超次元ゲイムネプテューヌmk2 希望と絶望のウロボロス
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『日頃の感謝の気持ちを込めて今日はプレゼントがあります!』

 

ワルチューは這うように丘から顔だけを覗かせ、目の前の現実に心の底から恐怖を抱く。

 

『歴史あるお城の観光旅行チケットだ』

 

そう、ここに来たのは男も納得してしまうほどのイケメンで、家事スキルがそこらの主婦より熟練されて、魔性のカリスマで四女神に味方する者を簡単に引き込みゲイムギョウ界のシェアを一気に変えた張本人。

そして、自らの上司であり、事務仕事をよく押し付け幽霊のように消える気ままな性格。

 

『ゆっくり休んで帰ってきた時は感想でも聞かせてくれよ』

 

その実態は外道で悪魔。子供のような笑顔を浮かべるその瞳には餓えた獣の如き眼光、狙われたら最後首を食い散らすまで止まらない狂人の類であること。

 

「す、少しでも信じたのが悪かったチュー……ッ!!」

 

今頃リンダをからかって遊びながら、自身より数倍の速さで事務処理を進めているレイスに渡された地図を滅茶苦茶に破り捨てる。

地図通りに来た場所には、不自然なぐらいに球形の形をした湖だった。可笑しいと頭を傾げるとよくレイスに飛びつく日本一の姿が見えたので、身を隠して双眼鏡で様子を見れば、突然湖が光すら通さない程の霧に包まれ現れたのは歴史が深そうな荘厳なる中世の城だった。

 

「逃げるが勝ち!チュー!!」

 

レイスの発言から予想すれば個々の様子を見てこいか、それともあの三人を監視しろと遠回しの任務だと推測できるが、そんな事は知ったこっちゃない!とその場から勢いよく逃げる。

人の負で構成されながら人を襲わず確固たる自我を持つ特殊型モンスター、ワルチューは本能で理解した。あの天も地も染め上げる程の血飛沫が、全てを紅く染め上げる地獄を治める恐るべき魔神の気配を感知したからだ。

 

「あの外道魔人め!例えこの身をが滅びようとも奴に裁きの雷撃を喰らわせない限りは死ぬに死にきれないでチュー!!」

 

背後から爆音と共に断末魔が聞こえるが、走る速度が止まる。

 

「グルルルルゥゥ……」

「マジ、ッチュかー…」

 

見上げれば数体のモンスター。

しかもそれは、接触禁止種と呼ばれる女神でさえも手を焼く危険極まりないモンスター。

 

「この短い一生の中で、一度くらいは身を焦がす恋がしたかったチュー……」

 

手持ちのモンスターを召喚できるディスクでは、時間稼ぎにもならないレベルの存在に呆然を立ち尽くすモンスターが突如、頭を下ろした。それはまるで王に従う兵士のように、まさかまさかと震えながらゆっくりと後ろを向けば−−−。

 

「塵の中を這う者か、そして人間性を持つモンスター、封印されし時の中でこのような変化が見られるとはな」

「あ、あばばばっばばばばば」

 

頬に散った血を舌で絡み取る紅きを魔神の姿。

 

「まぁ、どうでもいいことだ。モンスターは死ね。慈悲はない」

 

ワルチューの目の前は真っ黒に染まった。

 

 

 

 

 

 

プラネテューヌの辺境にある名もなき草原を疾走する黄金の毛をした大狼。ゲイムギョウ界にて狼型のモンスター、その中でも接触禁止種が大半であるフェンリル系統にも似た姿。地上戦では無類の強さを誇る強靭な肉体と鉄をも切り裂く爪牙は脅威的である。

だが、それは違う。縄張りに侵入する物ならば例えモンスターでも襲う狂暴な性格である筈なのに、人を乗せていた。その隣には円形の半透明のクリアパーツから光の推進剤を吹き出しながら飛翔する女神候補生の姿。

