真・恋姫†無双〜絶対なる無双の黒き鬼〜03
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注意です。この作品に関してですが、駄文、ダメな内容、雑なストーリー、ゴミなキャラ設定などが存在します。これらがダメな方はブラウザーバックを推奨いたします。

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第三章 願う者たち

 

 

 

前回、町に襲ってきた賊共は晋武の人智を超えた力を前に、瞬く間に全て蹴散らされた。これをやってのけた彼は今、町の中の旅籠の一室で椅子に寛ぎながら時を過ごしていた。

 

 

 

晋武「....」

 

 

 

窓から眺める彼の視界に映るのは、賊が襲ってきたことなどまるで無かったかのように皆笑顔で営みを過ごしている。そんな町の人々の姿に彼はこう思った。

 

 

 

晋武「(...何とも平和ボケな奴らだ)」

 

 

 

 

 

そんな光景をただ見て時間を過ごす。そんな時、部屋の扉の外から声が響く。

 

 

 

「あの、すいません!晋武様」

 

 

晋武「...何だ」

 

 

扉越しに聞こえる旅籠の主人の声に晋武は答える。そんな彼に主人は申し訳なさそうに話す。

 

 

「へ、へい...それがぁ、劉備という方とその御供の人たちが、晋武様とお話がしたいと....」

 

 

晋武「...そうか。別に入っていいぞ」

 

 

「そ、そうですかい?じゃあ...」

 

 

扉が開き、部屋に入って来たのは劉備、張飛、そして関羽の三人である。彼女たちの表情は真剣な面持ちを見せている。それに何処か緊張な部分を窺える。

 

 

 

晋武「...一体何用だ?劉備、張飛、そして関羽...」

 

 

劉備「は、はい!」

 

 

張飛「えっと....」

 

 

関羽「.....」

 

 

 

彼女たちが何故こんなにも緊張しているのか、それは彼が賊共を打倒した後に遡る....。

 

 

 

 

 

 

 

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関羽side

 

 

 

 

 

 

劉備「す...ごい....」

 

 

張飛「すっごいのだぁ!お兄ちゃん、とってもとっても!強いのだぁ!!」

 

 

関羽「......」

 

 

 

私達は今、とても有り得ない光景を見た。晋武殿が初めて会った時に見たあの禍々しい漆黒の鎧を見に包んだ姿で、愛馬雷轟に跨ったまま片手に握られていた歪で凶悪な方天画戟から放たれた人智を超越した一撃で賊共を蹴散らした。生き残りなど恐らく居ないだろう...。そんな私達を余所に長老殿が口を開いた。

 

 

 

長老「や、やはり...管路殿が申した占い通り、黒き天の御使いが降臨なされた......。あの荒ぶる力が何よりの証....」

 

 

 

私達は長老殿の話しに気になっていた為、話しかけた。

 

 

 

関羽「あの、長老殿。その管路とは...占いが決して外れた事が無いと言われる、あの管路ですか...?」

 

 

長老「えぇ、あの方が申した話と、晋武殿のあの御姿は正に占いそのもの。恐らく晋武殿は....」

 

 

劉備「天の....」

 

 

張飛「御使い...なのだぁ...?」

 

 

長老「うむ、もし本当に晋武殿がそうなのなら、この大陸の荒れ果てた状況を変えてくれるやもしれぬ....」

 

 

劉備「晋武さんが....」

 

 

関羽「....」

 

 

 

 

 

そしてその日の夜、私たちは話し合うことになった。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

劉備「二人は...どう思う?」

 

 

張飛「にゃ?何が?」

 

 

関羽「晋武殿の事ですね...?桃香様」

 

 

劉備「うん....あの人が管路さんが言っていた天の御使いなら....」

 

 

関羽「はい...」

 

 

私達はずっとこの大陸の状況に憂いていた。現在漢王朝の腐敗により宦官たちが民に理不尽な想いをさせていた。宦官や太守の汚職と暴政、それに呼応するように各地で賊による暴虐、略奪、殺戮、虐殺、凌辱...これだけ事が漢王朝が腐敗した事でこれだけの非道が行われている。

 

私たちは己の無力さに嘆くことしか出来なかった。そんな時、天の御使いがやってくるという噂話を耳にしたのだ。最初はただの眉唾物だと思っていたのだが、桃香様がその話を信じて共に天の御使いを探す旅に向かった。

 

 

