英雄伝説〜灰の軌跡〜
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〜ケルディック〜

 

「だ、誰……!?」

「!!あんたは……!」

「結社”身喰らう蛇”の”執行者”No.2―――”剣帝”レオンハルト=ベルガー!」

レーヴェの登場に驚いたエリオットは不安そうな表情をし、レーヴェの顔に見覚えがあるサラ教官とクレア大尉はそれぞれ厳しい表情で武器を構えてレーヴェを警戒し

「なっ!?”身喰らう蛇”の”執行者”って帝都で現れたあの”怪盗B”と同じ………!」

「……不味い。よりにもよって相手が”最強の執行者(レギオン)”だなんて、分が悪すぎる。」

クレア大尉が口にしたレーヴェの正体を知ったマキアスは信じられない表情をし、フィーは厳しい表情でレーヴェを睨んで警戒していた。

「その情報は”両方とも”間違っている、”氷の乙女(アイスメイデン”)に”西風の妖精(シルフィード)”。”最強の執行者”と呼ばれるべき存在は俺ではないし、今の俺はメンフィル帝国――――メンフィル皇女プリネ・カリン・マーシルン皇女親衛隊副長だ。」

「ええっ!?け、結社の”執行者”がメンフィル帝国のお姫様の親衛隊の副長!?」

「め、滅茶苦茶だ……!」

レーヴェのクレア大尉とフィーへの指摘を聞いたエリオットは驚き、マキアスは疲れた表情で声を上げた。

 

「そんな細かい事は頭の片隅にでも追いやっておきなさい!それにしてもまさかこんな形であんたと邂逅する事になるとはね……!」

「―――”紫電(エクレール)のバレスタイン”。エレボニアの遊撃士の中でも5本の指に入る元A級正遊撃士にして今は”トールズ士官学院”の武術教官だったか。フッ、随分と俺に対して色々と思う所があるように見えるが、俺の記憶が間違っていなければ”紫電(エクレール)”とやりあった記憶はないのだが?」

サラに睨まれたレーヴェは静かな表情でサラの情報を口にした後興味ありげな表情でサラを見つめて問いかけ

「ええ、あんた自身とやりあった事はないわよ。でも、2年前の”リベールの異変”が起こる半年前くらいに起こったエレボニア帝国の事件――――帝都各地で起こった猟兵達による遊撃士協会支部の襲撃事件と言えばわかるでしょう?」

「そ、それって……」

「以前教官の話にあった……」

「―――なるほど、”ジェスター猟兵団”か。確かに奴等には俺が稽古をつけてやったのだから、遊撃士協会の支部を襲撃した奴等を強化した俺に対して思う所があってもおかしくないな。」

サラの答えを聞いたエリオットとマキアスは目を丸くし、かつての出来事を思い出したレーヴェは納得した様子で頷いてサラを挑発するかのように口元に笑みを浮かべてサラを見つめた。

「言ってくれるわね……!なんなら今ここでやりあって2年前にあんたが育てた連中から受けた”借り”を返してもらってもいいのよ!?」

「落ち着いて下さい、サラさん!―――”剣帝”レオンハルト、先程今の貴方はプリネ皇女の親衛隊の副長と仰いましたが、それならば”エレボニア帝国”として”メンフィル帝国”に聞きたい事があります!」

今にもレーヴェに戦闘を仕掛けそうなサラの様子を見たクレア大尉はサラに冷静になるように指摘した後厳しい表情でレーヴェに問いかけた。

 

「何が聞きたい。」

「―――何故メンフィル帝国はケルディック―――いえ、エレボニア帝国侵攻を行っているのですか!?やはりユミル襲撃の件ですか!?」

「ほう?内戦でエレボニア全土が混乱しているこの状況で既にユミルの件を掴んでいるとは………―――なるほど、遊撃士協会経由か。”鉄血宰相”によって支部を撤退させられたにも関わらず”鉄血宰相”の忠臣である”鉄血の子供達(アイアンブリード)”にわざわざ教えてやるとは、随分とお人好しな事をしたのだな?まさか同じ遊撃士であるエステル・ブライトのお人好しな部分が移ったのか?」

クレア大尉がユミル襲撃の件を知っている事に僅かに驚いて目を丸くしたレーヴェだったがサラに視線を向けて全てを悟ると口元に笑みを浮かべて問いかけた。

「うっさいわね!それとこれとは別問題だし、あの娘は関係ないわよ!それよりもさっさとメンフィル帝国によるエレボニア帝国侵攻の理由を答えなさい!」

「……まあ、そのくらいなら答えてやってもいいだろう。――――お前達の予想通りだ。メンフィル帝国は”ユミル襲撃”の件に対してリベールの王都グランセルに存在するエレボニア帝国の大使館に厳重に抗議し、更にユミル襲撃に対する謝罪や賠償を求めたが、エレボニアはメンフィルの要請に対して一つも応えなかった。よってメンフィル帝国は”エレボニア帝国侵攻”を決定した。かつて”ハーメルの惨劇”を盾にしてリベールに侵攻をしたエレボニアのようにな。最もユミルの件は”ハーメル”の時と違い、正真正銘エレボニアの仕業によるものの上戦争を回避する猶予も与えていたが。」

