真・恋姫†無双 裏√SG 第25話 |
張雄伝其三
ドゴーンと言う爆音が鳴り響き、地面が揺れた気がした。
それが誰の仕業なのか、見たわけじゃないのに確信する。
こんな事が出来るのは、今この場では咲希姉以外に居ない
音と衝撃があった方へ向かうと、やはりそこにあたしの予想通りの人物が立っていた
悠香「咲希ねぇ〜!」
あたしが咲希姉を呼ぶと、咲希姉もこちらに気付いて微笑みかけてくれた。
咲希姉はとても楽しそうだった。
何もおかしな所はない。
ただ咲希姉の衣服がボロボロで、彼女の足元に人が転がっているだけ
うん、割といつもの光景かもしれない
咲希「よぉ、悠香。その様子だと、幼稚園の方は無事みたいだな」
悠香「うん、学校の安全もお祖父ちゃんがしてくれたみたいだから、北区はもう大丈夫だと思う!」
ここに来る前、お祖父ちゃんの部下の一人が学校の鎮圧に成功したと報告が入っていたのだ。
流石、軍人上がりの人は仕事が速いぜ、なんて思った
咲希「そりゃ上々だな。火もほとんど消えかけてるし、暴徒も減ってきた。案外呆気なかったな」
街は喧騒としているが、それはこの街の住人が一致団結して火を消してくれたりしているからだ。
襲われている人はもういない。この街の逞しさを垣間見られる
悠香「ところで、ずっと気になってたんだけど、咲希姉が踏んづけてるその人は大丈夫なの?」
あたしは咲希の足元にいる人の安否を聞いてみる。
恐らく暴徒の一人ではない。それは、彼女の骨格を見ればわかる。
きっと、あたしなんかよりも強い筈だ
咲希「ん?こいつはただ気絶しているだけだ。致命傷は与えていない。ただまぁ、こいつの武人生命は奪ったかもしれないがな。もし復帰できるなら、大したもんだと思うぜ」
何て事を愉快に言う咲希姉に、あたしは思わず呆れてしまう
咲希姉に立ち向かえたこの人も十分凄いのに、その人の心を折る咲希姉もおかしい。
しかも、それに対して何の悪びれもない。生粋のサドだ
咲希「こいつは梁山泊の一人だろう。重要参考人ってやつだ。【晋】に連れ帰るぞ」
悠香「りょーかーい!」
あたし達は、その重要参考人を担いで、【晋】に帰ることになった。
そして【晋】に帰った所で、あたし達はさらなる衝撃を耳にした
洛陽が落ちたと
許昌炎上事件から3日が経つ頃には、街の平穏は戻りつつあった。
燃えた家屋や怪我人は後を絶たないが、それでも幾分か落ち着いたのだろう。
現在は街のみんなが総出で復興に当たっている
凪「我々が居ない間に、こんな事になっていたなんて…」
凪紗「本当に、申し訳ありません…」
今し方、合肥城から帰って来た凪さん、凪紗ちゃんが街の様子を見て罪悪感に悩まされていた。
これは彼女達のせいではないのに
秋蘭「いや、お前達も大変だったと聞く。まさか合肥城まで攻められていたとはな」
どうやら事件があったのは、許昌だけじゃなかったようだ。
合肥城に加え、蜀や呉の主要都市も同様の暴動があったらしく、洛陽の救援に向かえなかったとか
霞「してやられたで。こっち二千人に対して、向こうは一万くらいで攻めて来よった。ほんま、どっからあんな数集めて来たんやっての」
それでも、合肥城では霞さん達が大暴れしたらしく、結構な数で攻められたが被害は軽微だったらしい。
流石、真桜さん作の風雲合肥城と霞さん達だ
凪「それにしても、何故合肥城にアレだけの数を投入して来たのでしょう?一万も用意出来るなら、私なら許昌を狙いますが…」
確かに、許昌にはそんなに居なかった。多く見積もっても3000…実際はそれよりも少ないだろう
咲夜「そりゃ、合肥城が武装拠点だからだろう。お前らも実感したと思うが、あの城攻めようと思ったら、3倍どころか5倍以上の人間が必要になる。守りだけなら最強の拠点だ。敵も、出来ることならここは抑えておきたい筈だ」
成る程と思った。
確かに、霞さん達はたった二千人で一万人を追い返した。
その防御力の高さを証明する程なのだ。敵も欲しくなるだろう
