仮面ライダー・FESTIVAL! 001 |
001:くしゃみと訪問者とホールインワン
あぁ、憎い…
あぁ、妬ましい…
あぁ、腹立たしい……
もう少しだったはずだ、もう少しで届いた
なのに邪魔をされた………何故なのだ、自分が何をした?
ヤツには何もしていない、不干渉だ
むしろヤツから向かってきた筈だ
なのに…………
欲して何が悪い、願って何が悪い……
追い求めて何が悪い!
それがヒトとしての正しいあり方だ!
そうだ、ヒトとは『 』の――――
『王』であり、『奴隷』なのだ。
どこかにある暗い部屋……誰も使われていないはずのそこに、光が灯る。
…妖しく光る紫色の下には玉座に座る者が一人。
彼は待ちわびていた……早く早くとせがむ子供のように、狂気を含み、笑っている。
そして…
「時は来た…」
嬉しそうに口元を緩ませると立ち上がり、抑えきれない感情と言葉を吐き出す。
「さぁ………始めようか。悪意と憎悪が渦巻く祭りを」
喜びと怒り……狂いだしそうなほどの、憎悪。
「ただの復讐では足りん…楽しまなくてはな…」
「――吉と出とる。やるんゆーたら今やで」
「――ノルマ達成。これよりセカンドフェーズに移行」
そして別の灯りが付く。
…着崩した着物を纏った男はけらけらと笑い、逆に上下白い服を着た男は無表情でパソコンを操作する。
その言葉を聞き、影は玉座から移動する。
抑えても抑えきれない笑み……そして心地いい殺意。
光から離れたそれは瞳に光を灯し、今はいない相手を見据える。
その相手こそ………
「さて、楽しもうではないか…仮面ライダー」
憎く、欲する者なのだ。
「ぶぇっくしっ!!」
「きゅっっ!?」
「ピチュ!?(マスター、大丈夫!?)」
所変わって風都の駅前近く…のさらに手前。
男…平沢 梨斗は盛大なくしゃみをしていた。
それに驚いたのか、シャツの胸元にいたゾロアのコンはビクッと体を揺らし、頭部にいるピチューのミミは心配している。
「あー、大丈夫大丈夫。バカじゃないけど風邪ひかないから、俺」
「きゅぅ?(ホントに?りと、平気?)」
「ああ。だから安心しろよ」
「きゅぅぅぅ〜〜♪」
「チュー!ピチュッピ!(あー!コンだけずるい!)」
「じゃあミミにもやってやるよ」
なつかれている故か、それとも女タラシだからなのか。
リトは二匹を優しくなでながら移動する。
二匹とも満足しているようでーωーな顔をしていた。
「えーっと、たしかもう少し向こうだったっけか…」
ここで少し補足をしよう。
現在リトはとある人物達と待ち合わせをしていた。
その人物達との待ち合わせの場所は駅前…なのだがリトは予定より若干遅れている。
それもこれも、ここに来る前に乱闘してきたからだ。
相手は異端審問会『FFF団』…リトはまたもや粛清対象になったらしい。
正直覆面集団に襲われるのは勘弁だ……襲われるときは大体そう思っているのだがなかなかできないでいる。
その証拠に今回も約束の時間ギリギリになってしまった。
だからこそ、急ぎ足で集合場所に行こうとするが、
…次の瞬間、爆音が鳴り響いた。
「…ッ!?なんだ!?」
「きゅん!(りと、あっち!)