「!!やはりですか……!」

「チッ……ただでさえ内戦で国内が混乱しているっていうのに、他国―――それもメンフィル帝国との戦争を回避する事もしないなんて貴族連合は一体何を考えているのよ!?」

「ハ、”ハーメルの惨劇”………?」

「そ、それに”リベールに侵攻をしたエレボニアのように”って、まさか……!」

「……”百日戦役”。」

サラの問いかけに対して答えたレーヴェの答えを聞いたクレア大尉とサラがそれぞれ厳しい表情をしている一方、12年前に起こったエレボニアとリベールの戦争の話が出た事でエリオットは戸惑い、マキアスは信じられない表情をし、フィーは真剣な表情で呟いた。

 

「………レオンハルト殿。現在ケルディックを占領する為にメンフィル軍を率いている指揮官―――いえ、プリネ皇女殿下への面会を取り次いでもらえないでしょうか?」

「へ……」

「ク、クレア大尉……一体何を……?」

「……………」

一端落ち着いたクレア大尉のレーヴェへの要求を聞いたエリオットは呆け、マキアスは戸惑いの表情をしている中レーヴェは何も答えることなく目を細めてクレア大尉を見つめていた。

「皆さんもご存知のようにエレボニアは内戦の真っ最中で、エレボニア皇族である”アルノール家”の方々に関してはオリヴァルト皇子殿下を除き、ユーゲント皇帝陛下を含めて全員貴族連合によって囚われています。以上の事からエレボニア帝国は現在非常事態の為、メンフィル帝国に謝罪や賠償が遅れてしまった事等の説明をし、せめてエレボニア侵攻を一時的に停止してもらう為の嘆願や交渉をする為です。」

「あ………」

「……………」

「それにエレボニアがメンフィルに降伏するにせよ、和解の為の交渉をするにせよ、エレボニア帝国の皇族――――ユーゲント皇帝陛下、もしくは帝位継承権があるセドリック皇太子殿下かアルフィン皇女殿下が調印の場にいなければメンフィルにとっても色々と都合が悪いのだと思うのだけど?」

クレア大尉の説明を聞いたエリオットは呆け、フィーは黙り込み、サラは真剣な表情でレーヴェに問いかけた。

「―――下らん。それは”エレボニア帝国の事情”だ。”他国”であるメンフィル帝国がわざわざエレボニアの事情に付き合ってやる”義理”はない。」

「そ、そんな……!」

「……ま、そんな事だろうと思っていたよ。」

クレア大尉の要請を悩む事無く断ったレーヴェの答えを聞いたマキアスは不安そうな表情をし、フィーは静かな表情で呟いた。

「それに”氷の乙女(アイスメイデン)”。お前は何様のつもりだ?お前が面会を希望する相手は他国―――それも戦争状態に陥っている国の皇族。たかが軍の将校―――それも”尉官”クラス如きがプリネ皇女に面会を望む等、あまりにも身の程知らずな要請だ。エレボニア皇族が無理なら最低でも”四大名門”の当主か帝都知事を連れて来なければ話にならないな。」

「そんなの絶対無理に決まっているじゃないか!”四大名門”の当主は貴族連合の上層部か親玉だし、帝都知事である父さんは貴族連合に捕まったんだぞ!?」

「マキアス………」

「絶対無理だとわかっている相手が最低条件だなんて、わたし達に”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”と面会させるつもりなんて最初からないんでしょ?」

レーヴェの答えに対して反論するマキアスの様子をエリオットは辛そうな表情で見つめ、フィーはジト目でレーヴェを見つめて指摘した。

「……ッ!ならばクレイグ中将閣下はどうですか!?正規軍の中でも上位の官職―――”将官”クラスであるクレイグ中将閣下ならば、プリネ皇女殿下に面会する”資格”はあると思われるのですが!?」

「へ………」

「どうやらそっちはガレリア要塞の演習場に陣をはっている”第四機甲師団”とも既に合流済みみたいだね。」

「あ………」

一方クレア大尉は唇を噛みしめた後レーヴェに問いかけ、クレア大尉の話を聞いたマキアスが呆けている中サラを見つめて呟いたフィーの推測を聞いたエリオットは呆けた声を出した。

