真・恋姫†無双 時空を超えた刺客 破滅の未来と絡繰人間 |
未来へ逃走した龍天達に奇襲を仕掛ける為
『時空転送装置』により未来へ旅立つ事を決めた一刀
そして、完成した『時空転送装置』により姿を消した…………
果たして無事に着いたのか?
第四章‘破滅の未来の決戦’
一節 〜滅びた大陸〜
一刀「っ!!?」
華琳「くっ!!?」
桃香「あぅ!!!眩しいっ!!!」
『時空転送装置』が発する眩い光により、全員は思わず目を閉じる
左慈「これが時空を越えるっていう感覚なのか」
于吉「いやはや………不思議な気分ですね」
左慈と于吉は感想を言っては目を閉じる
光はどんどん強くなり、遂には目を開ける事は出来なくなった
そして、その光は一刀達全員を覆い被さるようにして包み込んだ
包み込んだ瞬間、全員その場から居なくなっていた
……………
…………………………
一刀「…………ん?」
一刀は光がなくなったことに気がつきゆっくりと目を開ける
そこには全員の立ち姿があった
辺りを見渡すと、一刀達は淀んだ空気に支配された林の中にいた
その林も半分萎れ、枯れた状態の林だった
一刀「………皆、大丈夫?」
一刀の問いかけに一人ずつ目を開けては返答する
秋蘭(未来)「…………あぁ、大丈夫だ」
愛紗「……………此処は……未来なのか?」
愛紗は振り返って背後にいる未来の璃々に聞く
璃々(未来)「…………は、はい……
此処は……私が知っている未来の大陸です………」
未来の璃々は辺りを見渡し、深呼吸して震えながら答える
一刀はその言葉を聞き、林の向こう側に丘らしき物を見つけ、駆け出す
全員も慌てて一刀の跡を追う
その丘は大陸を見渡せる程、大きかった
丘に登った一刀達は全体を見渡す
一刀「っ!!?」
そこには考えられない世界が広がっていた
蓮華「こ、これは………………」
蓮華もその景色を見て絶句する
?
冥琳「酷い……………」
星「これが未来の…我々の大陸なのか……?」
そこに広がる世界は余りにも惨すぎた
至るところから黒煙が天高く舞い上がり、空は闇に覆われていた
大地は腐り、空気は淀み、川は濁りきっていた
空気に至っては異臭すら感じられる程
最早、生命という生命が生存出来るような状況ではなかった
左慈「………公害なんてもんじゃねぇぞ、これは…
次元が違う………環境破壊で言い表せる代物じゃねぇ…」
于吉「この環境下のもの、全てが汚染されています
呼吸するだけでも病気になってしまいそうです」
左慈と于吉は袖口で口を覆い、嫌な表情をする
蒲公英「うぇぇぇ………臭い〜」
美羽「ゴホっ!!!ゴホっ!!!気持ち悪いのじゃ……
主様、助けてたも…………」
全員が眉間に皺を寄せて咳き込んだり、鼻を摘まんだりする
于吉「少々お待ちを…………」
于吉は懐に右手を突っ込み、化粧水が入ったような小瓶を取り出す
その蓋を開け、それを全員に掛かるように真上に投げる
その水が霧状なり全員に掛かると、咳き込みや異臭がしなくなった
稟「………これは?」
于吉「『浄化水(じょうかすい)』と呼ばれるものです
ある程度の体の不調なら防いだり、治す事が出来ます」
于吉は笑顔で返答する
詠「………確かに息苦しさがなくなったわ」
秋蘭「喉に何か引っ掛かるような感覚もなくなったな」
それぞれ安堵の息をする
于吉「効力は決して短いものではありません
1回の使用で保つとは思うのですが………」
于吉は苦笑いで言う
璃々(未来)「………私達には既に抗体が出来ているので何とも思いませんが」
秋蘭(未来)「正直に言えば結果、慣れのようなものだ
あまり、良い状態ではない」
未来の2人は悲しげな表情で話す
一刀「これはずっと続いているの?」
