ポケモンDPt 時空神風伝 17
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ズイの遺跡の秘密

 

無事にヨスガジムでジムリーダー・メリッサに勝利し、その証のレリックバッジをゲットしたクウヤは、意気揚々と次のジムがある町を目指してヨスガシティを旅立っていった。

 

「えーと、次のジムがある町はっと・・・」

 

タウンマップを開いて、4番目のジムがある町の情報を調べるクウヤ。

画面に映し出されたのは、大きいビルがたくさん建っている町並みだった。

 

「トバリシティ?

・・・うわぁ、こっから結構遠いな」

 

マップをみて、ヨスガシティとトバリシティの距離を確認したクウヤは、その距離にがっくりとうなだれた。

二つの町の間には小さい町が一つあり、しかも小さい町とトバリシティの間には長い草むらに覆われ、高い崖もたくさんある長く険しい道があるという。

そんな長い道に挫けそうになったクウヤだが、直後にすぐ立ち上がり拳を握る。

 

「だけど、ここで止まってそのまま負けるわけにはいかねーよな!

よっしゃ、やってやるぜ!」

「・・・」

 

いったいこの少年は何に対抗心をもやしているんだ、とボールから冷たい目線を送るポケモン達。

そんな手持ちのポケモン達の視線など気にせず、自分勝手に思いこんで気合いを入れているクウヤ。

 

「あれ、クウヤ? クウヤだよね?」

「え?」

 

ふと、名前を呼ばれてクウヤは振り返る。

そこには自分の名前を呼んだ張本人である少年が一人いた。

 

「あっはは、やっぱりクウヤだ!」

「コウキ!」

 

マサゴタウンで出会ったポケモントレーナー、コウキだった。

彼もクウヤと同じ目的・・・シンオウのジム全制覇を目的として旅をしているのだ。

 

「久しぶりだなコウキ、元気にしてたかおまえ!」

「この通りピンピンしてるよ、クウヤも元気そうで安心した」

「へへ、おれはこれが取り柄みたいなもんだしよ!」

 

久しぶりの再会を喜び合う二人は会話しながらすすみ、ズイタウンに到着した。

 

「ここがズイタウンかぁ」

「農業と育て屋が有名な小さい町だよ、長旅の休憩ポイントにはもってこいだね」

 

町の中にはミルタンクの牧場も見え、さらにその近くでは様々なポケモンの世話をするポケモンブリーダーもいる。

 

「ここからトバリシティは長いからね、ここである程度準備してからトバリシティにいくのが一番いいよ」

「そっか」

 

コウキのアドバイスを素直に聞いて、早速町の中に入り買い物に繰り出そうとしたときだった。

二人の前に黒くて小さくて平らななにかが突然現れた。

 

「わ!?」

「なんだ!?」

 

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突然彼らの前に現れた、見慣れないポケモン。

クウヤはポケモン図鑑をそのポケモンに向けた。

 

「アンノーン?」

 

ポケモン図鑑にでた名前にクウヤは首を傾げる。

コウキは恐れずアンノーンに手を伸ばし、その鳴き声に耳を傾けた。

 

「このアンノーン・・・仲間とはぐれたみたいだ。」

「よくわかるな」

「なんとなくだけど、ポケモンの言葉がわかるんだよ。」

「すげ」

 

コウキの意外な特技に驚きつつ、クウヤはアンノーンのことを気にする。

 

「でも、このアンノーンが迷子っていったって、どうすりゃいいんだよ?

このへんでこいつがいそうな場所なんて、おれ分かんないぜ?」

「それはたぶん、ここじゃないかな?」

「え?」

 

コウキが指さしたのは、どうみても明らかに遺跡だというのがわかる、石造りの建物だった。

 

「これってもしかして、遺跡か?」

「どうみてもそうだね。

ズイタウンには地元の人間みんなに知られていながらも誰も行かないという遺跡が存在すると聞いたけど、きっとこれだね。」

「こんな近いのに、このアンノーンはなんで・・・あっ!」

「これは・・・!」

 

遺跡の入り口は土と石で埋まって塞がれているのをクウヤが発見した。

その中心には、とてつもなく大きな岩がある。

 

「そういえばこの前、この地域で大雨が降ったって天気予報が言ってたな。

そのとき山から崩れたときに転がり落ちたこの岩で、遺跡の入り口が塞がれてたんだ・・・。

だからこのアンノーンは遺跡に戻ることができなかったんだ。」

「そういうことか・・・よし、任せろ!

出てこいヒーコ!」

 

崩れた岩を見たクウヤはボールからヒーコを出した。

あのときのヒコザルがモウカザルに進化したことに気づいたコウキは驚いていた。

 

「モウカザル!」

「途中で何度もバトルして、進化させたんだ!

よし、これからこいつのいわくだきでこれを壊すから、コウキも手伝ってくれ」

「わかった、岩を砕くならこのポケモンの出番だ、いくんだヘラクロス!」

 

そういいコウキが出したのはいっぽんづのポケモンのヘラクロスだ。

 

「かわらわり!」

「いわくだき!」

 

2匹のかくとうポケモンが放った2つのかくとう技が、その岩を打ち砕き遺跡の入り口を開けた。

 

「やったぜ!」

「ありがとう、ヘラクロス!」

「おつかれ、ヒーコ!

