〜少年が望んだ世界と力〜
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前書き

 

ARX-7アーバレスト「お待たせしました!最新話、どうぞ!」

 

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野田家 地下施設 第1演習場

同演習場 観測室

リンディさんと買い物に出かけた数日後の平日の放課後、地下の演習場の観測室にいる。

今日この演習場を使うのは俺ではなく、なのはだ。

なのはにとある物の装備してもらい、それを装備した際の性能をテストしてもらっている。

データの観測にはエイミィさんにも協力してもらい、クロノとフェイトが見学している。

 

「高町、準備はいいな?」

 

『うん、いいよー』

 

「了解」

 

テストを始めていいか声を掛け、なのはから返事が返ってくるとエイミィさんにアイコンタクトをする。

エイミィさんがキーボードを軽く操作し、準備が出来るとOKサインを出す。

それを確認して模擬戦用に選んだカードをセットし、テストを開始する。

 

「では、状況開始」

 

3人称Side

健悟の合図で模擬戦が始めるとなのはは周囲を警戒する。

今回のフィールド設定は障害物がなて見通しがよく、今回のテスト装備の検証を行うのにある特定の機体の装備が扱えるのに最も適した環境ということで地球の外、宇宙空間に設定されている。

空気があることと気温以外は重力制御装置を使っての擬似無重力なので限りなく本物に近い。

 

<It Comes>

 

なのは自身も相手を捉えた。

 

<A new enemy is approaching>(新たな敵が接近中)

 

機体色がブラウンに塗装されている一般パイロット仕様のバルキリー「VF-1A バルキリー」が2機がファイター形態で接近してきている。

1機は対空対地ミサイル・アロー(以降 アロー)を片翼に3発付きを2基ずつ、計12発装備し、もう1機はマイクロミサイルポッドを両翼に2基装備している。

 

「な、なんで飛行機?・・・あ!!」

 

バルキリーのことをよく理解出来ていないなのはは無重力状態、つまり宇宙空間を模しての訓練で何故航空機が出てきたのか疑問に思っていると2機のバルキリーは機体下部のガンポッドを斉射する。

なのははすぐに左手を伸ばしてラウンドシールドでガンポッドの弾を防ぎ、バルキリーはなのはを通り過ぎていく。

 

「レイジングハート!」

 

<Road cartridge>

 

「アクセル!」

 

レイジングハートからカートリッジが1発ロードされ、6つの誘導弾が発生する。

 

「シュート!」

 

なのはのトリガーボイスで6つの誘導弾が同時に飛んでいく。

誘導弾が放たれるとバルキリーは左右に分かれた。

バルキリーが分かれると誘導弾も二手に離れていき、1機につき3つの誘導弾がバルキリーを狙って追う。

誘導弾に背後を取られると2機のバルキリーは現代軍用機にも搭載れているデコイ(囮)の一種である使い捨てのアクティブ・デコイ、対赤外線センサー用デコイ「フレア」及び対レーダー用デコイ「チャフ」を放出、同時に機体を大きく傾け急旋回、回避行動を取る。

しかし、フレアとチャフに騙されることなく誘導弾はバルキリーを追い続ける。

徐々に距離が縮まり3つの誘導弾が上、下、真後ろから襲い掛かる。

なのはは撃墜出来たと思っていたろうがその考えは裏切られる。

バルキリーはガウォーク形態に変形し脚部を前面に出してエンジンを最大出力で噴射、急ブレーキを掛け、上斜め後ろに勢い良く下がり誘導弾を躱した。

 

「形が変わった!?」

 

実はまだバルキリーの変形を見たことがなかったなのははバルキリーが変形することを予測していなかった為驚いている。

驚いているなのはを他所にバルキリーは後ろに下がりながら右手のガンポッドを撃ち、誘導弾を迎撃、全弾を撃ち落とす。

もう1機のマイクロミサイルポッド装備のバルキリーはバトロイドに変形して振り返り、ガウォークに変形、後退しながらガンポッドで誘導弾を撃ち落とし、再びファイターに変形してなのはへと向かう。

2機のバルキリーはそれぞれアローとマイクロミサイルポッドを一斉射、1基で10発の計20発のマイクロミサイルと12発のアローがなのはに向かう。

 

「いくよ、レイジングハート!」

 

<All right.My master>

 

「ディバイイイインッ!バスタァアアアア!」

 

レイジングハートからディバインバスターを発射、放たれたディバインバスターは向かってくるミサイルを呑み込みミサイルが爆発を起こす。

しかし、全てのミサイルが破壊された訳ではない。

ディバインバスターの射線上から外れていた残りのミサイルは依然となのはに向かって行く。

 

<Road cartridge>

 

「アクセルシューター!」

 

レイジングハートがカートリッジをロードする。

なのはの周囲に再度アクセルシューターが6つ展開される。

 

「シュート!」

 

アクセルシューターが放たれ、ミサイルの迎撃に向かう。

放たれたアクセルシューターは次々とミサイルを貫き、残っていた全てのミサイルをあっという間に撃墜した。

ミサイルを撃墜したアクセルシューターはバルキリーへと向かって行く。

今度も1機に3つが付いている。

2機のバルキリーはバトロイドに変形し、ガンポッドで迎撃を行う。

ガンポッドから放たれる弾をアクセルシューターは躱しながら進んでいく。

アクセルシューターの動きは先程に比べるととても俊敏性が高い。

一定の距離まで近づかれると1機はガウォークに変形し後退、もう1機はファイターに変形を行いエンジンを最大出力にしてアクセルシューターに向かって行く。

バルキリーとアクセルシューターの距離は一気に縮まり、もはや特攻するのかと思った時、バルキリーは機体を右に大きく傾け、右に急旋回しアクセルシューターを回避する。

最初のなのはのアクセルシューターの攻撃でどの程度動けるか予測していたバルキリーは急な動きは出来ないと判断し、ギリギリで躱し真横を通り過ぎるという行動に出た。

この方法なら確かにVT信管が搭載されていない通常兵器や誘導弾を躱すことは出来るだろう。

・・・・・そう、通常なら。

横を通り過ぎようとした時、バルキリーは機体を撃ち抜かれ、爆発を起こし撃墜された。

何がどうなったのかというとバルキリーが通り過ぎるようとした時、アクセルシューターが急停止すると弾かれるようにバルキリーに向かっていき、機体のど真ん中から貫いたのだ。

