Dear My Friends!第2期 第3話 旅路の始まり
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(注:今回からお城の名前もちゃんと記載しました)

 

 イアの一件で深く傷ついたルカ姫は、内鍵をかけて自室にこもってしまっていたのでした。そりゃ、“命令で友達になる“なんて言われたら誰だって傷つくわけです。

 

 ルカ姫の後を追いかけた、カイト王、メイコ王妃、ピコの3人は、部屋の扉の前で必至にルカ姫を慰めていたのでした。

 

カイト王:娘よ、色々悪かった。だからそろそろドアを開けてくれないか?

ルカ姫:…

メイコ王妃:気持ちは解りますが、あなたも小さな子供じゃないんだから、私たちの話くらい聞いてくれてもいいと思うわ

ルカ姫:…

ピコ:姫様、深く傷ついた気持ちはよく解ります。でも、一人でいるのは良くないと思いますよ?

ルカ姫:…今は一人にさせて…

ピコ:しかし…

ルカ姫:…“みんな”嫌いって言ってごめんなさい。イア以外はもう許しているの。でも、今、誰かと会うのは勘弁して…

 

 嫌いと言った事そのものは、イア以外に関しては撤回したようだが、“心が付いて行っていない”ようであった。

 

カイト王:困ったもんだ…

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 そこへ、めぐみの話が終わった後にやってきたアペンドが、部屋の前に到着したのでした。

 

アペンド:・・・・・・かなりの難局のようですね

ピコ:はい、部屋に籠もって誰とも会いたくない、の一点張りで…

メイコ王妃:イア以外の私たちの事は、許してくれたとは言ってましたわ

 

 聞いていたアペンドは、声のボリュームを下げて、カイト王達に先ほどのことを簡潔に伝えることにしました。

 

アペンド:えっと、その前に先ほどのめぐみさんからの連絡事項は大事な事なので、後ほどちゃんとお伝えしますが、かいつまんで言うと、一度インタネ共和国のめぐみさんの所に私たちが赴いて打ち合わせした後、学歩の故郷である“ヤマト国”という島国に向かいます。めぐみさんの調査で色々大事な事がわかりましたので

カイト王:なるほど、後でちゃんと報告は聞くが、まずこの“目の前の問題”を解決しないといかん

アペンド:はい、その旅に出るメンバーにルカ姫も入ってますので、なんとしてでもここから連れ出します。でもさっきのイアの件のように力づくでは無理でしょうから、“からめ手“、を使います

ピコ:?

 

 そういうと、アペンドはルカ姫の部屋の扉の目の前に立って、今度は声をやや大きくして、中のルカ姫にちゃんと聞こえるように、話し出したのでした。

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アペンド:えー、ルカ姫、アペンドです

ルカ姫:…帰って…

アペンド:その件の話ではないです。あの後、めぐみさんから通信で受けたお誘いの用件です

ルカ姫:…アペンド達だけ受けてよ…私はパス…

 

 ここからアペンドの“からめ手”が始まったのでした。

 

アペンド:ふーん、そうですか、せっかく“大冒険のお誘い”だったんだけどなー

ルカ姫:!

アペンド:一度インタネ共和国のめぐみさんの所で準備して、そこから船で大海原にくりだして…

ルカ姫:!!

アペンド:学歩の故郷の島国『ヤマト国』に上陸して、島に何故かある『アキバ』って所目指して大冒険なんだけどなー

ルカ姫:!!!

アペンド:めぐみさんは、“ルカ姫には絶対参加して欲しい”、って言っていたけど、本人がこれじゃぁ、めぐみさんにルカ姫の不参加を伝えておかないといけないなー

 

 バタン!

 

 凄い勢いでルカ姫の部屋の扉が開き、入り口に、冒険用のあの小袋を持ったルカ姫が立っていたのでした。

 

ルカ姫:行かせていただきます

 

アペンド:わかったわ。今回の旅はちょっと大がかりだから、その小袋一つってわけには行かないの。ちゃんと準備しましょう。ピコ、手伝ってあげてね

ピコ:は、はい

 

アペンド:(いっちょあがり〜)

 

カイト王、メイコ王妃:(さすがアペンド…)

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(クリプトン王国 ルカ姫の部屋)

 

ルカ姫:ふんふん♪ ふふふん♪ ららららら♪

 

 ルカ姫は先ほどの“すねた態度”から嘘のように一転して、素晴らしく上機嫌だった。鼻歌混じりにワクワクして、自分の冒険服とか小物とかお金とか、いつもより大がかりの装備をタンスや机から引っぱり出してきては、旅行カバンに詰め込んでいたのでした。

 

 それ位、ルカ姫にとって“冒険”とは、かけがえのない“大好きな趣味”だったのです。何せ、あの事件の判決で、ルカ姫に『冒険自粛』を叩き付けたのは、他でもない“勇気めぐみ裁判官”自身なのである。“その”めぐみが、“大冒険に絶対来てくれ”と自ら許可したのだから、こんな美味しいことに乗らない方がおかしいのである。

 

ピコ:はぁ・・・はぁ・・・ル、ルカ姫様? も、もうコレくらいで…

ルカ姫:しゃららん♪ え? まだまだよ? “そのカバン”はもう一杯かも知れないけど、こっちのカバンも持って行くんだからね♪

 

 ドカン!

