ポケモンDPt 時空神風伝 05 |
第5話 謎の組織、ギンガ団
かろうじてクロガネジムに勝利したクウヤはナナカマド博士とヒカリに呼ばれてコトブキシティに戻ってきていた。
「ナナカマド博士とヒカリ、おれに何をくれるのかな?」
どうやら、クウヤの今後の旅に役立つものがあるのでそれを受け取ってほしいようだ。
なにがあるんだと思いつつクロガネゲートを越えコトブキシティに引き返したクウヤだったが、そこである現場を目撃した。
「な、なんだあれ?」
「あ、クウヤくん!」
「ヒカリ!」
「おぉ、クウヤくんか!」
ヒカリとナナカマド博士は相変わらずの様子でクウヤに話しかけてきた。 だがクウヤは正直その二人のことより、彼らにつるんでいた奇妙な二人組の方が気になってしまった。
「君に送ったメールを呼んできてくれたのだね?」
「あ、ああうん」
「えぇい、我々を無視するでない!」
ふつうにスルーしてクウヤと話をしようとするナナカマド博士を大声で止めようとする二人組。
「ええい五月蝿い!
お前達こそ急にわしのところに押し寄せ強引な手段にでようとしたくせに偉そうにするでないわ!
大体お前達は悪いところがありすぎる!
お前達の悪いところは!
その一! 大声で脅せば思い通りになると思っていること!
その二! 集団でいて強くなった気でいること!
その三! 思い通りにならなければ実力行使にでようとすること!
その四! そもそもその珍妙な格好は何なんだ!」
だがナナカマド博士は凄まじい迫力と周りが引くほどの大声で珍妙な格好の大人たちを怒鳴る。
その光景にヒカリは苦笑しクウヤも冷や汗を垂らした。
「うわ、だっせぇ・・・そして博士こえぇ・・・」
この博士には一生かけてでも逆らうことも、敵に回すこともできないし絶対にしてはいけないと、この時クウヤは感じていた。
「あんたらのこと、おれはよく知らないんだけど・・・人のものを力ずくでとろうとするってことは悪い奴、でいいんだよな」
「その通りだ、二人とも懲らしめてやれぃ!」
と言われてクウヤとヒカリはモンスターボールを構えた。
「ええい、進化のエネルギーに関するデータはなにがなんでも、我々ギンガ団がいただくぞ!」
ギンガ団と名乗った連中も同じようにボールを手に取る。
「お願いね、パチリス!」
「頼むぜ、ヒーコ!」
ヒカリはいつも連れ歩いているパチリスを、クウヤはボールからヒーコを出した。 対するギンガ団はケムッソとズバットだ。
「ケムッソ、いとをはく!」
「ズバット、つばさでうつ攻撃!」
「ひのこでうちけして、かわせ!」
クウヤはうまいタイミングでヒーコにそう指示をだし、ケムッソの攻撃を打ち消し、持ち前の身のこなしでズバットの攻撃を回避した。
「パチリス、スパーク!」
そこにヒカリがパチリスに指示をだし、ズバットに有利な電気の技でズバットを攻撃し大きなダメージを負わせる。 それに対しケムッソはパチリスにたいあたり、ズバットはヒーコにもう一度つばめがえしを食らわせた。
「へっへっへ、いいぞぉ!」
「一発与えたくらいで、調子に乗るなよ」
「なっ!」
クウヤはギンガ団をにらみ、ヒーコは平然と立っている。
「く、この、ガキッ・・・」
「ヒーコ、みだれひっかきだ!」
「パチリス、でんじは!」
パチリスのでんじはで2匹の動きを封じ、そこにヒーコはみだれひっかきで攻撃をする。
「よぉし! ヒーコ、かえんぐるまをみせてやれ!」
「ヒッココゥ!」
さらにヒーコは火を纏って回転して突撃し、ケムッソとズバットを同時に攻撃して倒す。
「あー!ズバット!」
「ケムッソ・・・!」
ズバットとケムッソをボールに戻すとギンガ団は覚えてろよというありがちな捨て台詞を残してそこを去って行った。
「・・・あいつら・・・弱かったな」
「ヒッコー」
「これならヒョウタさんの方が強かったぜ」
「え?」
クウヤの言葉にヒカリはぽかんとした。
「ねぇ、ヒョウタさんってクロガネジムのジムリーダーの・・・?」
「ああ、そうだけど?」
「まさか貴方、ヒョウタさんに勝ったの?」
「ああ、やっぱ強かったけどな!」
そう言ってクウヤは服の内側につけているコールバッジをヒカリと博士に見せた。
「この通り、バッジはもう一個ゲットしたぜ!」
「おぉ!」
「タウンマップとバッジケース?」
ポケモンセンターの談話室でクウヤがナナカマド博士から貰ったのはバッジケースとシンオウ地方のタウンマップだった。 バッジケースはシルバーにモンスターボールのマークが描かれたシンプルなケースで内側にはバッジをピンごとはめられるようになっている。 タウンマップはタッチパネル式で指だけで簡単に操作できるものだ。
「君はまだその二つを持っていなかっただろう」
「あ、うん」
「それがあればこれからの冒険にも役に立つし楽しいものにもなるだろう」
「ありがと、ナナカマド博士!」
博士からのプレゼントに喜び、クウヤは早速バッジケースに服の内側につけていたコールバッジをつけて、タウンマップと一緒にリュックに入れる。
「そういえば、博士!」
「なんだね?」
「さっきのギンガ団とかいう宇宙人みたいな変な奴ら、結局何だったんだ?