明らかにこれまでとは違うアクセルシューターの原因は今回なのはに持たせたとある物が影響を与える。

バルキリー1機を撃墜すると6つのアクセルシューターが残っているバルキリーに向かって行く。

向かって来るアクセルシューターにバルキリーがガンポッドにて再度迎撃を行うが躱されながら向かってくる。

ガンポッドだけでは迎撃出来ないと判断したバルキリーはバトロイドに変形し、頭部に一門ある「マウラー RoV-20 11mm対空レーザー機関砲」も使って迎撃する。

しかし、ガンポッドとレーザー機関砲を同時に使ってもアクセルシューターを1つしか落とせていない。

弾幕を突破したアクセルシューターがバルキリーに襲い掛かる。

バルキリーは後退しながらアクセルシューターを躱すがギリギリで5つ中2つが右脚部と左肩を掠めた。

無論これだけでアクセルシューターの攻撃は止まらない。

何度も襲って来るアクセルシューターを躱し続け、ガンポッドとレーザー機関砲でようやく2つ目を撃ち落とした時、バルキリーに向かってもいい太い桃色の光、ディバインバスターが放たれた。

ディバインバスターに気づいたバルキリーはエンジンの出力を上げ、受けに急上昇するが回避するのが遅すぎた。

ディバインバスターはバルキリーの両脚を呑み込み、呑み込まれた脚部が爆発を起こす。

爆発に飛ばされ、なんとかバランスを取ろうとするがその前にアクセルシューターが再びバルキリーに襲い掛かり、ガンポッド、左翼、右腕、頭部の順に撃ち抜き、そして胴体を撃ち抜かれるとバルキリーは爆発を起こし撃破された。

 

パシューー

 

「ふぅ・・・」

 

ゴゴゴゴゴ

 

「?何の音?」

 

〈Mster〉

 

「え?・・・・・!?」

 

バルキリーを撃墜してレイジングハートが排熱を行い、一息漏らしてすぐ、聞いたことのない音が聞こえ、なのははキョロキョロと周囲を見渡し、音を正体を探す。

レイジングハートに呼ばれ、後ろを振り返り見上げる。

なのはの後方斜め上には50メートル程の大きさをした1隻の白い艦艇がいた。

なのはの前に現れた艦艇は「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」に登場したU.C0093当時の地球連邦軍の最新鋭の機動戦艦、ロンド・ベル隊の旗艦であり一年戦争時にアムロ・レイと共に戦い、グリプス戦役、第一次ネオ・ジオン戦争、第二次ネオ・ジオンと多くの戦いでガンダムタイプMS搭載母艦の艦長を務め、一部ではニュータイプ部隊の指揮官とも言われた人物「ブライト・ノア」が艦長を務めた戦艦「ラー・カイラム級1番艦 ラー・カイラム」だ。

本来は全長478mという大型艦であるが今回の演習に合わせて1/10にスケールダウンしている。

 

『高町、それは撃つなよ』

 

「野田君?」

 

突然のラー・カイラムの登場に固まっているなのはに健悟から通信が入り、ラー・カイラムを撃つなと指示する。

 

『それは戦闘艦だがお前に攻撃はしない。その艦にはお前の相手が搭載されている』

 

「あれに・・・」

 

ラー・カイラムが攻撃をしないことと次の模擬戦相手が搭載されていることを聞くとなのははラー・カイラムをジッと見る。

 

『言っておくがかなり強いぞ?止めとくか?』

 

「ううん!大丈夫!」

 

『あいよ』

 

次の相手は強い為、辞めるか尋ねるがなのはが大丈夫と答え、健悟はテストを続行する。

 

健悟Side

演習場 観測室

 

「うわぁ、凄い」

 

「なぁ健悟。あの艦はどういった戦闘艦なんだ?」

 

「カテゴリーは確か・・・機動戦艦、もしくは大型巡洋艦だったはずだ」

 

「あれってガンダムの世界の戦闘艦なんだよね?前に襲ってきたドミニオンとは随分違うようだけど、別のガンダムの世界の艦なのかな?」

 

「ええ。ドミニオンはコズミック・イラと呼ばれるストライク達の世界の艦ですがあの艦は宇宙世紀世界の艦です。地球連邦軍外郭部隊『ロンド・ベル隊』旗艦。砲撃戦能力とMS運用能力を重視した機動戦艦。艦艇名は『ラー・カイラム級1番艦 ラー・カイラム』です」

 

「ラー・カイラム・・・・・」

 

ラー・カイラムが登場すると関心の声をフェイトは出し、クロノとエイミィさんはラー・カイラムについて尋ねてきたので軽く説明し、ラー・カイラムの名前を聞くとクロノはボソッと名前を繰り返す。

 

「因みに今は演習の為に本来の1/10のサイズで召喚しています」

 

「1/10!?ちょ、ちょっと待って!じゃああれって本来の大きさって」

 

「全長は487mです」

 

「そんなに大きいのか・・・」

 

「アースラの倍の大きさかぁ。凄いなぁ」

 

「へぇ〜」

 