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ピコ:も…もっと大きいカバン…

ルカ姫:まぁ今回はこの2つと小袋だけで我慢しようと思ったの。みんなと共用の物はアペンドが持っていくとか言っていたから

ピコ:あの…アペンドさんの話では、私はここで留守番する事になっているし、各自の荷物は各自で管理することになっているようで・・・・・その・・・・・その荷物・・・・・

ルカ姫:? あー大丈夫!

 

 ひょい

 

ピコ:え!?

 

 ルカ姫は小袋を装備し、更に両手で軽々と2つのカバンを持ち上げて、ニコニコ笑っていたのでした。

 

ルカ姫:冒険マスターの私にとって、こんな程度の荷物、よゆーよゆー!

 

ピコ:すご・・・・・・

 

 こうして、ピコに協力して貰いながら、ルカ姫は着々と準備を進めていったのでした。

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(クリプトン王国 クリプトン城 アペンドとテルの部屋)

 

 アペンドはテルに先ほどの事を連絡し、ちゃんとルカ姫が参加出来たことを報告した。

 

テル:なるほど、さすが君だな。まぁついでに言うと、“イアも参加する”事をあえて伝えなかったのも、策の内だね?

アペンド:勿論、あの時にそれを伝えたら、絶対に成功しないと思ったからね

テル:そうだね。イアの事は出発のギリギリまで隠しておこう。100%準備が整って、さぁ行くぞって段階でイアを連れてくるか、めぐみの所までになるが、メンバーを2つに分けて、片方にイア、もう片方にルカ姫を入れて移動するとか、策は用意しておこう

アペンド:ルカ姫にもイアちゃんにも悪い気がするけど、事を円滑に進めるためには、大人な細工も必要なのよね

 

 二人はイアの友達問題の時から連続で、はずれ担当を任されている事を思い出して、準備しながら少しうなだれてしまった。

 

テル:ま、まぁ、これから先も色々あの二人の事で大変だろうから、今からこんなではいかんな。シャキっとしよう!

アペンド:そうね、私たちがしっかりしなきゃね

 

 こうして、二人は着々と準備を進めていったのでした。

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(クリプトン王国 クリプトン城 リンとレンの部屋)

 

 リンとレンの部屋は、通路に向かって1つの扉があり、入ると小さな居間があって、その右側にリンの部屋、左側にレンの部屋があり、それぞれの入り口に扉がある、変わった部屋の構造になっていた。

 

 トントン

 

 レンは準備の途中だったが、リンが心配になったので、リンの部屋の扉をノックした。扉が開き、部屋着のリンが顔を覗かせた。

 

リン:何?

レン:いや、準備の方、進んでいるかなぁと思って…

リン:うん、大丈夫。ちょっと多めになるけど、レンがいてくれるからね♪

 

レン:(ポッ)

 

リン:少しは持ってくれるでしょ?

レン:あ、ああ、いいよ。俺の方は“男の荷物”だから、出来るだけ軽めの荷物にしようと思っているし

リン:ラッキー♪

 

 だがすぐにレンは真顔に変わったのだった。

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レン:今回の目的地は全く解らん所だから、お互いの装備だけは、しっかりしておかないとね。俺の場合は、剣のメンテナンス用品、君の場合は、魔術関係だよね?

リン:うん、ちょっと多めに持って行くつもり。船旅から島に上陸だから、魔法用具の他に、化粧用品とか生理用品とか下着なんかも結構いるだろうしね

 

 レンはまた真っ赤になってしまった。

 

リン:え? ルカ姫もアペンドさんもイアちゃんも、そうだと思うよ。女の子って、そういうものだよ?

 

 レンは今度は鼻を押さえてしまった。鼻血である。

 

リン:!? レン、大丈夫? 旅行前なのに…

レン:だ、だひひょふれふ(だ、大丈夫です)。びゃあ(じゃあ)

 

 バタン

 

 レンは鼻血を抑えながら、ドアをゆっくり閉めて、自室に移動した。リンは部屋で首を傾げていた。

 

リン:? なんか私、変なこと言ったかなぁ??