そして今、その天の御使いと思わしき人物である晋武殿であると知ったのだ。

 

 

張飛「鈴々、お兄ちゃんならきっと世の中をなんとかしてくれるって思うのだ」

 

 

劉備「鈴々ちゃんも?私もそう思ってたんだ。晋武さんならきっと....」

 

 

関羽「私もそう思います。ですが....」

 

 

劉備「どうしたの?愛紗ちゃん」

 

 

関羽「あの御方が、私達の申し出を聞き入れてくれるでしょうか...」

 

 

 

そう...問題は晋武殿が私達の申し出に応じてくれるだろうか...?それにあの御方が纏う途轍もない気は尋常ではない....それに理想という物とは無縁な雰囲気を持っていた。

 

 

 

劉備「愛紗ちゃん....でも、私は晋武さんにお願いしたい...きっと私達の理想に賛同してくれると思う...」

 

 

張飛「お姉ちゃん....」

 

 

関羽「.....」

 

 

 

桃香様の眼は決意が固まっているようだ。なら.....。

 

 

 

関羽「...ならば私は桃香様に付いて行きます」

 

 

張飛「鈴々も!」

 

 

劉備「ありがとう!なら明日、晋武さんにお願いしよ!」

 

 

張飛「うん!」

 

 

関羽「はい!」

 

 

 

 

そして翌日、私たちは晋武殿にお願いする為、彼が居る旅籠に向かった.....。

 

 

 

 

 

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晋武side

 

 

 

俺の目の前に劉備たちが現れた。なにやら物々しいな....。三人は真剣な眼差しで俺を見つめていたが、関羽が口を開いた。

 

 

関羽「晋武殿...貴方にお願いしたき儀があります」

 

 

晋武「...何だ」

 

 

次に劉備が話し始めた。

 

 

劉備「漢王朝が腐敗し、今この大陸は様々な事で苦しんでます。私たちはそれを何とかしたいと

思い、旅をしていました」

 

 

晋武「...で?」

 

 

張飛「それで鈴々たちは、天の御使いを探しに来たのだ!」

 

 

晋武「...天の御使い?何だそれは?」

 

 

関羽「はい。天の御使いとは、今の世を正してくれる救世主です、占い師である管路という方が言っておりました。“世が乱れし時、その者天空より光来し、禍々しい漆黒の鎧を纏い、巨大な汗馬と共に乱世を

駆け抜ける...その者、弱き者たちの為に猛り狂う修羅となり、邪悪で混沌とした世を救う者なり...

 

...その者...絶対なる無双の黒き天の御使いなり...と”」

 

 

 

救世主...か、馬鹿馬鹿しい。そんな物を信じているのか?そうとうお頭がヤバいな....。

 

 

 

張飛「賊とか貧困とか色々困っている人が沢山いるのだ!そんな時おにいちゃんが現れたのだ!」

 

 

晋武「...それで?」

 

 

 

正直彼女たちが何を言いたいか薄々分かっていた。そこに関羽がまた話しかけてくる。

 

 

 

関羽「おねがいです!晋武殿...我らと共にこの世を救って欲しいのです!!」

 

 

晋武「...」

 

 

劉備「お願いです!!私たちに力を貸して下さい!!」

 

 

 

劉備が俺に詰め寄って、懇願するような瞳を見せる。確かにこいつらの言う事は少なからず分かってはやれる......だが。

 

 

 

晋武「.......断る」

 

 

劉備「ッ!?」

 

 

関羽「そんな!?」

 

 

張飛「なんでなのだ!?」

 

 

晋武「...何でも何も、お前ら俺が断らないって思ってたのか?第一、何故に俺だ?天の御使いとやらなんぞ俺ではないかもしれんぞ?」

 

 

関羽「いえ!!晋武殿以上に単騎で大軍の敵を、純粋にただ力だけで倒す事など出来ませぬ!!

