心・恋姫†無双 第十四話 |
心・恋姫†無双 〜大陸動乱編〜
第十四話 〜動き 弐〜
――孫策居城――
「雪蓮、蓮華さま達が到着したぞ。」
「そう。これで後は機を待つのみかな。」
「そうだ。今の我らに足りないものは、天運のみ。」
「地と人はもうすでにある・・・・・・か。」
「あぁ。」
「・・・・・・・・・冥琳。」
「どうした?」
「・・・・・・・・・・何でもない。蓮華たちに会ってくるわね。」
「・・・・・・・・・・反乱軍か。」
雪蓮の背を寂しい目を見つめる冥琳であった。
――成都、玉座の間――
「えっと、これからの予定だけど俺は漢中に向かう。それで護衛を翡翠・翠・蒲公英・雛菊・姫百合・蒼に頼む。あと、さっそくだけど涼州兵二万を連れて行く。それでいいかな?」
「早速のご指名。では兵も選りすぐりを連れて行こうか。お前達、準備をするよ!」
翡翠達は張り切ってその場を後にする。
「成都の復興と残りの涼州兵の配置、政に関しては今までどおり千里に一任する。恵雨と涙は千里の補佐を頼む」
「「「御意に。」」」
「残りは邑や郡への視察を頼みたい。桔梗と焔耶、紫苑と嵐で組んでくれ。白は都や諸侯の動きを探ってきてほしい。」
「「「御意。」」」
そして俺は漢中へと出発した。
けど、護衛に涼州出身の翡翠達を指名したのが間違いだった。
選りすぐられた兵、そのために生まれる行軍の速さ、俺が足を一番ひっぱったのは言うまでも無く・・・・・・・・。
一刀は年老いた老人のように腰を叩きながら、尻をさすっている。
「つ、疲れた。・・・・・・・・それに尻と腰が・・・・・・・・・。」
いくら途中、幾度と休憩をいれたとはいえ・・・・・・・・。
「だらしのない、主だね。」
「・・・・・・・生まれながら馬に乗っている人たちにはかないません。」
「あとで教えてやろうか。」
「・・・・・・・勘弁してください。」
「何やってるんだ、ご主人様?」
「いや何でもないよ。どうだった向こうの様子は?」
「何か妙に静かで、本当に隠れてるのか怪しい感じだ。」
「空城の計ってか・・・・・・・・。」
「だとしたら、私らは敵と認識されたと言うことだね。」
翡翠と一刀の顔が真剣になる。
「翠と・・・・・・・・蒼はいるかな?」
「お傍に。」
「とりあえず、今から俺が直接行く。そしたら向こうも動くだろうしね。二人には護衛を頼む。」
「わかりました。」
あっさりと一刀の言を受け入れる翡翠。
「え!?ちょっといいのかよ!?」
「何がだい?」
「いくら何でも危ないんじゃないか?」
「だから翠と蒼に護衛を頼んだのではないか。私らの主はこういう方だからね。ちゃんと守るんだよ。」
「・・・・・・・・・わっかた。」
「御意に。」
「あ・・・・・・あと、俺を守るのは仕方ないとして・・・・・・・・俺が向こうの人たちに何をしても動かないで見守ってくれる?」
「・・・・・・・なんだか良くわからないけど、わかった。」
「御心のままに。」
一刀が両脇に翠と蒼を連れて、一刀が前に進む。
廃屋がならび、草木も伸び、大地も荒れている。
動物の気配すら感じない。
はたから見たらただの廃墟とかした邑だろう。
「いるな・・・・・・・確かに。」
「そうか?あたしは何も感じないんだけどな。」
「某もです。」
「・・・・・・・・かすかに視線を感じる。」
「へぇ、さすがご主人さまだな。」
「見直したか?」
「あぁ。」
うわぁ、言い切ったよこの子。
その刹那、皆が気付く自分達に僅かに向けられた殺気に。
「・・・・・・・・止まって。」
「・・・・・・・主、お下がりください。」
蒼の目つきが変わる。
「・・・・・・・あぁ。」
翠も気付き、真剣な表情でとある廃屋に目を向ける。
