北郷一刀と新たな英雄が紡ぐ外史 17話
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”北方の巨人・曹操が動く”

 

この情報はすぐに大陸全土へと広がり諸侯に動揺を与える

 

曹操は才気煥発とも呼ばれる才をいかんなく発揮し、鮮卑の侵攻・匈奴などの異民族が万里の長城を超えて、その土地を荒らす略奪に晒されていた北平・遼東の地に自ら軍を率いて脅威を取り除く事に成功

 

自らに歯向かう者は徹底的に叩く一方で、降伏した者へはそのまま召し抱え、才ある者は重役に抜擢したりと懐の大きさを見せつけ、存在感を内外に示している

 

曹操来るの報を聞いた幽州・冀州の豪族達は抵抗という抵抗をする事無く、身の安全を求めて我先に降伏する者が相次ぎ、兵力を損なう事なく力を倍増させた曹操の向かう先は……

 

 

 

 

 

 

 

 

大陸の最も西に位置し、シルクロードの恩恵を受けて独自の文化を築き上げている涼州にも、遅れてだが曹操挙兵の情報が齎される

 

 

「…とうとう彼女が動いたか」

 

一刀は誰も居ない自室で言葉を吐き出した

現代で学んだ歴史に加え、黄巾党征伐時の出会いで確信した…彼女は人の下に付く器ではない、必ず自らの野望を叶える為に立ち上がると…

 

 

「幽州や冀州の周辺諸侯じゃ、彼女の相手にならない。河北四州はすぐに彼女の手に落ちる・・・あまり時間は無いが…」

 

 

”曹操に…現代で覇王と称された少女に勝てるのか…?”

 

この事が一刀の脳裏に過る

曹操幕下には両夏候の武に諸葛亮・?統の両輪、兵站は曹洪が補い隙は全くない。これに加え曹操自身の軍略・・・

 

「夏候惇は馬超さん、夏侯淵は紫苑で対応するとして、及川・香風・明命・華侖・蒲公英・鶸・蒼と武勇に優れた将が涼州には多数居るんだ」

 

 

まだ見てない曹操陣営の将が控えると思うが、将軍の質は劣っていないハズだ。

俺が上手く指揮して戦えれば、滅多に負ける事はないと思うが・・・

 

「曹操、諸葛亮、?統相手に……ただの高校生だった俺が勝てるのだろうか」

 

伏竜・鳳雛のどちらかを配下に出来れば、天下を握れると称された天才軍師や、大陸の半分を支配した覇王

この時代で戦い抜いてきた経験、3者が持っている知識量は膨大かつ柔軟な発想力を秘めている

 

3人いれば、それぞれが中央・左翼・右翼を担当し動くだけでお互いの意図を正確に読み込め的確な連携で動く事が出来る曹操軍に対し、涼州軍は一刀1人だけ…絶対にミスは出来ない。そんなプレッシャーや恐怖が一刀を襲っている

 

 

「くそっ!俺の采配が軍の行方を左右するってのに、なに弱気になってるんだ!」

 

現代では優れた頭脳と、室町時代から続く北郷家独自の剣術・槍術を極めた一刀だが、この時代では後世にその名を残した英傑がキラ星の如く存在している。

現に、執務ばかりで衰えたとはいえ、趙雲子龍には手も足も出ずに惨敗している。

比較相手が趙雲だから仕方ないでは済まされない。勝てないにしても、互角に戦える腕がないと、これから始まる乱世の戦場では生き残れない

 

 

「一刀っち?どうしたんすか…?」

 

「華侖か…何でもないよ、ちょっと考え事しててね」

 

華侖の突然な訪問に驚きながらも、机に置いてあった書簡を手で隠しながら、大丈夫だと精一杯の笑顔を浮かべるも、華侖の表情は曇ったままで晴れていない

 

「何でもないなんて…嘘っすよね。一刀っち」

 

一刀の苦し紛れの誤魔化しに対して、間髪入れずに発言した華侖からは正直に話して欲しいという思いが込められていた

 

「いくらバカで鈍くてそこら辺で脱ぎだす私でも、今の一刀っちがいつもの一刀っちじゃないのぐらい解るっす。一刀っちが隠したその書簡…悩んでるのは華琳姉ぇが原因すよね」

 

 

参ったな・・・

嘘がばれる所か、悩んでる原因も見抜かれるなんて思ってもいなかった…一刀は心の中でそう呟いた。

普段から笑顔を絶やさず、人懐っこく天真爛漫な華侖だからこそ、人の心の機微には聡いのかもしれない

 

