北郷一刀と新たな英雄が紡ぐ外史 19話
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「…不味いわね」

 

曹操は公孫?軍が立て籠る虎牢関を見つめながら苦々しく呟く

 

古き世を変えるため、腐敗の象徴となっている漢王朝の都・洛陽を奪い取る為に興した遠征軍

都を護るのは大将軍公孫?、配下には大陸屈指の槍の使い手と目される趙雲子龍が居るが、その他に目立った将が居ない。一気に踏みつぶして腐敗の原因になった者を滅ぼすつもりでいた曹操にとって、足止めされている状況は予想外もいいところ

 

「お姉様、虎牢関から出陣の銅鑼が”また”鳴り響いています。このままでは兵士が参ってしまいますわ」

 

虎牢関は洛陽を護る要害として秦が建設したと言われ、周囲には険しい崖が聳え立つ軍事拠点。虎牢関が公孫?軍の防衛ラインであり、曹操軍は虎牢関を抜けば洛陽奪取は目前なのだ。

しかし、精強と謳われる曹操軍が虎牢関を突破出来ない原因は、大陸屈指の防御力もさることながら、公孫?陣営からの”嫌がらせ”が継続して行われているのが要因。?陽からの道中で様々な罠で曹操軍を翻弄し虎牢関でも牙をむいている。

 

今のように関の中から、聳え立つ崖の上から、はたまた林の中から、曹操軍を取り囲むように鳴り響く銅鑼。最初は襲撃に万全の備えを見せていたが、連日繰り返される銅鑼を聞き”これはこけおどし”ではないかという考えが兵士達の間で広まる、曹操ですら見落としていた小さな綻びを見落とせず、ここぞとは言わんばかりに関から兵を繰り出し曹操軍に打撃を与える事に成功。

その後は再び虎牢関に立て籠り、出撃してくる気配は感じられなかった

 

「この曹孟徳ともあろう者が…油断して相手を調べあげる事を怠っていたなんてとんだ失態だわ」

 

「お姉様だけのせいではないです。いくら難攻不落と言われる虎牢関があるにしても、守将が公孫?なら容易に突破出来ると思っていました。公孫?がここまで用兵が巧みなんてびっくりしましたわ」

 

「いや、この用兵は恐らく公孫?じゃないわ。公孫?は良くも悪くも謹厳実直な性格の持ち主。こういった駆け引きや心理戦には向かないはず。そんな公孫?を補佐する智謀の士が傍にいるはず。それも、この私を苦戦させる程の知恵者が……面白いじゃない」

 

 

道中、関からの敵軍に翻弄され、圧倒的劣勢に立たされながらも、曹孟徳という少女は悲観的になるどころか楽しそうに笑みを浮かべる

圧倒的な才覚・統率力で将兵や民を率いて覇道を万進しているが、「障害無き覇道なんてつまらないじゃない」と常日頃言い放つ程、強敵との闘いに飢えていた曹孟徳。

そんな曹孟徳が黄巾党で見つけた強敵となりうる存在と戦う前に、新たに発見したまだ姿見えぬ強敵の出現…

 

「栄華、幽州に居る”あの子”に伝令を送りなさい、勝負を仕掛けるわ」

 

「彼女を動かすのですか、そうなると国境の守備がかなり薄くなってしまいますが」

 

「構わないわ。今は弱っている私って美味しい餌がぶら下がってる状況だもの。奴らは必ず来るわ」

 

君主自らが目を輝かせながら囮になると言い出した事に、曹洪は反対こそいないももの長いため息を吐いた。強敵と戦える時、策を巡らせる時には何を言っても無駄だと理解している

 

「彼女を動かすのと同時に、春蘭・秋蘭にも動くように伝えておきますわ。彼女たちがお姉様の策の要ですから」

 

罠には罠、姉の考えをすぐに読み取った曹洪はすぐさま反撃の機に備え動き出す。

 

 

 

 

 

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「ざまあみなさい!曹操軍ったら、私達の策で出鼻を挫かれて為す術がないわね!」

 

「策というよりか、嫌がらせですけどね〜♪っよ!陰険根暗猫耳軍師〜!」

 

「あんた、それ全然褒めてないから!というか、誰かが陰険根暗猫耳軍師よ!はっ倒すわよ!」

 

この策の根幹を練ったのは荀ケであり、更に相手が嫌がるように改良したのは張勲であり、二人とも変わらないと言えば変わらないのだが、本人達には重要らしく、どっちがより陰険なのか言い合うという不毛な争いが始まった

 

 

「なぁ…星」

 

「なんですかな、白蓮殿」

 

「今回の曹操軍に対する嫌がらせといい、あいつらのさ…嫌がらせの話どれだけ出てくるんだ・・・?」

 

「さて、本人達は息をするかのように相手を貶めたり嫌がらせを行う天才ですからな。いちいち気にしていたらキリがありませぬぞ」

 

銅鑼以外にも、土地を知り尽くした張勲考案の下、関からの抜け道を作り上げ夜中静まった時に警備の目を?い潜り、兵糧を少しずつ…少しずつ盗み内部崩壊を狙ったりと、策というよりも”嫌がらせ”になるだろう。