常識的に考えてあり得ない光景だが、その大狼はこの世界のモンスターではなく、異世界から降臨した異常に満ちた者。二人を抱えて飛ぶのは非効率だと言い、姿を変化させたのだ。

 

「いい加減に状況説明お願いッ!」

 

凄まじい速度で空気の壁に激突する痛みから、巨体にしがみ付くアイエフは叫ぶ。

ネプギアは今にも泣きそうな、痛みに耐える形相でとても話しかけられる状態ではなかった。

黄金の大狼−−−空は暫くの沈黙の後に語り始めた。

 

女神の魂と肉体を生贄して発動する世界救済の魔剣。

−−−『((女神を要求する未来|ゲハバーン))』を。

 

 

 

 

私じゃない((私|ネプギア))が語ってくれた。

霧のような薄らと見える光景の中で未来を鏡のように映して見せた。

 

−−−そのまま、剣を離すんじゃないわよ。

−−−早くして。アンタの意志を、アタシに見せて…

 

映しだされた残酷な現実、((私|ネプギア))が震える手で血に染まった剣を持っていた。

 

−−−最初から、決めていたことだから

−−−や…いや、死にたく、ない…

−−−いいから早くして!せっかくのケッシンが、揺らいじゃうでしょ…

 

お姉ちゃんに剣を渡した勢いよく突き刺し、今度は私が、まだ親に甘える双子の幼い命を無情に奪った。

 

−−−ええ、私は死ねない…死にたくないのよ。妹のような子を、一人残してなんてね

 

頭を壊されて、綺麗だと思っていた金色の髪がべっとりと血濡れたそんな姿でも、最後まで血の繋がっていな妹を心配していた。

 

 

 

−−−お願いだよ。わたしだってゲイムギョウ界を救いたいんだよ。

 

私ネプギアは霧の中で私を見た。

家族を、友達を、一番大切な者を自分の手で殺して、その女神の最後は誰も近づかない秘境の洞窟の中で、誰にも感謝されず、誰にも信仰されず消滅した惨めな((私|ネプギア))。

世界を救うために全てを奉げた女神は、辛い現実を変えるためにひたすら一人で歩み続け、誰にも分からない場所で壊れ始めた。犯罪神の散り際の一言を現実にしたくなくて、その為に人々を幸福で満ち溢れるように努力し続けた。

けど、それは間違いだった。四大陸を一つにまとめた事は同時に競う相手を失ってしまった事、最初は混沌としてそれも収まるにつれて、人々は徐々に堕落し始めた。日々の生活の活気も女神の信仰心も薄れて、女神は力を失いモンスターの進撃を許してしまい多くの人々が亡くなった。

痛みを知った人々は昔の堕落を忘れるように自らの保身の為に兵器を作り始めた。その結果、自然は汚されいつしか青空を見る事すら稀になっていき、女神はそれを止めようとするが既に人々の中では女神に対しての関心は無くなって、突然『黄金の頂』から現れた四人によって大陸は再び分断され、猛争と鮮血の渦が世界を巻き込んだ。−−−そして((私|ネプギア))は過去の異物となって、みんなから姿を消した。誰も私を探そうとするものはいなかった。

 

絶望の中で、いまシェアエネルギーが尽きて死にかけている瞬間に私ネプギアを抱き締めてくれたあの優しい光のお蔭で世界に絶望することは無かった。−−−そう((私|ネプギア))は優しい笑みを浮かべて、胸に手を当て儚い表情で、私に言った。

 

 

 

−−−最後まで諦めないで、みんなが幸せになれる|選択肢《みらい》はある筈だから

 

 

朝の鍛錬の後、朝食を取っていると私の目の前にプラネテューヌのゲイムキャラさんが姿を現した。外形がディスクなので表情とか分からないけど、その切羽詰った声から話してくれた内容は『女神を要求する未来ゲハバーン』の封印が破壊された事。

空さんが机を叩いて立ち上がった。私も直ぐに立ち上がり直ぐに部屋から飛び出した。

後を追ってきたアイエフさん達を空さんはユニちゃんに残るように指示、アイエフさんとコンパさんを伸びた髪で捕まえると、そのまま黄金の毛をした狼に変身して女神化して空を飛んでいる私に追いついてきた。

