魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜【登場人物紹介:フェリックス=アーロン=テナルディエ】 |
フェリックス=アーロン=テナルディエ
作中「ブリューヌ内乱編」における最大の敵であり、獅子王凱を最も苦しめた敵の一人。
彼の生い立ちを記した外伝「魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲:第零楽章〜獅子王の系譜〜」では主人公を務める。
※人物像
ブリューヌ王政府支配と、大陸全土の支配を目論むテナルディエ家の指導者。爵位は侯爵。42歳。200cm。弱者を嫌悪する苛烈な性格をしており、強者のみが生きる優者必勝社会を志向している。極端なまでの実力主義。
凱とは直接の面識はなく、アルサスでの邂逅が二人の初対面となる。剣の腕は幼少時より鍛錬を欠かさずおこなっていた為,一戦こそ引いたものの、エレンと互角の剣の腕を持つ。頭の切れは賢王と称されたファーロン以上。かつて腹違いの兄弟に何度も殺されそうになったが、本人は「いい経験値になった」程度にしか考えておらず、差し向けた張本人の父や、自身の生い立ちは恨んでおらず、ブリューヌ掌握に対するいい肥やしとなったと言っている。(兄と慕い、信じていれば裏切られる。弟と許し、油断すれば殺される。父に殺られる前に殺れと自分に語り掛けた)
ブリューヌにおいて初代ハウスマンと初めて邂逅した人物でもあり、銃や近代兵器といった諸外国の脅威を知ることとなる。それ以来、弓という認識をとティグルへの惰弱の先入観を改めるようになる。
大陸外の列州国が、いつかブリューヌを植民地化してしまうという危機感を抱いており、伝統としきたりで国力を弱めていた王政府を激しく嫌悪している。(例として、女子しか産めない王妃は侮蔑される風潮)祖国であるブリューヌへの想いは誰よりも強いが、それが彼を誤った道へ導いてしまう。
ガヌロンとは険悪の中だが、「弱肉強食」という唯一絶対の正義を共有しており、その証拠として、レギンをディナントの戦場で暗殺を共謀している。(実際は、レギンを千尋の谷に突き落とす為だと分かり、少なからずレギンの潜在性は認めていたようである。これは後述する彼の才能『神眼』の片鱗である)
自分と比肩するほどの力と知恵を有する凱の「力弱くても、今を懸命に生きる者達の糧となる」理を理解できず、頂点に立ち続ける孤独を癒すことはできなかった。(この時、凱にブリューヌを掌握する正義を吐露するも、否定された)
配下達には「ブリューヌに真の自由と平和を創造する」と声明しており、非道な政策を関わらず、熱狂的な支持を受けている。
上記の通り、弱者には容赦しないが、ロランのような強者やボードワンのような能力に秀でている者には率直に評価する一面もあり、たとえ弱者であっても、敵味方を問わず、見どころのある者には敬意を表し、取引に応じる一面も持っている。(実際にアルサスを掌握した時は、侍女に過ぎないティッタがテナルディエに怒鳴りつけたことがきっかけとなり、これがアルサス撤退への口火となる。その際テナルディエは『ヴォルンはいい侍女を持ったな』といい、ティグルに対して若干の羨望を抱いていた)
ザイアンだけが苛烈対象外でありながら、己の立場と息子の苦悩を天秤にかけていたことは、少なからず怨悔の念を抱いていた。息子を一人前に育てる事が出来なかったのは、私の不徳と、一人の父親としての素顔を覗かせていた。
不屈と百獣の王、獅子王(レグヌス)に憧れを抱いており、彼のフルセットの髭はこれになぞられて生やされている。
かつてガヌロンと対峙した時、彼の正体を魔物と知って「このような私はやはり魔物なのか」という問いに対し、「正常だ」と即答した。これは、テナルディエの行動理念である「人と人以外を区別するものは心」と謳っており、「今の貴様を見ても、私を嫌悪する心がある以上、まぎれもない『マクシミリアン=ベンヌッサ=ガヌロン』だ。例え人間であろうとも、暴力にさげすまれ、心を弱くした人間は人間ではない」と告げている。ガヌロンとは相容れぬ理念と信念を持ちながらも、妙に気が合い、やがて『弱肉強食』という正義を共有することとなった。(凱も「人と人以外を区別するものは心」というが、テナルディエの場合、同じ言葉でも違う価値観と正義を持っていたことになる)