しかし、この嫌がらせが精強と名の知れた曹操軍を苦しめ、自軍に圧倒的優勢をもたらせている

 

「そういえば、なんで荀ケは私の所に来てくれたんだ?お前ほどの智謀なら、それこそ才を愛するって噂の曹操が放っておかないだろ?」

 

公孫?が何気なく言い放った質問だが、張勲と言い争いをしていた荀ケは「あの女…許さないんだから!」と大声で叫びつつ、勢いよく”ガシ!”と公孫?の両肩を掴んだ。荀ケのただならぬ気配に押され、公孫?は「な、何かあったのか」と聞き返すしか出来なかった

 

「それが聞きなさい!あの女…私が…この天才的な頭脳を持つこの”わ・た・し”が仕えてあげようと幽州に行ったのよ。そんな私に…あの女の仕打ちが許せない!」

 

掴んでいる肩を怒りに任せて前後に揺らす荀ケからなんとか脱出した公孫?。一方の荀ケは怒りが収まらないのか、あの女…覚悟してなさい!とブツブツ言い続けている

 

「結局、桂花はどうしたんだ?あいつが怒りやすいが、あの怒りは尋常じゃないだろ」

 

「あ、私知ってますよ〜桂花ちゃんの実家、荀家は名門で名声は轟いてるじゃないですか〜特に桂花ちゃんは王佐の才の持ち主なんて言われたりもしてますし。それなのに、桂花ちゃんは門前払いされちゃいましたから」

 

「え、曹操ってそういう奴だったか?!何かの間違いじゃなくてか?」

 

「間違いなく曹操さん本人からの指示ですよ〜?でも、その時は桂花だけじゃなく面会希望者全員断ってましたけどね」

 

「断っていた理由は……その日の執務をさっさと片づけて、お気に入りの娘とあ〜んな事やこ〜んな事してたから、邪魔されたくなかったんですよ〜♪確か、その時の子の名前が…劉なんちゃらって子らしいですけど、覚えてないですね」

 

どうしよう…面会すら出来なかった事に対する驚きと、断った理由が下らなすぎる…曹操は男嫌いって聞いたことあるし、女性とそういう関係になっても不思議ではないんだが…それに夢中で士官者に会わずに追い返すって贅沢すぎるだろ!・・・・あれ、でもそれで桂花がうちに来てくれてるわけだから…感謝すべきところか?

 

「ま、まぁ、桂花の理由は解ったが、あの曹操相手によくこんな嫌がらせばかり成功させられるな。話しを聞いた時は絶対成功しないだろうと思ってたんだが」

 

籠城側が圧倒的優位と言われる攻城戦。攻城側が嫌がるのは小刻みに行われるゲリラ戦だが、彼我の兵力差から襲撃が失敗したら全滅は免れない。そんな状況下で失敗させる事なく、曹操軍に打撃を与える荀ケ・張勲の手腕は目を張るものだろう

 

「確かに白蓮の言う通り、曹操自身の才覚と軍全体の練度は脅威の一言だわ。でも、そんな曹操軍に抵抗出来ないかと問われれば答えは否ね」

 

「桂花ちゃんの言う通り、まともにぶつかって勝てる軍はほぼありません。ですが、人1人が把握できる人数には限界があります、それは曹操さんも例外ではありません。今回の曹操さんの陣営は将軍に両夏候、兵站管理には曹洪さん。その他の将も優秀な人が揃っていますが、今回の曹操さんの失策は”頭脳”を持ち込んで来なかったこですね〜」

 

「そんな訳だから、諸葛亮や?統を連れて来るべきだったわね。まぁ、諸葛亮・?統が相手でも私が負けるはずがないんだけどね」

 

 

これが知恵者同士の読み合い…荀ケと張勲による曹操軍の全貌を知り弱点を見抜く眼力、公孫?は二人の凄さを改めて実感する

 

「それで、これからどう動く。隙を見て騎馬隊を繰り出すか?」

 

「あのね…私達の目的は曹操軍の殲滅じゃなくて、この虎牢関を護る事でしょ。なのにわざわざ野戦で大事な兵力を減らしてどうするの、バカなの?そんなんだから私がいくら忠告しても十常侍達に嵌められるんでしょ、いい加減学習したらどうなの?あぁ、学習する程の知恵がまず無かったわね」

 

「お前なぁ…いくらなんでも言い過ぎだからな!これが私じゃなかったら泣いてるぞ?!」

 

「白蓮殿…涙を拭きなされ」

 

荀ケの罵詈雑言で泣き出す公孫?、それを見て笑いを堪えながら布を差し出す星、「いや〜清々しい程の毒舌ですね!」とまたしても荀ケを煽り始める張勲。君臣の間柄とは思えない光景だが、この面子で曹操軍と互角に戦っているのもまた事実。

上の人間が緩すぎるのは問題があるが、余裕があるというのは一般兵達にも伝わる。この余裕がこの戦で勝てる、勝てるんだ!という気持ちを興し、公孫?の士気は高い状態を維持している

