世界が終わりなんて間違っている 第13話 |
何だろう……この状況?
食料を回収にバックヤードに来て音がした方を見てみたら顔見知りが冷蔵庫の上で寝ていたとか……
そしてまたゾンビに間違えられてしまった俺って……。
八 幡「とりあえず……仲町さんそこの二人起こしてもらっていいか? それと葉山、戸部。生存者がいた。ちょっとこっちに来てくれ」
多分折本たちが上った時に使ったであろう脚立があったのでそこから冷蔵庫の上に上ぼりながら葉山たちを呼び寄せる。業務用冷蔵庫と天井の間は座るくらいの隙間しかなかったため、葉山と戸部が上に来ると少し狭く感じるが仕方ないだろう。葉山と戸部が上ってくる間に折本たちはやっと起きてくれたようで俺がいることに驚いていた。
八 幡「で……三人は無事だったとしてなんでこんなところにいたんだ? ゾンビから追われてここに逃げ込んだのか?」
かおり「まぁそんなとこ。でも比企谷生きてたんだ。ウケるっ!」
八 幡「はいはい。そこウケるとこじゃないから……あとなんかルミルミ、折本になついてない? 知り合いだったっけ?」
俺の隣に座りその反対側にいる折本の腕に抱き着いている留美が疑問に思い聞いてみる。俺や留美といったボッチにとって折本たちリア充は苦手な相手のはずなのに……
留 美「八幡キモイ! ルミルミ言うな!」
かおり「ぷっ……小学生にキモイって……ウケる!」
仲 町「不審者が出てみんなでこのデパートの休憩室に避難した時にいつの間にかかおりが連れてきてたんだよね」
折本は俺が小学生にキモイって言われているのが相当面白かったのか腹を抱えてまともに説明できる状態ではなかったので、仲町さんが補足を入れてくれてわかったのだが……
八 幡「そういやクリスマスの時に見たことがあったのか? 二人ともあのイベントにかかわっていたけど」
留 美「あの時は見たことがあるって程度しか……私がお母さんとはぐれて避難していたらいつの間にか話しかけてきてた」
かおり「見たことある顔だったし一人でいたから気になって……それからずっと一緒だよ」
八 幡「そうか……ひとつ聞いていいか? デパートの休憩室に避難していたなら何でここにいるんだ?」
俺がそう聞くと事の顛末を話してくれた。折本が犯人の可能性がある人物の名前を言うと知っている人物であり、ある意味納得してしまう名前の持ち主だった。
八 幡「あいつならやりかねんかもな。それでここに逃げ込んだんだな……」
かおり「そのあと会長が様子を見に行ったんだけどそれから戻ってこないんだ」
折本の話を聞いていてやっと思い出したが……バックヤードの外にいた見覚えのある変な行動していたゾンビは海浜の会長だったか……しゃべってないとわからんかった……。
八 幡「……残念だが海浜の会長ならこの外の所でゾンビになっていたのをみた。ただ、なんでかわからんが襲ってこないでその場であの手の動きを続けてるだけだったけど……」
仲 町「そうなんだ……会長なくなったんならどうしようか……かおり」
かおり「ねぇ比企谷……比企谷たちはどうしてるの?」
折本の問いに今まであったこと・ゾンビに関してのことをはなした。
八 幡「ということだ。で、折本たちがよかったらお前たちもうちの学校来るか?」
かおり「いいの?」
葉 山「いいんじゃないか。……どうせここにいたらその危険な奴とまた会ってしまうかもしれない。そんなところに女の子残していくわけにはいかないしね」
戸 部「さんせーっ。人が多い方がいいじゃん!」
八 幡「ということだ。どうする?」
折本は他の二人の顔を見ると
かおり「おねがい!」
八 幡「おお、わかった。それで俺たちはここに肉を取りに来たんだけどそれを手伝ってくれないか?」
仲 町「それならこの冷蔵庫にあったよね」
仲町さんが下をさしながら話しかけてきた。それから冷蔵庫から降り、袋に個別にしてバックに詰めれるだけ入れた後残った肉を冷凍ができる冷蔵庫の方に移動させてここを出ることにした。
出る前に男三人で△を作りその中に女子三人が小さな△を作るように移動時の陣形を整えて周囲の警戒を行うことにした。
八 幡「ここの休憩室で今何が起こっているかわからないが……今ここから脱出することだけを考えよう」
葉 山「そうだな。デパートの中はゾンビが多いから大人数の場合見つからずに休憩室まで行くのは難しいだろう。取り敢えずバスの皆と合流してから考えよう」
八 幡「じゃあ出るけど……さっき話したようになるべく音を立てないように移動するぞ。もしゾンビを発見したら俺たちの誰かに伝えてくれ」
俺の言葉に女子三人が頷く。それを確認するとバックヤードの扉から外の様子を確認する。近くには玉縄ゾンビしかいないようだ。
