【真・恋姫†無双if】〜死を与えることなかれ〜27話
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『鍵ですって』

 

『はい。ずっと腑に落ちない点がございました。私は当初、雪蓮、冥琳を救えた筈、

 そう、仰いましたよね』

 

『ええ。確かにそう言ったわ』

 

『そこ、なんです。私は正史での孫策の死因を知っていた。許貢の残党に襲われ、

 その際に負った傷が原因で落命、この外史でもそっくりそのままの事例が適用され、

 遺憾ながらも雪蓮は死んでしまった。なのに私は雪蓮が傷を負った際に正史の記憶を

 思い出せなかった。気が動転して無我夢中だったのを考慮しても、次の事柄で

 その憶測が雲散してしまう。それは、冥琳。雪蓮の死を目の当たりにして、

 冥琳の死を警戒しないのは明らかにおかしい。正史を知っている人間として

 必ず、無理矢理にでも典医の所に連れて行く筈です。ですが、私はそうしなかった。

 それ所か、冥琳にその違和感すら抱かなかった。そして、日々が過ぎ赤壁大戦終焉と共に

 冥琳は帰らぬ人となり、私は一生、払拭出来ない後悔を背負う事になった』

 

『………』

 

『…冥琳が存命だった頃、記憶が抜け落ちたかの様に疑問すら浮かび上がらなかったが、

 冥琳の死と同時に正史の記憶が鮮明に蘇った』

 

『…何が言いたいのかしら』

 

『これは外史による記憶操作、雪蓮、冥琳の死因の記憶に鍵を掛けたとしか思えない。

 それと二人の死には意味があった。それは孫呉の物語の根源的なファクターであり

 邪魔をされない様に外史が仕向け、それ故、私は忘れていたのだと』

 

『…本当、本当に見事と言う他なしね。よもや、外史の真理だけではなく、

 孫呉という枠組みの根源的な外史の深層まで到達するなんて』

 

『………』

 

『…貴方の言う通り、孫呉の外史に限り正史に関わる記憶に強力な鍵を掛けるの。

 ベースなのよ。孫策、周瑜の死は孫呉の物語の。それは。孫呉の枠組みの中では

 どの外史でも不変な定め、例外はない。故に数多の外史でも孫呉に限り、

 二人の死は確約されている』

 

『その約束された絶対的な運命に抗う為、私は…他外史の私に託したい。

 雪蓮と冥琳が居る未来を』

 

『…でもね。外史の根源に触れると言うのは、罪を犯すのと同等な事なのよ。

 貴方は外史に背を向けた行動の末路を知っているかしら』

 

『…いえ』

 

『その結末は二通りある。一つは強制退去。夢から覚め元の日常生活に帰還する。

 そして、もう一つは、死する運命を変えた代償として、その人の変わりに因果が

 襲い掛かり、代わりに犠牲にならなければならない。その覚悟はあるのかしら』

 

『私は…あります』

 

『…いいでしょう。だけど、貴方の返事だけでは承服しかねるわ。他外史の北郷一刀の

 意思も尊重したい。だから、これから、一番似て非なる外史の貴方に交信して貰うわ。

 その外史は許貢自らが暗躍し、孫策に凶刃が襲い掛かる外史。そして、今まさに、

 襲い掛かろうとしている真っ只中。さぁ、向こうの貴方はどちらを選ぶかしら』

 

『…はい』

 

『始めるわ。額に手を当てるから集中して、外史の流れに身を任せ、

 そこに居る貴方に同化する様な気持ちを持ち続けて。…今よ』

 

 

 

 

『北郷一刀』

『声が…!?』

『時間が無い。今、俺の記憶を共鳴させる。

 今度こそ、今度こそ雪蓮を救ってくれ。お前にはそれが出来る』

『また、白昼夢!?いや、頭の中に声と何かが入り込んで……そうだ、この後!!』

『―――――危ない!雪蓮!!!!』

 

 

 

 

『………救うと選択した様ね。これで、記憶共有した向こうの貴方は、孫策の因果を

 代償として受け止め、言葉は悪いけど人柱となったわ。

 でも、それまでの過程、因果の定めを完璧に移行するまで、度重なる困難に

 見舞われるわ。その外史からの災厄に向こうの北郷一刀は、最期までいなし、

 新たな扉を開けることが出来るかしら』

 

『………』

 

『冴えない顔つきね。貴方の願いが成就され様としていると言うのに』

 

『…勿論、嬉しく存じます。しかし、叶うのなら、私自身が運命に挑みたかった。

 雪蓮、、冥琳を助けたいと思う心は私のエゴ。向こうの私には辛い選択肢を突きつけ、

 言うならば、散る運命を与えてしまった。最低な男ですよ、私は』

 

『…貴方がそう思うなら、そうかも知れない。けど、視点を変えると、そうではないわ。

 向こうの貴方は孫策、周瑜が亡くなると、同じ様に苦しみ後悔する。

 それは、誰よりもわかっているでしょう。

 それに、最終的に決めたのは、向こうの北郷一刀、その決定権を行使したのは

 紛れもない自らの意思、だから、そこまで枷を感じる事はない、私はそう思うわ。

 …シャキっとしなさいな。そんな様子じゃ纏わり付いている思念が悲しんでいるわ』

 