璃々(未来)「はい、龍天が放った絡繰人間から発せられた正体不明の毒霧によってこのような状態に………」
秋蘭(未来)「我々はこの毒霧を『害霧(がいむ)』と呼んでいる」
華佗「人体への影響もかなり大きなものならしいな…………」
華佗の言葉に未来の秋蘭は頷く
秋蘭(未来)「あぁ、その通りだ
『害霧』による死者もこの数年間で凡そ4桁以上出ている
4年前に何とか発生源を特定して食い止められたのだが、恐るべきはその滞留時間なのだ」
華琳「4年前に止めてまだ滞留してるってことかしら?」
璃々(未来)「はい、その通りです」
蓮華「…………なんて卑劣な……っ!!!」
蓮華は怒りで体を震わす
蓮華だけではない
季衣「むぅ〜!!!絶っっ対許さないぞ!!!」
桃香「私達が死に物狂いで得た平和を……………絶対許さないっ!!!」
一刀「あぁ、その通りだ
だが、怒りで我を忘れては元も子もない………皆、落ち着いて」
一刀は内心腸が煮えくり返っているが平然を装い、皆を咎める
左慈「………んで、これからどうすんだ?
『龍天城』に乗り込むのか?」
左慈は腕を組んで一刀に聞く
一刀「いや、戦力が不足してる……無闇矢鱈に突っ込んだところで殺られるのはこっちだ」
鈴々「じゃあ、どうするのだ?」
鈴々は腕を頭の後ろに組む
すると、一刀は
一刀「………璃々ちゃん、道案内をしてほしいんだけど……いいかな?」
未来の璃々に頼み事をする
璃々(未来)「道案内……ですか?」
一刀「この世界の……未来の俺達の元へ行くんだ」
左慈「正気か北郷…………
同一人物が同じ空間で出会えばどうなるか教えただろう?」
左慈は一刀の案に反対するが
一刀「そうも言ってられないだろ
どちらにしろ目的は『血光軍』の壊滅だ
早めに手を組んでも問題はないだろ?」
左慈「大有りだろうが…………
同一人物が同じ空間で出会えばそれこそ滅亡の道を歩むぞ?」
左慈は食い下がるが、ここで于吉がまさかの一刀の援護に回る
于吉「左慈、私も北郷さんの意見に同意します」
左慈「はぁっ!!?」
一刀「え?」
2人は驚きの表情となる
于吉「よく考えて下さい
既に絡繰人間達は、時空の壁を超えて過去へと渡り歩いているのです
更には、未来の璃々さんや秋蘭さんもが過去へ来ています
にも関わらず、外史の修正力は働いていません
となると、最早修正力がうまく機能していないと云う事となります」
于吉の俯瞰的な目線での説得力は半端ではなかった
殆どの者達が相槌を打っている
左慈「でもよ、確証はねぇんだろ?」
于吉「いえ、ありますよ
それは2人の秋蘭さんの生存です」
于吉は胸を張って言う
冥琳「成る程な……………
修正力が働けば2人の生存は危ういものとなっている筈
にも関わらず2人は何の問題もなく此処にいる」
華佗が念のために2人の病魔を探したり、脈を確認したりする
華佗「2人とも健康そのものだ
何の異常も見つからない
ただ、未来の秋蘭殿の『害霧』の慣れが気になるが」
于吉「私も先程、透視してみましたが特に異常は見受けられませんでした
つまり、修正力は機能していないという確証に繋がります」
左慈「…………………」
左慈は珍しく困惑した表情となる
華琳「どうするのかしら?左慈………」
雪蓮「それとも、貴方に何か良い案でもあるのかしら?」
左慈「……………分かった、分かったよ!!!」
左慈がようやく吹っ切れた
左慈「それで終わるなら喜んで行かせてもらいますよ」
一刀「………何か言い方に棘があるな」
左慈「気のせいだ」
左慈の棘っぷりに一刀は苦笑い
一刀「まぁ、いいや
璃々ちゃん、道案内お願いしてもいいかな?」
一刀は未来の璃々に聞く
璃々(未来)「は、はいっ!!!分かりました
