寂しがりやな覇王と御使いの兄53話
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長安

 

 

李厳「高祖・劉邦が都と制定し、要害に守られている長安をどうやって攻めるべきか」

 

張任「ここにいたか李厳よ」

 

李厳「張任か。お主ならこの長安をどう攻める」

 

張任「守将の王允は若かりし頃、郭泰から王佐の才と呼ばれておったそうな。それに賈?も天水で名を馳せた謀略の士と聞く。うかつには攻められまい。だが前線の将は、我々より劣っているはずだ」

 

李厳「程遠志 波才 ケ茂といったか。3人共聞かぬ名だが」

 

張任「黄巾党に所属していたみたいだが、曹仁に引き抜かれ、将になったと聞く」

 

李厳「そうなると、野戦に持ち込みたいところだが」

 

張任「王允と賈?ならば篭城を選ぶだろう。わしでも篭城を選ぶからの」

 

李厳「本隊が来る前に叩きたいが・・・ところで張任よ、さきほど曹仁といったが....」

 

張任「李厳は知らなかったか?呂珂の正体は曹仁だと言われておるぞ」

 

李厳「もしやと思っておったが・・・その曹仁はいま西涼の馬騰の元にいると聞く。やつらの主力は洛陽に留まっている今が好機なのだ」

 

張任「呂布・関羽・典韋・周泰の4人が洛陽の守備で残っているのが、我らには幸いだな」

 

李厳「曹仁に付き従っている将は、すべて把握できているのか?」

 

張任「密偵の報告では、曹仁・曹操兄妹 夏侯惇・夏侯淵姉妹に加え、南陽の袁術・その配下の張勲。曹仁軍主力の一角である楽進、その楽進に勝る実力者である張遼、智勇兼備の将と言われる趙雲、後は李典・于禁と、王佐の才と謳われる名門荀家の荀ケだ」

 

李厳「主力4将を洛陽に残して、この層の厚さか。正直羨ましいな」

 

 

張任「曹仁が率いる兵数が少なくとも、将は豪傑揃いだ。短期決戦で決めたいが・・・」

 

劉焉「張任!李厳!攻め落とす策は考えついたか!」

 

張任「申し訳ございません。まだ愚考しております」

 

劉焉「わしの野望のためにも、長安は必要なのだ!早急に策をわしに献上するのだ!」

 

張任「ははっ!」

 

 

 

李厳「厳顔たちから蜀の地を奪い返し、漢中・益州で力を蓄えるべきだと思うのだが」

 

張任「我らが漢中から巴・成都に向けば、王允・賈?は見逃すことはないだろう。逆に厳顔たちに?・漢中に出撃する力はない。ならば後顧の憂いを断つほうがよかろう」

 

李厳「劉焉様は劉表・袁紹と手を組み、益州・漢中・長安を支配下に置き、独立国家を打ち立てると躍起になっているからな」

 

張任「前漢初代皇帝・劉邦が治めた地を、手中に収められたいみたいだ」

 

李厳「そのための長安遠征か、正直無謀といえる作戦だが」

 

張任「長安は大陸屈指の城塞都市だからな。長安の弱点は・・・・李厳こういうのはどうだ」

 

 

・・・・・・・

 

 

李厳「なるほど・・・これが上手くいけば王允・賈?であろうと、どうすることもできまい」

 

張任「こちら動きを悟らせないように、我らで長安を攻めないといかぬな」

 

李厳「違和感を感じさせずに攻めるのは、呉蘭・高沛じゃ無理だからな」

 

張任「劉焉様に報告し、行動を開始しよう」

 

 

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劉焉軍・本幕

 

 

張任・李厳「劉焉様、ご報告に参りました」

 

劉焉「張任・李厳か、ここに来たという事は、長安攻略の策を思いついたんじゃろうな」

 

張任「はい、これが成功すれば、間違いなく長安奪取可能でございます」

 

劉焉「ほう、どうするのじゃ」

 

李厳「まずはそれがしと張任で、王允などが立て篭もる城を攻め立て我々に注意を逸らします。我ら2名で向かうのは、我らが”本気”で城攻めをしていると見せるためにございます」