ラー・カイラムの本来の大きさがアースラ以上の大きさを持っていると聞いて3人は驚いている。

さて、そろそろ連絡をしようか。

パネルを操作しラー・カイラムのMS格納庫で待機している機体に通信回線を繋げる。

 

「ホワイトユニコーン、準備はどうか?」

 

『準備は出来ている。いつでもいいぞ』

 

「了解。ではカタパルトへ」

 

『了解』

 

なのはの演習相手に状況を尋ね、準備は出来ると言われるとカタパルトに移動するよう伝える。

ラー・カイラムの左舷側のカタパルトハッチが開き、格納庫からコールサインでホワイトユニコーンと呼んだMS、νガンダムが姿を現し、カタパルトに乗る。

 

「カタパルトへの接続確認。進路クリア、射出準備完了。発進どうぞ!グッドラック、大尉!」

 

『ああ!νガンダム出るぞ!』

 

発進許可を出すとラー・カイラムの左舷カタパルトからνガンダムが発艦した。

 

三人称Side

演習場内

 

「擬似的な無重力か。コロニー内程の重力は感じないが本物よりも違和感があるな。空気があるせいか」

 

ラー・カイラムから発艦後、νガンダムは演習場の擬似無重力の感覚に違和感を感じていた。

なのはの為に空気がある為、それが理由なのかと思いながらνガンダムはなのはに近づき、スラスターを使ってなのはの前で止まる。

 

「君が高町なのはか。俺は地球連邦軍外郭部隊ロンド・ベル隊所属のνガンダムだ。軍での階級は大尉だ。よろしく」

 

「は、はい!高町なのはです!よろしくお願いします!νガンダムさん!」

 

νガンダムが自身の所属と階級を教え、あいさつをするとなのはも挨拶を返す。

 

「ああ。さて、俺は君とオールレンジ兵器、君達で言うところの誘導弾を使っての模擬戦を行うように言われているが、正直いうと驚きだ」

 

「驚き・・・ですか?」

 

νガンダムが驚いていることになのはは首を傾げる。

 

「俺の人格の基になった人物は15歳の時に戦場に出た。だが君はまだ10歳だ。世界には君と同じぐらいか下の子供も少年兵となって戦場に出ることはある。が、記録を見て君は中々の実績を持っている。大したものだ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

自分の戦績を褒めてもらい、なのはは少々照れながらお礼を言う。

 

「それにもう一つ驚いたのは、この世界の魔導士と言うのはオールレンジ攻撃を行える人物が多いことだな」

 

「そうなんですか?」

 

「俺達の世界では俺が持つ兵装『ファンネル』や『ビット』を扱える人材はそんなに多くはいないんだ」

 

「へぇ〜」

 

νガンダムの言葉に今度はなのはが多少驚いている。

なのはの中ではガンダムの世界の人達は皆、オールレンジ兵器を扱えると思っていたからだ。

 

「さぁ、お喋りはこれぐらいにして模擬戦を始めようか?」

 

「あ、はい!」

 

〈2人とも準備はいいか?〉

 

「いけるぞ」

 

「うん!」

 

会話がひと段落し観測室からヘッドホンに付いているインカムを使って健悟が模擬戦を始めていいか確認を取るとνガンダムとなのはが頷く。

νガンダムはスラスターを使って後ろへ後退し、なのはとの距離を開ける。

 

〈模擬戦の勝敗はどちらかの頭部、胴体に攻撃を直撃させれば勝ち。直撃を受けた方は戦闘不能、撃墜されたものとする。では、状況開始!〉

 

「アクセル!シュート!」

 

「いけ!フィンファンネル!」

 

模擬戦の勝敗を説明して健悟の開始の合図でなのはとνガンダムの模擬戦が始まる。

なのはがアクセルシューターを8つ放つとνガンダムもフィンファンネルを全て放つ。

アクセルシューターはこれまで以上の動きを見せ、6つがフィンファンネルに、残り2つがνガンダムへと向かう。

6つのアクセルシューターはフィンファンネルへと体当たりを仕掛けるがフィンファンネルは全機が躱す。

フィンファンネルが反撃に移り、メガ粒子ビームを放ち、次々とアクセルシューターを撃ち落とした。

残り2つも左右からνガンダムに仕掛けるが右からのアクセルシューターをνガンダムは後ろに下がって躱してビームライフルで、左からのもう1発はシールドで受け止め、払い除けての頭部バルカン砲で撃ち落とす。

アクセルシューターを落とすと3機のフィンファンネルがなのはへと向かい、メガ粒子ビームによる攻撃を開始する。

 

「は、速い!」

 

アクセルシューターと似た誘導兵器でありながらその動きはアクセルシューターよりも俊敏に動いているフィンファンネルになのは驚きの声を上げる。

正面や左右から放たれるメガ粒子ビームをなのははギリギリで躱していく。

 

(?なんか後ろが変な感じ)

 

「後ろだ!」

 

「!?きゃっ!」

 

なのはが後ろから妙な気配を感じた直後、νガンダムに叫ばれて振り返るとフィンファンネルがメガ粒子ビームを放ち、右肩を掠めた。

 

「全方位に気を配るんだ!でなければ死角から狙われて落とされるぞ!」

 

「は、はい!」

 

νガンダムから全方位に気を配るよう指摘され、注意しながらフィンファンネルの回避を続ける。

 

(また同じ感じ。今度は・・・上だ!)

 

再び妙な気配を上から感じたなのはは咄嗟に右に跳び、上からのメガ粒子ビームを躱した。

 

「躱せた!・・・あ!」

 

上からのフィンファンネルを躱したが、その回避先を既に読んでいたかのように既に正面にフィンファンネルが待ち構えていた。

正面のフィンファンネルがメガ粒子ビームを放つと右に躱し、次に左からのフィンファンネルのメガ粒子ビームをラウンドシールドで防御する。

更には気配を感じ取って振り返り、右上からのビームを後ろに後退して躱すとフィンファンネルの攻撃を次々と躱していく。

だが、なのははここであることに気づく。

 

(もう1機がいない!何処!?また上?右?それとも後ろ?・・・!)

