英雄伝説〜灰の軌跡〜エレボニアカオスルート |
〜同時刻・オーロックス砦〜
一方その頃リフィア達もオーロックス砦の占領を完了し、砦内にいる領邦軍の兵士達を殲滅し終えていた。
「―――私だ。……何?ああ……ああ……わかった。すぐに奴等の処遇を決めるから、連絡があるまで奴等の見張りを続けろ。―――殿下、少々よろしいですか?」
部下からの報告を通信機で聞いて眉を顰めたゼルギウスはリフィアに話しかけた。
「む?なんだ、ゼルギウス。」
「砦内にいる貴族連合軍の残党狩りをしている部下達が貴族連合軍に雇われていたという猟兵達が投降して来た為武装解除をし、捕縛したとの事です。」
「”猟兵”だと………?(確かユミルを襲った猟兵達もアルバレア公に雇われておったな。まさかとは思うが……)――――捕縛した猟兵達が所属している猟兵団の名は。」
ゼルギウスの報告を聞いてある事に気づいたリフィアは厳しい表情でゼルギウスに問いかけた。
「ノーザンブリア自治州所属”北の猟兵”との事です。」
「!!ユミルを襲い、父様達に危害を加えた張本人達がこの砦にいたのですか……!」
「―――やはりか。すぐに捕縛した猟兵共をここに連れて来い。――――それとリィンにも今の話を伝え、すぐにここに来るように伝えるのじゃ。」
「御意。」
ゼルギウスの答えを聞いたエリゼは血相を変えて厳しい表情をし、リフィアは厳しい表情で呟いた後ゼルギウスに指示をした。その後ゼルギウスからの指示を聞いたリィンはすぐにリフィアの元へと向かい、メンフィル軍によって捕縛された猟兵達―――ノーザンブリア自治州の民達に仕送りをする為に猟兵稼業を続けている”北の猟兵”達がリフィア達の前に連れて来られた。
「殿下!ご指示通り、捕縛した猟兵達を連れてきました!」
「「………………」」
「―――ご苦労。さて……”北の猟兵”、だったか。お主達はアルバレア公に雇われていたとの事だが、何故此度の戦で余達メンフィルと矛を交えることなく投降をしてきた?」
連れて来られた猟兵達をリィンとエリゼがそれぞれ厳しい表情で睨んでいる中リフィアは真剣な表情で猟兵達を見回して問いかけた。
「我等”北の猟兵”とアルバレア公の契約ではメンフィル軍と戦う内容は入っていない。それに祖国(ノーザンブリア)に仕送りをする為の報酬がいるとはいえ、幾ら何でも契約内容にも入っていない戦う相手―――ましてや”ゼムリア大陸真の覇者”と恐れられているメンフィル軍と矛を交えて、命を落とすリスクを背負う意味はないと判断し、またメンフィルに敵対するつもりがない事を証明する為にも今回の戦いに参加しなかった。」
「ユミルを襲撃しておいて、よくもぬけぬけと自分達はメンフィルと敵対するつもりはないと――――」
北の猟兵達の隊長の主張を聞いたエリゼは怒りの表情で猟兵達を睨んで声をあげかけたが
「―――エリゼ、殿下は発言の許可はしていないから今は黙っておくんだ。」
「兄様………―――発言の許可の確認もせずに勝手に発言をしてしまい、誠に申し訳ございません、リフィア殿下。」
自分を制するかのように左腕を自分の顔の前まで上げたリィンの指摘を聞くとすぐに落ち着き、リフィアに謝罪し
「よい。お主の反応はユミル領主の娘として……そして故郷の民や家族を傷つけられた者として当然の反応だから、余は気にしていない。」
「寛大なお心遣い、ありがとうございます。」