 

 レンは自室に帰った後、鼻血を止めて、うなだれていた。

 

レン:リンのあの純朴で素な感じで言われると…俺もこういうのは弱いな…荷造りしよう…

 

 こうしてリンとレンは、各自での用意を続けたのでした。

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(クリプトン王国 クリプトン城 イアの部屋)

 

 イアの部屋は当然、メイドのネル、ハク、テトの3人が、急遽用意した物だった。身につける物のサイズはリンとほぼ同じだったので、リンの協力を得て、ストックを分けて貰ったのだった。他はまだまだ仮設の状態だったが、イアに取っては、それでもう十分だった。出発までそれほど時間は置かないので、ベッドで1回くらい寝られれば、それで良かったのだ。

 

 なので、イアの荷物は本当に簡単な物だけだった。小さめの旅行カバンに詰め込み、小袋に護身用具を入れて、アペンドさんから貰った麦わら帽子を横に置き、ざっと点検した後、ちょっとうなだれてしまったのだった。

 

イア:ふぅ…アペンドさんから、今後の作戦は教えて貰ったけど、基本的にルカ姫とはあまり顔を合わせない…か…。クグツでも魂と自我があるから、こう言うのキツイな…。自分でやっちゃったことだから、仕方ないけど…

 

 パンパン!

 

 イアは頬を軽く叩いて、気持ちを切り替えることにした。

 

イア:だめだめ! 今回の旅は重責を担っているんだから、しっかりしなきゃ! アペンドさんの話ではルカ姫は上機嫌らしいから・・・・そうよ! 何とかなるよ!

 

 イアの目に少し輝きが戻ってきた。イアは荷造りは終わっていたので、体を休めるためベッドに横になっていたら、いつのまにか寝てしまったのだった。

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(明朝 クリプトン王国 クリプトン城 玄関)

 

 アペンドの策の通り、インタネ共和国に向かうパーティと使うルートは、2つに分けられたのだった。テル、リン、イアの先発チームと、アペンド、レン、ルカ姫の後発チームだ。アペンドとテル、リンとレンのペア2組は、パーティの編成上、やむなく分けることになり、ルートもそれぞれが“かち合わない”ように、別ルートを使うことになった。

 

 そして玄関には、先発隊のリーダーのテル、回復役のリン、それとイアが、メイド達のみの見送りで、静かに準備を整えて出発しようとしていた。

 

テル:それでは、帰還がいつになるかわからない旅だが、行ってくることにする。城の事や、こちらからの連絡など宜しく頼みます

ネル:はい、お気をつけて

ハク:無事の帰還を祈ってます

テト:(`・д・´)ノ

 

 こうして先発隊の3人は静かに城を跡にして、インタネ共和国に向かったのでした。

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(昼頃 クリプトン王国 クリプトン城 玄関)

 

 次に昼頃に、後発隊の、リーダーのアペンド、用心棒のレン、そしてルカ姫の3人が、準備を整えて、玄関に集まっていたのでした。今回はカイト王、メイコ王妃、ピコの3人が見送りに来てました。

 

アペンド:それでは行ってきます。インタネ共和国から1回、そちらに連絡が取れれば取りたいと思ってます

メイコ王妃:はい、わかりましたわ。ピコにお願いしておきますね

カイト王:娘よ、ちゃんとご飯食べるんだぞ? 歯を磨くんだぞ? 夜更かしするんでないぞ?

ルカ姫:も〜・・・・・・はいはい、わかってます。ちゃんとします

ピコ:それではアペンド、ルカ姫の事、宜しく頼みます

アペンド:はい、しっかり管理させて頂きます・・・・・出来る範囲でね

ピコ:・・・でしょうね・・・

 

ルカ姫:じゃあ、行ってくるよ〜♪

カイト王:気を付けてな!

 

 こうして、後発隊も出発し、テルとは別ルートを使って、インタネ共和国を目指したのでした。

 

 さてはて、どんな道中になるのでしょうか?

 

(続く)

 

CAST

 

イア:IA-ARIA ON THE PLANETES-

ルカ姫:巡音ルカ

 

魔導師アペンド:初音ミクAppend

魔導師テル:氷山キヨテル

 

異国の剣士 神威学歩:神威がくぽ

裁判官 勇気めぐみ:GUMI

 

僧侶リン:鏡音リン

勇者レン:鏡音レン

 

カイト王:KAITO

メイコ王妃:MEIKO

 

テルの助手ソニカ:SONiKA

家庭教師ピコ(ピコ):歌手音ピコ

メイド・ネル(ネル):亞北ネル

 

その他:エキストラの皆さん

説明
※今回からの新シリーズは、前作「Dear My Friends! ルカの受難」の続編です。ナンバリング的には2期になります。
現在ピアプロで連載投稿中の最新シリーズとなっております。

☆当方のピアプロユーザーネーム“enarin”名義で書いていました、ボーカロイド小説シリーズです。第16作目の第3話です。
☆今回も1話分を短めにした、ファンタジーRPG風味の長編です。現在もピアプロに続きを連載投稿しており、完結しておりません。     

☆2期では、”イアさん”と”ルカ姫”のW主人公で行っていますが、シナリオによって、軸が変わっているところもありますので、そこら辺はご愛敬で…。
☆今回はファンタジー以外にも、ちょっと違った要素も入れてます。

☆ルカ姫・・・・・・

☆これから旅が始まります。まずはインタネ共和国へ向けてです!
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巡音ルカ IA Append 氷山キヨテル 鏡音リン 鏡音レン KAITO MEIKO インタネボカロ 海外組 

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