 

「ほら、いつまでも泣いてないでいい加減泣き止みなさいよ。この後の作戦話し合えないじゃないの」

 

誰のせいだ…誰の…とブツブツ言いながらも、公孫?を先頭に城内へと戻っていく

 

 

 

 

 

虎牢関で曹操軍を釘付けにしているとの報は陳留にも伝わっていた

 

「孫策様、曹操軍は虎牢関に立て籠る公孫?軍の抵抗を受けて攻めあぐねております。今が絶好の好機かと」

 

「ありがと思春…冥琳、意見を聞かせて頂戴」

 

「虎牢関を攻めているのは曹操、両夏候、曹洪が主な将だ。諸葛亮や?統を幽州に残してきたのは気になるが、それを考慮しても攻めるのは悪くないな」

 

「決まりね…全軍出陣、曹操に目にものを見せてやるわよ」

 

 

 

曹操とは相容れない事を、遠くない未来に曹操軍と激突する事を予想していた孫策は兼ねてより軍備を整えて機会を伺っていた。その好機が今だと直ちに出陣する。

陳留の国境付近まで差し掛かった時、孫策軍の行く手を阻むように軍が現れる。

 

「初めまして、孫策さん!私の名前は劉備玄徳を言います♪」

 

 

孫策と周瑜の目の前に現れた軍を率いていると思われる劉備と名乗る少女。一見どこにでもいる女の子だが、孫策の勘が告げている…あの子は危険だと

 

「貴方、何者なの、なぜ我らの前に立ちはだかる」

 

「そんな怖い顔しないで下さいよ〜私はいたって普通の女の子なんですから♪」

 

今にも殺しにかかりそうな孫策の睨みも劉備は軽く受け流す

 

「それと、なんで立ちはだかるの答えですが…もちろん、貴方を倒す為ですよ。ね、華琳ちゃん♪」

 

ジャーンジャーンジャーン!

 

銅鑼の音と共に現れたのは…「曹」の旗印を掲げる兵士と…「曹操」の将帥旗を護るように付き従う両夏候の姿

 

 

「あれは…曹操!それに夏候惇、夏侯淵も!」

 

「バカな!私達が出陣してからでは間に合うはずがない、我らの動きを読んでいたとでもいうのか!」

 

 

混乱する孫策軍を愉快そうに眺めた後、自分の後ろに控える精兵達に命を下す

 

 

 

「春蘭、秋蘭…躾のなってない獣を蹴散らしなさい!」

 

 

 

 

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最後が少し駆け足となってしまいましたが、19話をお送りさせて頂きました。

やっと桃香出せました〜〜!長かった・・・

今回の桃香さんのキャラは次回で解りますので、ここでは言及さけますね(;^_^A

 

前回のコメントで七乃+桂花の組み合わせに関してありましたね、自分でも…なんだこの組み合わせ…と思いながらも、一緒にやらせたかったのでやっちゃいました!

確かに罠というより、精神折る嫌がらせでしたね(;^_^A

この二人のどちらかが涼州陣営に居たら・・・あれ?かえって一刀の精神的負担増えるような?と思い断念してました(;'∀')

 

 

 

話しは変わりますが、新たな英雄18話に……王冠が付いてました!!コメント確認しようとしたら「・・・あれ・・・なんか付いてる・・・?」とかなり驚きました。ビックリすぎて4/1だっけ?と動揺しました…王冠取れると思ってなかったので素直に嬉しいです。

 

こんな自己満足の拙い作品等ですが、これからもお付き合いよろしくお願いします!

 

 

 

説明

(;゚Д゚) (゚Д゚;) (;つД⊂)ゴシゴシ (゚Д゚)え?

王冠が付いた・・・?
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コメント
Jack Tlamさん>桂花は桃香に夢中で門前払い、腹黒鬼才は次回解りますよん。まぁ…涼州軍が勝てる見込み0ですよ〜(自分で言うか!(おぜぜ)
mokiti1976-2010さん>それ以上はいけない!(おぜぜ)
アストラナガンXDさん>その辺りは次回やりますので、お待ちくださいませー!(おぜぜ)
M.N.F.さん・たっつーさん>曹操は劉備を手に入れたかった、使ってみたかって説を参考にしてみましたの(おぜぜ)
良い人材はどれだけいても困らない(給料支払いで困る)のに、腹黒の鬼才と、根は善人な猫耳軍師を放っておくとは。一体、どこをどうしたら華琳と桃香が組むんでしょうか。あの異常なまでの幸運補正まで曹操軍が手に入れたとなると、本気で涼州軍厳しい……取り敢えず、今の状況じゃ勝てません。(Jack Tlam)
あっけらかんとした態度で孫呉の前に立ち塞がる桃香もなかなか…華琳も癒しおっぱいさんがいたら貧乳猫耳なんて門前払いに決まっt…ピーーーーーーー。(mokiti1976-2010)
桃香が腹黒だったら笑えますな。(アストラナガンXD)
曹操&劉備とかwww。どれだけありえん組み合わせやねんwww(M.N.F.)
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