詠「いずれにしろ、状況は芳しくないわね。許昌を含めた主要都市の襲撃と洛陽陥落。それに、多分五胡の代表行方不明も、徐福の仕業でしょうね。一度、呉と蜀とも会談を開くべきだわ」
そうだ、五胡の代表も行方不明だった。悪い事がどんどん重なっている
秋蘭「無論、手配済みだ。この許昌を拠点に、呉と蜀の首脳陣を呼んである。と言っても、代表はいないがな」
北郷さんを含めた三国の代表は揃って洛陽にいる。
つまりは、全員が徐福に降伏した事に、三国が落ちたに等しい状況にある
零士「なら、両国の代表代理が来る前に、こちらも情報を整理しないといけないね。幸い、こちらには捕虜も居ることだし」
心なしか、お父さんと咲夜さん、詠姉さんの目がギラついた気がした。
流石に殺したりはしないだろうけど、捕虜さんの行く末に合掌せざるを得ませんでした
零士「やぁ、気分はどうだい?」
【晋】の地下にある一室、そこの檻のような所に捕虜さん、武松さんは入っていた。
武松さんはお父さんを見るなり、ふて腐れたように鼻で笑う
武松「三食付きで屋根のある部屋、しかも便所まであるときた。捕虜としては破格の待遇だろうな」
武松さんの身なりは汚れていたが、咲希姉にやられた傷は治療済みで、しかも三食しっかり食べているから、顔色はとても良かった
零士「ふふ、捕虜は丁重に扱わないといけないからね」
柔和な笑顔を見せるお父さん。いったい、何を考えているのだろう?
秋蘭「わかっているとは思うが、我々がこうしてお前に会いに来たのは他でもない。徐福について洗いざらい吐いてもらうぞ」
秋蘭さんが代表して聞いた。一方の武松さんは口を開く気配がない
咲夜「よぉ?お前、自分の立場理解してんだろ?さっさと吐いちまった方が身の為だぜ?」
咲夜さんが、若干ドスの効いた声で言った。
それでも武松さんは睨むだけで、口を開こうとはしない
咲夜「ふーん?へぇ、そう?そういう態度取るんだ。なら、こっちも手はあるぜ。詠!健全なのと18禁なの、どっちがいいかな?」
咲夜さんの声音はとても楽しそうだった。
その咲夜さんの言葉を聞いて、武松さんは少し不安そうにしていた
詠「僕的には、これでもいいかなと思ってる」
そう言って詠姉さんが取り出したのは、ウィーンと回転する機械音が特徴的なゴツゴツした太い棒だ
武松「そ、それはなんだ?」
詠「真桜製、対女性18禁尋問道具よ。まぁ、華琳とかはこれで愉しんだりするらしいけど」
武松「そ、それでどうするつもりだ?」
咲夜「どうって、刺すしかないよなぁ?」
ニヤァと満面の笑みで言う咲夜さん。こういう顔は、親子ソックリだと思う
凪紗「??ねぇ、悠香。あれでどこを刺すの?」
凪紗ちゃんはわかっていないようだった
悠香「お父さんや凪さんに聞いてみたらいいんじゃないかな?」
凪「ふぇ!?む、無理だよ!?」
凪さんは顔を真っ赤にしてあたふたしていた。お父さんも微妙に複雑そうな顔をしていた
零士「さ、咲ちゃん、詠ちゃん。ここ、一応健全優良な世界だから。18禁は流石にどうかと思うんだ」
雪蓮「とか言いつつ、零士もホントはちょっと気になってるんじゃないの?私は…その…いつでもしても………」
零士「そんな事ないよ!?」
雪蓮さんが何やらごにょごにょと言っていた事はスルーらしい
咲夜「チッ、仕方ない。じゃあ零士、あれ貸してくれ。健全な方のやつ」
零士「最初からそうしようよ…」
お父さんは手からポンと二本の鉄の棒を取り出した
咲夜「うし!じゃあ、覚悟はいいか?」
咲夜さんが二本の棒をガキンガキンと鳴らすと、ビリビリと電流が流れた
武松「な、なんだそれは!」
零士「あ、別に痛いものじゃないよ?電流はとても微弱なものだから。ただ、とても微弱だから、くすぐったいんだよねー」
咲夜「さらにお前には…」
咲夜さんは武松さんに近付き、首元に鍼をプスっと刺した。
うわぁ、あの位置は…
武松「貴様!?何をし…!?」
武松さんは体をモジモジとさせ、全身から汗を吹き出し、顔を紅潮させていた
咲夜「何をしたか、だって?それはお前が一番わかってるんじゃないか?今私は、お前のツボをちょっと刺激させてもらった。全身が異常に敏感になるツボをな!」