 

「下!」

 

なのはが気づいたのは6基あるはずのフィンファンネルが1基足りていない。

周囲を見渡し警戒していると気配を感じ取ったなのはが叫び前に跳ぶと今さっきいた場所をメガ粒子ビームが通りすぎた。

躱した直後、なのは逆さになった状態でレイジングハートを構え、魔力弾を放つ。

その先にはなのはの後ろ斜め下からメガ粒子ビームを放ったフィンファンネルがいた。

なのはの素早い反撃に回避は間に合わず魔力弾に命中、フィンファンネルが1機、撃ち落とされた。

 

「やった!」

 

フィンファンネルを撃墜出来、まだ残っているにも関わらずなのはは喜んでいる。

 

「驚いた。ファンネルを落としたか。・・・健悟。そろそろいいか?」

 

〈ああ。高町も大体フィンファンネルを知ることが出来ただろう。初見であそこまで出来れば上出来。これだったら多少のステップアップもいいと思う。一言言ってから軽めの本気で頼みます。大尉〉

 

「軽めの本気か。了解だ」

 

最初の指摘以降、離れていたνガンダムがフィンファンネルを落とされたことに関心しつつ健悟に通信を入れる。

始めてのフィンファンネルをある程度知り、初見であるにも関わらずある程度の動きが出来ている為、訓練のステップアップをしても問題ないと判断した健悟から軽くではあるが本気で相手するよう指示されると了承してνガンダムはなのはへと近づく。

 

「見事だよ。高町なのは」

 

「νガンダムさん!」

 

νガンダムがなのはに近づくとフィンファンネルはなのはへの攻撃を止め、νガンダムの元に戻り周囲に展開する。

νガンダムが声を掛けるとなのはがνガンダムの方に振り向く。

 

「今回のテスト品で君の感覚が鋭くなっていると思ってはいたが、まさかファンネルを落とされると思わなかった。君の性能が高いのは理解した。だから訓練レベルを上げる。ここからは少し本気を出す。いいかな?」

 

「はい!お願いします!」

 

「いい返事だ!いけ!フィンファンネル!」

 

健悟の指示通り、訓練レベルを上げるのとνガンダムが軽く本気を出すことをなのはに同意を得てからフィンファンネルに再び攻撃指示を出し、フィンファンネルが全基動き出す。

 

「な!?」

 

フィンファンネルが動き出すとなのはは驚きの声を漏らした。

何故ならフィンファンネルの動く早さが違うからだ。

 

「嘘!?さっきよりも速い!!」

 

<Come from the top>

 

「え!?」

 

メガ粒子ビームをギリギリで躱しながらさっきまでと動きが異なっていることに驚きを隠せないでいる中、レイジングハートに警告され、直ぐに上を見上げると右手にビームサーベルを持ったνガンダムが接近しビームサーベルを振り下ろす。

なのはは咄嗟にレイジングハートで受け止めた。

 

「そしてファンネルだけじゃなく操っている本体のことも忘れるな!倒す目標の本命は本体であくまでファンネルはオマケなんだからな」

 

νガンダムはビームサーベルでレイジングハートを払い、後退してなのはから離れる。

なのははνガンダムを撃とうとレイジングハートを構えるがフィンファンネルに邪魔をされ、再び回避行動を取る。

だが、この行動はνガンダムに誘われた行動だった。

なのはが回避行動を取る為に上に上昇するとνガンダムがビームを撃ちながら接近してきていた。

ビームをなんとか躱し、レイジングハートで魔力弾を撃つ。

なのはの放った魔力弾がνガンダムのシールドの上部を破壊するとνガンダムはシールドと背中にマウントしていたニューハイパーバズーカを手放し、素早く移動する。

 

「え?」

 

νガンダムが手放したシールドとバズーカがなのはの方へ流れていき、一時的に視界を遮り、意識がシールドとバズーカに向けられる。

 

「あ!」

 

視界の隅に何かが動くのが見えて視線を向けるが既に遅かった。

なのはが視線を向けた時、νガンダムはなのはの頭上を通り過ぎ、上からビームライフルでビームを放つ。

νガンダムを追ってなのはが振り返るとビームが迫り、なのはの胸に直撃した。

 

「きゃああっ!」

 

ヴィーーーー!!

 

ビームが直撃した衝撃でなのはが後ろに飛ばされると演習場内に音が響き渡る。

 

〈そこまでだ。高町、胸部にビーム直撃、戦闘続行不可能。撃墜されたと判定とする。よって勝者、νガンダム〉

 

νガンダムの攻撃がなのはに命中したことで決着がつき、健悟が模擬戦終了を告げる。

 

健悟Side

 

「お疲れさん高町。こっちに戻ってくれ」

 

模擬戦が終わった高町に観測室に戻るように伝え、ヘッドホンを外す。

 

「どうですエイミィさん、データの方は?」

 

「凄いよ!健悟君が提供してくれたのを搭載する前と後じゃ、誘導弾への伝達、反応速度が違う!」

 

模擬戦でのデータ結果をエイミィさんに尋ねるとかなりいい結果が出たようで興奮しながら答えてくれた。

 

「お疲れ様、なのは」

 

「凄いね野田君がくれたやつ!シューターの動きが今までと全然違う!」

 

観測室に入ってきたなのはに声を掛けるとエイミィさん同様にこれまで以上の誘導弾の制御が出来ていたことに興奮している。

 

