真・恋姫無双〜項羽伝〜三国編 |
第五章14話 赤壁〜残されていったもの〜
長安近郊の山の頂上。そこには新しく祭壇が建てられており、そこで一人の少女が祈祷をして時が来るのを仲間とともに今か今かと待ち望んでいた。
そして一つの星が異様に輝きを見せた時
「・・・・・・・時が来たみたいでしゅ。はわっ」
「こんな時にも噛むとは軍師殿も余裕だな」
「むう!そんな事無いです!それよりもわかっていますね焔耶ちゃん。この策で我らが蜀の命運が別れるんです。」
「そんなの百も承知だ。」
「お願いします。これできっと洗脳されている愛紗ちゃんも戻ってきて、桃香様やみんな、それに雛里ちゃんも夢見たみんなが笑顔で暮らせる国を作ることができるはずです」
「ああ。桃香様の笑顔のために私は何でもできる。鬼にでも悪魔にでもなってみせる!!・・・・じゃあ行ってくる」
「はい!!」
会話、いや互いの激励が終わり孔明は長安に向かう魏延と南蛮兵の後姿を見送っていると
「ふむ。勇ましい限りだな。それでは孔明、儂と劉協様を送ってもらおうか」
魏延と入れ替わるようにやってきた張讓の声だった
「はい。?すみませんが何皇后は如何されたのですか?」
「ああ、あやつか。することがあると言って残ったのう。まあ、問題なかろう」
「え!?本当によろしのですか?」
「かまわぬ。お前たちが神輿として必要なのは劉協様だろう?あやつはもう用ず・・・いや、あやつと儂は最初から目的が違った。ただ、向かう方向が途中まで同じと言うだけだ。それが今別れたと言うだけだ。儂の目的は・・・・・」
張讓の最後の言葉が聞き取れず疑問を持ちながらも言われた通り自分たちに必要な劉協が居るのでこれ以上無駄な時間を過ごすわけにもいかない孔明は一度頷いて
「わかりました。では蜀、成都に向かいます。私はまだすることが残っていますので、御二人には護衛を付けて先に向かっていてもらいます。」
ポタポタと胸に貫かれた小刀から流れ落ちていく雫が床に落ちていき真っ赤な水溜りを作っていく
『これがお前の死だ』
『ざまあないな』
『この時をいくら待ち望んだことか』
『楽しい!楽しいぞ!!あれほど強かった、あれほど恐怖したお前の死がこれだとは!!』・・・・・
一刀の身に聞こえ続けていたあの何千何万という怨嗟の声達が歓喜の声に変貌していた
「ああ・・・・・そうだ。だからどうした。これが俺の死に方だ。お前たちを殺して回った俺の最後だ」
一刀は虚空に向け声がかすれながらもそう言った
その間にも一刀の体からは血が流れ、その上傷口は紫色へと変色し始めていた
「一刀様!!一刀様!!無事なのですか!?」
一瞬何が起きたのか解らなく呆けていた凪がすぐさま一刀に近寄り安否の声を上げていた
「凪・・・・俺よりの涼刀を。如何やら自我が・・・操られているようだ。」
一刀は自分の傷をそっちのけで涼刀の、大事な娘の頭に両掌で覆うように、抱きしめるようにして氣を流し始めた
「アッ・・・・ウ」
それから少しずつだが涼刀に反応が見えてきたのだが、それ以上に一刀は徐々に衰弱していった
そのとき
「ッ!!貴様ァァァ!」ガキン
それは奇襲
絶妙なタイミングとも言える瞬間のはずだった魏延の攻撃だった
「ちっ!!今の奇襲を受けるか。流石にアイツみたいに簡単に死んでくれないか」
「誰の事を言っている?それよりもお前は今、何をしたのか解っているのか?」
「知れたこと。桃香様の敵。即ち私の、そして・・・・・」ブン
魏延は言葉を続けながら、先ほどの奇襲と違い音を隠さなくてよくなった分、気合を込めた一撃を出すために踏み込んで振りかぶった
「大陸に住む全ての敵だぁぁぁあああああああ!!!!!!」
「馬鹿らしい!!」