咲夜さんの笑い声が地下室に響き渡る。とても気分が良さそうな声音だ
秋蘭「さて、これよりお前の尋問を執り行おうと思うが…もしお前が今の時点で素直に吐くと言うのであれば、こちらはお前に手出しをしない。どうする?」
武松「クッ…私は屈しない!」
武松さんは声を張り上げる。だが、それがそもそも失敗なのだと思う。
何故なら、武松さんが屈しないと言った瞬間、この場の誰もがニヤリと笑ったからだ
咲夜「悪くない覚悟だが…さて、いつまでもつかな?よーし、じゃあまずは…月!やってみないか?」
月「え?私からでいいんですか?」
咲夜さんから手渡された電撃くすぐり棒を受け取り、優しい笑みを浮かべる月姉さん。
一見、遠慮しているように見えるが、足取りはとても軽やかに、そしてウキウキしているように見えた
雪蓮「いいなー。ね!次私!私ね!」
雪蓮さんも、そんな月さんを見てか、次を心待ちにしているようだ
秋蘭「ふむ、では余裕があるうちに聞いておくぞ。我々がお前に聞きたい事は3つ。一つ目は徐福が何者なのか。二つ目は徐福の目的。そして三つ目は、お前達梁山泊の目的だ」
武松「!?三つ目はどういう意味だ?」
武松さんは驚く素振りを隠さずに言った。これで、確定したも同義だね
咲希「私は人の感情がある程度読めるんだ。それでちょっと思ったんだよ。お前達梁山泊や友紀は、何か別の目的があって徐福と手を組んでいるんじゃないのかってな」
咲希姉が前に出た途端、武松さんはビクリ体を震わせた。
咲希姉の存在はしっかりトラウマになったらしい。
それでも、咲希姉から視線は逸らさない辺り、流石なのだろう
武松「それは…」
武松さんは言い淀む。やはり口は開かないのかもしれない
咲夜「よし、じゃあ始めるか。月、やってくれ」
月「はーい、いきますよー!」
咲夜さんが武松さんを見兼ね、月さんに指示を飛ばす。
月さんは笑顔で頷いてくすぐり棒を武松さんに押し付けた
武松「ひっ!?アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!??」
押し付けた瞬間、武松さんは狂ったように笑い始めた
零士「笑うって言うのは、案外体力を使う行為でね。顔面の筋肉はさることながら、腹筋もかなり刺激する。声高らかに笑い、喉が潰れて、酸欠になって、やがて体力も底を尽きる。一見馬鹿らしく見えるこの尋問だが、僕の世界に居た伝説の兵士が根を上げそうになるくらい、キツイものなんだよね」
そんなお父さんの説明を背に受け、あたしは地下室を後にした。
あたしの順番が回って来そうならまた来よう
そして、尋問開始から翌日の夜…
武松「あひっ…ひぐっ…ごほっごほ…も、もう…もうやめ……アハハハハハハハハハ!!!!?」
武松さんの顔面は崩壊しており、緩みきったダラシない顔で、涙や唾液を垂れ流している。
いや、顔面だけじゃなかった。下半身からも色々垂れ流していた
咲夜「おっと、そろそろ鍼の効き目が切れちまうな。鍼はーっと」
咲夜さんが鍼を探す振りをする。実際は手元にあるが、あえて焦らしているのだろう。
そしてそれは効果覿面だった。
鍼を探す振りをする咲夜さんを見た武松さんは、弱々しい声で呟いた
武松「言う…言うから……もう…やめてください……」
武松さんは堕ちた
咲夜「え?なんだって?」
鬼か!?ってツッコミたくなるくらい満面の笑みでした
武松「ヒッ!じょ、徐福は!…あいつは…」
そして語られたのは、とんでもない怪物の話だった
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こんにちは! Second Generations張雄伝其三 |
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遂に徐福の正体が……楽しみです(ohatiyo) | ||
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