真・恋姫無双 〜今度こそ君と共に〜 第14話
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翌朝、桃香は城攻めの前に兵たちを前に演説を行っていた…否、演説というよりは兵たちに話しかけていたと言った方が正しいだろう。

 

兵たちに檄を飛ばす訳では無く、今回の戦いにおいて自分の分身とも言える愛紗や鈴々が不在で桃香自ら陣頭指揮を取って戦いを挑むことを表明した上で敢えて皆にこう言った。

 

「皆さん、聞いてください。今まで私は「皆が争いをせず話し合いで物事を解決して皆が笑って暮らせる国にしたい」という考え誇りに持ち皆さんも私の考えに共鳴して付いてきたと思います。でも私の理想を叶える為には自分を犠牲にすることは勿論、皆さんを犠牲する覚悟がないと理想を叶えることはできないと言われ…私はその事実を言われ反論できませんでした」

 

「でも私は皆が笑って暮らせる国にしたいという理想を捨てる気はありません。私はこれより皆さんと共に剣を持ち乱世という何時終わるか分からない道に身を投じ、理想を叶えるため皆さんと共に戦います。でも皆さんは今まで私が言ってきた理想に共鳴して付いてきました人もいるでしょう。今の話を聞いて私に失望した人はこの場から今すぐに立ち去っても構いません」

 

桃香の言葉を聞いて兵たちは戸惑いを見せたが、しかし兵たち誰一人その場から立ち去るものは現れず、兵士長の1人が

 

「劉備様、皆、劉備様に付いて行く時から死ぬ覚悟を持って付いてきたんです。どうか命令を下して下さい」

 

兵士長の言葉に桃香は涙を流しそうになるが兵士たちの手前、何とか我慢する。皆は死を覚悟して自分に付いてきてくれているのにその主である自分が覚悟を決めていなかったことに今更気付かされたからだ。

 

「ありがとう皆さん。どうか死なないで下さい。私と共に戦い、生き残ってください」

 

桃香は兵士たちに頭を下げ、この姿を見て兵たちの士気は向上した。

 

「あまり褒められた口上じゃないけど、兵の士気が上がればそれで良しか…」

 

雪蓮は桃香のたどたどしい口上に苦笑を浮かべていた。

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「全軍、突撃!!」

 

指揮官である盧植の指示で城攻めが開始され、先陣を命じられた桃香たちも兵と共に前に進む。

 

流石に大将であるので先陣を切る訳には行かないが、何とか兵たちの損害を少なくする様に必死で指揮する。

 

桃香は負傷した兵たちが血まみれになって戻ってくる姿を見て、その血の匂いで吐きそうになるがそれを必死で我慢する。今まで後で戦を見ているだけで死と隣り合わせの戦場という環境に自ら置いていなかったことに不甲斐なさを感じていた。

そして官軍の猛攻により黄巾党は追い込まれ、残りの矢が少なくなってきた。

 

黄巾党の幹部たちは城から討って出る間に張角たち三姉妹には何れか落ち延びて貰うということで時間稼ぎをすることを決意する。

 

そして黄巾党は玉砕覚悟で城から討って出る。

 

窮鼠猫を噛むでは無いが、黄巾党の出撃に官軍に動揺が走る。

 

流石に歴戦の雄である曹操軍や孫堅軍、そして盧植軍は何とか対応できたが戦経験の浅い劉備軍は混乱してしまい黄巾党に攻められ陣を崩してしまう。

 

黄巾党の突撃に劉備軍の兵たちは桃香のところへ行かさぬよう必死で戦う。

 

「劉備様を守れ――――!!」

 

「あそこに大将がいるぞ――――!!」

 

桃香の前に両軍の兵たちが乱戦状態になる。

 

すると黄巾党の兵数名が乱戦から抜け出し桃香の姿を見るや否や

 

「あそこに大将がいるぞ!!死ねぇ――――!!」

 

兵たちは自分たちの死への道連れとして桃香に突進する。

 