そしてそれを見事に簡単にやってのけた貴方様しか居ない...我らはそう思ったのです!!」

 

 

張飛「そうなのだ!おにいちゃんは鈴々たちよりスッゴク強いのだ!」

 

 

劉備「それに晋武さんは、町の人たちを助けてくださいました!あの状況なら、

誰だって逃げるのに貴方はそれをせず、戦い、救ってくれました。

 

そんな貴方だから私たちはお願いしたいんです!お願いです!力を貸してください!!」

 

 

 

全く...退く気はないのか...なら....。

 

 

 

晋武「....つまり貴様等、世を直したいのか?」

 

 

劉備「はい、そうです」

 

 

関羽「如何にも...」

 

 

晋武「...ならば...どんな世にするのだ?」

 

 

 

すると劉備が口を開いた。

 

 

 

劉備「私は...」

 

 

晋武「...ん?」

 

 

劉備「私は!皆が笑って暮らせる幸せな世界を作りたいんです!!」

 

 

晋武「......」

 

 

 

皆が笑って暮らせる幸せな世界...だと?何とも夢見がちな現実逃避同然の物だなぁ...。この小娘、頭の中お花畑で出来ているのか。

 

 

 

晋武「...なら聞くが、お前はどうやって皆が笑って暮らせる幸福な世界を築くつもりだ?」

 

 

劉備「それは....」

 

 

無計画か....愚かな。

 

 

晋武「...劉備」

 

 

劉備「はい...」

 

 

晋武「...お前、バカか?」

 

 

劉備「え....?」

 

 

 

この発言に劉備の思考が停止し、代わりに関羽が問いながら俺に偃月刀を構える。

 

 

 

関羽「どういう意味ですか!!それは!?いくら晋武殿でも桃香さまの理想をお笑いになるなら、

この関羽雲長許しませぬ!!!」

 

 

劉備がお頭哀れな小娘ならば、この関羽は猪突猛進なバカ。これに対し俺は淡々と、そして冷たくこう言い放った。

 

 

晋武「...では聞くぞ?お前らはその理想実現の為に、一体この先何人の人間を殺す?」

 

 

関羽「....え?何人を殺すって....仰られてる意味が.....」

 

 

関羽は俺のこの問いに戸惑うしかなく、張飛と劉備もそうだった。こいつらは何も己の理想についてハッキリとした形を作っていない。それどころか、誰も気づいていない。

 

 

 

晋武「...理想実現...それはこの乱世でつまる所、天下を取る言う事だ。

天下...己が望む世界を作る事...しかしその道筋には様々な障害が存在し、

立ち塞がり、ぶつかり合う。それら全ての障害を潰し、殺し、破壊し、そんな事を幾重にも繰り返し、

その己が色で世界を塗り変える。そこで初めて漸く自ら望む世界を作り上げるのだ。無血且つ綺麗なままで居られるなどあろう筈が無かろうが...。

 

貴様等にその覚悟が在るのか?邪魔する他者を叩き潰して、その者等の望みを破壊して、

殺して、その先にあるであろう己が望む理想を掴めるのか?」

 

 

 

劉備「それは.....」

 

張飛「...にゃー...」

 

関羽「.....」

 

 

 

この俺の問い掛けに、劉備たちは答えられなかった。自ら望む理想実現には代償が必要なのは、分かってはいなかったのだろう...。

 

俯き、落ち込む三人に俺は...。

 

 

 

 

晋武「...猶予をやる。それまでに俺が納得できる答えを用意しろ、それが出来たら...」

 

 

劉備「力を貸してくださるのですか...?」

 

 

晋武「...ああ...だが、もし納得の行かぬ結果なら...」

 

 

張飛「なら?」

 

 

晋武「諦めろ」

 

 

 

 

 

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その翌日.....。

 

 

 

劉備side

 

 

 

昨日、晋武さんに答えを用意しろと言われた私たちは、晋武さんの奢りで彼が泊まっている旅籠に移ることになっちゃった。

 

 

なんでも答えを聞かせて貰う為、一々離れた所から来る必要はないって...。あの人を泊めている旅籠のご主人に、何か金で出来た銭みたいな物を支払ってた....。晋武さんって、もしかしたら天の世界ではとっても凄い人だったのかなぁ....。

 

 

でもそれよりも...今は私達自身の事だよね....。

 

 

私はただ皆が笑って幸せに暮らせる世界を作りたい....その一心なのに....それだけじゃダメなの....?

 

それに天下とか戦とか、自分以外の誰かを傷つけてまで理想を叶えたいなんて思わない。でも....。

 

 

 

劉備「私....どうすれば....」

 

 

 

その時であった。いつの間にか旅籠の中庭にある井戸に来てたんだ...けど.....。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

劉備「は///はわ///え///」

 

 

私は顔面を赤くして硬直していた...どうしてか、それは...