 

張任「こうして我らに目を向けている間に、呉蘭・高沛・呉懿に一仕事してもらいます」

 

劉焉「奇襲でも行えとでもいうのか」

 

張任「敵が城に篭ってる間は、奇襲をかけても成功する見込みは薄いでしょう....なので、長安の弱点をつく仕込みをいれます」

 

劉焉「くどいな、早く方法を言わんか」

 

李厳「長安の補給路を完全に遮断するのです」

 

張任「長安の水は塩辛く、飲み水に適していません。それと同時に、街道も整備されておらず、輸送するのも手間がかかります。なので、道をいう道を封鎖し、燃料を与えぬために山を焼きます」

 

李厳「もちろん我らの補給分は、確保済みにございます」

 

劉焉「策はわかったが、曹仁とかいう忌々しい小僧が来ていると聞いておるが、間に合うのか」

 

李厳「我らは秘密裏に事を進めて参りました。なので敵は、我らの攻城に察知できず、慌てていると密偵より報告が参りました」

 

張任「敵の補給隊は既に叩きましたので、曹仁が来る前に落城させるのは可能です」

 

劉焉「既に手を打っておったか!お前達に任せる、曹仁の悔しがるところをわしに見せてみろ」

 

張任・李厳「「御意」」

 

 

 

 

 

詠「城壁を昇らせないで!岩と熱湯を浴びせてやりなさい!それとそこ!矢は交互に連射しなさい!攻め立てても無駄だと思い知らしめてあげなさい!蜀の名将なんて言われてる張任と李厳を撃退するのよ!」

 

 

王允「程遠志、波才、ケ茂は各門で指揮を執るのだ!お前達が怯むと兵にも伝染する!堂々と戦うのだ!」

 

ヒゲ「てめえら!大将が来るまで耐えるのだ!劉焉軍を蹴散らすのだ!」

 

チビ「敵が退いてる間に岩と熱湯を補充するのだ!すぐ押し寄せてくるぞ!」

 

デク「おいら達の居場所を守るんだな〜」

 

 

 

 

李厳「結構被害が出てきたな」

 

張任「下手な芝居を打つと見破られるからな・・・それにしても呉蘭達はまだか」

 

李厳「わしも城攻めに加わるか」

 

張任「それはよかろう、わしらの存在の認識には成功しているからな。ここはどっしり構えるべきであろう」

 

李厳「それもそうだな、策が決まれば落城も時間の問題じゃからの」

 

 

伝令兵「申し上げます!補給路の遮断と、敵の新たな補給部隊を壊滅、物資の奪取に成功しました!火矢の準備も完了しました!」

 

李厳「ようやくか、待たせよって!全軍に後退命令を出せ!ただし、城の囲みは継続しろ!」

 

張任「後退が完了次第合図を送る!お前達は前面の敵から目を切るでないぞ!」

 

 

伝令兵「張任様、予定布陣地点に全軍移動いたしました」

 

張任「ご苦労であった、呉蘭達に合図を送るのだ!この火を持って敵の戦意を殺ぐのだ!」

 

 

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曹軍兵「賈?様、王允様!蜀軍は安全地帯まで後退いたしました。ですが、いまだ城の囲みは解いていません、引き続き警戒が必要な模様です!」

 

詠「わかったわ。なにか進展があったら教えてちょうだい」

 

曹軍兵「ッハ!」

 

 

詠「これで少しは休息できればいいんだけどね、しつこいのよまったく」

 

王允「第二陣・第三陣と攻め込んでくる前に、兵達には食事を取らせよう」

 

詠「食事の事なんだけど、補給部隊はまだこないのかしら」

 

王允「今は包囲されているからの〜近くまでは来ているが、近寄れないのかもしれん」

 

詠「敵の動きを察知できなかったせいで、この城に満足な兵糧は確保できていないのが痛いわね」

 

王允「補給部隊には、裏道を通るよう指示はしてあるから大丈夫だと思うがの」

 

詠「いつの間にそんな指示出してたのよ」

 

王允「お主が寝ている間にちょこっとの」

 

詠「ちょ!僕に変な事してないでしょうね!」

 