悪いやつだと思ったから戦っちまったけどさ・・・。
そもそもさ、なんであいつら博士とヒカリを襲ってたんだよ?」
「ふむ、実はな」
ナナカマド博士とヒカリはクウヤと合流する前までのことを思い出して話し始めた。
「君に連絡を取ってから、わしとヒカリはあの場所で君が来るのを待っていたのだよ」
「その時突然あの人たちが声を掛けてきて・・・ナナカマド博士であると知った途端に突然進化のエネルギーの話をはじめて、その調査結果を我々によこせって脅してきたの。」
「断ったその瞬間、君が来たということだ」
「そうだったんだ。」
2人の話を聞いてクウヤは納得した。 確かに、いきなり現れてわけのわからないことを喋りだし他人に対しいきなりものをよこせなんて言いだす人間は怪しい以外のなにもない。
「でも、奴らが狙っていた進化のエネルギーとか調査とかどういうこと?」
「多分、ナナカマド博士が過去に発表したポケモンの進化に関係している研究データや論文のことじゃないかなって私は思ってるの」
「ポケモンの進化?」
「そう、博士の研究では全部のポケモンの90%は進化するって言われているの!」
「へぇ!」
もちろん、クウヤにはポケモンの進化のことは全部わかってなどいない。 自分にはよくわかんないことでもナナカマド博士やヒカリにはわかる・・・それをクウヤは素直に感心していた。
「なんかリクガみたいだ」
つい思い出して口に出したのは、自分の友人の名前。
「リクガ?」
「うん、おれの友達でライバルで仲間!
オダマキ博士の子どもでさ、おれよりずっと大人っぽくて頭もめっちゃいいし、なによりめっちゃ良い奴なんだ!」
「そうなんだ・・・私も一度会ってみたいな」
という会話をしているとナナカマド博士は助手からの通信を受けてマサゴタウンに帰って行った。
一方ヒカリはこれからコトブキシティでやることがあると言ってクウヤとそのまま別れた。
「はい、貴方のポケモンはみんな元気になりましたよ!」
「ありがと!」
回復を終えたポケモン達の入ったモンスターボールを腰のベルトにつけると、突然声を掛けられた。
「おいキミ!」
「ん? あー! あんたはハンサムのおっちゃん!」
以前遭遇した国際警察のハンサムだった。
「お・・・おっちゃん・・・ま、まぁ今はそれはどうでもいい」
おっちゃんと呼ばれて軽くショックを受けたが早めに本題に入るハンサム。
「先程、ここでキミがギンガ団と名乗る連中と戦ったと聞いたんだが」
「あ、ああ!」
「危ないじゃないか、もしもなにかがあったらどうするんだ!」
「えぇっ!?」
いきなり説教で注意されクウヤは戸惑いながらも反論した。
「そんな、オレはあいつらが襲ってきたから抵抗しただけだぜ!
側にはナナカマド博士やヒカリもいたし、あのまま好きにさせる方がまずいだろ!」
「うっ」
クウヤは正論をさらに突きつける。
「それにここに奴らが来ることわかってたんならあんたも早く来いよ、そんな風に遅いから子どもであるオレが戦うことになっちまったんだから、子どもが手を出すなっていわれても困るぜ。
そういう行為を、責任転換っていうんだろ?」
クウヤのきつい発言にハンサムはうぐって唸りうなだれる。
「あ、あれ・・・もしかしておれちょっと言い過ぎた?」
項垂れるハンサムを心配してクウヤは声を掛けようとするがすぐにハンサムは顔を上げた。
「こ、今回はキミもキミのポケモン達、そしてそのほか被害者もいないから大丈夫だという確認が取れたからよしとしよう!」
「え」
「だがこれからも奴等にはくれぐれも気を付けてくれよ!」
「あ、うん?」
「では失礼する!」
と言い残しハンサムは去って行き、残ったクウヤはそこでぽかんと立ち往生。 近くでは小さい女の子がいまのおじさんはなに、と母親に問いかけそれに対する母親の返事はみてはいけません、と必死に娘の興味をそらせようとしている光景が繰り広げられていた。
「・・・あのおっちゃんもかなーりヘンだけど、ギンガ団とか・・・このシンオウの冒険も変なことになるかも」
ちょっと先行きは不安になったが、クウヤははぁ、とため息をついて気を持ち直す。
「まぁでも変な格好でなんとか団って名乗って変なこととか悪いことしてる連中ってろくなもんがいねぇしな。」
と、かつて自分が戦った「なんとか団」と名乗る組織を二つ思いだしながらクウヤはそうつぶやき、空腹を満たすためにポケモンセンターの食堂に向かった。
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この長編、実は話数40超えてるんだ | ||
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