「ピッチュ…(燃えてる…)」
ガス爆発に近い爆音は周囲にも響き、近くの歩行者も驚いている。
そんな中、コンが指す方向は近くのデパート。
ミミの言う通りデパートの上階部分からは火が出ており、悲鳴も段々大きくなる。
リトは嫌な予感を感じつつも現場へ向かった。
現場へ駆けつけたリトはそこに消防車が何台も停まり、消火活動している消防士とゼニガメを見かけた。
…その中に混じっているゼニガメ達はおそらく『あの』ゼニガメが率いる消防団なのだろう。
人間顔負けで仕事をしている。
見たところ、負傷者や取り残された者はいないようだ。
このままでも大丈夫か…そう思い駅の方へ向かおうとするが、リトの超直感が何かを警戒した。
リトはそれに従い後ろを振り向く…
すると、そこにはどこか見たことのある“怪人”が襲い掛かってきた。
『ウッキャァァアアアアアアアア!!』
「なっ…!?ぐっ!」
リトは驚きながらも怪人に向かって蹴りを入れた。
突然の事で出した蹴りだからか、怪人はそれをかわしリトから距離を取る。
リトも同時に距離を置き、怪人を見て…驚愕した。
『アッハハハハ!!スゲェ、スゲェよこの力!!体が軽い、力が湧くぜぇ!!』
「こいつ…まさかヤミーか!?」
「きゅぅ…(ゴウカザルみたい…)」
「ピッチュ!(マスター、ヤバイよ!)」
そう、その怪人はヤミーと言う怪人に酷似していた…いや、ヤミーそのものだろう。
その証拠にかつてリトが感じていたメダルの気配が目の前の怪人から感じられる。
だがリトはその事を否定する。
――そんな筈はない…リトはそう自分に言い聞かせた。
リトの思うようにヤミーがここに存在する筈はないのだ。
それにその姿はポケモンのゴウカザルをモチーフにしている。
そんなヤミーは以前にも見たことがない。
少々戸惑いながらもリトはコンとミミを降ろし、アークルを呼び出し……自らも対抗するために変身した。
「…変身!」
『なんだぁ!?姿が変わった!?化けもんかよ!?』
「お前に言われたかねぇよ!」
変身したリト…仮面ライダークウガはゴウカザルヤミーに向かって走り出す。
ゴウカザルヤミーが突然のことに驚いている隙にパンチを仕掛けるも、ゴウカザルヤミーは素早い動きで回避し、信号機に飛び乗る。
素早さでは奴が上…マイティフォームで戦うクウガでは相性が悪い。
クウガはドラゴンフォームに超変身しようとするが、それよりも先にゴウカザルヤミーが素早く飛びだし蹴りを繰り出す。
敵の攻撃をギリギリ避けたクウガだったが、地面に着地したゴウカザルヤミーがどこからか取り出した棒を取りだし後頭部に一撃喰らってしまう。
「ぐっ…!?」
『ヒャハハハ!いいぜいいぜぇ!!これで思い切り暴れられるぜ!!警察共に復讐してやる!』
「復讐…?」
何かを独り言のように喋るゴウカザルヤミーは自分の力に酔いしれ笑う…が、クウガはその隙を狙い棒を蹴りで手から弾く。
そして今度こそ超変身するため、距離を置こうとクウガは動くが……
今まで隠していたのか、クウガの首にゴウカザルヤミーの尻尾が巻き付いていてくる。
その力は見た目以上に凶悪でミシミシと締まる程の力にクウガは酸欠になりかけていた。
このままではまずい…クウガは抜け出そうとする…だが、ゴウカザルヤミーは今が好機だと感じ、鋭い爪を突き出し腹部を貫こうとする。
「っの、野郎…!」
『死ねぇぇ!』
シュン…と風を切る音がする。
狙いは軌道上からわかっているが、このままでは致命傷になりかねない。
タイタンで防御を…そう思ったクウガはその場で超変身しようとしたが…
『Attack Ride Blast!』
『ギャァァァァ!?』
「!?今のは…」
それは自分の背後から来た光弾がゴウカザルヤミーに命中したことでなし得なかった。
ゴウカザルヤミーはその威力で後ろに吹き飛ばされ、首に巻かれた尻尾はほどける。
クウガはすぐさま背後を見ると…そこにはマゼンタと白を基盤としたバーコードをモチーフにしたライダーがいる。
彼…仮面ライダーディケイドはクウガの元へ駆け寄った。
