マイ「艦これ」「みほ2ん」第70話<日向乱心>
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「でも、この鎮守府で司令と出会えて……」

 

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マイ「艦これ」「みほ2ん」

 第70話 <日向乱心>(改2)

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 向こうで父親と話をしていた利根が少しニタニタして、こちらにやってきた。

「何だ?」

 

彼女は意味ありげに笑う。

「父上殿が航空機の件でお呼びじゃ」

 

「?」

何だろうと思いつつ私は応接間へ。

 

 しかし酔っているとはいえ、山城さんや日向、それに利根までを相手にするとは父親も大したものだ。噂では撃墜王だったから同時に多数を相手にするのも得意なのだろうか? ……と妙に感心したりする。

 

「おう、来たか」

父親は日向に目配せをした。

 

急に畏(かしこ)まったように日向が向き直る。

「なんだ?」

 

私の問い掛けは無視し畳にベッタリ頭を擦り付け、お辞儀をする彼女。

「おい、何をいきなり三つ指ついてんだ?」

 

何だか芝居じみているが、いくら指揮官と艦娘とはいえ、そんなことをされると焦る。

 

そんな妙な雰囲気の中、おもむろに顔を上げた彼女は言った。

「司令! お父様とお話をして気付きました。ここ最近の自分勝手な振る舞いを日向は心より反省しております」

 

「突然何を言い出す? ……航空機の話じゃないのか」

彼女の目が据わっている気もする。こいつ酔っているな?

 

だが彼女は焦点の定まらない空ろな目をしながら続ける。

「花火大会のベンチで山城様と張り合い、分不相応な自らに汗顔の思いです!」

 

「はあ……」

何だ、やっぱり自分では状況が分かってなかったのか?

 

 しかし酔っているとはいえ山城さんを『様』付けとは……日向の卑屈な態度には苦笑せざるを得ない。気のせいか当の山城さんまで、ほくそ笑んでいるようだ。

 

 なおも彼女は続ける。

「自分の浅はかさには誠に猛省しております。本日は、お父様に多々諭して頂きまして日向は感謝、至極で御座います!」

 

普段は物静かな日向って、こんな饒舌だったか?

 

「なんで、そういう流れになるんだよ?」

私も呆れてきた。おまけに言葉遣いがチョッと変だぞ。

 

「この鎮守府で司令と出会えて……」

ついに日向が静止した。

 

 今まで、ずっと喋っていた彼女が黙ったから、その反動で起きていた周りの艦娘たち全員が振り返る。

 

 彼女らは直ぐ状況を把握したようで思わず固唾を呑んで……って、

なんで、そこで全員がタメてるんだ?

 

 いや利根や青葉さんはニタニタしている。お前らなあ……。

 

「司令と出会えて……(ウルウル)」

だんだん涙声になる日向。

 

(おい! 涙を溜めるなって!)

私は冷や汗が出てきた。

 

(クックック……)

こらあっ! 利根と山城さんまで……君たち何を笑ってンだ? 

 

「よ・よ・」

日向は既に表情がこわばって舌が回らない。 ……というかアルコールの影響もあるのだろう。顔が赤い。

 

(ウックックッ)

だから、お父さんまで……笑っちゃダメだよ! 日向が可哀想だ。

 

「よかったです」

最後の部分の台詞をボソッと言った日向は、突然真っ赤になった。

それを見て仰け反ったのは私だけだ。

 

「お父上に伺いました!」

なおも日向は急に顔を上げる。

 

ビックリ……ていうか、お前、まだ止まらないのか?

 

「理想的な軍隊は、上官と部下が渾然一体となる、まさに一蓮托生。従って日向も司令と共に粉骨砕身、永久に戦い抜く所存です!」

 赤い顔して目が据わっていた日向、想像を絶する勢いだ。

 

……だがそろそろ限界だろ? ついに顔を覆って黙ってしまった。

(やっぱり)

 

艦娘が不慣れな事を、するもんじゃない。興奮して更に酔いが回ったことだろ。

 

 ニヤニヤしたお父さん! 日向に難しい言葉を吹き込むんじゃない!

 

 すると、それまでニタニタしていた利根が日向の肩に手を回して言う。

「もぉ! 今宵は日向殿も熱いのじゃ……があぁっハッはぁ」

 

もはや私は呆れ果てた。

(お前らバカか?)

 

真っ赤な顔をした利根め、限界を超えて飲みすぎだって!

 

 だが父親も笑っていた。

隣の山城さんも意外と余裕の笑顔だった。いや逆に怖い気もするが。

 

 だいたい全員が相当量の、お酒が入っている。盛り上がり方が尋常ではない。それでも普段は、ほとんど笑わない父親が、こんなに楽しそうな顔をしている姿は初めてだ。

 

 そう思うと、お盆くらいは、これもアリかな?

 

 だが、そこで止まらなかった。

「So れワぁ、聞き捨てなりませぇン!」

 

(グリグリ!)

「あいっ痛ァ!」

 

金剛が思いっきり頭を押し付けて来た……てか、

「何でいきなり目を覚ます?」

 

口を尖らす彼女。

「金剛ちゃんモぉ、参戦しちゃおっかナ」

「……し、しなくていいって」

 

「ハッ!」

異様な気配に振り返ると比叡が真っ青な顔で上半身起こしていた。

 

「おぉ……お姉さま」

比叡の手が空しく宙を舞っている。

 

今にも泣き出しそうだ。お前ら姉妹はスイッチで繋がっているのか?

 

でも、普段見られない艦娘たちの羽目を外した姿に……実は祥高さんも含めて皆、楽しそうだった。

 

 見上げると、うちの神棚も輝いて見えた。

いや神様は苦笑しているかな? ……きっと。

 

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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サイトも遅々と整備中〜(^_^;)

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PS:「みほ2ん」とは

「美保鎮守府:第二部」の略称です。

 

 

説明
実家で司令は艦娘たちの様々な思いを受け止めようと思った。それが指揮官の使命、つまり一蓮托生である。しかし、現実は甘くなかった。
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ア艦これ みほちん 一蓮托生 艦娘 美保鎮守府 利根 日向 酔っ払い 

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