スマブラ Abandon World 50「エピローグ」 |
ピュアカタストロフは、轟音と共に消えた。
すると、マリオの背中から光が溢れ出し、
彼と一体化したスマブラメンバーは元の場所、元の姿に戻っていった。
もちろんウルフも、この世界に完全復活した。
「……純粋なる破滅が……消えました……」
アスティマが、自らの使命を果たしたかのような、晴れやかな表情で空を見上げていた。
彼女は杖で身体を支えながらも立っている。
「よかった……これで……」
「アスティマ?」
リンク、カービィ、ピカチュウ、ソニック、クラウドがアスティマに駆け寄ると、
彼女の身体から光の粒が漏れ出していた。
「アス姉!?」
「心配しないでください……カービィさま。言ったでしょう? 私は元々、マスターハンドだって。
だから、これから元に戻るんです……」
「「「アスティマ!!!」」」
ピカチュウ、ソニック、クラウドがアスティマに手を伸ばした瞬間、再びその場を眩い光が覆った。
眩い光が消えると、六人の目の前に、見覚えのある巨大手袋が宙に浮いていた。
「お前は……アスティマ……いや、マスターハンドだな!」
「そう……これが、私の本来の姿だ。
君達が過去の“破滅”の意思を食い止めた事で、私は本来の力と姿を取り戻したのだ」
スマブラメンバーが過去を変えた事により、
この世界で起きた異変も無かった事になるだろう、と説明するマスターハンド。
無かった事になる、という事は……?
それが気になったマリオは、マスターハンドにこう質問した。
「なあ、マスターハンド。これからこの世界はどうなるんだ?」
「じきに平和になるだろう」
「それで、この世界が平和になったんだから、俺達を元の世界に返してくれないか」
「もちろん、当初の約束通り、君達を元の世界に返してあげるよ。
ただ、荷物はちゃんとまとめてくれないかな。みんなもここに呼んできてね」
「……あ、うん!」
この世界に持ってきた荷物はほとんどなかったが、全くなかったわけではない。
そのため、マリオは大急ぎでスマブラメンバーに呼びかけに行くのだった。
「みんな! そろそろ荷物をまとめた方がいいぞ!」
「え? なんでだ?」
マリオがスマブラメンバーに今の事情を説明すると、すぐに荷物を片付けて帰る準備に入った。
荷物を片付けている途中、ふとリュカが考え事をする。
「……そっか、この世界での生活はもう終わりなんだね」
「元の世界に帰りたかったんだろ?」
「ううん、帰れるのはよかったけど……この世界のマスターハンド、
つまりアスティマとお別れするのは、ちょっと寂しいかな」
「リュカ」
そんなリュカに声をかけたのは親友のネス。
「あ、ネス君」
「僕達はあくまでも元の時代に帰るだけ。マスターハンドに会えなくなるわけじゃない。
いつか必ず……未来のマスターハンドに、会えるよ」
「そうだね。……うん」
そう言ったリュカの目に、僅かだが涙が浮かんだ。
リュカは慌てて涙を拭う。
「どうしたの、リュカ? まさか、泣いてるの?」
「ううん、何でもないよ! 泣いてなんかいない……泣いてないってば!」
「これで、いつものスローライフが戻ってくるね」
荷物を片付けながらりょうが呟く。
「……でも、失われた命は二度と戻ってこない……」
この世界で起きた異変は確かに無かった事になる。
しかし、異変によって亡くなった者は、異変が無かった事になっても戻る事はない。
それだけが、りょうには心残りだった。
「大丈夫だ、りょう。生き残ってる人達が、この世界を良くしてくれるだろ。
俺達の活躍もあったし、前向きになると思うぜ!」
「……ピカチュウ……」
「それに、未来はいくらでも変わるって事、お前は知らないのかよ?