「あれはνガンダムの世界、宇宙世紀の代物でνガンダムにも同じ物が搭載されている。あれを上手く扱えるかどうかは適性があるが、高町は適性値が高かったから上手くいったんだ」

 

「へぇー」

 

「凄いんだね。ガンダムの世界は」

 

「ああ、本当に大したものだよ。サイコミュ、サイコフレームという物は」

 

テストが上手くいったのは装備となのはの適正値が高かったこと、そして元は宇宙世紀の物でνガンダムにも同じ物が搭載されていることを説明するとなのはとフェイトはクロノがガンダムの世界の技術に関心し、クロノがテストした装備の名を口に出した。

今回なのはにテストさせたのは宇宙世紀で生み出された「サイコフレーム」だ。

本来はMSに搭載するサイコフレームだが、劇中でνガンダムを整備していた人物「チェーン・アギ」がラー・カイラムの機銃を使用した際、サイコフレームのサンプルを身に着けていたことで感知能力が先鋭化され敵MSを撃墜している。

この事からなのは達にも扱えないだろうかと思いテストをしてみることにした。

テストの結果は、まず予測していた通り感知能力が向上している。

先読み、視界に捉えての回避だけでなく、死角からの攻撃に対する反応と回避がこれまでのなのはの戦闘データと比べてもその差は歴然だ。

そしてもう1つはこれは少々不安だったが成功していたアクセルシューターの制御だ。

観測データを見るとアクセルシューターの制御、反応速度等、これらも今までと比べて向上している。

サイコフレームはファンネルの操作性を大幅に緩和することが出来、それと同じ効果をもたらし今までよりアクセルシューターの制御がしやすく、指示伝達が良くなっているはず。

なのははそれを実感しているようだ。

その結果が最初のバルキリーを撃墜した時の俊敏性だ。

サイコフレームはなのはのバリアジャケットの袖の部分に袖部分の装甲と同じ形に加工したガンダニュウム合金製の装甲を追加し、その内部に内蔵している。

装甲を追加したことで袖が少々大きめになったがガンダニュウム合金製の為、強度が高いから小型の盾としても使える。

因みに片方ではなく、両袖に装備している。

しかし、まさかνガンダムのフィンファンネルを1機墜とし、νガンダムを多少ではあるが本気にさせることになったのは予想外だった。

高町の適正値と戦いのセンスの高さには驚かされる。

 

「今回はテスト用として一つしか作ってないけど高町、もとい魔導士の使用に関しても問題はなさそうだからフェイト用のもすぐに用意する。加工するのに2、3日あれば用意出来るが高町のような結果が必ずしも出るとは限らないからそれだけは注意してくれ」

 

「うん、お願い」

 

なのはでのサイコフレームのテストの結果で体や精神的に悪影響がなかった為、今度はフェイト用のサイコフレームを用意することを準備期間となのはと同じ結果が出るとは限らないと予め注意を纏めて伝えるとフェイトは頷く。

さて、別の演習場でユーノが訓練してるしユーノの様子でも見に行くか。

ユーノの奴、原作通り時空管理局の巨大データベース「無限書庫」へ闇の書に関する情報収集をしに行ってるが毎日一度こっちに戻ってきてちゃんと訓練受けてからまた無限書庫に戻って情報を調べているようで大分ハードなことしてるから心配になる。

 

第4演習場

演習場の観測室に到着するとクーロンガンダム、グフ、YF-19が見守る中、ユーノがシャイニングガンダムと組手をしている。

ちなみに俺がユーノの様子を見に行くと伝えた際になのはもユーノの様子が気になったようなので一緒に来て演習場観測室から見ている。

 

「ふっ!はっ!つあっ!脇の締めが甘いぞユーノ!」

 

「はっ!くっ!はい!」

 

「中々やるようになったんじゃないの、ユーノの奴?」

 

「うむ。この短期間でよくここまで成長したものだ。彼の努力の結果だな」

 

「しかし、シャイニングの言うとおり脇の締めもだがまだまだ甘い所が多い。今防ぎきれているのはシャイニングが手加減しているからだ。奴が本気を出せばユーノは殆ど防ぎきれん。またまだ修行が必要だ」

 

「確かに。彼の成長が楽しみだ。いい兵士になれる」

 

「何を言うかグフよ!ユーノはこの世界にて我が流派東方不敗を受け継ぐ、ファイターとなるのだ!」

 

「んなことよりもお二人さん、そろそろ時間だぜ?」

 

「む?もうそんな時間か?」

 

「よかろう、ならば」

 

組手をしながらユーノの悪いところをシャイニングガンダムが指摘する。

短期間の訓練で成長の早さにユーノにYF-19とグフが関心をしているがまだまだ訓練は必要だとクーロンガンダムは言う。

それに同感し、ユーノが将来いい兵士になるというグフに対してクーロンガンダムは自分の流派を受け継ぐファイターになるのだと言い張っていると訓練終了の時間が近づいていることYF-19に言われクーロンガンダムが前に出る。

クーロンガンダムの奴、ユーノに流派東方不敗を受け継がせる気かよ。

 

「シャイニング、ユーノよ!そろそろ時間だ!最後は互いの全力を出せい!」

 

「「はい!師匠!」」

 

クーロンガンダムに全力を出すよう言われたシャイニングガンダムとユーノは同時に返事を返し、同時に後ろに飛んで距離を取る。

 

「手加減はしないぞ、ユーノ!俺の全力を受けてみろ!」

 

「はい!僕の全力を持って、貴方の黄金の指を受け止めてみせます!」

 

「いくぞぉ!ユゥノォオオオ!俺のこの手が光って唸る!お前を倒せと輝き叫ぶ!」

 

シャイニングガンダムはシャイニングフィンガーを出す気だ。

流石にそれは無茶だろうと思った時だった。

 

「僕のこの手が光り輝く!誰かを守れと囁き響く!」

 

シャイニングガンダムが構えるとユーノもシャイニングガンダムやゴッドガンダムのようにシャイニングガンダムに比べると控えめに叫ぶとユーノの右手が緑色に輝き出す。

・・・・・え?