昼時の空にはプラネテューヌの辺境、あの魔剣が封印されているダンジョン、ギャザリング城が見えた。

空さんは黄金の毛をまるで触手のように動かして、地面に転がっていたネズミ?モンスター?を拾った。酷い怪我だった。

 

「コンパ!アイエフ!このネズミと城の前に二人ぶっ倒れている奴をお願い!!」

「空、貴方はその女神を要求する未来ゲハバーンで一体何をするつもり!?」

「何もしない…手に入れても何もしたくないッ!!」

 

空さんは吐き捨てるように叫んだ。

 

「あんな魔剣は使わない方がいいだ。その方が……いいに決まっている」

 

大きく跳躍して城の門に到着する。

そこには二人倒れていた。初対面だけど((私|ネプギア))は知っていた。日本一さんとがすとさんだ。

空さんは人型に変わり、アイエフさんとコンパさんは二人と一匹の治療に取り掛かった。色々と思う所もあるけどそれでもちゃんと従ってくれて嬉しかった。

 

「ネプギアッ!」

「はいッ!」

 

空さんは、恐ろしいほど綺麗な白と赤の拳銃を構え、私は剣と銃の両方の機能を持つマルチプルビームランチャーを持ち、プロセッサユニットの加速力を上げて突貫した。

ギャザリング城の中、そのほとんどが【汚染化】モンスターした物だった。

昔の私なら数分も持たない軍勢を空さんより先に動いてモンスターを切り裂く、断末魔を上げながら地に落ちる。曖昧な記憶でも、犯罪神を打ち倒した((私|ネプギア))の経験や武力は私に力を与えてくれた。飛び掛かる十体のモンスターを半分撃ち落とし、その半分は飛び蹴りとアクロバットな動きからの銃撃で一瞬で撃破する。

 

「邪魔だぁぁぁぁ!!!」

「退いてくださいッ!」

 

((女神を要求する未来|ゲハバーン))の場所を把握している空さんを先頭に私は我武者羅にモンスターを倒しながら空さんを追いかけていく。あの魔剣がもしマジェコンヌに渡ってしまったら、そんな最悪の展開が頭に浮かぶだけで息が詰まってしまう。怖い、怖いから。お願い、早く道を空けて!

 

「ネプギア、魔剣は地下にある」

「は、はい。何か作戦が……」

 

とても嫌な予感がした。空さんの二丁の拳銃に理解してはいけない術式が描かれた弾丸をセットした。

 

「これじゃ埒が明かない−−−だからこの城まるごと吹き飛ぶ」

「守って、くださいね」

「………りょーかい」

 

沈黙がちょっぴり怖かったが、空さんはお城独特の縦が異様に高い廊下の奥の闇から血色に光って向かってくるモンスターの敵軍に照準を向けた。銃口には私の全魔力より多い量が注がれていく、同時に空さんの体中が裂けて真っ赤な血が流れるが、空さんは止まらない。

 

「ヤグディサ、ヴォルヴァドス−−−《神獣形態》ッ!!!」

 

白銀の龍と真紅の龍が顕現され、産声にも似た咆哮を上げながら【汚染化】モンスターの敵軍を一瞬で消滅させ、制御ができないのか龍達が周囲を破壊尽くし、吐血した空さんは私を抱き締めて直後、落雷のような爆音と共にギャザリング城は完全に崩壊した。

説明

トゥルーエンドクリア!!
……いや、本当に面白かった。うずめが本当に熱血主人公とヒロインしてた。
最後の戦闘にOPが流れてきたり、とにかく燃えた!
ネプテューヌシリーズしてきて、やっぱりネプテューヌが諦めない限りはなんとかなると再確認した。まだまだいけるぜコンパイルハート!!!


※始めてネプギア視線を書いてみましたが可笑しい所はありませんでしたか?
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