王允「娘みたいな年齢の子供に、何かすると思ってるのか」

 

詠「それはそれでむかつくわね」

 

 

ヒゲ「かくさま」

 

チビ「賈?様ー!王允様ー!一大事です!」

 

詠「どうしたのよ波才」

 

ヒゲ「補給部隊が!」

 

デク「補給部隊が全滅なんだな〜物資も奪われたんだな〜」

 

詠「え!?本当なのケ茂!」

 

ヒゲ「・・・・もう黙ってよ」

 

 

チビ「補給部隊の隊長が、命からがら逃げ延びて知らせて参りやした!」

 

詠「不味いわ・・・早く知らせて補給部隊を編成しないと!」

 

デク「それがなんだな〜補給路が遮断されてるんだな〜整備されてない間道も、木などで封鎖されてるんだな」

 

詠「それ本当なの!?」

 

チビ「へい!間違いないと思いやす!間者からも同様の報告がありやした!」

 

詠「このままじゃ・・・一刀が来るまで兵糧が持たないじゃない」

 

王允「兵糧もじゃが、水も足りるかわからんぞい」

 

デク「山も火の海なんだな」

 

詠「あの張任と李厳が策無しで攻め寄せてきたのは、このための布石だったのね・・・見抜けなかった僕の失態だわ」

 

王允「わしもすっかり騙されたわい、歳は取りたくないものだ」

 

詠「そんな事言ってる場合じゃないでしょ!城も包囲されてるし・・・食料の配給を減らせば数日は伸びるとして・・・問題は飲み水ね」

 

王允「この土地は飲み水に適しておらんからの〜張任め、やりおるわい」

 

詠(考えるのよ賈?文和・・・あいつがいないから落城しました、なんて情けない真似は出来ないわ)

 

詠「とりあえず今は休んで頂戴、後は私が対策を考えるわ」

 

チビ「わかりやした、賈?様も適度に休んでくだせえ」

 

デク「部下も休ませるんだな〜」

 

 

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王允「実際どうするんだ詠よ」

 

詠「なんとかするわよ・・・あいつが来るまで持ちこたえてみせるわよ」

 

王允「長安を放棄し天水・弘農に落ち延びて抵抗するって手段もあるぞ」

 

詠「それは絶対にしない」

 

王允「なぜじゃ?食料があるうちに行動せんと、手遅れになるぞ」

 

 

・・・・したのよ

 

王允「なんじゃ?」

 

詠「約束したのよ・・・あいつと・・・この長安を守りきるって、僕なら大丈夫って信じてくれた・・・だから僕は最後まで戦う!」ポタポタ

 

王允「やれやれ・・・若者がここまで言ってるんじゃ...わしも覚悟を決めて戦うかの」

 

詠「あら、あんたは逃げてもいいのよ?」

 

王允「抜かせ小娘が」

 

 

ヒゲ「あの〜あっしに提案があるんですが」

 

詠「・・・・あんた居たの?」

 

ヒゲ「居ましたよ!チビとデクと一緒に来ましたよ!存在認知してくださいよおお」

 

詠「悪かったわよ!悪かったから大声出さないで!・・・それで提案ってなんなの」

 

ヒゲ「あっしも旦那に聞いた話なんですが、雨水・泥水からでも、飲み水は確保できまっせ」

 

詠「本当に!あんたその方法も知ってるの!?」

 

ヒゲ「旦那と旅してた期間もありましたので、何回もご一緒に作らせていただいたので問題ありやせん」

 

詠「そういうのは早く言いなさいよ!対策考え込んじゃったじゃないの!」

 

ヒゲ「あっしに怒鳴られても!?」

 

詠「そんなことより全軍の飲み水は確保できるのね!?」

 

ヒゲ「そんなこと・・・雨水・朝露・青草、竹から水を得る方法など色々やり方教わりましたので、兵を動員すればいけると思いやす」

 

詠「時間が惜しいわ!説明はいいから、今すぐ取り掛かってちょうださい!」

 

ヒゲ「わかりやした、兵の一部をお借りします」

 

 

 

詠「これで水は確保できたわね」

 

