戦国BASARA 〜闇の月〜
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 新月の真っ暗な夜。

 風が吹いた瞬間、男達がドサッと言う音をたてて、倒れる。

 少年は、軽やかな身のこなしで倒れた男達に近寄り、懐を探る。

 探り終わった後、男達を崖まで引き摺り、勢いのまま落とす。今日ぐらいの川なら、勢いがあるから、遠くまで行けるだろう、そう思いながら。

 男達の姿が見えなくなった少年はその場を後にする…証拠隠滅をしながら。

 

 ──後日、数人の男達が居なくなったという知らせが何処かに届いた。

 

 

 

 

 

「(戻ったみたいだね)…怜夜君、お疲れ様。何か収穫はあったかい?」

 穏やかな口調の男が、怜夜というのに問う。

「いえ、何も…一応、崖まで引き摺った後勢いつけて落としました。今日の川は流れが速かったので。証拠隠滅もしました」

 どうやら、少年=怜夜らしい。常に炎々と喋るその表情は暗闇で見えない。だが、暗すぎる雰囲気が少年の回りを覆っている。

「そうか。まあ良い…明日は奴等。手段は何しても問わない。今回と全て同じさ」

 穏やかな口調で言っているはずなのに、何故か、そう思わない。

「承知致しました」

 辛い任務だろう、と思わない。寧ろ、準備運動だ、と思わせる雰囲気がそこにあった。

「(やはり、彼にとっては準備運動に過ぎない、か…でも、いつまでその状態、思考を維持出来るかな?)」

 男は怪しい笑みを浮かべる。

 いつのまにか怜夜は消えていた。

 

 男にとって怜夜は使える道具にしか過ぎない。ただ、あの者の息子であるから、なのだ。あの者の息子ではなければ、こんな任務は出来ないのだ。

 怜夜はそれを分かってる。だからこそ、男は怜夜を使える道具として見れるのだ……もし、分かっていないのであれば、最低な扱いを受けていたことであろう。

 

「…(半兵衛軍師様にとって俺は使える道具、としか思っていないだろう。だが、俺はアイツの息子。これからのことを考えると、準備運動ぐらいの任務しか来ないな。大役はどうせ、同盟国の毛利以外を全て潰せ、か?いや、毛利もか。毛利にとって、豊臣=駒という考えだろうな。あえて言っていないことは、敵に回したくないという考えから、か?)」

 怜夜は大阪城に居た。目的は簡単だ。ただ報告するだけ。任務の場所が近かったら、泊まろうと思ったが、遠かった。だからこそ報告だけだ。幸いにも、まだ起きている時間帯だ。怒られなくても済むのだ。

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