凪は後ろに居る一刀と涼刀に被害が及ばない様にするため、魏延の一撃を避ける事は出来ない
だが、受けたられない攻撃でもないと判断しそれを受けていなしカウンターを撃とうとしたのだがその時
「今だ!!!行けお前達!!!」
今まで気配を感じなかった魏延の後ろの暗闇から、潜んでいた夥しい量の南蛮兵が湧いて一刀に襲い掛かった
「なっ!!一刀様!!!」
凪は焦った
その一瞬が勝負を決めた
凪に向かってくる攻撃をいなし損ね直撃を喰らってしまったのである
「ウッ!!」
衝撃は全身を襲いそのまま壁に向かって吹き飛ばされた
その間にも南蛮兵は一刀の体に覆いかぶさり、持ち前の強力で至る所を刃や爪で切り裂きそして牙で噛み砕き、引き裂き始めた
それでも一刀は反撃をしない
それよりも成すことがあるから
自分の肉が削られ、全身の骨が砕かれて行っても
涼刀を元の元気な、笑顔でいてくれる娘に戻すため氣を送り続けた
「一刀様!!!一刀様!!」
凪はすぐに体を起こしさっき受けた攻撃の傷を無視して駆け寄ろうとするが
「お前の相手は私だ!!ていやぁぁあああああ!!!!」
「くそ!!邪魔をするな――――!!!!!!」
ガン!!
ガキン!!カキンカキン!!
何合もの攻撃を交わしていると魏延の武器に亀裂が入り始めていた
そして
バキン
金属のあの甲高い音と供に魏延の武器は折れてしまった
「くそ!こんな時に!!」
「止めだ!!」
凪は拳に瞬間的に最大の氣を乗せて打ち込んだ
だが
カン
それはとても軽い音をだして簡単に塞がれてしまった
「ふん、都合よく落ちていた武器で受けたが何とかなったな。」
魏延が拾った武器
それは凪もよく知っている武器
その名は混沌
一刀が常に持ち歩き愛用としている武器
しかし、この場では治療のために手放されていた武器
それが魏延によって拾われ防御に使われた
「ふむ。これは・・・・」スパ
ボト
試しとも言うように魏延は凪の追撃の拳に向かってただ払う感じで薙いだだけだがその拳が肘から先が切り落とされていた
「ガッ!!」
「これは凄いな・・・・・チッ時間か。お前達退くぞ!」
魏延は窓の外が赤くなっているのが見えそう吐き捨てた
「私の手でやれなかったのは残念だが、保険が役に立ったな」
そう言って魏延は凪を突き飛ばし一刀に襲わせていた南蛮兵を連れてその場を引いて行った
「くそ!!一刀様!!一刀様ご無事ですか!!」
凪は切り落とされて血が湧き出ている部分をもう片方の手で押さえ一刀に駆け寄ったがそこで絶句した
そこは涼刀を守るように覆われていた腕は今にも千切れそうに皮一枚で繋がり顔の殆どが潰れ、体も無事な所は一つとしてない姿の一刀の姿だった
「な・・ぎ。治療は・・・終わ・・」
「一刀様!!!」
「りょう・・・・・たの・。俺は・・・・・もう・・」
「かず・・と・・・さま?一刀様!?」
一刀はもう事切れていた
ただ涼刀の体を大事そうに覆い守る姿を崩す事は無かった
「一刀様!!クソックソックソッ!!!!何故だ何故!!!!」
「うっんん・・・・」
小さくその声は聞こえた
涼刀の小さな呼吸の声を聞いて少し高ぶっていた気を落ち着かせ
「・・・・(涼刀様だけは守らなければ。これ以上は)」
凪は一刀の手をゆっくりと大切に外していき涼刀を抱きかかえた
そしてちょうどその時その部屋は火に覆われ始めた
まるで境界線をつくるように一刀と凪を遮るように真っ赤な壁が生まれたのである
あとがき???
二話連続投稿なので続きをどうぞ
ただ一言だけbaseson貴様ぁぁぁああああああ!!!!!!!
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