短歌詰め合わせ4
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〈短歌〉

 

この手からこぼれていった幸せが誰かの上に降っていれば良い

 

 

幸せにひたひたつかって生きてきた彼らは痛みを知らぬ諦め

 

 

私でも子を孕む日が来るかしら先の見えない日々の最果て

 

 

人生の袋小路と戦前の女流文学は良く合います

 

 

ケータイは八万円でパソコンは六万円で生活を買う

 

 

いつか買ういつか買うのと憧れのシャネルのリトルブラックドレス

 

 

あの頃の僕らの希望今はただ遠くの光届かない星

 

 

何もかも夢でも起きたらもう一度おんなじ事を繰り返すだけ

 

 

何もかもなかった事になればいい短く削る折れた鉛筆

 

 

何もかも無かった振りの終わりなき家族ごっこをする電話口

 

 

階段を昇りゆくたび考える人生とは何生きるとは何

 

 

僕は何か大事な物を失って ”それ” を未だに思い出せない

 

 

もう何もしたくないのと眠るとき本当にしたいことも忘れて

 

 

こんなにもロールを押し付けられるのにリセットできないゲームは続く

 

 

この恋は生ものだからスーパーの袋に詰めて火曜に捨てる

 

 

雨雲は憂鬱の粒を降らすから考え事をしてはいけない

 

 

すれ違うだけの誰かへ来世にてまた会いましょうBIGMAN前

 

 

何気無くそっと佇む柔らかい君の気持ちを託した歌集

 

 

刺さるほどキツイ日差しに立ち向かうビビッドカラーを身に付けて夏

 

 

何も無かったなにもなかったナニモナカッタ全てが有った

 

 

まだ生きる言い訳があるそれはほんとにささいな理由

 

 

真っ黒い何かを呑み下すたびに腐敗の進む私はゾンビ

 

 

からっぽを震わせてなく君たちと僕は同じだミンミンミンミン

 

 

夏という命の季節せみしぐれ鳩の死骸の転がる道路

 

 

可視光とヒトが名づけし電磁波の届かぬ底に骸降り積む

 

 

 

〈俳句〉

 

浮世とは遣る瀬無きもの年の暮れ

 

 

別れの日恩師歌いし早春賦

 

 

春近くなり浮かれた神の群れ

 

 

思い出は越えて行くもの春日傘

 

 

強きものとしてありたし花乙女

 

 

永遠の少年の住む夏の川

 

 

野良猫も気持ち痩せてる暑気あたり

 

 

 

〈川柳〉

 

ただ生きるためだけに生きている

 

 

さて今日も人間のふり化粧箱

 

〈了〉

説明
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俳句と川柳も。

2016年8月10日 22:10
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