リフィアの許しの言葉を聞くとリフィアに会釈をした。
「我等がユミルを襲撃しただと……?――――!まさか……アルフィン皇女捕縛作戦の件か……!?」
「あの時は肝心の皇女はいなく、徒労に終わったが……」
「そ、それよりも……そこのメイドが”ユミル領主の娘”だと言っていたが、まさかその娘は……!」
一方エリゼの発言を聞いて何かに気づいた北の猟兵達は驚きの表情でエリゼを見つめ
「そうじゃ、そこにいる余の忠臣の一人―――エリゼ・シュバルツァーはお主達が襲撃したユミル領主の娘にして、お主達に重傷を負わされたシュバルツァー卿の娘じゃ!」
「更にエリゼの隣にいる私の部下―――リィンはエリゼの兄にして、シュバルツァー卿のご子息だ。」
「なあっ!?」
「ユミルの領主夫妻の子供達が何故この場に……!?」
「ま、まさか我等をこの場に連行した理由は……!」
リフィアとゼルギウスの説明を聞いた猟兵達は驚き、そしてある事を察した猟兵は表情を青褪めさせてリィンとエリゼを見つめた。
「―――リィン、エリゼ。そ奴等の処遇はお主達に任せる。」
「え………」
「まさか俺をこの場に呼んで頂けたのはそれが理由なのでしょうか?」
リフィアの突然の言葉にエリゼが呆けている中リィンは真剣な表情でリフィアに訊ねた。
「うむ、そ奴等はユミルを襲撃し、シュバルツァー男爵夫妻に危害を加えた。よって、この場でそ奴等を裁く権利が一番あるのは余ではなくユミル領主の家族であるお主達だけじゃ。」
「リフィア………」
「…………本当に俺とエリゼの判断だけで決めてよろしいのですか、殿下?」
リフィアの説明を聞いたエリゼは驚き、リィンはリフィアに確認した。
「よい。殺すなり拷問するなり、お主達の好きにするがいい。」
「――――わかりました。エリゼ、お前はどうしたい?」
そしてリフィアの許可を聞くと迷う事無く神剣アイドスではなく、普段使っている太刀を鞘から抜いたリィンはエリゼに問いかけ
「―――私も兄様と同じ気持ちです。ユミル領主の娘として……父様と母様の娘として、彼らが犯した罪は絶対に許せません。」
問いかけられたエリゼもリィンに続くように鞘から連接剣を抜いた!
「クッ……やはりユミル襲撃に対する”報復”か………!」」
「俺達が死ねば故郷にいる家族が餓えて死んでしまうんだ……!頼む、命だけは………!」
「俺達はアルバレア公に命じられてアルフィン皇女を確保する為にユミルを襲撃しただけだ!抵抗さえしなければ、ユミルの民達や領主夫妻に危害を加えるつもりはなかったんだ……!」
「どうか慈悲を……!」
「お、俺達はユミル襲撃には関わっていない!殺すならその3人だけを殺してくれ!」
リィンとエリゼの行動を見て自分達を処刑するつもりである事を悟った猟兵達の隊長は唇を噛みしめ、隊長以外の猟兵達は命乞いを始めた。
「金の為に郷を襲い……父さん達を傷つけておいて、そんな身勝手な命乞いが通じる訳がないだろう!」
「例えユミル襲撃に関わっていなくても、彼らと同じ穴の狢である貴方達も同罪です!」
「ギャアアアアアァァァ―――ッ!?」
「グアアアアアアアアァァァ――――ッ!?」
そしてリィンとエリゼは太刀と連接剣を振るって次々と猟兵達を処刑し
「がふっ!?む、無念………」
次々と猟兵達が処刑され、最後に残された猟兵達の隊長はリィンの太刀に心臓を貫かれると口から大量の血を吐いて苦悶の表情を浮かべて絶命した!