 

 

 

晋武「ん?」

 

 

上半身裸の晋武さんが自分の体を、濡れた布巾で体を拭いていたのでした///。お、男の人の裸を///初めて見ちゃった...(///Д///)

 

それにしても凄い良い体してるんだぁ///鍛えられていて、腹筋だってしっかり六つに割れていて...それに晋武さん....顔だってすっごくカッコいいし///

 

背が高いし、凛々しくて、大人の男の人って感じするよぉ///

 

 

 

晋武「...どうしたんだ?劉備」

 

 

でも晋武さんは、そんな私に声を掛けてきた。

 

 

劉備「いえ///!!その///!!あの///...おはようございます///!!」

 

 

もう私ったら///!!頬を赤くしちゃって、もう〜///!!

 

 

 

晋武「...ああ、おはよう。良い朝だな」

 

 

これに淡々と晋武さんは返してくれた。で、でも私はどうしても晋武さんの身体から眼が離せなくて、いつの間にか顔を覆っている手の隙間から覗いちゃうよぉ〜(///Д///)

 

 

劉備「は///!はい///!!そ///そうですね///!!...って...え」

 

 

私は彼の体を良く見た、そこには無数の夥しい程の傷跡があったの。

 

小さい傷跡が体の其処らじゅうに在り、胸の所には大きなデカい傷跡もあった。

 

これに私は驚きで言葉に出来ずに、黙ってしまった。

 

私の反応に気づいた晋武さんは、口を開いた。

 

 

晋武「...ん?この傷跡の数々か?」

 

 

劉備「は..はい、あの...大丈夫..なのですか?」

 

 

晋武「別に如何と言う事はない。戦をすれば何れは傷を受ける事がある...ただそれだけだ」

 

 

そう言いながら晋武さんは、再び体をふき始めた。天の世界でも争いはあるんだぁ....。

 

 

 

晋武「...それより答えが出たのか?」

 

 

劉備「え!?」

 

 

晋武「...えじゃない。お前たちの答えは出たのか?のんびりは出来んぞ」

 

 

劉備「...いえ...」

 

 

晋武「...そうか、良く考える事だ。三日目に良い答えを期待している」

 

 

体をふき終わった晋武さんは、脱いでいた上の服を着てそのまま歩いて行く。その姿を私は晋武さんに在る事を問いかける。

 

 

劉備「あの!晋武さん!」

 

 

晋武「...何だ?」

 

 

劉備「晋武さんは、理想は嫌いですか?」

 

 

晋武「...嫌いだな。反吐が出るほど」

 

 

劉備「...どうしてですか?理想の何がいけないんですか?」

 

 

晋武さんの答えに納得がいかず、私は食い下がってしまった。晋武さんは溜息を吐き、こう答えてくれた。

 

 

晋武「ハァ...いいか?理想を語るならば、それを実行する為に自身が傷つく事と誰かを傷つける覚悟を持たねばならん!お前にはそれが無い!理想を理由に現実から目を背けるな」

 

 

劉備「私は現実から目を背けたりしていません!」

 

 

何とか言い返したくて口にしたけど、それでも晋武さんは....。

 

 

晋武「...ではどうして【皆が笑い幸せな世界を作る】なんて事を抜かした?

あれが現実から目を背けてなかったら何なんだ?本気で実現できるなんて言えるのか?

 

本気でそう思っているのなら...そりゃあ唯の死んでも治らない馬鹿だ...いや馬鹿にも劣る屑だ」

 

 

 

彼の言葉に私は返す言葉が見つからなかった。理想を掲げてきたけど、如何すればいいか分からないでいたのは事実なのだから...。

 

でも晋武さんの言葉は尚も続く...

 

 

 

晋武「...劉備よ、その程度の中途半端な気持ちで理想を持っているのなら、以前言った通りに俺の力を借りるのは諦めろ。

 

はっきり言って今のお前のままで理想を追いかけた場合、周りの人間を巻き込んでしまいながら、その人間たちの一生をめちゃくちゃにしてしまうのがオチだ。そして最後には悲惨な運命を辿るぞ」

 

 

 

気付けば晋武さんから怖い程の殺気を感じました。これに私はただ怯えてしまった....。

 

 

 

劉備「私は....」

 

 

晋武「はあ...劉備、どうしてもダメなら一人ではなく、関羽や張飛とも一緒に悩み答えを出してみろ。

何故1人で悩む必要がある?その理想はお前だけの物ではないだろう?」

 

 

劉備「晋武さん...」

 

晋武「...俺ならば、そうするがな...」

 