何あれ?

 

「シャァアアアアイニングゥッ!」

 

「ガァアアアアアアドッ!」

 

右腕を引いたユーノとシャイニングガンダムが互いに向かって同時に駆け出す。

 

「「フィンガァアアアアアア!!」」

 

そして駆け出した2人が同時に右腕を互いに突き出し、互いのフィンガーがぶつかり合った!

力は互角、どちらも譲らない。

 

「くぅぅ!」

 

しかしそれも長くは続かなかった。

やはり鍛錬を続け、力の差があるシャイニングガンダムにユーノが押され始める。

 

「うおおお!ふんっ!」

 

「うわああっ!」

 

シャイニングガンダムのパワーに負けて押し返されたユーノだが、すぐに態勢にを立て直し構えを取る。

 

「うむ!見事だユーノよ!」

 

2人の勝敗が決まるとクーロンガンダムが声を掛け、ユーノとシャイニングガンダムが構えを解き、クーロンガンダムの方を向く。

 

「よくぞシャイニングフィンガーを防いだ。だが、まだまだ足腰がなっとらん。だから最後あのように飛ばされてしまう」

 

「はい!師匠!」

 

シャイニングフィンガーを防いだことを褒めれたが最終的に力負けして飛ばされ、まだまだ修行が足りていないことを指摘されたユーノはクーロンガンダムに返事を返す。

なんかすっかりGガンダム的なのに入り込んでるな。

・・・・・ってそんなことよりも!

 

「ちょっと待てぇええええええええい!」

 

俺は思わずインカムをオンにし、叫んでしまう。

演習場内ではユーノ達が耳を塞いでいる。

中々大声で叫んでしまったが今はそんなこと気にしている場合じゃない!

 

「ちょっと待て!なんだ今のは!?」

 

「うむ。あれはワシらとの修行の末、ユーノが身に付けた技。シャイニングフィンガーやクーロンフィンガー、ピンポイントバリアパンチを基にした『ガードフィンガー』よ」

 

俺がさっきのユーノの技について尋ねるとクーロンガンダムが説明をしてくれた。

ああ成る程。

本来はエネルギーを手に纏わせるけど、このエネルギーの代わりにピンポイントバリアパンチのように掌にシールドを纏わせてフィンガーを再現してるのか。

確かに鍛えてくれとは言ったけど。

まさかここまで鍛えられるとは思わなかったぞ。

よくよく考えたらあれ出せるまでの修行にユーノは耐えたってことか?

この短期間で頑張りすぎだろ・・・。

 

「ユーノ君・・・」

 

後ろで小さい声でユーノの名前が聞こえ、振り返るとなのはが小刻みに震えていた。

あー、ユーノよ、普段とキャラが違うようになってるからドン引きされてるぞ。

どうフォローしよう。

 

「あー、そのー、なんだ。高町、あれはだな」

 

「・・・・・いい」

 

「ん?」

 

俺がフォローしようとした時、なのはがまた小さい声で何を言ったが聞き取れなかった。

なんて言った?

 

「ユーノ君・・・カッコいい///」

 

「・・・・・」

 

えええええ!?

さっきのは聞き取れなかったが今度はちゃんと聞こえた。

驚いて俺言葉失ったわ!

そっち!?

引くどころかときめいちゃってる!!

頬を赤くして眼を輝かせてユーノをめっちゃ見とる!

あれか、ギャップか!?

普段の爽やかな感じやのに対して今の熱い感じ、そのギャップがええんか!?

・・・・・まぁ、結果オーライだな。

 

 

 

海鳴市 図書館

なのはの模擬戦からから二日後、リンディさんとクロノがアースラの準備とかで管理局本部の方に戻っている。

2人が留守の為、エイミィさんが現場の責任者になった為、気が重いと愚痴っていた。

アースラの準備ということはあれが搭載されるんだな。

なんとかここまで大体TV版の物語通りに進んではいるがイレギュラーが多すぎる為油断も出来ない。

気を引き締めないと。

今日は借りていた本を返却しに来ていた。

返却も終えて軽く図書館の中を見て回って特に今すぐ借りたい本が無かった為、帰ろうと出入口に向かった。

 

「あれ、健悟君?」

 

「ん?」

 

図書館を出ようとした時、聞き覚えのある声に呼ばれて、そっちに顔を向ける。

視線の先には返却カウンターがあり、そこには、はやてがいた。

 

「よう、はやて。・・・1人か?」

 

はやてに近づきて挨拶をして周囲を見渡すがシャマルさんや他の守護騎士の姿もない為、1人なのかと尋ねる。

 

「うん。皆忙しそうで。今日返さなあかん本があったんよ。えっと、健悟君も本を返しに?」

 

「おう。今から帰るとこやけど、はやても一緒に帰るか?送ってくで?あ、それともまだ用事あるんか?」

 

「ほんまに?私も丁度帰ろう思ってたから。ほなお願いしようかな」

 

「おう」

 

俺と同じ本を返しに来ていたはやてに一緒に帰るかと尋ねるとはやては笑顔で返事を返し、一緒に帰ることになった。

 

海鳴市 沿岸部

図書館を出て、はやての車椅子を押しながら沿岸部を歩いている。

 

「健悟君は最近どないな本読んでるん?」

 