「兄さん!」
「ツナ、何でここに…!?」
「理由は後だ。それより奴を倒そう」
『うぐぐ…今度はなんだよ、糞が…』
撃たれた所を押さえながら、ゴウカザルヤミーは立ち上がった。
クウガは先ほど弾いたゴウカザルヤミーの棒を拾い、超変身しドラゴンフォームへ、ディケイドも電王・ロッドフォームへ変身する。
「超変身!」
『Form Ride DEN-O ROD!』
『変わればいいってもんじゃねぇぞオラァ!!』
やられた怒りで血が昇ったゴウカザルヤミーは単調な動きで二人に拳を振る。
いくら素早いとはいえ感情に任せた大振りな攻撃が効くはずもなく、クウガDFのドラゴンロッドで防がれ、さらにD電王RFのデンガッシャーで腹部にダメージを入れられた。
間髪いれずにクウガDFは顎を突き上げるようにドラゴンロッドで叩き上げ、畳み掛けるようにD電王RFはデンガッシャーで凪払う。
だめ押しに二人でゴウカザルヤミーを蹴り飛ばすと二人は元のフォームに戻り、必殺の体制に入った。
『ぐぎいいいいいいい!!』
「決めるぞ!」
「ああ!」
『Final Attack Ride DE-DE-DE-DECADE!』
「「はああああぁぁぁぁ!!!」」
『う、ぐ…あああああああああ!!』
【マイティキック】と【ディメンションキック】はゴウカザルヤミーを貫いた。
爆発と共にセルメダルが拡散し、ゴウカザルヤミーの姿は跡形もなく無くなっている。
クウガは変身解除し、散り散りになったセルメダルの一枚を拾いあげた。
(なんでヤミーがこの世界に…?セルメダルは全て回収したはずなのに…………?……これは…!?)
「兄さん!さっきの怪人はなんなの!?」
「…ヤミー。人の欲望から作り出される怪人だ。だけど…」
「だけど?」
「…まぁ、詳しい話は後だ。それより久しぶりだな、ツナ」
リトは目に移ったとあるものを拾い、変身解除したディケイド…沢田綱吉の頭を撫でる。
が、その撫で方は少々乱暴で綱吉の頭を掻き乱していく。
「ちょ、髪がぐしゃぐしゃになるって!?」
「悪い悪い。で、他の連中は?」
「あー…それがそのー…」
「携帯持てって。今時の中学生なら持てるはずだぞ?」
「あはは……買ってもすぐ壊しそうなんだよなぁ……主に周りの影響で」
道中、リトは綱吉と共にアパートへ歩いていた。
実は綱吉は…他の同行者とはぐれてしまったらしい。
曰く「人の波に巻き込まれた」そうだ。
元々早めに着いてたらしく、もしもの時は地図を見てアパートに集合…と言うことになっている。
ちなみに先程の戦闘後の処理は警察に後始末を任せていた。
一応それなりの理由があるが、今は割愛させてもらう。
と、少々小言を言う間にもアパートに着く。
「あ、山本達だ!…あと………誰…?」
「…ん?」
どうやらアパートのすぐ前に同行者は居たようだが見慣れない人物もいる。
褐色の肌に茶色い髪、そして登山用のバックを持った少女。
―――何故に登山用…?
リトと綱吉は心の内でそう突っ込んだ。
そうしていると、目の前の人物達はリト達に気付き、一人が声をかけた
「十代m」
「――――オージ様ー!」
「あ、おま…む゛!?」
「きゅーーーーー!?」
「チューーーーー!?」
…のだが、褐色の少女は音速でバックを降ろしリトに抱き付きと言う名のタックルをした。
というか少し彼女の跳躍力が高かったのか少々上の方を抱き締めてしまい、リトは少女の豊満な胸に顔を埋める形となる。
そして絶叫する二匹。
「兄さん!?え、誰この人…外人!?」
「リトさんになにやってんだテメー!!」
「おーっす、久しぶりだなーリトー」
「は、破廉恥だぞ平沢ぁぁぁぁー!」
「オ久しぶりデスマス!ズット会いたかったデスよ、オージ様!」
「ん゛ー!?ん゛ー!?」
「ピッチュ!ピチュピィィィ!!(ちょっと!マスターから離れなさいよぉぉぉ!!)」
「きゅ…きゅぅぅ…!(ふ…ふえぇぇ…!)」
驚き、叫ぶ綱吉達に片言で喋る少女、息ができないリト、必死に少女を引き剥がそうとするミミとコン。
