心・恋姫†無双 第十一話
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心・恋姫†無双 〜大陸動乱編〜

第十一話 〜激突・後編〜

 

――益州・州境――

馬騰軍と反乱軍が激突した。

「お主が馬騰殿とお見受けするが。」

「いかにも。私が馬騰だよ・・・・・・お主は?」

「反乱軍、将。厳顔じゃ。わしと一騎打ちしようではないか。」

そうして桔梗は得物を構える。

小型の大砲のような得物は豪天砲と名のついたパイルバンカーである。

「変わった獲物だね。だが、私の槍から逃れられるかな。」

馬騰の得物はまるで巨大な針を彷彿とさせる直槍。

払う、切るといったものを完全に排除し、貫くに特化した槍。

「我が愛槍、名を閃(セン)。避けてみるがいい!!」

 

シュッ!

 

「ぬっ!!?・・・・・・・・・・・・・・・・・・早いの。」

一瞬の出来事だった。

さきほどまで桔梗の頭があったところを槍が通る。

桔梗はかろじて腰を落として避け、後ろに後退する。

「まだまだ本気ではないぞ。」

「ふむ、わしもだ。」

桔梗が改めて構える。

「・・・・・・・・その距離から何を――っ!!」

 

ガン!!

 

豪天砲から特大の鋼鉄の矢が飛んでくる。

「・・・・・・・きっかいな得物だ。」

馬騰もかろうじて避ける。

避けた桔梗の鋼鉄の矢は地面に深く突き刺さる。

「少しでもかすったら致命傷だな、これは。」

「お主の体に風穴を開けてくれる。」

「それはこっちの台詞だよ。」

 

 

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――虎牢関――

「さきほどの威勢はどこにいった、関羽!」

「っく!」

鬱憤を爆発させる華雄。

その勢いに押される関羽。

 

「まだまだぁ!」

「ちぃ!」

しかし負けじと関羽も押し返す。

一進一退の攻防が繰り替えさえれる中、別の場所での戦闘は一方的だった。

 

 

 

鮮血を体にまとう真紅の死神が二人。

死神が通る道には死体しか残らない。

「・・・・・・・弱い。」

「・・・・・・・(コクッ)。」

 

「本当に強いわね。」

「弱音ですかな。」

「祭も強がりは駄目よ。」

「っふ、まったくじゃな。」

銀色の髪をしばり、祭と呼ばれる女性は孫家二代に仕える宿将中の宿将。

名を黄蓋、真名を祭。

「にゃ〜、反則なのだ!」

「まったくだな。」

「あぁ。」

張飛の傍にいるのは、青い髪に特徴的な槍を構える槍の名手、名を趙雲・真名を星。

そして作者のお気に入りの一人、影が薄いとは言わせない幽州州牧・公孫賛、真名を白蓮。

劉備とは旧知の仲で親友同士である。

「孫策殿、援軍の予定はありますかな?」

「残念、ないわ。そっちは?」

「こちらもです。」

冷や汗を垂らしながら会話する趙雲と孫策。

「・・・・・・・邪魔。」

「・・・・・・・死ね。」

 

ガキィン!

 

ガキィン!

 

「っく!」

「にゃ!?」

「うわっ!」

「っち!」

「っく!」

呂布と高順、二人からの一撃で五人が一度に吹き飛ばされる。

 

「・・・・・・・まだ生きてる。」

「・・・・・・・しぶとい。」

 

 

 

 

 

「てぇい!」

「まだまだぁ!」

一方、戦場のど真ん中で悠々と一騎打ちをするのは張遼と曹操軍・最強の武人、夏候惇。

「強いやないか。血ぃ、たぎるでぇ!」

「私もだ!」

この二人を止められるのは鬼神のみ。

 

 

 

 

 

――益州・州境――

「もう見切った!」

「っく!・・・・・・・さすがは馬騰と言ったところかの。」

先程から桔梗の一撃は簡単に悉くかわされている。

「せいっ!」

 

ブゥン!

 

ガキン!