桃香は靖王伝家を抜き兵たちに向けるが、兵たちは既に捨て身になっており桃香の威嚇などの気にもせず近づいてくる。

 

桃香の横にいた兵は何とか食い止めようとするが、1人の兵が抜け出し

 

「その首貰ったぁ――――!!」

 

剣を大きく振りかぶり桃香に襲い掛かる。

 

「キャァァ―――!!」

 

桃香は無我夢中で靖王伝家の柄を強く握り、闇雲に前に突きだした。

 

グッザ

 

何か鈍い音がして桃香は恐る恐る目を開けると桃香の剣が兵の胸に突き刺さっており、突き刺さった兵は苦悶の表情をしながら息絶えており、そして桃香の身体は兵の返り血を浴びていた。

 

桃香は自分の手で人を殺したことに動揺していたが、再びもう1人の兵が桃香の背後から襲い掛かろうとするが

 

「甘いわね。この娘は殺させないわ」

 

今まで見ていた雪蓮がその兵を一刀両断とばかり切り捨てた。

 

そしてこれを機に形勢は逆転して劉備軍は黄巾党を追い立て黄巾党は城内に後退して行く。

 

「どうして私を助けたのですか…」

 

漸く落ち着いてから桃香は雪蓮に助けて貰ったことに疑問の声を上げる。何故なら桃香は一刀に対して暴言を吐いたこともあり助けて貰えるとは思ってみなかったからだ。

 

「そうね。このまま貴女を見殺しにしても夢見悪いし、もし一刀がこの場に居ても貴女を助けたと思うわ。それに戦友を助けるのに理由がいるかしら」

「えっ…」

 

「貴女の覚悟見せて貰ったわ。そして……修羅の道にようこそ」

 

雪蓮は桃香にそれだけを告げた。これは雪蓮が桃香を認めたことであり、そして今後困難な事が待ち受けている事を暗に告げたのである。

 

戦いは官軍の勝利で首謀者である張三姉妹を曹操軍が生け捕り、それを偽首として官軍して差し出したのであった。

 

そして戦いを終えた桃香は雪蓮と共に一刀の陣に戻ってきた。

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桃香の無事な姿を見て愛紗や鈴々は今にでも涙が出そうな表情をしていた。

 

「劉備さん、お疲れ様でした。勇敢な戦いぶりでした」

 

一刀は桃香に労いの言葉を掛ける。一刀は雪蓮から桃香の戦いぶりを聞いており、漸く桃香を一角の将であることを認めた。

 

「北郷さん、申し訳ありませんでした」

 

だが桃香の返事は予想外の回答であった。

 

「北郷さん、今までの無礼許して下さい。今まで私は愛紗ちゃんたちに護られ戦の何たるか分からないままでした。今日その現実を知り、そして自ら剣を持って戦い、そして初めて人の命を奪いました。自分の理想を実現させるには自分の全てを持って戦わないとそれは叶わないと知らされました」

 

「それと典韋さん、申し訳ありません。決して私を許して欲しいとは言いません。北郷さんたちが言っていたことがようやく分かりました」

 

「……劉備さん、正直兄さまに暴言を吐いた事に怒りを覚えました。でも雪蓮様から話を聞いてようやく怒りが収まりました。今後軽率な発言はしないで下さい」

 

「はい……分かりました。そこで北郷さん、お願いがあります」

 

「何でしょう?」

 

「北郷さん……私はこのような未熟者で、まだ私たちは何も出来ていません。ですが私たちの理想を叶えるためにはあなたの力が必要です。ですので私たちと同盟を組んでくれませんか」

 

桃香は一刀に頭を下げたが懇願している訳では無く、飽くまで当主として一刀と対等な同盟を望んでいる。

 

「気持ちは有り難いが、今このような状況で同盟を結んでも利が小さい。もしお互い身代が大きくなって同盟を結ぶ時期が来ればその時は結んでもいいよ」

 