八 幡「いまのところ玉縄ゾンビしかいないみたいだ。あいつは俺たちがここに来た時興味なく襲ってこなかった。だが、今回もそうとは限らない。ということで俺が少し出て確認する。大丈夫だったら合図を出すからそれから出てきてくれ」
葉 山「気をつけろよ」
八 幡「わかってるよ。じゃあいくか」
俺は一人バックヤードから出ると玉縄ゾンビの確認をする。少し近づいてみるが来た時と同じように手を動かしているだけだ。これなら大丈夫だと思い後続に合図を出して出てきてもらった。
かおり「……会長……ごめんね。一人で様子を見に行ったせいで……」
折本は玉縄ゾンビを見るとつぶやくように謝っていた。
すると今まで手しか動かしてなかった玉縄ゾンビが手の動きを止め折本のことを見つめ返してきた。俺は咄嗟に二人の間に体を入れるが……玉縄ゾンビは首を横に振るだけだった。まるで折本の謝罪に対してそんなことないと言いたげに……。
その行動に驚かされたが玉縄ゾンビはすぐに手を動かす行動に戻った。
八 幡「まさか……折本の言葉を理解して首を振ったのか?」
葉 山「わからない。だがここにいつまでもいるわけにはいかない。このことは後で考えるとして早くここから出るんだ」
葉山の言葉にみんなでデパートから出るために移動を開始する。折本は手を振って別れを伝え歩き出した。
しばらく周りの警戒をしながら出口近くまで来ると、後方面の警戒をしていた戸部が
戸 部「なぁ……さっきのゾンビついて来てるんだけど……」
後ろを振り返ると確かに後を追ってきているが襲ってくる気配はない。ただついて来ているだけか?と考えていたら仲町さんのすぐ近くの棚からゾンビが出てきた。
八 幡「戸部! 仲町さんの右側から違うゾンビが来てる」
戸部も俺の呼びかけでやっと気付いた。
戸部は仲町さんをかばうように前に出るが気付くのが遅れ武器を振りかぶる時間がない。
八 幡「戸部。左腕だ。左腕を使え!」
武器が間に合わないと判断し指示を出す。
戸部は左腕を噛みついて来ようとしているゾンビの口に噛みつかせそれから足を払い転倒させる勢いを利用してゾンビの頭を床に叩き付けた。
仲 町「え……嘘……噛まれたの? 私のせいで……私が……」
戸部が自分をかばって噛まれたと思った仲町さんが混乱して動揺している。
そういや伝えてなかったな……と思い
八 幡「戸部。大丈夫か?」
戸 部「ヒキタニ君が言った通り皮膚まで届いてないから大丈夫っしょー」
そういうと左腕の服をめくり見せてくる。そこには腕をビニールで巻きその上から昨日調達した鎖を巻いてあった。来る前に防御用に着けていたおかげで助かったようだ。
戸 部「えっと……仲町さんだっけ? この通り大丈夫だから気にしないでいいよ〜」
戸部に声をかけられて仲町さんが動揺から回復した。したが……今度は戸部のことを見つめ頬を染めている。
やれやれと思いながら状況を把握する。たぶんこれは戸部に惚れたかな……。まぁ海老名さんに脈がない状況だから戸部にはいい方向に向くかもしれないけど……。いつまでもこうしているわけにもいかず
八 幡「戸部が大丈夫なら行こうか? 今の床に叩き付けた音でゾンビが寄ってくるかもしれないから」
みんなを見わたしながら言うとみんな頷いで返してくる。
それから出口まで無事に出るが……バスの様子がおかしい。
周りに注意しながらバスまで戻ると、バスの中から雪乃をつかみながら出てくる男と出くわした。
〜
≪数十分前・結衣視点≫
結 衣「ねぇゆきのん。ゆきのんはいつヒッキーに告白するの?」
バスの中で私はバスの後方を見張りながらデパートの入口方面の見張りをしていたゆきのんに聞きたかったことを先生や沙希に聞こえないように声を落として聞いてみることにした。
雪 乃「ゆ、由比ヶ浜さんいきなり何言いだすの?」
ゆきのんが慌てたようにこっちを見ながら返してくる。
結 衣「ゆきのんだっていろはちゃんに聞いたでしょ。もう一人だけヒッキーと付き合うんじゃなくみんなで付き合えるようになってるんだよ。だからゆきのんも告白しようよ。ヒッキーのこと好きでしょ? それと私のことはもう結衣でいいって言ったじゃん!」
雪 乃「そうだったわね……結衣……さん。確かに一色さんが電話で告白していたのを聞いていつ死んじゃうかわからない世界ならっていっそのことって考えたわ。でも……いざとなると……」
ゆきのんが少し恥ずかしそうに想いを伝えてくる。ゆきのんの性格を考えると今の関係を壊してしまうのが怖いんだろう。気持ちを伝えてもし……進んでしまってもし……とか考えてしまっているんだろうな……