凱とガヌロンの関係はどこか気付いたそぶりがあるようで、両者を『弱者を喰らうガヌロンの行為は自然純太』であるが、『弱者の糧となる凱の行動は自然破壊』と評価している。
※作中の動向(ブリューヌ内乱編)
バーバ・ヤガーの神殿で凱とシーグフリードの死闘を仲裁したヴィクトールから、「テナルディエはメレヴィルの戦いで生きていた」と語られ、初めて彼の素性を知ることとなる。
燃える水を確保するべく逗留していたセレスタの町で初めて凱やシーグフリードと邂逅するが、命を刈らない、牙の抜け落ちた凱の実力に興醒めし、ノアに現場を任せ、自身はネメタクムへ帰領する。
東の大陸から流れ着いたノアやホレーショーをはじめとした、修羅さながらに生き抜いた猛者を次々と配下にしていき、テナルディエ特殊作戦部隊「七戦騎」を構成する。
中核をなすティグル、エレン、ミラ、を捕縛し、銀の流星軍壊滅後は、王政府に対して叛逆決起(クーデター)を起こし、近隣諸侯の領地を次々と掌握していく。
ブリューヌ掌握に目途をつけて、ルテティア炎上を隠れ蓑にして、アルテシウム領のディエップ港街に向かい、長年の月日をかけて秘密裏に建造した黒獅子帝でレグニーツァ・ルヴーシュへの直接侵攻を画策。(アルサスを抑えていたのは、ジスタートへの二方面作戦の為)しかし、ソフィーからの事前情報でこれを察知した凱達に阻止され、黒獅子帝撃沈とルテティア大火阻止という痛手を受けることとなる。これにより、テナルディエは凱達の完全排除を決意し、自身の主要都市の決闘施設『フェリックス・ボレール』においてブリューヌの頂上決戦に臨む。
自身が血の病に侵されているにも関わらず、相手は満身創痍とはいえ、凱、シーグフリード、フィグネリアを立て続けに戦い戦闘不能に追い込む。遅れて参じたロランのデュランダルでさえも軽くさばいてしまう。
やがて限界を超え、勇気の力を取り戻し、復活した凱との再戦でも優勢に立つも、一瞬のスキを突かれ、銀閃殺法の竜技7連撃を直撃するも一撃を返し、直後に大気ごと薙ぎ払え(レイ・アドモス)の直撃を受けるも、何事もなかったかのように立ち上がる。(損傷は受けていないわけではない)
最終局面においては、最終決戦竜技と最終決戦獅子王技の打ち合いになり、終焉序曲(ラグナロク)を放とうとするも、大気薙ぎ払う極輝銀閃(レイアドモス)の付加効果、『爪』である「真空」によって足元を巣食われ、再撃のアリファールを直撃、ついに倒れる。
自身を庇う為に割って入ってきたザイアンごと凱を突き刺し、互角の状況に持ち込む。地層を湾曲しかねない程の咆哮を上げながら、凱にとどめの一撃を入れようとした瞬間、血の病を抑えるための薬の副作用で、人体爆火を引き起こし、ブリューヌを想いながら息絶えた。(この一撃の余波でネメタクムは崩壊をはじめていく。凱とテナルディエの戦いは、エレンやティグルと言った若人たちの大きな指標となった)
死後は、彼のエクスカリバーとロランのデュランダルは、聖窟宮の最深部にて、奉納されることとなる。
時折、凱に嫌味を込めて「勇者様」と呼んでいた。
※戦闘力
一戦を引き、遅延性の血の病というハンデを抱えながらも、常人離れした怪力を誇り、統率の取れなくなった地竜を一撃だけで気絶させた。
相手の技を見切る力は凱と同等で、凱の|飛竜閃《ヴィーフリンガー》、シーグフリードの|煌竜閃《バハムート》烈式、ロランのデュランダルさえも簡単に防いで見せた。
凱の銀閃殺法を耐え凌ぐほどのすさまじい耐久力を持ち、フィグネリアに「凱の連撃を受けて倒れもしないなんて、あの男は不死身なのか」と驚愕させた。