王允「これで張任の策の一つは潰せたな」

 

詠「えぇ・・・(あいつは本当になんでも知ってるのね。僕も軍略以外の知恵をつけないと)」

 

王允「どうしたのだ詠よ」

 

詠「なんでもないわ、後は兵糧をどうやって持たせるかよね」

 

王允「食料が無くなったと知れば兵達は戦意喪失し、逃げだす恐れがあるからの」

 

詠「救援要請は既に届いてるはず。なら半月....いやあいつの進軍速度なら10日間持ちこたえれば・・・配給を減らすとして、あと何日持つかしら」

 

王允「減らす量にもよるが、恐らく4〜6日ぐらいだろう」

 

詠「それでも足りないわね」

 

王允「今の半分の量にすれば伸ばせるが」

 

詠「命を懸けて戦う兵達にはお腹一杯食べて欲しいから・・・最低でもそれだけはしたくないわね(減らすどうこうの議論をしてる時点で、言える立場じゃないんだけどね・・・)」

 

 

食料の事なら任せとき!

 

詠「誰!?」

 

霞「うちやで〜賈?っち」

 

凪「お待たせいたしました」

 

詠「霞!それと凪も!遅いのよまったく!」

 

霞「これでも知らせを聞いてすぐ駆けつけたんやけどな〜」

 

詠「ふん、来るならもっと速く来なさいよ」

 

霞「変わらんな〜賈?っちは」

 

詠「うるさいわね、食料は任せろってどういう事なの」

 

霞「せやった!忘れとった!」

 

凪「霞様忘れないでください、もう城内に運び入れてあります」

 

霞「さっすが凪や〜ご褒美にうちが抱きしめたる!ぎゅー!」

 

凪「霞様.....苦しいです」

 

王允「張遼よ、この包囲され、道を封鎖されてる中どうやってこれたのじゃ」

 

霞「なんや、誰かと思ったら王允のおっさんかいな」

 

王允「おっさんは辞めろと言っておるじゃろうが」

 

霞「そやっけか?それはそれとして、うちらは知らせを聞いてすぐに、涼州の駿馬を借りて、騎馬隊を編成し進軍してきたんや。封鎖される前にはこの地に着いて隠れてたんよ」

 

詠「それはわかったけど、どうやって城まで騒がれずに来れたわけ?」

 

霞「それは敵兵を懐柔したんよ、敵軍は蜀兵と漢中兵の混合部隊や。漢中出身が何人かおったから、味方に就くように説得したっちゅうことや」

 

王允「じゃが・・・それだけで味方に付くものでもなかろう」

 

詠「あいつと・・・多分だけど華陀の名声を使ったのね」

 

凪「その通りです。隊長の勇名は大陸に轟いています、華陀さんも漢中では人望の厚い人でしたので、蜀軍に叛く事を承諾してくれました」

 

霞「そう言うこっちゃ。一刀達が来たら反乱起こす手はずになっとるで」

 

王允「曹仁殿の勇名はこんなところでも際立つか」

 

凪「私達の隊長ですから当たり前です!」フンスー!

 

霞「一刀自慢はほどほどにしとき。まあ食料と水はこれで大丈夫やし、賈?っちも少し休み。うちと凪が来たからには、奴らの好きにはさせないで」

 

詠「ごめん・・・・少し横になってくる、お願いね霞」

 

 

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霞「お願いね....か〜思った以上に弱ってるな〜」

 

凪「そうなのですか?」

 

霞「凪はまだ付き合いが浅いからな〜賈?っちは自分で何でも背負い込んじゃうクセがあるんや」

 

王允「資材・水・補給路の遮断を見抜けなかった事、曹仁殿から任せられたという責任感から、寝る暇を惜しんで対策を練っておったからのお」

 

凪「自分を責める方なんですね」

 

霞「もちっと気楽に生きても罰当たらんと思うんやけど」

 

王允「お主は気楽に過ごしすぎなんじゃ」

 

凪「それには同意ですね」

 

霞「おっさんはともかく凪まで〜〜うち傷ついた」

 

王允「お主がそんなたまか」

 

霞「やっぱりうちの事解ってくれるのは一刀だけやな〜」イジイジ

 

凪「霞様〜いじけてないで、兵の鼓舞に行きますよ」

 

霞「い〜〜や〜〜や〜〜〜うち動きたくない〜〜」

 

凪「隊長が来たら怒られますよ」

 

霞「むぅ・・・それも嫌や」

 

凪「でしたら、きちんと動いてください」

 

霞「しゃあない、やったるか。ほな王允また後でなー」

 

凪「失礼します」

 

 

そういえば燃料はどないする?