「・・・・・・・・俺は北郷一刀。反乱軍の首謀者だ。君たちに話をしにきた・・・・・・姿をみせてくれないかな。」
廃屋に向かって語りかける一刀。
すると、廃屋の影から人が二人出てくる。
体に似合わない大きな獲物を持ち、わずかな殺気を出しているのは褐色の肌と真紅の髪の少女たち。
「・・・・・・・何しに来た。」
口を開いたのは、真紅の死神の一人・高順。
「話し合いに。」
「・・・・・・・恋、どうする?」
「・・・・・・・・・。」
もう一人の死神・呂布。彼女は一心に一刀を見つめる。
一刀も呂布を一心に見つめる。
凄い子だな・・・・・・全てを見透かされるような気分だ。恋が真名ならこの子は名は何だろう。
それにしても・・・・・・・優しい目をしてる。
「・・・・・・・・(コクッ)。」
頷く呂布。
「・・・・・・・・わかった。」
呂布の反応を見て獲物をさげ、手をあげる高順。
すると、兵達が物陰からぞろぞろと姿を現す。
「うわ、こんなにいたのか。」
「気付かないとは不覚。」
「俺も驚いてるよ。凄い兵達だな。」
「・・・・・・・話し合い。」
呂布が一刀の前に立つ。
「あぁ、そうだな。」
一刀たちは馬から降りる。
一刀はそのまま地面に座り、手をつけ、頭をさげ・・・・・・・
「すまなかった。」
謝った。
「「・・・・・・・・?」」
何が起きたかわからない、呂布と高順。
翠と蒼は一瞬動じるが一刀の発言を思い出し、踏みとどまる。
「話は馬騰から聞いた。」
一刀は董卓の事を翡翠から聞いていたのである。
同じ涼州出身で、馬騰自体は董卓自信と面識がなかったが、両親は知っていた。
人望に厚く、仁義に生きた御仁であったと。
両親が共に流行り病で亡くなり、そのまま娘の董卓が後を継いだのだ。
その後の董卓は、その人のよさにつけこまれ都に入城した。
そして、権力争いの駒として使われた。
董卓は立ち上がり民のためと、権力争いを終わらせた。・・・・・・が逆にそれは袁紹たちにつけいる隙をつくることとなり、連合をつくられ悪逆非道の人と罵られることになる。
そして劉備軍につかまり処刑されることなった。
白と千里、翡翠からの情報によれば董卓は優しい少女とのことであった。
一刀たちは民のために立ち上がった。
民のために戦った。
今も民のために大陸のために戦っている。
そして、戦うために己が理想がために董卓を踏み台にした。
悪逆非道の人と認識していたから。
連合軍に攻められるのは因果応報と考えていた。
一刀は翡翠からその話を聞いて自分が許せなくて恥ずかしかった。
だから、会ったらまず謝ると決めていた。
俺と同じ思いで立ち上がった董卓を、心で馬鹿にしたことを一刀は謝ったのだ。
「・・・・・・・気にしない。」
呂布は一刀の頭を撫でる。
「・・・・・・・あなたは悪くない。」
高順も一刀の頭を撫でる。
「・・・・・・・・・・・・・ありがとう。」
一刀は頭をあげる。
「じゃあ、改めて本題に入る。」
「・・・・・・・・。」
「知ってると思うけど益州は俺たち反乱軍の手に落ちてる。だから、そのうち諸侯が帝からの勅命で討伐しにくるだろう。そんな所に君たちがいたら、ここぞと巻き添えをくらうだろう。だから、ここから離れて涼州に向かってくれないかな?」
「・・・・・・・。」
「そちらの方がここよりは安全だ。兵糧とか必要なものがあったら出来るだけ用意する。だから、ここから離れてくれ。」
「・・・・・・・(フルフル)。」
首を横に振る呂布。
「悪い案ではないはすだけど・・・・・・理由を聞かせてもらっていいかな?」
「・・・・・・・約束。」
「約束?」
「・・・・・・・。」
それきり呂布は黙ってします。
高順も先程から口を閉ざしている。