さぁ行こうぜ、コウキ、アンノーン!」

 

クウヤとコウキは一度ポケモンを戻し、アンノーンをつれて遺跡の中に入っていった。

 

「床も壁も天井も、みーんな石だな」

「遺跡だからね」

 

遺跡の内装に感心しているクウヤにコウキがツッコミを入れた瞬間。

 

「わーっ!?」

「うわ!」

 

四方からめざめるパワーの技が飛んできて、クウヤとコウキを攻撃した。

 

「誰だ!」

 

クウヤがそう叫ぶと、彼らの周りに技を放ったポケモンが現れた。

それも一匹のみならずたくさんいる。

 

「アンノーンが、こんなに・・・!」

 

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「くっ!」

「うっ!」

 

連続で飛んでくるめざめるパワーをなんとか回避しまくる二人。

 

「なんでこいつら、襲ってくるんだよ!」

「僕達を侵入者・・・つまり敵だと思ってるんだ!」

「そんな、こいつら、ここにいるアンノーンが・・・仲間がここにいることがわかんねぇのかよ!?」

「人間がはいってきて、我を忘れ、自分たちの領域を侵しにきた敵を排除するという本能で襲ってきている!」

「そんな!」

 

そんな会話をしつつコウキはボールを構えた。

 

「とりあえずまずは落ち着かせるしかないかな・・・いけ、レントラー!」

「しょーがねぇ、頼むぜ、ズーバ!」

 

コウキはレントラーを、クウヤはズーバを出す。

 

「レントラー、スパーク!」

「ズーバ、エアスラッシュ!」

 

レントラーは電撃を纏ってアンノーンの群れにつっこんでいき、次々にアンノーンをなぎ倒し、ズーバのエアスラッシュも、アンノーンを一掃していく。

だが、アンノーンの数が多すぎて、落ち着きを取り戻させるのはほぼ不可能な状態になっていた。

 

「くそっ、キリねぇぜ!」

「どうしよう・・・」

 

そのとき、コウキが抱えていたアンノーンが、コウキの腕からとびだした。

 

「アンノーン!?」

 

アンノーンは全方向にめざめるパワーを放ち、他のアンノーンはそれをみて動きを止めた。

めざめるパワーの光がやむと、先ほどあれだけ攻撃を繰り返していたアンノーン達が一斉におとなしくなり、遺跡の奥へ帰って行った。

 

「・・・アンノーン・・・おれ達を助けてくれたのか」

 

ふわりと降りてきたアンノーンが、クウヤやコウキのまわりをふわふわ飛び回る。

すると今度は、二人を案内するかのようにゆっくり浮かびながら移動しはじめた。

 

「ついていってみようぜ」

「うん」

 

クウヤとコウキはそのアンノーンについていくことにした。

そうしてアンノーンに案内されて到着したのは、大広間というべき広い部屋で、その中心には石碑がおかれていた。

 

「ここに書いてあるのも、アンノーンか?」

「だろうね、アンノーンは文字を元にしたポケモンだし・・・この石碑もアンノーンでなにかが書かれている」

「お前、おれ達にこれを見せたかったのか?」

 

クウヤの言葉に答えるように、アンノーンは何度もうなずいた。

コウキはじっくりとその石碑をみている。

 

「・・・」

「お前、この文字読めるのか?」

「いや、全然」

「んがっ!」

 

コウキの返事にクウヤはずっこけた。

 

「ヒカリちゃんとか、ポケモンにすっごく詳しい人がいればこれも解読できるかもしれないね」

「ポケモンに詳しい人・・・」

「まぁ、今はこれ写真に撮っておくよ」

 

そう言いコウキはカメラを取り出し、その石碑の文章を写真にうつした。

ポケモンに詳しい人と聞いてクウヤが真っ先に思い出したのは親友のリクガだった。

 

「でも、こいつがここまでおれ達を連れてきたんだから、なにか特別な意味があるっつーことはわかるぜ、おれでも」

 

クウヤはアンノーンと石碑を見比べて、そうつぶやくのだった。

 

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数分後、アンノーンに別れを告げてクウヤとコウキは遺跡からでて、ポケモンセンターでポケモン達を回復させた。

 

「ま、なにはともあれ、あのアンノーンが住処にかえって仲間とまた過ごせるようになってよかったな」

「そうだね」

「なぁコウキ、コウキはこれからどうするんだ?」

 

ポケモンセンターのロビーで、クウヤはこの先のことを話題に持ち込んだ。

 

「僕はここで少し修行しようと思ってるんだ」

「そっか」

「クウヤは先へ進むんだろ」

「ああ、一気にトバリシティに向かうぜ」

 

準備も整ったしな、と自分のリュックをたたいて笑うクウヤ。

 

「途中でポケモンを鍛えたり、休んだりすることも大事だよ」

「んなのわかってるよ」

 

そんな話をしつつ木の実の整理をしていたら、コウキのハヤシガメがコウキにちかよりパイルの実をほしがった。

 

「ハヤシガメはホントにパイルの実が好きなんだね」

「すっかり仲良しだな」

「まぁ、僕もこの子達が大事でかわいがっているから。」

 

そう言ってハヤシガメの頭をなでつつ、コウキは語り出す。

 

「僕、いつかはポケモンと会話をしたいなっておもうんだ。

気持ちは通じ合っているとおもうし、そういうのもとっても素敵だけど、ポケモンの言葉がハッキリとわかったら、きっと楽しいんだろうな・・・っていつも思うんだ。

いつかあいたいよ、ポケモンの言葉を理解できる人に」

「そうだな・・・おれも、会ってみたいぜ」

 

会話をひとしきり楽しんだ二人。

クウヤは早速出発するためにリュックを背負いモンスターボールを腰のベルトにつけてポケモンセンターをでた。

 

「じゃあ、またな、コウキ!」

「ああ、また会ったらポケモンバトルをしよう、クウヤ!」

「もち!」

 

二人は再会と再戦を約束し、ここで一度わかれた。

 

説明
もう随分と更新してなかったね…月が替わってたよ気付いたら。
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