 

真桜からコンロ借りてきてますよ

 

準備がええな

 

隊長が何かあったら使えと持たせてくれました。さすが隊長です!

 

はいはい、わかったわかった

 

 

 

 

王允(やれやれ、詠も自信を持っていいと思うのじゃがの〜確かに曹仁殿を筆頭に荀ケ殿・郭嘉殿・程c殿は戦闘経験、頭の回転は桁違いじゃ。じゃが伏龍・鳳雛、孫呉の美周朗にも負けず劣らずのはずなんじゃがな。張遼も少しは大人しくなって欲しいところじゃが。さて、これであちらさんの有利は無くなったの・・・次はどう出るか警戒せんと)

 

 

 

 

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数日後

 

ヒゲ「賈?様、蜀軍が押し寄せて参りやした、李厳の旗印です」

 

詠「兵糧攻めの効果でも見にきたのかしら?盛大に”おもてなし”をしてあげなさい!」

 

霞「うちもいっていい?」

 

詠「霞と凪はまだ待機、奴らが退いたらひとあてしてもらうわよ」

 

霞「おっしゃー!出て戦えるー!」

 

凪「張り切りすぎてヘマしないでくださいよ」

 

 

詠「程遠志は霞の、ケ茂は凪の副将として出陣してちょうだい。今までの鬱憤を晴らしてきなさい」

 

ヒゲ「っは!」

 

デク「わかったんだな〜」

 

詠「まずは舐めて城に纏わり着く羽虫を駆除してきなさい!出撃はその後よ!」

 

 

城兵A「おらおらおら!」

 

城兵B「長安守備隊を舐めるでないわ!」

 

城兵C「ひゃっはーーー!落ちろ落ちろ!」

 

 

 

蜀兵「李厳様!敵の抵抗が以前より激しくなっております!城門を昇ることも困難になっております!」

 

李厳「むぅ!衰弱するどころか、ますます元気になっておる!」

 

 

ヒゲ「野郎共!俺達の平和を脅かす蜀軍の好きにさせるんじゃねえぞ!」

 

チビ「打ち落とすんじゃい!」

 

デク「なんだな〜〜」

 

 

 

李厳「これ以上被害を出すな!撤退しろ!」

 

 

 

 

詠「退いたわね・・・霞行きなさい!」

 

 

 

 

 

 

蜀軍SIDE

 

劉焉「まだ城は落ちぬか」

 

張任「策は実行いたしました、それと同時に効果も抜群のはずです。恐らく時間の問題かと思われます」

 

劉焉「早く落城させぬか!このまま曹仁が到着したら、どうするつもりじゃ!」

 

張任「急ぎ新たな策を考えます」

 

劉焉「漢中から黄権を呼びよせておいて、正解だったようじゃ」

 

張任「黄権をですか!しかし、黄権を呼びよせると漢中を守りきれる者がいなくなります!?城の呉懿達では厳顔・法正は止められません!」

 

劉焉「黙れ!わしの決定は絶対だ!黄権を頭数にいれ、策を考えるのじゃ!」

 

張任「かしこまりました・・・」

 

 

 

 

 

 

 

張任「おかしい、策は成功したのに城が静かすぎる。食料は配給を減したりとあの程度持たせることは出来るが、水はそうもいかないはずだ・・・どうなっているのだ」

 

李厳「城の様子を見てきたが、慌ててる様子は見受けられなかったな。冷静に対処をしてくるぞ、どういうことだ」

 

張任「わしも不思議に思っていたところじゃ、普通であれば水は足りるはずがない。食料も不足して満足に戦えるはずがないんだが」

 