「そんな奴らの甘言にのっては駄目ですぞ!」
沈黙をひきさく、一つの声。
その声の主は、呂布たちの背後から現れる。
そしてもう一人、声の主とは別の人物も現れる。
「だいたい、そのような事をしてもお前達に利益はないはずですぞ!」
「あぁ、確かに無いかな。」
「それに、ねね達の素性を知っているのであれば軍をつかって、ねね達を討って諸侯や朝廷にさしだせばいいのです。」
「ごもっとも。」
「なら、その話を受けるわけにはいかないのです!そもそも、二万もの軍勢を率いてきた奴の言う事は信じられないのです!」
「・・・・・・・ならばどうすれば俺を信じてくれるかな?」
「ふん!何を言われても信じないのですぞ!・・・・・・・・その腰の白い剣で自信の首を切ったら話を信じてやってもいいのですよ。」
明らかに無茶な注文。
「・・・・・・・・あぁ、わかった。」
「はい?」
一刀は白帝を抜いて自分の首筋に・・・・・・・
「「・・・・・・・駄目。」」
一刀の動きは一瞬だった・・・・・・・・が、それを見て傍にいる翠よりも蒼よりも早く動き、一刀をとめたのは呂布と高順であった。
呂布が一刀の腕をつかみ、高順は手首を掴んで一刀の動きを止めた。
「な、何やっているんだよ!!」
「主、さすがにそれは駄目です。」
翠と蒼が心配した表所で一刀に詰め寄ってくる。
「だって、信じてくれないって言うから・・・・・・・・。」
「だからって首を切る奴がいるか!」
「そうです!」
「いや、死ぬとは言ってないから少し切ってみて見ようかなって・・・・・・・。」
「馬鹿か!死ぬに決まってるだろ!」
「・・・・・・・・・・・そうです。」
二人の目には薄っすらと涙が浮かんでいる。
さすがにそれを見て一刀も反省する。
「ごめんな。」
「・・・・・・・まったくだ。」
「・・・・・・・はい。」
「・・・・・・・いい子。」
呂布が翠と蒼の頭を撫でる。
「!!」
「な、なにするんだってば!?」
撫でられたことに顔を赤らめる翠と蒼。
「・・・・・・・泣いたら、いい子いい子する。・・・・・・・泣き止む。」
「そ、それは、幼子にするものだ!」
「そ、そうだ!」
「・・・・・・・?」
「「首をかしげるな!」」
その光景に一刀は笑い声をもらし、ねねと言った少女は目を丸くする。
高順は呂布と同じく首をかしげている。
「陳宮よ、お主の負けだ。」
固まってしまっている少女・ねねこと陳宮に語りかけるのは先程まで傍観していたもう一人の人物。
「先程は仲間が失礼した。」
「うぅ・・・・・・・悪かったのです。」
「我が名は華雄。北郷と言ったか我らはここで主を待っている。主が見つかるまで我らはここを離れるわけにはいかん。わかってくれるか?」
「・・・・・・・・・主って・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかった。だったら何も言わない。」
「すまんな。」
「陳宮・呂布・高順行くぞ。」
「え?」
さすがに驚く一刀。
「どうした?」
「この子達が?」
「名を名乗ってなかったのか?」
「「・・・・・・・・・・(コクッ)。」」
「はぁ、さすがに失礼だぞ。」
「・・・・・・・・呂布。真名は恋。」
「へ?いいのか真名だろ?」
「・・・・・・・・・・・(コクッ)。」
「わかった。では俺も改めて俺の名は北郷一刀。真名は無い、だから好きに呼んでくれ。」
「・・・・・・・・・・・(コクッ)。」
「・・・・・・・・・・・高順。真名は純。」
「君もいいのか?」
「・・・・・・・恋が真名を許した。だから純も許す。」
「そうか、ありあとう。さっきも言ったけど北郷一刀だ。好きに呼んでくれ。」