俺は信じてる、未来は平和になるって!」
ピカチュウの前向きな言葉に、りょうも自然と勇気づけられた。
「そうだね! 僕も、明るい未来を信じているよ」
そして、こちらはスネーク、ソニック、ロックマン、パックマン、リュウ、ベヨネッタの異世界組。
「や〜っとこんな陰気臭い場所からはおさらばだぜ」
ようやく帰れると知ったソニックは、荷物を片付けながらそう呟いた。
「ソニック、マリオから話を聞いたんだけど、キミ、結構頑張ってたんだよね」
「ん? ああ、俺は普通に戦っただけだぜ? ……でも、懐かしい戦いだったからな」
かつて、ソニックは滅びの未来を仲間と共に阻止した事がある。
なので、ピュアカタストロフとの戦いを「懐かしい」と感じていたのだ。
「まぁ、ハッピーエンドでよかったネ」
「やり方や展開は複雑だったけど、最後は綺麗に終わったからね」
戦いを振り返りながら、パックマンとベヨネッタは荷物をしまっていた。
「俺達の行動次第で、未来は最善にも最悪にもなる。……このような未来もまたあり得たわけ、か」
「どうしたのー、リュウ?」
「なんでもない、ただの独り言だ」
「おーい、みんな荷物の整理は終わったかー?」
そんな会話をしているうちにマリオがやって来た。
「あ、もうちょっとで整理が終わるから、待ってて」
「ああ、分かってるって」
「そろそろ帰る準備はできたか?」
「ああ!」
マリオが頷くと、マスターハンドはマリオ達の前に出た。
そして、マスターハンドが空間を引き裂くと、白い光が現れた。
「これは?」
「元の世界に帰れるゲートだよ」
このゲートを通れば、当初の望み通り、元の世界に帰る事ができる。
それは、この世界のマスターハンドとの別れを意味する事でもあった。
ちょっぴり寂しい思いもするが、これもまた、一つの冒険のゴールでもある。
「さあ、行ってきなさい。君達の世界へ」
「ああ!」
「それじゃあ、いい未来を願うよ! さようなら!」
『さようなら!!』
マスターハンドに見送られながら、スマブラメンバーはゲートの中に入っていった。
全員がゲートの中に入ると、そのゲートは光の粒になって消えた。
スマブラメンバーを見送った後、マスターハンドの様子がおかしくなった。
「……何故だ? 悲しくないはずなのに……涙が出ないはずなのに……涙が出そうになる……」
そして、現代の争いの世界――
「ただいまー!」
「お帰り!」
無事、元の世界に帰ったスマブラメンバー。
彼らを最初に待っていたのは、両手袋ことマスターハンドとクレイジーハンドだった。
「よく、無事に帰って来たな」
「うん……暗くて怖かったけど、アス姉とか、ハオスとかがいて、楽しかったよ」
「アス姉?」
「ハオス?」
「知らないの? アスティマっていう女の子と、ハオスっていう女の子なんだよ!」
「さあ……」
「私達は知らないな」
どうやら、この世界のマスターハンドとクレイジーハンドは、
アスティマとハオスの名前を知らないようだ。
そんな二人に対しカービィはこう質問した。
「……ねぇ、マスター、クレイジー」
「なんだ?」
「君達が、未来で女の子になってるって言ったら……信じる?」
「さぁね」
「未来はその時にならないと分からないよ」
カービィの質問に対し、マスターハンドとクレイジーハンドはさらりとそう答えた。
カービィはぶーぶーと言うような顔をしながら、どこかに去っていった。
「なぁシュルク、お前の未来視で、これからの未来を見る事ができるか?
どんな未来でもいい、見せてくれ」
「……それは断るよ」
リンクの頼みをシュルクは断った。
「なんでだ」
「だって、先に答えが分かったら、面白くないんだもの。
それにもし、悪い未来になったとしても、また立ち向かえばいいじゃないか!」
「ま、そりゃそうだな! 俺達はそのためにいるんだもんな!」
「ようやく、元の世界に帰れたな」
「ああ……」
マリオとピカチュウは、スマブラ屋敷の窓から空を見た。
空は青く澄んでいて、まるでスマブラメンバーを祝福しているかのようだった。
「綺麗な空だな……」
「これを見ていると、やっぱり、ここは平和な世界って感じるな」
「そして、この空を守るのも、俺達スマブラメンバー……というわけか」
「ああ……」
「マリオ」
「リン兄」
「カービィ」
「ピカチュウ」
そして、スマブラ四天王が集まり、手を合わせた。
彼らはあの崩壊した世界での冒険を経て、改めて未来を守っていこうと誓った。
もちろん、スマブラ四天王だけではない。
ここにいる、スマブラメンバーと共に……。
「んじゃ、せっかく帰って来た事だし、最初の大乱闘でもしようぜ!」
「OK!」
過去は、たとえ悲劇の事であっても、決して元に戻る事はない。
しかし、未来は現在の行動次第で、変える事ができる。
滅びの未来に導いた元創造神は、それを変えるために「現在」の戦士を呼び出した。
そして、戦士達の活躍により滅びの未来は変わり、元創造神は罪を償う事ができた。
人々が堕落すれば、再び破滅は訪れるだろう。
だが、この異変を経て、人々の心は強く、前向きになった……のかもしれない。
今日も、スマブラメンバーは大乱闘をし、楽しく生活する。
その時の未来が訪れるまで――
大乱闘スマッシュブラザーズ Abandon World
おしまい
説明 | ||
これにて、スマブラAWは最終回です。 全体的に暗めに書きましたが、私自身がハッピーエンド至上主義なのでこういう終わり方にしました。 これからも私の小説を、お楽しみください。 |
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