結 衣「でもいいの? ボヤボヤしていると他の女の子寄って来るよ? もしかしたら今回の調達でもだれか連れて来るかもしれないし……まぁそう何回もあるとは思えないけど……すくなくとも私たちのほかに沙希やさがみん・めぐり先輩辺りも怪しいよ。いろはちゃんが言うにはせめて私とゆきのんが想いを伝えてない状況でみんなに『は〜れむ計画』は広めないって言ってたしみんなが幸せになるにはゆきのんも一歩進まなきゃ。ちなみにいろはちゃんもだけど私ももうヒッキーに告白したよ。ゆきのんもがんばってみようよ!」
私の話を真剣に聞き頷いてくれている。踏ん切りがついたのか
雪 乃「……わかったわ。今日帰って二人になれるときがあれば伝えてみる。結衣……さんありがとう」
結 衣「うん! でも本当にありがとうって思っているなら『さん』はいらないよ。結衣って呼んでよ」
雪 乃「……ありがとう……結衣」
少し詰まりながらだったけどやっと結衣って言ってくれた。嬉しくて思わずゆきのんに抱き着いた。
結 衣「んう〜ん。ゆっきの〜ん」
雪 乃「結衣……苦しいわ。少し離れて」
結 衣「いやーっ。ゆきのんかっわいーっ」
雪 乃「もう結衣ったら……ん? あれ何かしら? もしかして比企谷君が帰ってきたのかしら?」
ゆきのんに抱き着いたままゆきのんの視線の先を見ると誰かデパートから出てきたようだ。
結 衣「ん〜違うみたいだよ。隼人君でも戸部っちでもないよ」
雪 乃「先生。川崎さん。比企谷君たち以外の人間が近づいてきます。一応警戒を!」
ゆきのんが先生たちにそういうと、先生は昨日ヒッキーが拾ってきた拳銃を取り出した。私たちも先生の所に集まっているとだんだん近づいてくる。
???「あの〜すみません。生存者の方ですよね。よかったら連れて行ってもらえませんか?」
その男の人は先生に話しかけている。この近くの高校の制服だから同じくらいの年の人だろう。話を聞く感じでは人のよさそうな感じではあるが……隣にいるゆきのんは警戒を強めているようで表情が少しこわばっている。先生がどうする? って感じに私たちの方を見てきた。
結 衣「いいんじゃないかな? 男の人がいるほうがヒッキーたちの負担も減るし……」
私の一言で先生は頷きドアを開けてしまった。これが間違いだったとは気づかずに……
???「いやー。助かりましたよ」
男の人はバスに乗り込んで私たちに近づいてくると嫌な笑い方をした。
???「昨日、手を付ける予定の女がいなくなって困ってたけど……こんないい女が手に入るとは」
結 衣「え……なにいってんの?」
男の人の話についていけずにいると、ゆきのんの鳩尾を殴り彼は制服のポケットに手を入れそこからナイフを取り出した。そして鳩尾を殴られて倒れたゆきのんの背中を踏みつけている。あまりに一瞬の出来事で訳が分からずにいる。
平 塚「な……何をしているんだ! 雪ノ下を離せ!」
先生が男の人に拳銃を向けゆきのんを離すよう説得している。しかし持っていたナイフの刃を男の人の下にいるゆきのんの方を向けて
???「へー。銃なんて持ってたんだ。でもいいのか? 銃撃って俺に当てたとしてこのナイフはどうなるだろうな? もしかしたらこの女に刺さっちゃうかもなぁ。この女に刺されたくなかったらその銃よこしな!」
先生がゆきのんにナイフが刺さる可能性を考えた少しのスキをついて男の人は先生の手をはたき銃を落とさせた。ゆきのんに乗ったまましゃがみ、すぐさま銃を取ると、ゆきのんに向けていたナイフの代わりに銃をゆきのんに押し付けた。
ゆきのんも得意の合気道を使おうとするが鳩尾を殴られたショックと背中に乗られている状況では使えずにいる。
???「ヒャハハ! 動くんじゃねえぞ。撃っちゃうかもしれないぜー!」
一連の行動に私たちは動けなくなってしまった。そして銃で牽制しながらゆきのんを持っていた縄を使い後ろ手に縛るとバスからつかみ引きずり出そうとしている。私がこの人を乗せてもいいって言ったから……このままじゃゆきのんが……
≪結衣視点終わり≫
後書き
戸部の左腕の防具は八幡葉山もしてます。
とりあえず噛まれて皮膚からゾンビウイルスが入らないように鎖を巻いてます。
ビニールはもし鎖の間からゾンビの体液が入るのを避けるため……ただこれやると上の服が破かれてしまう可能性があるんですよね……
説明 | ||
第十三話 | ||
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台本形式 ゾンビ やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 | ||
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