混乱と騒音の中で約一名この状況をスルーしていたが…まあいいだろう。
……本当の恐怖と言うものは、既にリトの近くに来ているのだから。
「……リト?」
「む゛!?む゛ぅぅぅ!!む゛ぅぅぅ!!(あ、愛紗!?ヘルプ!息ができないんだよ!!)」
必死にもがくリトが聞き取ったのは幼馴染みその2の桃園 愛紗。
助かった…と、リトは少しずつ少女の胸から顔を出し、愛紗を見る。
が、後悔した
そこには幼馴染みではなく…鬼神がいた。
怒りと嫉妬の炎を燃やし、リトを睨み付けている。
と言うか周りと抱きついていた少女はドン引きしてリトから離れている。
「あ、愛紗…さん…?」
「リト…その女は誰ですか…?」
「こ、コイツは…そのー…」
「オージ様、あの人コワイデス!噂に聞ク鬼ヶ島のオニサンデス!?」
「お願いだから余計なこと言わないで!?割とマジで!」
仰向けから正座に体制を整え突っ込むリト。
先程の戦闘のように振る舞えば良いのだが…現在のリトは所謂“蛇に睨まれた蛙”状態だ。
だから風でちょうどよく揺れるスカートから見える白と青のストライプなんか目に見えてない……はずだ。
一方の下着を見られている愛紗はそんなことに気付かずに…どこからか薙刀を取り出した。
そして青筋を浮かべ、
会心の一撃をリトの顎に叩き込む。
「次から次へと…このっ…―――女タラシぃぃぃぃ!!!」
「え、なんd…ぐああああああああああああああ!!??」
「兄さぁぁぁぁーーーーーーーーん!!?」
綱吉の絶叫をBGMにリトは放物線を描き宙を舞う。
そして……おそらく窓拭きをする為に置いてあったバケツに頭から突っ込んだ。
リトの不幸はまだ始まったばかりである。
――学園祭まであと3日
次回、仮面ライダー・FESTIVAL!
「か、怪人…?」
『ひどいなー、お兄さん達はドーパントって呼ぶんやろ?そう呼んでぇな』
「ピカピ!」
「ピカチュウ、レッド達と離れててくれ!」
「…そいつは去年の夏にエジプトで出会った…」
「マナデース!フツツカ者ですがヨロシコデスマス!」
「お姉ちゃん、ふつつかものってなーに?」
「え?えー…二日酔いの親戚?」
「違いますよ空丹様…」
「そりゃあ見たこと無いだろうな。今日が俺((達|・))の初陣…みたいなものだし」
『話はそこまでにしておけ。……ここは火力で攻めに行く』
002:つり橋と占い師と半分こ
XXX「作者と!」
一刀「一刀の!」
X一「「後書きコーナー!」」
XXX「1ヶ月以上経ってしまった。だが私は謝らない」
一刀「開き直りやがったこいつ!」
XXX「という訳で今回から本格的なスタートになるね」
一刀「最初に出てきた奴らってやっぱ今回の敵なのか?」
XXX「ソレ以外に何と?まぁ、ある意味継ぎ接ぎな手段だけどね。団結力あんま無いし」
一刀「そりゃあそうだろうな」
XXX「あ、FFF団はバカテスの奴とほぼ同じです」
一刀「そこ!?今言うとこそこ!?ヤミーじゃないのかよ!?」
XXX「いや、ネタバレするし…」
一刀「逆にネタバレしないのか!?今までちょっとやってたろ!?」
XXX「あ、ちなみにリトは平和ボケして先頭体制遅れてた感じです。ザマァ☆」
一刀(主人公の扱いェ)
XXX「久々登場沢田綱吉ktkr」
一刀「携帯買いたいけど周りがあれだからな………同情するぜ」
XXX「あ、ちなみに現在の彼と彼の守護者の装備は原作終了時点と同じです」
一刀「さらっと言いやがった!!」
XXX「今回出てきたオリキャラなんですが………ぶっちゃけ容姿がBMGの元ネタですわ」
一刀「これで分かる人は作者と仲間です。て言うか口調カタコトじゃないよな」
XXX「まぁそれも次回でね」
再見( ^∀^)
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その襲撃と再会は、日常を崩す切っ掛けに過ぎなかった――。 | ||
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