「SFやな。色んな星々を宇宙空間を走る列車に乗って旅をする話とそれの続きと言うかスピンオフ作品の宇宙を走る列車の事故や災害、人命救助、宇宙海賊とかの襲撃から安全を守る警備隊の話とか」

 

「ふふ、やっぱり男の子やね。健悟君もそういうの好きやねんな」

 

「まぁ大抵の男はSF好きだと思うで?それに列車も魅力的やし」

 

「はやてちゃーん!」

 

「あ、シャマル」

 

はやてに最近どんな本を読んでいるのか尋ねられてすぐにSFだと答える。

その内容はあの銀河の鉄道を走る999の番号の蒸気機関車とよく似ていた。

SFに加えて列車も男の心を揺らすものだ。

2人で話ながら帰っていると前からはやての名を呼ぶ人がいた。

その人はシャマルだった。

はやてがシャマルの名前を呼ぶとシャマルは俺達に駆け寄ってくる。

 

「どないしたん、そんなに慌てて」

 

「だって、はやてちゃんが1人で図書館に行くって置手紙があって、心配したんですよ」

 

「あ〜、そうやったん。ごめんなぁ」

 

「いえいえ。でも何もなくてよかったです」

 

「うん。それに図書館からここまで健悟君が一緒にいてくれたから」

 

「あ、そうだったんですね。ありがとうございます、健悟君」

 

「いえいえ」

 

1人で図書館に行ったはやてを心配して迎えにきたシャマルがここまで一緒に帰ってきた俺にお礼を言ってくれた時、右ポケットから着メロが流れる。

 

「あ、ちょっと失礼」

 

はやてとシャマルに一言言ってポケットから護身用に持ってきたラムダフォンを取り出す。

今流れている着メロは仮面ライダー電王のOP「Climax Jump」、ということはエイミィさんからだ。

 

「もしもし?」

 

『健悟君!すぐに戻ってきて!』

 

電話に出るとエイミィさんが慌てていた。

 

「どうしたんです?」

 

『他の世界で例の守護騎士達が出現したの。確認出来たのは3人だけでもう1人がまだ見つかってないから発見の際、健悟君にお願いすることになると思う。だからすぐに戻ってきて待機しててほしいの!』

 

電話の内容は他世界にシグナム達が出現した為、すぐに家に戻って待機してほしいとのことだった。

ああ、そう言えば今日ぐらいだったっけ、他の世界でシグナム達が出現するの。

んで、数的に俺もいるし、4人目の守護騎士が現れた時の予備要員として必要だと。

・・・いるんですよねぇ。

その4人目どころか主ご本人が。

 

「分かりました。すぐに」

 

「なんやろ、あれ?」

 

「え?」

 

「ん?・・・!?」

 

流石に戻らないと色々聞かれそうなので取り敢えず戻ると返事をした時、何かに気づいたはやての視線先に目を向けると銀色のオーロラが出現していた。

 

「銀色のオーロラ・・・ですかね?」

 

「でもオーロラって銀色ちゃうし、なんでこんなとこに?」

 

「まずい!二人とも、ここから離れろ!早く!」

 

突然出現した銀色のオーロラに戸惑う2人に俺はすぐに離れるように叫んだ。

だが、俺達が行動を起こすよりも早く銀色のオーロラが俺達に向かって動き出した。

 

「間に合わない!くっ!」

 

「はやてちゃん!」

 

「きゃっ!」

 

シャマルがはやてを庇うように抱きしめ、銀色のオーロラに俺達は呑み込まれ、目を閉じた。

目をゆっくり開くと俺達はスタジアムのフィールド内に立っている。

 

「え?どないなってるん?私ら海岸の近くにおったはず」

 

「どうしてこんなところに?まさか転移魔法?」

 

沿岸部にいたはずなのに突然スタジアムのフィールドに立っていることにはやてとシャマルが動揺する。

動揺するのは理解出来るけどシャマルさん、正体隠してるんだから魔法のこと口にしちゃだめ!

にしてこのスタジアムは、ディケイドが飛ばされてカイザと戦った場所か。

確かここは味のも・・・

 

「ここって『味の基礎スタジアム』やね」

 

「・・・・・ん?!」

 

はやてはこの場所を知ってるようだけど・・・え?

なんて言った?

味の基礎!?

素でなく基礎?!

俺の聞き間違いか?

 

「どないしたん?」

 

「え、いや、ごめん。はやて・・・・・今なんてゆうた?」

 

「え?味の基礎スタジアムってゆうたんやけど?」

 

もう一度聞き直したけど答えは一緒だった。

そうだよねぇ。

よくよく考えたらここ異世界だもんねぇ。

俺が居た世界と会社名が違っててもおかしくないか。

でもこっちの世界の企業って俺が居た世界と同じ名前使ってたから違和感がなかったんだよなぁ。

来た時に玩具を始めとした航空機、車、家電、銃器、食品と色んな企業、メーカー調べたけど一緒なのばかりだったし。

まさか一部が違うのがあるとは想定外だった。

つか普段買い物で味の基礎だっけか?

そのメーカーの商品買ってるのに何故今まで気が付かなかったんだ俺は!!