「……………セレーネがこの場にいなくて本当によかったですね……」
「ああ……例え頭で理解はしていても、俺達が処刑している所なんて見たくないだろうしな………」
猟兵達を殺し終えた後それぞれの武器を一振りして武器についている血を振るい落として鞘に収めたエリゼの言葉に重々しい様子を纏ったリィンは頷いた後エリゼのように太刀を鞘に収めた。
「――――リフィア殿下、俺達にユミル襲撃を行った者達の処遇を任せて頂いた事、心より感謝します。」
「この御恩は一生忘れません。」
「うむ。じゃが肝心の”元凶”はまだ生きておる。――――ゼルギウス、明日の”バリアハート制圧作戦”の際シグルーン率いる突入隊にリィンとエリゼ、それとセレーネも入れてやれ。」
それぞれ地面に跪いて頭を下げたリィンとエリゼの感謝の言葉に頷いたリフィアはゼルギウスに指示をし
「御意。―――よかったな、リィン。明日の作戦でバリアハート市内に突入し、アルバレア公の首を直接狙う突入隊に参加できれば、”四大名門”の当主の一人にしてユミル襲撃を直接指示したアルバレア公の首を取るという手柄を立てる事も可能だ。」
指示をされたゼルギウスは会釈をした後口元に笑みを浮かべてリィンを見つめた。
「あ………」
「はい……!殿下、重ね重ね感謝致します。殿下より受けた御恩は今後の働きにて返させて頂きます。」
ゼルギウスの言葉を聞いたエリゼは呆け、リィンは力強く頷いた後リフィアに頭を下げ
「うむ、期待しているぞ、我が忠臣達よ!」
リィンの言葉にリフィアは力強く頷いた。
こうして……僅か1日でオーロックス砦とケルディックはメンフィル軍によって占領された。また、双龍橋、バリアハートに援軍の要請の為にケルディックから向かった領邦軍の兵士達は予め領邦軍の行動を予測し、それぞれ街道に潜んでいたメンフィル軍の諜報部隊によって葬られ……その為バリアハート、双龍橋にはメンフィル軍による奇襲の報告が届く事は無かった。
同日、20:00――――
〜”翡翠の都”・アルバレア公爵邸〜
一方その頃アルバレア公爵が侯爵邸の中で外の景色を見つめて考え込んでいた。
「―――内戦の戦況は完全に貴族連合に傾いている。ルーファスも”総参謀”として多大な功績を上げ続けておるが……あくまで主導はあの男―――カイエンであるのは変わりない。この状況……何としても覆さねばなるまいな。」
「―――それで先日、ユミルに猟兵を送り込んだというわけですか。皇女殿下を確保することで貴族連合での主導権を握る為に。」
アルバレア公爵が独り言を呟いていると金髪の男子――――ユーシス・アルバレアが近づいてきた。
「……この私に言いたい事があるようだな?”特別実習”とやらの功績を認められた礼にエレボニア皇家が用意した小旅行で世話になった辺境に手を出したのがよほど気に喰わなかったと見える。」
「……滅相もありません。ただ、あの一件については兄上からも釘を刺された筈―――今後はどうか、中立勢力への手出しは控えていただければと。それと一刻も早く父上自身がメンフィル帝国に説明と謝罪、並びに賠償をすべきです。でなければ、最悪の場合メンフィル帝国がエレボニア帝国に宣戦布告をし、そしてメンフィル帝国に宣戦布告をされた責任は全て父上……いえ、”アルバレア公爵家”が負う事になり、最悪の場合”アルバレア公爵家”は――――」
アルバレア公爵に睨まれたユーシスは静かな表情で答えた後忠告しかけたが
「―――ええい、お前ごときが口を挟むような問題ではない!お前は与えられた仕事だけを黙ってこなしていればいいのだ!」
「……出過ぎたことを言いました。」
アルバレア公爵に怒鳴られ、後ろに組んだ両手の拳を握りしめてアルバレア公爵に謝罪した。
「……とにかく手を考えねばなるまい。いつまでも、あの気取ったうつけ者に”総主宰”を名乗らせておけるものか。今後のルーファスの立ち回らせ方も改めて考えておく必要があるな……」
「…………………………」
考え込みながら独り言を呟くアルバレア公爵を目にしたくないかのようにユーシスは目を伏せて黙り込んでいた。
この夜が父と過ごす最後の夜になるとはユーシスはこの時、想像もしていなかった――――
と言う訳でこっちのルートではエリゼだけじゃなくリィンも躊躇いなく北の猟兵達を処刑しましたwwそれとリィンは次とその次の作戦で大手柄をたてますのでその時をお待ちください(ニヤリ)
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第8話 | ||
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コメント | ||
本郷 刃様 まあ、猟兵達に関しては因果応報ですね K’様 果たしてユーシスの命運は!……ですねw(sorano) 果たしてユーシスは、遠慮する理由が一切無いメンフィル相手に生き残ることができるか?なお親の命運はとっくに尽きているもよう。(K') 確かノーザンブリアすら手中に収めるつもりだからその民が飢えることは少なくとも減るでしょうけどね(本郷 刃) |
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