『思念…?』

 

『遺された遺志の粒子、残留思念と言うのかしら。それが、悲しんでいるのよ。

 そんな様子だから。真実に辿り着いた褒美として、特別に思念の持ち主を具現化してあげるから、

 二人と対話して、気持ちを整理させなさい』

 

『二人?まさか………』

 

『………一刀』

 

『………北郷』

 

『雪蓮!!冥琳!!』

 

 

 

 

 

 

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『…大人になったわね。私達の方が身長、年齢が上だったのに、随分と追い抜かれちゃった』

 

『…いや、中身は子供のままだよ。我が儘を押し通して皆に迷惑を掛けている子供のまま…』

 

『だが、それは私達の為だろう。北郷は心身共に頑張ってくれた。しかし…』

 

『…そうね。その為、一刀の枷になっていた。ごめんなさい…一刀』

 

『俺が望んだ事だから。それに、俺の方こそ謝らなければならない。

 二人供、済まない。俺は…俺は、二人を』

 

『ねぇ、一刀。私達の死期は確かに定められていたのかも知れない。でも、今まで歩んでいた

 道までは縛られてはいなかった。私はね、この事実を聞いても生前、自分の生き方に

 誇りを持っているわ。一刀や冥琳、蓮華にシャオ、皆と共に突っ走っていた日々、

 あの輝いていた日々こそ、運命とは無縁な自由を謳歌していたと思っているの』

 

『そして、その中で私の雪蓮も、自分で自分の生き方を選択し決めた。

 だから、運命に縛られていた事を耳にしても、納得はしていないし、そんなもの微塵にも思わない。

 全ては意思に基づいていた事だから』

 

『けど、一つでだけ後悔している事がある。それは貴方よ、一刀』

 

『…俺?』

 

『ええ。先程も言ったけど私達に心を囚われ、半生を浪費させてしまった』

 

『浪費だなんて。俺はそういう風に思った事は一度もない。

 只、俺は二人に幸せな時、未来を欲っしたから、外史に抗い、時を費やしたんだ』

 

『ありがとう、一刀。とても嬉しい。でも、私は自分が許せないの』

 

『ああ。私も雪蓮と同じ気持ちだ。私の場合、結果がどうあれ、北郷に病魔を伝える事が出来た。

 しかし、私はそれをしなかった。恐れていたのやも知れんな。

 北郷に伝える折、私に向ける眼差しが変化する事に。だが、それは間違いだったと

 死んでから思い知らされた。奇妙な事だがな。本当に済まない、北郷…』

 

『いや、俺は…』

 

『一刀、これからは、時を大切に。貴方の幸せを望むわ。

 もう、決して私達に心を囚われないで…』

 

『ああ、だから…さよならだ』

 

『待ってくれ!!雪蓮、冥琳!!俺さ子供が出来て、それで成人を迎えてさ、

 皆に似て可愛くて、後………!!』

 

『…別れが惜しいのは私達も同じ』

 

『しかし、それでも、こうして話す事が出来た、今の私達にはそれで、十分なんだ』

 

『最後に!!…最後に一つだけ……

 また、二人に会えるだろうか……』

 

『…ああ』

 

『…再び逢えるわ』

 

 

 

 

―――――異なる外史で、貴方と…再び―――――

 

 

 

説明
こちらは真・恋姫†無双の二次創作でございます。
16話で許貢の事を訂正しておいてなんですが、
このお話で、許貢生存している整合性とれるかも。
もっと綿密に物語を練らないと駄目ですね。
最初と最後、核となる部分以外は基本アドリブなんですよ(駄目投稿主)
それと、前回返信が遅くなり申し訳ございませんでした。
稚拙な文章、展開、口調がおかしい所があるかもしれません。
それでも、暇な時間に読んで頂けたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
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コメント
睦月さん>起こるべくして起きた奇跡ですよね〜。コメントありがとうございます!!(南無さん)
愛故に、起こった奇跡ですね〜…(睦月)
本郷 刃さん>愛故に、艱難辛苦な目に陥って、でも不撓不屈の精神で乗り越えたんですよね。コメントありがとうございます〜(南無さん)
naoさん>二人を思えば晴れやかと言う気分には一生なれないと思いますが、それでも二人と会話して一つの山を乗り越えたのではないでしょうか。コメントありがとうございいます〜(南無さん)
げんぶさん>一刀も思わずホロリときていらっしゃいます…。コメントありがとうございます〜(南無さん)
tadanominatoさん>相当な苦しみ、千辛万苦を重ねて今に辿り着いたわけですが、やっぱり、辛かったですよね…。コメントありがとうございます〜(南無さん)
ああ、これぞ愛だ・・・(本郷 刃)
この外史の一刀も最後に二人に会えて少しは救われたのだろうか;;(nao)
知っていたのに変えられない、後悔は半端なものじゃないだろうな―・・・。(未奈兎)
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