「そうですよね……今の私じゃ誰も相手してくれないと思います。もっと成長して北郷さんの横に並べる様頑張ります」

 

「その時が来る事を期待しているよ」

 

「ありがとうございます。それと北郷さんに私の真名を預けます。私の真名は桃香、これより桃香とお呼び……くだ……さ……い」

 

ここでとうとう身体に限界が来たのか桃香はその場で意識を失ってしまい、一刀が慌てて桃香の身体を倒れない様に支える。

 

そして関羽・張飛の2人が一刀の元に近づき、

 

「お姉ちゃんを助けて、ありがとうなのだ」

 

張飛が一刀に礼を言った後、一刀から桃香の身柄を預った後、お姫様抱っこする。

 

「北郷様、今までの御無礼申し訳ありませんでした。私は誰よりも桃香様の力にならなくていけないのに、私は……知らないうちに桃香様を過保護にしてしまって……」

 

関羽の目から今にも涙が零れ落ちようとしていた。

 

そんな関羽を見て一刀は

 

「関羽さん、貴女の忠誠心は高潔であり、そして純粋で美しい」

 

「う、美しい!?」

 

関羽は一刀からの思わぬ言葉に動揺の声を上げる。

 

「ただ桃香を大切にし過ぎて、少しだけ彼女を護る方向が間違っていた。君たち二人は桃香から誰よりも信頼され頼りされているんだ。そして二人が桃香を支えずにして、誰が今後の桃香を助けることが出来るんだ?」

 

「は…はい、分かりました。そ…それで今回の桃香様と私たちの目を覚ましてくれたお礼と言いますか…私の真名である愛紗を貴男に渡したいと思います」

 

「ありがとうございます」

 

一刀が愛紗から真名を受け取ると何故か雪蓮と流琉が誰にも見えないように一刀の背中を結構な強さでつねる。一刀は痛さのあまり声を上げそうになるが流石に皆の前で大声を出す訳にはいかないので何とか我慢した。

 

一刀はこの後機嫌の悪い二人を宥めていたことは言うまでも無かった。

 

説明
約10月ぶり更新です。

この話の内容覚えている人いるかな…不安になりますが、もし覚えていない場合はお手数ですがもう1度、第1話から読んでいただければ助かります。

今回は桃香自ら戦場に立ちますが、上手く書けてた不安です。

では第14話どうぞ。
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コメント
陸奥守さん>今までの作品でもよく刺されずに済んでいるなと思いますww(殴って退場)
Folsさん>いつもの通りの行動で、しまいには雪蓮から制裁と言う名のダッダッコ攻撃を受けそうw(殴って退場)
はこざき(仮)さん>ある意味平常運転ですねwwそして桃香が再び脱線しないかどうか不安ですが…(殴って退場)
たっつーさん>その時だけ故障したのでしょうwwこういう免疫なさそうですから…(殴って退場)
鋼の後継さん>もげたら一刀が一刀で無くなってしまうww(殴って退場)
Jack Tlamさん>これが一刀クオリティw今更ながらどうしようもないかとw(殴って退場)
未奈兎さん>これがばかりは無自覚でどうしようもないかと…後、桃香は目覚めたは良いが現状軍師不在なのでしばらくは苦悩しそう。(殴って退場)
とりあえず一刀は自重しろ(深刻な殺意)(陸奥守)
いつも通りの誑しの一刀君で安心です。(呆れ)(Fols)
北郷はこうでないと(嫉妬) とりあえず劉備陣営はこれで著しく成長できるかな?これからの展開楽しみです!(はこざき(仮))
敢えて言おう。『リア充もげろ』と(鋼の後継)
変に拗らせずに済んだようで。口説くとは言うけど、これは一刀なりの真摯な言葉でしかなく、それを受け止める側が……うん、やっぱり口説いてるわコイツ。(Jack Tlam)
息するように口説くさまは紛れも無く種馬、劉備がこの先どんな成長をするやら(未奈兎)
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