劉備「晋武さん...ありがとうございます!!」

 

 

私は急いで愛紗ちゃんや鈴々ちゃんの下に戻る事にした。その途中で口を開いて呟いていた。

 

 

 

劉備「晋武さんの言う通り、何で1人で悩んでたんだろう。私には愛紗ちゃんや鈴々ちゃんがいるのに...言わなくちゃ!そして、話し合って決めよう!私たちの理想を!」

 

 

 

その後私は、愛紗ちゃんや鈴々ちゃんと真剣に話し合った。互いの思う事を話しあい何処がダメで何処かがいけなかったのか、そして私たちがちゃんと持たなきゃいけない物はなんなのか...。それを必ず言葉にして晋武さんに伝えたい!!

 

 

 

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その夜.....

 

 

 

晋武「...良いもんだ。月夜に1人酒は...ん?」

 

 

晋武は1人、酒を静かに楽しんでいた、だがそこへ関羽がやってきたのだ。

 

 

関羽「宿の中庭で、酒をお飲みになっていたのですか?」

 

 

晋武「...如何した」

 

 

関羽「いえ....あの、隣...座ってもいいですか?」

 

 

 

晋武に了承を求めると、彼は淡々と許可した。

 

 

 

晋武「...好きにしろ」

 

 

関羽「は、はい」

 

 

晋武「...」

 

 

関羽「ではお邪魔いたします。それにしても月が綺麗ですね」

 

 

この発言に、晋武は少し徳利を持つ手を止めて彼女に問う。

 

 

晋武「...それは俺を口説いているのか?」

 

 

関羽「え///!?な///!何を///!何を言っているのですか///!!」

 

 

晋武の問い掛けに頬を染め、慌てる関羽。

 

 

晋武「...俺の国では【月が綺麗ですね】とは、男が女を口説く為のセリフだ」

 

 

関羽「そ、そうなのですか....あの」

 

 

晋武「何だ」

 

 

関羽「感謝いたします。桃香様にご助言していただいて...」

 

 

晋武「...知らん。俺はただ思った事を口にしただけのことだ。貴様が気にすることはない」

 

 

関羽「ですが、それでもお礼を言いたいのです。あんな桃香様は今まで見た事ありません。あれ程にご自分の理想の在り方、ダメな所、そしてそれを如何すべきかを話しあおうなんて...一度も」

 

 

晋武「...そうか」

 

 

 

関羽の礼の言葉に晋武は気にもせず唯々酒を堪能している。そんな月の光に照らされる晋武の姿に彼女は無意識に頬を赤く染めて恍惚に見つめていた。

 

 

関羽「...///」

 

 

晋武「何だ」

 

 

関羽「え!?い!いえ!!なんでもありません///!!」

 

 

晋武「...それより、この世界では王朝などがあるのか?」

 

 

関羽「え?あ、はい...漢王朝というのが存在します。ですがすでに宦官などの汚職や暴政などと言った欲望の限りを尽くし、民からあらゆる物を奪っていきます」

 

 

晋武「...太守はどうなのだ?」

 

 

関羽「はい、場所によっては違うと思いますが、ですが私が今までの旅で見た限りでは太守も同じく非道を行う者が居りました...」

 

 

晋武「.....」

 

 

 

自身の隣でそれを語る関羽の表情は見ていないが、晋武はその声を聴いて関羽が今どのような表情を浮かべてそう口にしているのか、直ぐに理解できた。現に彼女は瞳を潤ませて両手を強く握りしめて口惜しんでいるのだから....。

 

 

 

関羽「私は....悔しいです!!自分は世の負の連鎖を少しでも断ち切りたいと!民の為に、己の武を磨き上げて来たのに!!それが....」

 

 

晋武「...無力を味合わされた、か....」

 

 

関羽「....はい...」

 

 

晋武はそこで初めて無力に嘆く彼女の横顔を見た。既にもう涙を流して、拳から血が出るのではっと思ってしまうぐらい強く握られている。そんな彼女に晋武は再び月を肴にして酒を飲みながら口を開いた。

 

 

晋武「....昔、哀れな男が居た...」

 

 

関羽「...?」

 

 

晋武「...その男には己を信じてくれる家臣、民、義兄弟、そして妻子が居た。だが次々とそれら全てを失い、男は怒り狂った哀れな悪鬼羅刹へと成り果てた...」

 

 

関羽「グスッ...その方は...どうなったのですか?」

 

 