「誤魔化しは出来ないか。華侖の言う通り、曹操さんが動き出したって書簡が密偵から届いてな。俺が曹操軍に太刀打ちできるか・・・不安になってな」

 

 

武官の実力は負けていない。問題は自分が曹操軍の知恵者達に勝てるのか…今更誤魔化しても意味がないと悟った一刀は、素直に自分の心境を華侖に話し始める、華侖は一刀の吐露が終わるまで静かにそれを聞き続けた

 

「確かに華琳姉ぇの実力は知勇共にずば抜けてるっす。軍事・政治・文化すべて突出してる完璧超人っす」

 

涼州軍の誰よりも自分の姉である曹操を理解してる華侖は、一刀が懸念する曹操の実力を口するが、でも…と一区切り入れて再度言葉を紡ぎ出す

 

「でもね、一刀っち。完璧に見える華琳姉ぇにも弱点があるんすよ?誰よりも優れた才覚を持ってるこそ、人に頼る事を知らない。本当は誰よりも寂しがりな癖に、自尊心が邪魔して強がって甘えるの下手な…1人の女の子なんす」

 

「人と人同士の戦いに”絶対”なんて事はないっす!例えどんな不利な状況でも、諦めなければ勝ち筋はきっと作れるっす!一刀っちは1人で戦うんじゃない、私達全員で華琳姉ぇに勝つんす!」

 

一刀の手をがしっと握りしめ、真っすぐ一刀を見つめる華侖。そんな華侖からは悲壮感・絶望などは一切感じられない。華侖から伝わるのは、共に過ごしてきた仲間への絶対的とも言える信頼感

 

 

「…そうだな。そうだよな…俺一人で戦う訳じゃないもんな…その事を忘れる程、心に余裕がなかったって事か。ありがと、華侖。おかげで目が覚めたよ」

 

そう言って浮かべた笑顔は先ほどの苦しい表情と違い、心の憑き物が落ちていつもの一刀らしい表情へと戻り、その笑顔を見た華侖の顔も先ほどとは違い、天真爛漫なふにゃとした笑顔を一刀に見せる

 

「そうそう、私は一刀ッちのそんな笑顔が見たかったっす!それにしても、一刀っちと華琳姉ぇは抱え込む所が一緒っす!」

 

「華侖にそう言われたら何も言い返せないな、これからは気を付けないとな。そういえば、華侖は何か用だったのか?」

 

「…あ!翠に軍議をしたいから呼んで来てって頼まれたのを忘れてたっす!」

 

「華侖は華侖のままで良かったよ」

 

 

どういう意味っすか!と騒ぐ華侖から逃げるように、自室を飛び出して翠らが待つ場へと向かう一刀と、それを追う華侖。普段からこの二人のじゃれ合いを目撃している宮仕えの者達は、微笑ましいと言わんばかりに二人を見つめる。

 

 

いつもの雰囲気が戻った涼州軍だが、戦の足音は一刻、また一刻と近づいて来ている

 

 

 

 

 

 

 

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今回は一刀の心境?を入れてみました

華侖を出したかった為にやったと言えなくも・・・

ありきたりな展開かもしれませんが、今までそのありきたりすらやってこなかったので大目に見て下さい(*- -)(*_ _)ペコリ

 

 

次回は曹操軍VS攻め込まれた勢力の戦を冒頭から始めていく予定です。その時に、まだ振り分け発表していない原作キャラを二人出すので、誰か楽しみに?していてください

 

 

 

説明
今回はみんな大好き及川はお休みです〜
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コメント
まずは軍師の獲得を!!幾らなんでもそっち方面の担当が一刀だけじゃ無理があり過ぎる!!(mokiti1976-2010)
軍師不足が痛い……頑張れ一刀!!君の采配に皆の命運が懸かっている。 目指せハクオロ!!目指せオシュトル!!(アストラナガンXD)
なんという無理ゲー。しかもトップが脳筋だから一刀の心労がマッハじゃないか……知力面をどう充実させるか、或いは上手く活用できるかが肝ですね。今の涼州軍では無理そうだけど……軍師、あと一人でも来てくれないかなあ。まだ出てこない子、数人いる筈なんですが……。(Jack Tlam)
武将の面で対等であっても知略の面でどうしても魏との間に大きな差がある現状に思い悩むのも無理はないでしょう。華侖のお陰で元気は出たものの、これってただ単に問題を先送りしただけなんですよね。華侖は華琳に勝てばいいといいましたが、一刀が勝つべき相手は華琳以外にも臥龍鳳雛という智の化物が二人も含まれているのですから。(h995)
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恋姫英雄譚 恋姫†無双 北郷一刀 華侖 

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