 

「っく!」

そして間合いをつめられ、攻撃されるという悪循環ができてしまっている。

 

「しかし、貫くしかできぬ槍とて、見抜くのは簡単じゃぞ。」

「何か勘違いしているね。」

「何?」

「槍は貫く、払う、切るなんてて本当の使い道じゃないんだよ。」

そして槍を高らかに掲げる。

「・・・・・・・・?」

「槍の本当の使い方を教えてやる!」

 

 

 

ブゥゥゥン!

 

 

 

「!!」

 

 

 

高らかに掲げられた槍が、今まで以上の速さで桔梗に向けて振り下ろされる。

 

 

 

そう、

 

 

 

槍の本当の使い道とは、

 

 

 

叩きつける事。

 

 

 

槍の使い道、

 

 

 

それは、

 

 

 

殴り合い。

 

 

 

ドォォォン!

 

 

 

「ぐはっ!」

豪天砲で受け止めたとはいえ、その威力に負け倒されてしまう。

「終わりだね。」

 

 

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――虎牢関――

華雄、その実力はかなり高い。

本来なら張遼と同じ実力かそれ以上、つまり実力を発揮すればまず負けるはずは無いのだが・・・・・・。

ただ弱点があった。

それは、

その時の感情でムラがあるということ。

「な、なぜ!関羽ごときにこの私が!」

「ふむ、さきほどの方が鋭かったぞ!」

「っく!」

調子に乗った華雄は関羽を甘く見てしまった。

だが、関羽がその隙を見逃すわけが無く反撃されてしまい、華雄が逆に追い詰められている。

「私が最強だぁ!」

 

ブゥン!

 

「甘い!」

簡単に避ける関羽。

「確かに、お主は強い。しかしそれは一方的の強さだ。誰かを守る、大切な者のために戦う私が、お主ごときには負けぬ言われはない!」

「・・・・・・・・・・・・い、言わせておけばぁぁぁぁ!!!!」

頭に血が上り、華雄は無茶苦茶に戦斧を振るう。

しかし、それも全て関羽に避けれてしまう。

 

「お前に!」

 

ブゥン!

 

「私の!!」

 

ブゥゥン!!

 

「何がわかる!!!」

 

ブゥゥゥン!!!

 

「答えろ、関羽!!!!」

 

ブゥゥゥゥン!!!!

 

「・・・・・・・・・・。」

その必死さに何を感じる。

だが、戦を終わらせるために関羽は最後の一撃を放つ。

「でぇぇぇい!」

 

ザシュ!

 

血が飛んだ。

関羽の堰月刀が華雄の右肩から胸あたりまでを切ったのだ。

「っく!・・・・・・・関羽ぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」

 

ガンキィィィン!!!!

 

「何!?」

 

ドガァァァン!!!!

 

「かはっ!」

華雄は切られながらも戦斧を片手で豪快に振り、関羽を吹き飛ばした。

それを好機と見たのか

「決着はまたあとでつけるぞ、関羽!!」

「っな!待て!」

関羽は立ち上がるが、それより先に華雄は馬にまたがりどこかへ駆けていってしまう。

「最後の一撃、あれは見事だった。」

 

 

 

「・・・・・・・恋。」

「・・・・・・・?」

「・・・・・・・そろそろ、ねねを連れて行こう。」

「・・・・・・・わかった。」

何事も無かったように戦場を駆ける死神二人。

それを見つめるのはボロボロになった孫策たち。

「はぁはぁはぁ・・・・・・・完敗ね。」

「・・・・・・・まったくじゃ。」

「・・・・・・いやはや、世界は広い。」

「・・・・・もぅ動けない・・・・・・・・・・。」

「お腹減ったのだ。」

 

 

 

最初は勢いにのり押していた董卓軍だったが、徐々に連合軍に押され敗走していった。

一役かったのは劉備軍と曹操軍。

董卓軍の将を押さえ虎牢関を見事制圧したのである。

この戦いにより、

何が起きたのか不明だが張遼は曹操軍に降り、

華雄・呂布・高順・陳宮の四名は戦場から逃走、行方をくらました。

 

無傷、とは言わないが虎牢関は陥落し連合軍の勝利に終わったのであった。

 

 

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――益州・州境――

わずかに口から血を流しながらも立ち上がる桔梗。

「さすがに効いたの。」

「まだ、動けるのか。」

「しかし、お主も甘い。」

「何?」

「殴り合いなら、生憎じゃが負ける気はせん!」

豪快に豪天砲を振り回す。

 

ブゥン!

