ゼロの使い魔 AOS 第18話 ルイズと魔法学院の夜 |
東地区拡張計画の核心部分のである、後ろ盾とスポンサーのアポを取る算段がまとまりひとまずは喜ぶ才人。
才人の話を完全に誤解して、全く違う方向で浮かれているルイズ。
仲直りをして計画を進めた二人だったが時間もだいぶ経ち、空が光を失いかけているのであった。
「そういえばサイト、どうやってここまで入ってこれたの?」
ここに来てルイズは初めて疑問に思った、才人は現在はトリステイン魔法学院には出入り禁止になっているはずなのだ。
使い魔召喚事件の当事者であるルイズは才人がこの学院に出入り禁止な事は知っている、当然の疑問だった。
「おう、ここの生徒に頼み込んでこっそり入ってきたんだ」
「ここの生徒って、うちの生徒がサイトに協力してくれたの?」
「ああ!親切な人たちだったな、ここの教師に見つからないように匿って案内してくれたんだ」
「匿って・・・案内してくれたの?サイトを?」
ルイズの疑問はもっともだ、この学院の生徒は全て貴族である。
どう見ても平民にしか見えない才人のために、教師に見つかって共犯になる危険を冒すとは思えない・・・思えないのだが。
「そうだよ、ルイズが部屋から出てこないって言うからさ協力してくれたみたいなんだ!ルイズって意外と人望があるんだな」
「ちょっと!以外とは余計よ!!ふん・・・当然でしょ、私の人望のおかげみたいなんだから感謝しなさいよね!!」
「はは、そうだなルイズのおかげでルイズに会う事が出来たんだよな!ありがとうルイズ!!」
何かおかしい・・・感謝し感謝される所が何かおかしい様な気がするのだが、浮かれている二人は気づかない様子。
実際に才人をルイズの部屋に案内してくれたのはキュルケという女子生徒、実を言うとルイズとはそうとう仲が悪いのだが。
キュルケの名前を出したら危なかったのだが、話の流れでキュルケの名前は出なかった・・・神がかり的なスルーだ!才人は実に運がいい。
キュルケにはただならぬ関係(誤解のなのだが)の二人を鉢合わせて、あわよくばただならぬ関係の現場を覗こうと言う目的があったのだ。
その目的は目撃者を当初の予定よりも大幅に増やして達成されているのだが、その事には気づいていないご主人様と使い魔の二人であった。
「じゃあさ、帰るから」
「えっ帰るの!?外はもうだいぶ暗いんだけど・・・」
「ああ、ルイズの元気な姿も見れたしな」
外は完全に太陽が沈んでいた、元の世界で言うところの午後八時と言ったところか。
正直、馬車を拾えるか怪しいところではあるがずっとこの学院にいるわけにもいかない。
「どうやって帰るのよ、もう夜中よ?町まで向かう馬車だってもう無いと思うわよ」
「あ〜・・・やっぱりそうだよな、まあ歩いて帰るよ、もしかしたら運よく馬車が通るかもしれないし」
親方たちには東地区拡張計画のために魔法学院に出かけることは伝えてあるのだが、さすがに本業をさぼるわけにもいかない。
それに無事にルイズの部屋にたどり着いたとはいえ、ここは才人を消そうとした教師たちが沢山居る魔法学院の敷地内なのだ。
どうやってこの学院から、脱出しようかを考えている才人なのだが・・・ここでルイズが意外な提案をするのだった。
「こちらのお皿をお下げします」
ルイズの部屋に学院のメイドが空になった食器を下げに来た、大量の食器がカートに乗っておりルイズの分のお皿もその一部となった。
この学院は基本的に朝食と夕食は全員集まって食べる事になっている、しかし、良家のお坊ちゃまやお嬢様は大変わがままな人が多い。
あくまで基本的に全員集合なのだ、宗教上の理由や家庭の理由など適当な話をあげて自室で食事をとる生徒も少なくは無い。
ルイズは魔法が出来ない劣等生という扱いを受けているが、私生活では学院の規則をキチンと守る優等生なのだ。
いつもは朝食と夕食は全員があつまる生徒用の食堂で取っているのだが、今回はめずらしく自室に夕食を運ばせた・・・その理由とは?
「どう、貴族が食べる夕食の味は?」
「すげぇ〜美味かったよ!元の世界なら高級フレンチって所かな、フランス料理なんて一度も食った事ないけどな!」
「へ〜サイトの世界にも同じような料理があるんだ、ねぇ?どっちが美味しかったの?」
「だからわかんねぇって!俺の世界でもお金持ちが食べる料理だったんだよ、あっちの世界でも俺は平民みたいなもんだったからな」
才人はルイズの部屋で夕食を取っていた、そう彼は帰っていない・・・才人はルイズのお部屋にお泊りする事になっていた!!!
