・・この大陸を救うって意味だよ。はっきり言って矛盾してるかもしれないけどね。反乱軍の俺たちにあってるじゃないか。」
「ふむ、お館さまらしい信念ではないかの。」
「えぇ、まったくそのとおりね。」
皆が一様に頷く。
「んで、俺たちの昨日話したことに付け加えたいんだけどいいかな?」
「ん、何だ?」
「・・・・・・・どうぞ。」
一刀は旗の前に立つ。
「俺たちはこれから反乱を起こす。けどそれは民を救うためであって、どこかを侵略するためや大陸を統一とかのためではない。だから、余ほど事が無い限り諸侯と戦はしない。身を守るためとかでもだ。ただ、俺たちは平和のために戦う。俺たちが戦い、存在する理由は平和のためだけ。悪と呼ばれようとも。・・・・・・甘いかもしれない。・・・・・・・・ただの俺の自己満足だけどいいかな?」
決して俺は英雄の器じゃない。
けど、それでも俺を信じてくれた人たちのために。
「そんなことはありません。それがご主人様の意思ならば。」
「ワタシは一向に構わない。」
「俺もだ。」
「・・・・・・・はい。」
「ふむ、やはりそうでなければの。」
「本当ね。ご主人さまの臣下なれて嬉しい限りです。」
「皆ありがとう。これが俺の覚悟だ。・・・・・・・・・・・言葉でいうことは簡単だけど、こんな重い言葉だったなんて思って無かったよ。・・・・・・・・・・・でも、俺はやると決めたんだ。」
いつにもなく真面目で凛々しい顔。
そんな一刀に皆がやられないわけがない。
「ほぉー。」
「あらあら。」
「ほぉ。」
「////」
「・・・・・・一刀さま。」
「ふ、ふん。」
皆が皆、顔を赤らめる。
「ん、どうかした?」
しかしそんな皆に一刀が気付くわけもない。
「よし、今日は皆で飲もう!いいですよね?桔梗さま。」
「おお、そうじゃの。良いことを言うた。」
「・・・・・・・そうですね。」
「では今からお酒と料理の準備をしなければね。」
「料理なら私が作ります!」
「いいのですか?桔梗さま。」
「固いことを言うな、焔耶。」
俺が何も言っていないのに突然の宴が決定した。
まず、この流されやすい性格をどうにかしよう・・・・・・・。
その日の夜
俺たちは城の中庭で宴を開いた。
宴には俺たちにも兵や侍女など城内の人間全てが参加している。
「しかし、美味いな。」
「知らなかったのか?千里は料理の達人なんだぜ!」
食べながら話す嵐。
「・・・・・・・・汚いです。」
仮面ではなく食事するために布を顔の前にたらしている白。
俺たち三人は、平和に千里の料理を食べているのだが・・・・・・・。
「ほれ、どんどん飲まんか!」
「もぅ駄目です・・・・・・。」
「まだまだよ、焔耶ちゃん。」
大酒のみ二人に捕まって焔耶は顔を青くしている。
「き、気持ち悪い・・・・・・。」
「ならば食え!」
「あんまり無理させてはだめよ。」
と言いつつも素敵な笑顔の紫苑。
「あれは、止める気ないな。」
「当たり前だろ。俺だって二人には敵わないんだぜ。」
「・・・・・・・けど、食欲は一番ですね。」
確かに嵐の前に積んである皿は俺の倍以上。
「うっせ!食べなきゃでるとこもでない・・・・・・ぞ。」
嵐が白の胸を指でつつく。
「きゃっ!!・・・・・・・大きなお世話です。それに、食べている割には大きくないですね。」
「お前よりましだ!!」
二人の間に火花が散る。
「喧嘩は止めてくれ。」
「お菓子が出来ましたよ〜。」
千里が台車にお菓子を皿にのせて沢山もってきた。
「おお、これも美味しそう。」
「あの、皆さんは何をなさっているのですか?」
「ん?気にしたら負けだ。」
「はぁ、ならいいのですが。」
千里がそう言うのも無理は無い。
青い焔耶、机を挟みにらみ合っている嵐と白。
桔梗と紫苑だけはいつもと同じようにお酒を飲んでいるだが。
いつもまにやら、兵達も周りで酔いつぶれていた。
「楽しいですね。」
「あぁ。」
「本当はこんな景色がいつまでも続くといいんですが。」
「・・・・・続くさ。」
「無理――「いや絶対続く。」――・・・・・・そうですね。」
「それにしても本当に美味いな。」
千里の頭をクシャクシャにする。
「あぅあ〜。・・・・・・っは!やめてください!」
「ごめんごめん。」
いつまでも心の中に・・・・・・・・。
第八話 完
予告
動き出す。
己が理想のため。
己が野心のやめ。
己が生きるため。
次回 心・恋姫†無双 〜大陸動乱編〜
第九話 「思惑」
ついに激動の時。
説明 | ||
やってきちゃいました第八話です。オリジナルキャラ、オリジナル設定が苦手な方は申し訳ありません。またこの作品は恋姫キャラが出ているだけの作品となっています。史実が好きな方も申し訳ありません。 | ||
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コメント | ||
血文字・・・一刀の念がこもっている。(ブックマン) まさしく血意表明・・・・。スンマセン!石投げないで!!(りばーす) 血で硯るとは・・・。何と言う決意。全てが平和のためと言うのが一刀らしいと思います 次作期待(クォーツ) 決意するのは良いが、皆に怒られている一刀が微笑ましいかなと思いましたw さて、ついに行動を起こす時が来たのかな? 次回九話愉しみです^^w(Poussiere) |
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