晋武「...さぁな。大方最後は仁徳ある王の手によって葬られたかもな...まぁ、どうでもいいがな」

 

 

関羽「....」

 

 

晋武「さぁ、もうガキは寝る時間だ。さっさと寝ろ」

 

 

関羽「なっ///私は子供ではありません!!」

 

 

晋武「...俺から見ればガキだ。さっさと寝ろ!」

 

 

関羽「分かりました....晋武殿」

 

 

晋武「ん?」

 

 

 

関羽は頬を赤く染めて....。

 

 

 

関羽「あの、おやすみなさい///」

 

 

晋武「...ああ、おやすみ」

 

 

 

関羽が去った後、晋武は自分が彼女に聞かせた昔話を元に、月を見上げながら自身の世界での最後の戦で、自分を打ち破った女性...劉光の事を思いだしていた。

 

 

 

晋武「...あいつは...今頃、自分の望む理想の世界を作っているのだろう...な」

 

 

 

【お前は!!お前なりに誰かを愛した事に間違いなど、在ろう筈が無いっ!!】

 

 

 

彼女はいつも弱い者の味方であり、自分の望む信ずるものの為に一生懸命だった。

 

 

【ホントお前は根暗だなぁ晋武。私はお前の笑顔が見たいんだ】

 

 

いつもしつこく、自分が何をするに対しても絡んでは文句や自分の意見を押し付ける女だった。

 

 

 

【どうしてお前はそういつも残酷な決断を取るんだっ!!これではお前は唯の暴君ではないかっ!!

その所為で周りがお前を何と呼んで恐れているのか、分かっているのか!!】

 

 

彼女は自分の事の様に泣くことがあった。強敵との一戦で深い傷を負いながらも、

勝利したが...

 

 

 

【晋武...晋武!!何故こんな...私は...お前が...晋武が傷つくのが一番嫌なんだ!!】

 

 

 

そして...

 

 

 

【晋武...好きだ...すまない。どうしても我慢が出来なかった...お前には妻子が居るのにな...

酷く最低な女だな私は...でも...私はお前を想い続けるよ。お前には迷惑だろうが、それでも...

好きだ晋武...愛してる】

 

 

晋武「...本当に...迷惑な事...だな。だが、俺はこの世界で上手くやっていけるか分からんが、頑張ってみるさ、おやすみ劉光....いや、((恋姫|れんき))」

 

 

そうして晋武は自分の部屋に戻り、眠りに着いた...

 

 

 

 

 

.....そして翌日、いよいよ答えを聞く時がやってきた.....

 

 

 

晋武は、劉備たちと共に町の近くにある桜咲き乱れる桃園に来ていた。

 

 

 

晋武は腕を組み仁王立ちの状態で、三人に問いかける。

 

 

 

晋武「...では聞かせて貰う...お前たちの答えを...」

 

 

これに対し、三人は...

 

 

 

劉備「はい!答えは...覚悟を決めました!!」

 

 

晋武「...ほう」

 

 

これには関心を滲み出す晋武。劉備は話しを続ける。

 

 

劉備「私たちは話しあいました。本当に甘くて、知らない間に現実から目を背けていた事に気づきました」

 

 

晋武「...では理想実現を諦めるのか?【皆が笑う幸せな世界】とやらは其処までか?」

 

 

 

晋武の問いに関羽が答えた。

 

 

 

関羽「いえ!現実が過酷で残酷であればこそ、理想を持ち諦めず、

そして何時の日か、それを共に居る仲間と共に叶える!そう決めたのです!」

 

 

張飛「一人では何にも出来ないけど、みんなと一緒ならきっと叶うのだ!泣いて諦めるのも、

逃げるのと一緒なのだ!だから!」

 

 

劉備「私たちは、この残酷な世界を変えたい!戦いの中でしか見つからないのなら、

私たちは覚悟を背負い生きていきます!例え、多くの血に染まる様な出来事が遭っても....

私たちは諦めたくありません!!逃げたくありません!!

 

だから晋武さん......」

 

 

 

三人「私たちに/鈴々たちに!力を貸してください!!/なのだ!!」

 

 

 

 

晋武「..........」

 

 

 

三人は晋武に頭を下げ、助力を求めた。

 

 

 

そして.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

晋武「...いいだろう」

 

 

劉備「...え?」

 

 

関羽「今...何と?」

 

 

晋武「...良いと言った。そしてよく覚悟を決めた...俺はお前たちのその言葉が聞きたかった」

 

 

張飛「...いいのだぁ?」

 

 

晋武「...ああ、いいのだ」

 

 

 

これに三人は...