ですが、日が経ってしまっているのでひょっとしたら移動されてる可能性もあります」
一刀「取り敢えず行ってみよう
いなかったらそれから考えるから」
璃々(未来)「分かりました
では、参りましょう………此方です」
未来の璃々は先導して歩き出す
于吉「ここから遠いのですか?」
秋蘭(未来)「場所が変わってなければ、2里程度の筈だな……此処の場所なら」
蓮華「それなら『龍走』で移動したほうがいいのではないか?」
蓮華の言うことは妥当である
璃々(未来)「そうなのですが、迂闊に気の類いのものを使えば絡繰人間達に居場所がバレてしまう可能性も………」
未来の璃々は心配そうな表情となる
一刀「それは『この世界の俺達』の話
鍛練をした『過去の俺達』なら気を最大限まで小さくして行動できるよ?」
冥琳「絡繰人間すら反応できるか出来ないかの段階だ」
璃々(未来)「あぁ〜っ!!!そうでしたね………
そうなると恐らく大丈夫だと思います」
未来の璃々は手をポンと叩く
卑弥呼「生憎じゃが、儂らは迂闊に力を貸せん
絡繰人間に感づかれる可能性があるからの」
卑弥呼は素直に頭を下げる
一刀「気持ちだけ貰うよ、卑弥呼
移動くらい自分達でやるさ」
一刀は自分から発する気を最大限にまで小さくして『空立』をする
皆も一刀に続く
軍師達も鍛練の成果により出来るので、軍師達も続いて『空立』をする
因みに自ら発する気で一番大きいのが一刀、雪蓮、華琳、恋………といった感じとなっている
璃々(未来)「では、此方です」
ゴォォォォォッ!!!
未来の璃々が『龍走』をし出すと、一刀達が一斉に未来の璃々を追いかけ出す
それはまるで流星群のようだった
その頃の『龍天城』
斬魔「…………という訳なので、せめて明後日までには全て完成しているように」
斬魔は自らの部屋で『ある人物』に指示を仰いでいた
その人物とは
真桜(未来)「承知…致しました…………」
『血光軍』の絡繰人間製造主任責任者である未来の真桜であった
斬魔「お願いしますね
これは過去の北郷一刀達の戦闘情報です
これを遥かに凌ぐ絡繰人間の製造に期待していますよ♪」
斬魔は懐から『時空の戦い』で得た一刀達の戦闘情報が収録されたディスクを取り出し、未来の真桜に託す
真桜(未来)「御意」
未来の真桜は一度、敬礼をして斬魔の部屋から退出した
斬魔「………この時代の李典を拉致して正解でしたよ
こんな簡単に絡繰人間の量産が可能なのですから」
斬魔は歪んだ笑みを浮かべる
斬魔「さぁ、北郷一刀の命のカウントダウンです…………」
……………
………………………
真桜(未来)「………………」
一方、斬魔の指令を受けた未来の真桜は感情を零にした状態で、纏った白衣の両ポケットに手を突っ込んで歩いていた
だが、
真桜(未来)「(………アカン、逃げて……隊長…)」
未来の真桜は心の中では感情が生きていた
真桜(未来)「(このままやと………大陸が滅ぶっ!!!逃げてや、隊長っ!!!)」
未来の真桜の叫びも虚しく、自身は一歩づつ歩み絡繰人間を量産する部屋へと近づいて行った
だが、未来の真桜と『血光軍』はこの時点では気づいていない
その抹殺対象者達が同じ空間への侵入を許している事を……………
……終……
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絡繰人間の心臓を集め、遂に完成した『時空転送装置』 それを起動した一刀達は眩い光に包まれた 果たして、無事未来にたどり着くのか? 到着した視界に広がる世界とは? |
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