 

「あ〜あ、いやだな〜」

 

俺が悩んでいると男の声が聞こえた。

声がした観客席の方に俺とはやて、シャマルも視線を向ける。

左手にアタッシュケースを持った男が観客席の階段をゆっくり降りてくる。

 

「野田健悟だけを連れてくるつもりだったのに、余計なのも連れてきちゃった」

 

「北崎!」

 

倦怠感と不気味な話し方をする階段を降りてきた男を見て俺はそいつの名を叫んだ。

男の名は「北崎」。

仮面ライダー555に登場した人物でスマートブレイン社、社長直属の非公式集団、オルフェノクの中でも上の上の精鋭4名で構成される「ラッキークローバー」のメンバーの1人だ。

北崎も龍の特性を持つ「ドラゴンオルフェノク」であり、唯一架空の動物がモチーフになっている。

 

「へぇ〜。やっぱ僕のことも知ってるんだぁ。なら自己紹介は要らないね」

 

「俺に何の用だ?」

 

「なんか他の連中が君のことを消したがっててさぁ。でも君、これまでの奴らを皆返り討ちにしてきたよね?だから興味があるんだよ」

 

北崎は近くの座席にアタッシュケースを置き、俺達に背を向けてアタッシュケースを開く。

中から何かを取り出し、腰に巻いた。

奴が巻き付けたのは間違いなくドライバーだ。

そして奴が使うとすればあれしかない。

 

「僕と何処まで戦えるのかね」

 

そういって奴はこちらに振り向いた。

俺の考えは当たっていた。

北崎の腰にはデルタドライバーが巻かれている。

そして奴の右手にはデルタフォンが握られていた。

 

「変身」

 

『STANDING BY』

 

北崎がデルタフォンを口元に持っていき、変身と呟くとデルタフォンが起動する。

待機音声と音が流れ、右腕を右腰に向かって降ろす。

 

『COMPLETE』

 

デルタフォンを右腰のデルタムーバーに接続し音声後デルタドライバーからフォトンストリームが形成され光を放つ。

光が収まるとそこにはデルタに変身した北崎の姿があった。

 

「ふっ!」

 

デルタに変身した北崎は観客席からスタジアムに飛び降りる。

 

「ほら、早く君もフェニックスに変身しなよ?でないと死んじゃうよ?」

 

「フェニックス!?」

 

北崎は俺にフェニックスに変身するように促し、それを聞いたシャマルさんが驚きの声を出す。

あーあ、バレちまったよ。

まぁ、この際しょうがないよな。

どのみち、隠したままじゃ戦えないし。

 

「そうさせてもらう。でも悪いけど、変身するのはフェニックスじゃない」

 

「へぇ〜。なら何?ファイズにでもなるの?」

 

「いいや」

 

フェニックスに変身するの否定すると北崎はファイズに変身するのかと予想したようだが、それも否定して一度北崎に背を向けて、はやてに向かって歩き、その際に背負っていたリュックを降ろす。

 

「はやて。悪いけど預かってくれ」

 

「う、うん。でもどないするん?」

 

「ここで待っててくれ」

 

降ろしたリュックをはやてに預かってもらい、どうするのか尋ねてくるはやてに待つように言ってリュックの中からベルト、ズボンの右ポケットからラムダフォンを取り出し、前に出る。

取り出したベルト、ラムダドライバーを腰に巻く。

 

「俺が変身するのは・・・こいつだ」

 

―946 ENTER

 

『STANDING BY』

 

取り出したラムダフォンを開き変身コードを入力しENTERキーを押す。

STANDING BYの音声の後に待機音が鳴り、ラムダフォンを閉じ、右腕を高く上げる。

 

「変身!」

 

『COMPLETE』

 

上げた腕を下ろし、ラムダフォンをラムダドライバーのファンコネクターに突き立て横に倒す。

音声後、ベルトから俺の身体を沿って銀のフォトンフレームが形成され、銀色の光を放つ。

光が収まり、黒と白の戦闘用特殊強化スーツを身に纏った仮面ライダーラムダに変身した。

 

 

-3ページ-

 

 

後書き

 

ARXー7アーバレスト「どうも皆様、お待たせしました。約半年ぶりの更新です」

 

健悟「また時間がかかったな」

 

アポロン「しかもまた中途半端な感じで次回に続きますね」

 

ARXー7アーバレスト「これでも短縮の為に当初の予定より少なくしたんだよ?」

 

健悟「そういう決断はもっと早くにしろよ」

 

ARXー7アーバレスト「次回はがんばります」

 

健悟「うっし。それはいいとしてだ」

 

ARXー7アーバレスト「なんでしょ?」

 

健悟「なんだあれは?なんかなのはにサイコフレーム持たせてるし、ユーノはフィンガー系の技使ってるし!しかもちょっと性格変わってない!?熱血系じゃない!?」

 

ARXー7アーバレスト「あれだ。・・・気分だ」

 

アポロン「気分でなのは様にサイコフレームを搭載したのですか?」

 

ARXー7アーバレスト「まぁ少しでもなのはの戦力があがればいいなと考えたらああなりました」

 

アポロン「そして終盤ではファイズの北崎が現れ、デルタに変身しましたが」

 

健悟「デルタ多くない?」

 

ARXー7アーバレスト「これも基本的には偶々というか気まぐれだから」

 

健悟「まあお前が深く考えてるわけがないよな」

 

アポロン「巻き込まれたはやて様とシャマル様が心配です」

 

ARXー7アーバレスト「それは次回で分かる。てな訳で次回予告BGMいくぞ!」

 

BGM「銀魂の予告BGM」

 

アポロン「もう調べる気がない手抜きですね」

 

ARXー7アーバレスト「すんません」

 

健悟「まあいいから次回はどんなん?読むから早く教えて」

 

ARXー7アーバレスト「今回は俺がやろう!次回!少年が望んだ世界と力。第六十二話『1対1で戦うと思った?あれは嘘だ。OK。ならこっちも応援呼ぶ』です」

 

健悟「え!?何そのタイトル!?」

 

ARXー7アーバレスト「嘘だの部分は映画の『コマンドー』から拝借した」

 

健悟「そういう問題じゃねぇよ!」

 

ARXー7アーバレスト「まあまあそんなに怒りなさんな。何はともあれ、次回もお楽しみに!」

 

健悟「無理やり終わらせやがった!!」

 

説明
第六十一話 巻き込み注意!ラムダ起動!
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