 

「ええ、クレイグ中将は今もご無事で貴族連合とやりあっているわ。」

「よかった……父さんが無事で……」

サラの話を聞いたエリオットは安堵の表情で溜息を吐いた。

「…………まあ、”紅毛のクレイグ”ならば一考の余地はあるが……どの道この場に本人がいなければ話にはなるまい?それとわかっていると思うが辞めたか休職したかは知らないが、”今は士官学院の教官である為遊撃士ではない”お前にもプリネ皇女に面会を望む資格はないぞ、”紫電のバレスタイン”。」

「……ッ!」

レーヴェに図星を突かれたクレア大尉は唇を噛みしめ

「………ッ!だったら、”力づく”でもこっちから会いに行くまでよ!」

クレア大尉のように唇を噛みしめていたサラは自身の得物である強化ブレードと銃を構えた!

 

「ええっ!?ま、まさか……!」

「ほ、本気ですか、教官!?今ここでメンフィル軍に所属している人とやりあったら、余計に状況が悪化しませんか!?」

サラの行動を見たエリオットとマキアスは驚き

「そんな余計な事は後で考えなさい!それにどの道戦争をしている国―――メンフィル帝国の軍人であるそいつがエレボニア帝国の軍将校や士官学院の関係者であるあたし達をこのまま見逃す訳がないわよ!」

「―――その通りだ、”紫電(エクレール)”。」

二人への指摘に頷いたレーヴェは自身の得物である”魔剣レヴァンテイン”を構えた!

「メンフィル帝国の軍人として……そしてカリンの守護者として今この状況で不確定要素であるお前達をカリンに接触させる事はこの俺が許さん。もし、お前達の覚悟が俺の信念を上回っているのなら……力をもって証明してみるがいい!」

「上等よ!2年前にあんたが育てた連中から受けた”借り”も利子込みで纏めて返してもらうわよ!」

「―――皆さん!最悪プリネ皇女の面会を諦めてケルディックから撤退します!ですから無理に勝ちに行こうとしないでください!」

「サラとクレア大尉もいるけど、多分こちらの勝率はよくて1割―――ま、例え撤退するにしても死ぬ気で頑張って。」

「ほ、ほとんど勝ち目がないじゃないか!?」

「ううっ、何でこんなことに……でも、”Z組”のみんなとまた会う為にも絶対にここで倒れる訳にはいかない……!」

剣を自分達に突き付けたレーヴェの言葉に対してサラが答え、クレア大尉はエリオット達に忠告し、双銃剣(ダブルガンナーソード)を構えたフィーの推測を聞いた散弾銃(ショットガン)を構えたマキアスは表情を引き攣らせて指摘し、エリオットは疲れた表情で呟いた後決意の表情で魔導杖(オーバルスタッフ)を構え、そしてサラ達はレーヴェとの戦闘を開始した―――――!

 

 

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と言う訳で皆さんの予想(もしくは期待)通り、レーヴェVS閃陣営です!……え?閃陣営の勝ち目はあるのかって?幾らサラとクレアがいるとはいえ、原作の時点でカシウスやアリオスと同等かそれ以上という強さなのに影の国や幻燐陣営によって強さがブーストされたレーヴェ相手に閃陣営に勝ち目があると?(大爆笑)なお、次回の戦闘BGMは空シリーズの名曲、”銀の意志”シリーズのどれかか、閃Uの”Severe Blow”、戦女神ZEROの”鬼神降臨”のどれかだと思ってください♪

説明
第6話
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コメント
K'様 指摘ありがとうございます。今後はそういう事に関しては伏せるように気を付けておきます 本郷 刃様 つまりサラ達のは勝ち目はゼロww ジン様 ここのリィンの強さを考えると洒落になっていなくてわらえねぇ……(汗) 八神 はやて様 エヴリーヌは喜ぶでしょうねw(sorano)
って言うかここでレーヴェが負けたりなんかしたらプリネとの結婚は遠のくのだw(八神 はやて)
レーヴェに勝てるわけないだろ^^;ただでさえ原作でも最強クラスだったのがメンフィルブースト効果でさらに強くなってるんだから、てかここのZ組+クレア+サラじゃあレーヴェどころかリィンにも勝てないと思うしね。(ジン)
サラは士官学院教官の扱いの方ですか、今のレーヴェはメンフィルブーストにより原作の二倍ほどの戦闘能力に向上しているのだ!(本郷 刃)
このカオス編に限っては、だれそれが生き残るだの死ぬだのは伏せておいて欲しいですね。安心感よりも読んでて「こいつ死んじゃうの?」という緊迫感の方を味わいたいです。(K')
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