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場面は、少し前のルイズの部屋にもどる。
「サイト!今日はここに泊まって行きなさい」
「えっ!?泊まるって、ルイズの部屋にか!?」
「そうよ!暗い夜道を歩いていたら盗賊に会うかも知れないでしょ!!まったく・・・ちょっとは考えなさいよ!!」
「ルイズの部屋に泊まる・・・二人っきりで泊まり・・・えっと」
「ちょっと!ヘンな勘違いしない!!使い魔の世話はご主人様の義務なんだからね!!・・・まったく困った使い魔ね、フンッ!!」
「でも俺、明日は仕事があるんだけど」
「朝一で早馬を使った馬車を呼んであげるから、よけいな心配しなくていいの!ご主人様に任せなさい!!」
こんなやり取りがあって現在に至る二人・・・。
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「ふふっ、じゃあ生まれて初めての高級料理だったわけね、やさしいご主人様に呼び出されて本当にうらやましい使い魔ね〜」
ルイズの増長は止まらない!今日は才人が自分に頼りっぱなしだ、少し前までの落ち込みようは一体何だったのか?
「何ならデザートを今から頼んでもいいのよ、ここの料理人は腕が良いみたいだからきっとビックリするわよ〜」
「いや、もうお腹が・・・いや!欲しいデザートがあった、お願いしていいのか!?」
デザートを頼んでもいいと言うルイズに対して、才人が頼んだ物とは?
就寝時間になったらしい、窓の外から見える明かりが少なくなっている。
ルイズは才人に頼まれたスポンサーへの手紙をちゃんと書いてくれたらしい、ただ・・・書いている最中に何故かニヤニヤしていたのが少し気になるが。
サイトの朝は早い、ルイズの話だと早馬の馬車は明日の日の出と同じ位に来てくれるらしいので早起きしなければ・・・。
「じゃあ、そこで大人しく寝ていなさい」
「こっちには来ないでよ!ご主人様と使い魔のけじめは付けないとね・・・絶対こっちにこないでよ!絶対だからね!!」
平賀才人は十六歳の男の子である、十六歳の男の子である!大事な事だから二回言った!!
いままで才人の家に泊まりにいった事は何回もあるルイズなのだが、まったくそこらへんの事をいままで警戒していなかったのだが今日は少し違う。
どうやら才人は私と結婚したいらしい、つまりは自分のことを女として意識しているのでは無いか?男の子なんだから私に欲情しているのは?
ルイズには婚約者がいる、親どうしの話し合いで決まったことなのでどうなるのかは分からないのだが彼女には将来を約束された相手がいるのだ。
自分に懐いている使い魔とはいえ年頃の男の子・・・何か間違いがあっては実家に申し訳が立たないのである、そういう意味でルイズは警戒していた。
男性諸君なら理解できるだろう、十代の性欲を!大好きな女の子の部屋に二人っきりなのだ!!いつ若さが爆発してもおかしくはない状況である!!!
そして等の才人は・・・。
「す〜〜〜〜〜〜、す〜〜〜〜〜〜〜」
曝睡であった。
思い出してみて欲しい、彼の最近のスケジュールを。
元の世界で土曜日にあたる週末は朝早くからの仕事とルイズとのいざこざ、そして酒場での初飲酒、そのまま夜の街でルイズを探して走り回っていた。
元の世界で日曜日にあたる日は寝ないで魔法学院までの往復と街に帰ってからの拷問といえる行動、そして遅くまで大親方との話し合いをしていたのだ。
そして今日も朝早くから仕事をして魔法学院まで訪ねて来たのである、いくら若い才人でも体力の限界・・・睡眠欲が性欲を凌駕してしまったのだ!!!
「サイト!寝ているふりをしているんじゃないでしょうね!?・・・もしもこっちに来たら部屋を追い出すんだからね!サイト聞いてるの!!」
「ん〜〜・・・、す〜〜〜〜〜〜」
聞いていません!才人は深い眠りについていた、そんな事情は知らずにルイズだけが意識する夜は続くのだった・・・。
「ちょっと!寝たふりをしたってダメなんだから!!絶対こっちにこないでよ!!!」
....第18話 ルイズと魔法学院の夜 終
next第19話 アナの憂鬱
執筆.小岩井トマト
説明 | ||
才人の計画は順調に進んでいる模様。 しかし時間はだいぶ経ってしまったようでもう夜中だった。 さすがにいつまでも魔法学院にいるわけにはいかない才人にルイズは・・・。 小岩井トマトの血の涙が滴り落ちる第18話をお楽しみください(血涙) |
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