李厳「奴らには非常用の兵糧があるとでいうのか」

 

張任「補給隊を2度出してる所を見る限り、それは無いと思うが・・・それと劉焉様が黄権を呼び寄せたそうじゃ」

 

李厳「黄権を!?止めなかったのか?このままでは?城どころか、漢中も危ういぞ!」

 

張任「既に呼び寄せた後だったみたいだからな・・・諌めはしたんだがな」

 

李厳「これは早く城を落さないと、曹仁の他にも厳顔が動き出すが...今から城を落す策か」

 

張任「兵糧攻めが失敗に終わったからな・・・数で押し切るしかないか」

 

李厳「力攻めか...それしかないだろうか。策を考案しようにも、城に篭られると打つ手が限られるからな」

 

ワーワーワー!

 

 

李厳「なにやら外が騒がしいな」

 

張任「何事だ!」

 

 

蜀兵「大変です!曹仁軍が強襲してきました!」

 

張任「なんだと!旗印はなんだ!」

 

蜀兵「張と楽の旗印!城から真っ直ぐこちらに突進して参ります!」

 

李厳「張と楽・・・張文遠と楽文謙か!」

 

張任「馬鹿な!すべての道は封鎖していたはずだ!いつ城に入ったというのだ!」

 

 

劉焉「騒がしいぞ!何事だ!」

 

李厳「曹仁軍がこちらに攻め込んで参りました」

 

劉焉「彼奴らめ、自殺しに出てきよったか!踏み潰せ!我らにたて突くと、どうなるか思い知らせてやるのだ!」

 

張任「相手は曹仁軍の主力の一角、張遼と楽進です!退いて守りを固めるべきです!」

 

劉焉「ならぬ!相手が主力というならば、それを打ち倒してこい!」

 

張任「しかし!」

 

劉焉「くどいぞ!行くのじゃ!」

 

張任「・・・・っは」

 

李厳「・・・・」

 

 

 

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霞「どきどきどきー!うちの前に立つ輩は容赦しないで!」

 

ヒゲ「野郎共!姉御に負けるな!俺達も敵を屠るんだ!」

 

張遼隊「YAAAAAAAAAAA!」

 

 

凪「猛虎蹴撃!」

 

ズドーン!

 

デク「楽進様凄いんだな〜おいらも負けてられないぞお!」

 

 

霞「敵さんは逃げ腰や!遠慮なんかいらへん!暴れるんやあ!」

 

 

 

 

張任様!敵の攻勢が激しく止められません!

 

敵が出てこないと高をくくっていたため、迎撃の態勢が取れていません!

 

張遼・楽進軍止まりません!中軍突破されました!

 

 

 

張任「兵達の戦意が無いな、このまま戦うのは不可能か。李厳後は頼むぞ」

 

李厳「待て!どうするつもりだ!」

 

張任「わしが撤退までの時間を稼ぐ、漢中に退き態勢を整えよ」

 

張任「黄権がこちらに向かっているとしたら、ここで食い止めなければ被害は甚大になる。黄権の軍を無傷で漢中に戻すのだ」

 

李厳「ならばわしもここで!」

 

張任「お主と黄権で漢中と?城を守ってくれ!恐らくもう厳顔達は動いているはずだ!」

 

李厳「張任よ・・・死ぬ気か」

 

張任「なに、わしも蹴散らして帰還してみせる」

 

李厳「わかった・・・劉焉様は漢中に戻っていただくよう説得する。」

 

 

 

 

 

 

張任「(頼むぞ)さて.....待たせてすまなかったな」

 

霞「ん?もうええの?」

 

張任「あぁ、大丈夫だ。そちらこそ追わなくていいのか?」

 

霞「うちの狙いは蜀の名将と言われてる張任だけや、後は興味ない」

 

凪「隊長も警戒しているのは、張任殿と李厳殿ですからね」

 

霞「そういうこっちゃ」

 

張任「天下の曹仁殿にそこまで評価されてるとはな」

 

霞「そろそろ行かせてもらうで!神速と謳われる張文遠の武見せたる!」

 

 

 