 

ガキン!

 

「っく!お、重い!」

必死に堪える馬騰。

「どやら、力勝負はわしの勝ちのようじゃ!」

さらに力を入れて豪天砲を振り切る。

「ぬぅ!」

力に押され後ろにわずかに飛ばされ片膝をつく馬騰。

「しかし、これでは私には勝てんぞ。」

「いや、これまでじゃよ。」

 

ドンッ

 

近距離で豪天砲から丸い何かが飛び出した。

さきほどの鋼鉄の槍ではなく黒い丸い何か。

馬騰は黒い丸い物を槍ではじこうと触れた瞬間だった。

黒い丸い何かは鉄の鎖の網となったのだ

「なんだって!?」

 

ガチャン

 

「動くでない。頭が吹っ飛ぶぞ。」

鉄の網が馬騰を覆った刹那、馬騰の頭に豪天砲が構えられた。

「っく・・・・・・・・・・これまでか。」

さすがに逃げ場もなく、馬騰は武器から手を放し降参した。

 

 

 

「西涼の馬騰、北郷一刀が一の家臣。厳顔が生け捕った!!!!」

 

 

 

「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

戦場に響く勝利の声。

この報により、各地の戦場は終息に向かっていった。

馬騰の捕縛の報により、馬三姉妹と馬岱が投降したためである。

 

 

 

反乱軍は馬騰軍の主要の武将に呼びかけ話し合いの席をもうけた。

本来ならありえない行動。

策かもしれなく誰も来る者はいないはずだが、馬騰が人質になっているため話し合いに応じるのであった。

 

「何を考えてんだろう。反乱軍ってば。」

「わからないよ。」

「どっちでもいいよ、そんなの。それより母様が無事なら。」

「そうだよね、叔母様酷いことされてないかな。」

「それは大丈夫だ。」

「なんでそんな事言えるよ。」

「・・・・・・・・今は言えないな。でもあたしを信じてくれ。」

「姉上がそういうなら信じるよ。」

「・・・・・・・うん。」

「そうだよ。誰もお姉様の事を疑わないって。」

でも、馬岱をはじめ馬休・馬鉄には腑に落ちない事が一点あった。

馬超、その武は馬騰に続く実力の持ち主。

姉妹の誰よりも強い。

馬岱よりも強い。

その馬超の服がボロボロなのである。

そして切り傷、擦り傷が酷い。

馬超自身はいたって何もないのだが。

馬岱・馬休・馬鉄の武は発展途上、足止めを前提として戦っても足止めを出来る相手は変な話だが存在する。

法正・張松・魏延も武の発展途上だが足止めは出来る。

 

だが、馬超に関してはそうもいかない。

 

馬超に勝てる足止めできる者はいくら大陸が広いといっても十人以上いるかいないか程度。

 

その馬超の足止めをする武将が厳顔以外にも存在する。

 

反乱軍が強いと言ったらそれまでかもしれない。

 

しかし事前の情報だとそのような者はいなかったはず。

 

それに馬超と対決したのは徐庶の部隊。

 

徐庶、それほど強いものなのか。

 

用兵だけではこうも傷はつかない。

 

生殺しのようなこの傷は・・・・・・・・。

 

 

 

第十一話 完

 

 

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予告

反乱軍の勝利。

 

連合軍の勝利。

 

この二つの勝利は何を意味するのか。

 

次回 心・恋姫†無双 〜大陸動乱編〜

第十二話 「鼓動」

 

乱世の鼓動。

 

説明
今回は四作品という大量投稿です。オリジナルキャラ及びオリジナル設定が苦手な方は申し訳ありません。また、三国志の歴史が好きな方も申し訳ありません。感想待ってます!!
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コメント
いやぁ〜〜〜、楽しみですねぇ。これからの展開!!(竹師)
fm…馬一族がもしかして仲間入り?ここからどう展開していくのか気になります^^ (だめぱんだ♪)
・・・・・おお! 反乱軍の勝利で飾ったこの戦い。 さて、話の席でどのような事が起こるのか愉しみです^^w(Poussiere)
馬騰は仲間になるかな?(ブックマン)
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