「・・・・・・・・・・・わかった。またね、一刀。」
「あぁ。」
「恋も・・・・・・・・・また会う。」
「あぁ。」
あいさつが終わり華雄さんの方を見ると、ねねと言った少女・陳宮が口を押さえられ華雄の腕の中で暴れていた。
「すぐに去るよ。何かあったら言ってくれ。いつでも助けに来る。」
「ふん。おひとよしめ。」
「あぁ、そう言われるよ。」
そして、兵と華雄達は奥へと消えていった。
「いいのかよ?」
「何が?」
「助けるのは、ご主人さまらしいけどさ・・・・・・・・董卓って・・・・・・・・。」
「そうだな。でも、あの人たちが知らないわけはないと思う。」
「では、それでもここに留まっていると?」
「あぁ、そうだろうね。」
「何かやるせないな。」
「仕方が無いさ。俺たちも戻ろう・・・・・・・皆が待ってる。」
「そうだな。」
「御意に。」
――成都――
「・・・・・・・・千里。」
「あれ、白さん。都に行ったのではなかったのですか?」
「・・・・・・・・部下が都から戻ってきました。その報告をしに急遽戻って来たのですが一刀さまは、まだ戻ってきませんか?」
明らかに落ち着かない白。
「どうかしたのですか?」
「・・・・・・・・・・実は。」
その頃、劉備居城
「先の戦での功績により、帝より褒美をつかわす。かしこまってこれを受けよ。」
「は、はい。」
「劉玄徳を現在の任からはずし、益州州牧に任命する。」
「は、はい!!かしこまって、承ります。」
「益州の州牧かぁ・・・・・・・どう思う?」
「戦わずして反乱軍を治めるつもりですね。現在、どの諸侯も反乱軍に対抗できないですから。」
軍師モードの朱里。
「そして、反乱軍は民の支持を得ています。ですが、反乱軍は前の州牧の悪政によって立ち上がった勢力です。ですので、仁徳の御仁と名高い桃香さまを益州に送ることによって、反乱軍の存在意義をなくすつもりなのでしょう。」
同じく軍師モードの雛里。
「なるほど、それで我々か・・・・・・・だが、それは生け贄ではないのか?」
「でも、それで益州が平和になって反乱が治まるなら私は行くよ。それに会ってみたいんだ。」
「ですが、それは仮初めの平和です。反乱軍がいなくなったら、諸侯で大陸の覇権争いが始まります。」
「・・・・・・・・それでも、私は行くよ。」
――成都――
「白さんにお願いがあります。」
「・・・・・・・・はい。」
「私たちの素性を諸侯に流してください。もちろんご主人様のもです。」
「・・・・・・・・わかりました。」
第十四話 完
予告
北郷と劉備。
その存在は似ているのかもしれない。
そして、この二人の出会いが今後の運命を左右するとは誰も知らない。
次回 心・恋姫†無双 〜大陸動乱編〜
第十五話 「劉備」
この出会いを誰が望んだのか。
説明 | ||
十四話です。オリジナルキャラ・設定が多いので苦手な方は申し訳ありません。また三国志の歴史が好きな方も申し訳ありません。では駄文ですが楽しんでいってください。 | ||
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コメント | ||
首を斬れとかいうのもどうかしてるな。普通なら殺されても文句は言えん。(ACE) 一刀やるな。(ブックマン) 一刀がかっこいい!?(もっさん) アヒャヒャ!!ヽ(*゚∀゚)ノアヒャヒャ!! ついに、あの子が来たZEwwww なんで、真に出て来なかったのかな・・・あのキャラ・・・。 さて、次回どのような事が起こるのか愉しみです^^w(Poussiere) |
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