さようなら |
透き通るような青い空。
その青い空に牛乳をこぼしたかのような真っ白い雲。
日差しは焼け付くように見えたが、清々しくこの世界を照らしていた。
海は海面が見えるほどに透き通っており、山は鮮やかに彩られている。
草原は大きく広がり、せき止めるのもはなにも無い。
森は安らかな休憩場所となっている。
その森を流れる川は見るものに幸せな溜息をつかせ、心の洗濯をさせてくれる。
湿地帯は薄暗さと湿った空気が何故か人の心を落ち着かせる。
その湿地帯を奥に進むと洞窟が人の心を神秘的にさせる。
砂漠は昼と夜で顔を変え、存在するものたちを楽しませる。
火山の灼熱の風は心を燃え焦がす。
一見すれば荒れ果てた何も無い荒野も夕方になれば真っ赤に燃え上がり、その大地が望まずに荒野となったのではなく、望んでこの形になったのがよくわかる。
夜になれば隙間がないほど満天の星が空を埋め尽くしている。
優しい風は安らぎを、強い風は勇気を与える。
雨は平等に潤いを与え、雪は世界に奇跡を降らせる。
唯一つ――
残念なのは――
誰一人として――
この景色を見る者がいないことだ。
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