(ここが死に場所になるか、次の世では名君に仕え、天下万民のために尽くしたいが・・・無駄に戦火を広げた身だ。それは叶わないかもしれないな・・・最後に張遼ほどの武人と戦えるのも悪くは無い)

 

 

張任「来い!張遼よ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霞「うちの勝ちや」

 

張任「俺の負けか・・・やはり強いな張文遠よ」

 

霞「なぁあんた、戦ってる時なにを思ってた?」

 

張任「なにをだと?」

 

霞「武人の戦いであんたの事少しは伝わったで、後悔の念が強いみたいやな」

 

張任「後悔・・・か、確かにそうかもしれないな。民を救うための戦いならば、どれだけよかったか」

 

霞「うちはあんたを殺すつもりはない、民の事を考えられる将はこれからの世に必要や。あんたの力はきっと欲しがるはずや、一刀に会ってもらうで」

 

張任「・・・敗軍の将に選択肢は無い、従おう」

 

 

 

凪「霞様!周囲の制圧と街道の整備完了いたしました」

 

霞「こっちも終わったで〜」

 

凪「従ってもらえたんですか?」

 

霞「うちが本気になれば、従わせるのは余裕や!」

 

凪「また調子に乗ってますね・・・それよりも、私達で撃退できましたが、追撃いたしますか?」

 

霞「ん〜城兵もうちらの兵も疲れきってるからな〜漢中に進軍は一刀が着てからの方がええやろ」

 

凪「それもそうですね、戻って休みましょう」

 

 

霞「今日は宴会や!つぶれるまで飲み明かすで!!」

 

 

おおおおお〜〜〜〜!

 

 

 

 

 

 

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長安攻防戦終了です

 

戦闘パート考えつかないね〜

長安の水は塩辛く、飲み水に適さないと聞いたことがあるので、この展開にしてみました

 

劉焉は典型的な野心の塊の君主になってますね〜(他人事)

 

次回は漢中編と幽州編をやりたいと思いますー

 

 

 

 

説明
長安攻防戦
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コメント
sasaruさん>失礼しました。報告ありがとうございます!(おぜぜ)
1ページ3行目で張任が李厳を張任と言っています。(sasaru)
コメントの何処かで桃香と愛紗が真名を交換していない様な指摘が有ったけど、20話で真名を交換してましたよ。(アストラナガンXD)
mayoineko1192さん>一級フラグ建設士の称号は一刀に授与ですねw(おぜぜ)
これは詠も種馬スキルによって堕ちるのかな?一刀、、、恐ろしい子!!(mayoineko1192)
tadanominatoさん>凪は一刀と一緒、一刀の話しをしてる時が一番キラキラしてると思いますねw3人組も立派に将やってますよー!(おぜぜ)
naoさん・kiraさん>ちょっと露骨に無能にしすぎたかな?とも思いましたが、劉焉・劉璋親子はwiki見ても有能ってイメージが沸かなかったので。張任の処遇は次回になりまっす(おぜぜ)
睦月さん>霞が酒呑まなくなると・・・別人になっちゃいますねw忠犬健在ですねw(おぜぜ)
ナギサミナトさん>原作でも色々抱え込んでるな〜と思ったのでその再現を...一刀に落せない女・・・いるのか・・・?(おぜぜ)
たっつーさん>知識も使い方によってはダメにもなりますけど、これを生かしたヒゲは以外と有能な部類にw(おぜぜ)
凪さんフンスーかわいい、それはそれとして3人組の活躍がなにげに嬉しい(未奈兎)
劉焉は張任や李厳、黄権等の優秀な将を使いこなせず無能さを露呈していますね。史実で張任は、老臣は決して二君に仕えるつもりはないと言い降伏を断り首を刎ねられているが、この物語ではどうなるかが楽しみです。(kira)
君主が無能だと優秀な将がもったいないですな〜張任はこのまま一刀に降ってほしいね^^(nao)
霞さん、は、相変わらず酒なのね〜…凪は一刀語りが止まらんな〜(睦月)
詠は自分で抱え込みすぎてるなぁ…ここはやっぱり一刀の種馬スキルで慰めてあげるべきかな(ナギサミナト)
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