大陸諸国で唯一、爆轟という現象を操ることができ、エクスカリバーの相性もあって、属性効果の竜技を打ち消している。リュドミラを捕縛した時、ラヴィアスの放つ冷気を導火線に見立て、獅子王技で気絶させている。(凍漣の雪姫の通り、粉雪のように散ったほうが伯が付くと侮蔑を吐いていた)
※『神眼』
いかなる事象や現象を捕えるテナルディエ固有の才能。矢の軌道どころか、銃弾の軌道さえ見切ることが出来る。これによって凱の『神算』『神速』『神技』の三拍子を見切り、見破り、見据えることで、凱を一時戦闘不能にまで追い込んだ。
メレヴィルの戦いにおいて、ティグルの魔弾だけは完全に見切ることができず、刹那の瞬間の差で、テナルディエは左腕を吹き飛ばされる結果となった。
人間の隠れた才、レギンやティグルの可能性をも見破ることができ、これが彼の行動理念を確固たるものにしている。
※エクスカリバー
二つ名は常勝。銀閃アリファールとは姉妹剣、不敗のデュランダルとは兄弟剣ともいうべき宝剣。デュランダルが竜技を打ち消したように、エクスカリバーも爆轟という竜具の属性を打ち消す能力を持っている。入手はブリューヌ内乱の後半から。
建国神話において、最後まで黒竜の化身に抗い続けた一族、テナルディエ家が使用していたもの、いわば『黒獅子の遺産』である。『黒竜の遺産』と対を成す為「姉妹・兄弟」の隠語が与えられている。
あまりに強い爆轟は、並みの人間の肉体では使用者が反動で粉々に吹き飛んでしまう為、長年にわたる鍛錬を続けてきたテナルディエのみが使える。それ故に、デュランダル以上の使い手を選ぶこととなる。
刀身自体はアリファールとは対して変わらないが、刃には爆轟を促進、増大させる仕組みが施されており、この力を元に、戦姫の竜技(ヴェーダ)と対を成す、数々の獅子王技を編み出した。
この斬撃から繰り出される『爆轟』に対し、防御という概念が一切通用せず、竜の鱗や竜具の発する防御膜を無視して攻撃している。(名前の由来は爆発のエクスプロージョンのエクスから)
デュランダルの待機状態が盾であるように、エクスカリバーの待機状態は凱のガオーブレスと同じく獅子を模した篭手。
※獅子王技
エクスカリバーから繰り出す爆轟を応用した、テナルディエの獅子剣術。
これも竜技と同じく「獅子王技は牙と爪の二段構え」となっている。
爆光霊剣(ライトブリンガー)
力任せに叩き付けた衝撃と反動で、刃の接触面を爆破させながら斬撃する。数々の痛みを乱立的に与える技。付加効果として、爆炎で威嚇や目くらましがある。
火柱のように爆発を地走り状に直進させたり、空間を遠当て出来たりと、非常に使い勝手がいい。
獅子爆熱掌(エクスブリンガー)
エクスカリバーを篭手状態にして、相手の首元を締め上げ、零距離爆発させる技。テナルディエの剛力も相まって、だいたいの敵は一撃にて倒される。
ミラには篭手の最先端で首を締め上げて起爆、ラヴィアスの冷気の守りを貫通して気絶させた。凱には片手で首を締め上げ、篭手の方で指を突き刺した状態で起爆、内部爆発で胸部を一部炭化させた。
(イメージは爆熱ゴッドフィンガー)
最終決戦獅子王技 終焉序曲(ラグナロク)
エクスカリバーの爆轟能力を最大限にまで解放し、巨大な球状のエネルギーを刀身にまとわせ、力任せに叩き付ける大技。テナルディエ最強の技というだけあって、凱の目測では「あのまま放たれていれば、少なくともネメタクムは確実に灰と化していた」との事。
七戦騎やスティード、ザイアンでさえその存在を知らなかった。最終決戦の奥義に相応しい技。
凱の大気薙ぎ払う極輝銀閃(レイ・アドモス)が先に決まったため、不発に終わり、ネメタクム崩壊は免れている。
ちなみに『爪』にあたる付加効果は、はじけた空間の自己修復による「爆縮」である。
「魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲:第零楽章〜獅子の系譜〜」では、歴史書において、元は一つだったアスヴァールの大陸を分断し、大きな爪痕を残したとされている。
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