 

 

 

 

 

 

【イメージBGM:銀魂ED プライド革命】

 

 

劉備「...った...」

 

 

晋武「...ん?」

 

 

劉備「やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!やったよぉ!!愛紗ちゃん!鈴々ちゃん!晋武さんが仲間になってくれたよぉ!!」

 

 

 

二人に抱き着く劉備。そして関羽と張飛も...

 

 

関羽「はいっ!!すごく....うれ...あれ?何で涙が?あれ...うれしく...グスッ」

 

 

張飛「愛紗...泣き虫なのだ...鈴々は...にゃ?...鈴々も泣き虫だったのだ...にゃははは...ぐすっ」

 

 

 

三人は、喜びの涙を流し泣いた...それから落ち着きを取り戻した三人は、在る事を晋武に伝えた。

 

 

 

晋武「...まな?何だそれは」

 

 

劉備「((真名|まな))と言うのは、心を許した証として呼ぶ事を許す名前なんです」

 

 

関羽「本人の許可なく呼ぶことは無礼であり、斬られても文句は言えないのです」

 

 

張飛「とっても大切で命と同じく大事な名前なのだ」

 

 

この説明に、晋武は...

 

 

 

晋武「...なるほど、((真名|しんめい))とは少し違うが形としては同じか...」

 

 

関羽「((真名|しんめい))?それは天の世界で言う真名なのですか?」

 

 

晋武「...ああ、だが男と女とで価値が違うがな」

 

 

劉備「どういう価値なのですか?」

 

 

張飛「にゃあ?」

 

 

三人の問い掛けに晋武は、正直に答えた。

 

 

晋武「...女の場合はお前たちのと同じだが、男の場合、おいそれと簡単に

許してはいけない事になっている」

 

 

関羽「では無断で知り、勝手に呼んだ場合は如何なるのですか?」

 

 

晋武「...その者だけでなく、連帯責任で一族郎党全て皆殺しにしなければならない...掟だからな」

 

 

晋武の説明に、驚きの余りに声を出せずにいた三人である。

 

 

晋武「...だが安心しろ。お前たちは俺に認められているから、俺の((真名|しんめい))を呼んでもいい」

 

 

 

この言葉に安堵の表情を見せる劉備たち。

 

 

 

劉備「じゃあ私から、私の名は性は劉、名は備、字は玄徳、 ((真名|まな))は桃香です」

 

 

張飛「じゃあ!じゃあ!次は鈴々からだよ!「...ああ、好きにしろ」やったぁ!

鈴々の性は張、名は飛、字は翼徳、真名は鈴々なのだぁ!よろしくなのだ!おにいちゃん♪」

 

 

そう言いながら張飛こと鈴々は、晋武に抱き着く。

 

 

関羽「鈴々!!晋武殿に失礼だろ!!」

 

 

鈴々「おにいちゃんは嫌とは言ってないのだぁ!」

 

 

関羽「まったく...「...次はお前だろ」は!はい!...こほん!

 

 

私の名は性は関、名は羽、字は雲長、そして我が真名は...愛紗といいます。

 

 

どうか宜しくお願いいたします。晋武殿」

 

 

 

最後に....

 

 

 

劉備「最後は晋武さんですよ?」

 

 

晋武「...ああ。我が名は、性は晋、名は武、字は古龍。

 

そして我が ((真名|しんめい))は... ((神我|じんが))

 

神に我と書く。この真名、桃香、鈴々、そして愛紗に捧げよう...」

 

 

 

互いに己の名を全て教えた四人は、盃を掲げて....。

 

 

 

劉備「では...我ら!」

 

 

関羽「生まれた日は違えども!」

 

 

張飛「死ぬときは共に!」

 

 

 

晋武「同年同月同日を願う事を誓わんッ!!」

 

 

 

「「「「献杯!!」」」」

 

 

 

此処に桃園の誓い共に結ばれた。

 

 

 

そしてここから始まる。無双の姫たちを守る絶対無双の最強の黒き鬼神の物語が....続く。

-7ページ-

 

 

 

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説明
前回、賊どもを一蹴した晋武。そんな彼が天の御使いであると聞かされた劉備たちは....。
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駄文 残酷な描写あり 台本形式 オリ主最強無双 真・恋姫†無双 

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