桃園の誓い(仮
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天の御使いとしての役割を受け入れ、乱世を治める為の第一歩を歩み始めた。

とはいえ、今の俺達に戦う力は全くない。まずは力を蓄える為に、幽州の太守公孫?さんを尋ねる事となった。

公孫?さんは”劉備”さんは友達だって本人が言ってるから、門前払いされることは多分ない…と思う。

 

途中で小さな宿で休息を取りつつ、旅を進めていたある日。劉備、関羽、張飛を象徴するような出来事…桃園の誓いを目に出来ると凄いワクワクしたよ…その時まで…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凄い…」

 

目の前に広がる桃色の花。その幻想的な美しさに圧倒されて言葉が上手く出てこない。こんな美しい場所で、歴史に刻んだ名場面を見れるなんて夢にも思わなかった。

 

そんな桃色の世界を背景にし、持ち込んだ酒を注ぎこむ。そして盃を空に向かって高々と掲げた。

 

「我ら四人!」

 

「性は違えども、夫婦の契りを結びしからは!」

 

「心を同じくして助け合い、支え合う事を誓うのだ!」

 

「同年、同月、同日に生まれる事を得ずとも!」

 

「願わくば同年、同月、同日に夫婦として共に子を育む事を!」

 

 

……あれ?

 

 

いまやってるのって桃園の誓いだよね?結婚式の誓いじゃないよね?

凄いこっちをチラチラ見てるけど、乾杯って言いたくないんだけど…

なんで義兄弟の契りが夫婦の契りに変化してるうえに、彼女たちの中では子作りも決定事項らしい…。

 

 

「あ!なんで固まってるんだと思ったら、私達が間違ってたみたい。誓いの前に真名で呼び合いしないと!」

 

「そういえば…誓いの事で頭がいっぱいで、真名の事を忘れてしまっていました。桃香様、よく思い出しましたね」

 

「にゃはは。今回は鈴々もうっかりしてたのだ。真名の事を忘れるなんてどうかしてたのだ」

 

違う。そうじゃない…。

気にして欲しい点はそこじゃないんだ…。いまその事を言っても、彼女たちには無駄なんだろうな…。

 

 

「ごめん…真名ってなに?」

 

「私達の持つもう一つの名前の事です。家族や親しい者…つまり、呼ぶ事を認めた相手しか呼ぶ事が出来ない神聖な名」

 

「例えその人の真名を知っていても、絶対口に出してはいけないの」

 

「許可無く呼んだら、首を刎ねられても文句は言えないのだ」

 

 

えぇ…なにその初見殺し。名乗った名以外で呼び合ってるから、てっきり愛称かと思ってたけど…呼ばないで良かった。飛ばされてすぐ刎ねられるとか死ぬに死ねないしね。

 

 

「そんな大切な名前…出会って間もない俺が呼んでもいいのか?」

 

「勿論♪北郷さんだからこそ呼んで欲しいの」

 

中身はともかく、可愛い女の子がためらいながら上目遣いでダメ?って言ってきて、それを断れる男はそうは居ない。前後の出来事はともかく、この場面だけを見た人なら絶対俺が悪者になるよな…。

 

「解った…今はまだ未熟だけど、君たちが真名を預けて間違いなかった…そう思われるように頑張るよ」

 

「やったあ!私の真名は桃香!」

 

「私の真名は愛紗」

 

「鈴々は鈴々なのだ!」

 

「桃香、愛紗、鈴々…みんなの真名はしっかりと受け取らせて貰うよ。これからよろしくね」

 

 

「こちらこそ、これからよろしくね!」

「よろしくお願いします」

「よろしくなのだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

”旦那様!”

 

 

 

「…え?いまなんて…」

 

俺の聞き間違いだよね?一刀が旦那様に聞こえるなんて…。俺はこの世界に来るときに、よほど頭を強く打ったみたいだ。こんな聞き間違いにした神様恨んでやる。

そんな神様に恨みを込めてる間に、聞いてなかったの?今度はちゃんと聞いててね!とこちらの聞き間違いを気にしてない様子。

 

やっぱりいい子達だな。普通だったらこんな聞き間違いする奴なんて相手にしないだろうに…。彼女たちの優しさを裏切らない為にも、今度はちゃんと聞かないとな。

 

「悪い。今度はちゃんと聞き漏らさない」

 

「申し訳ないって表情してるのが可愛いのだ!」

 

「うむ。素直に自分の非を認めて謝る。言うのは簡単だが、これが出来ない事も多い」

 

「だけど、それが出来ちゃうなんて流石…」

 

 

 

 

 

 

”旦那様だね”

”旦那様ですね”

”旦那様なのだ!”

 

 

 

 

「……ごめん。今はみんなの真名は呼べないや」

 

 

やっぱり旦那様って言ってるよ!なんで出会ってすぐに婚姻結んだ事になるんだ…真名の親しい人=旦那様=婚姻

結ばないといけないでもあるのか…。これがこの世界の常識なのか…?

 

”劉備”さん達がいくら可愛くても、出会って間もない人と婚姻は俺には出来ない。この時代が一夫多妻だったとしても、現代で育った俺にその価値観に今すぐ適用するのは無理だ。

真名を呼ばないと宣言してから、捨てられた子犬のように目を潤ませても無理なものは無理だ。

彼女たちも、俺が拒否したからきっと諦めるよね。

 

 

 

 

 

 

(どうしよ愛紗ちゃん。旦那様が私達の真名呼んでくれないって…)

(落ち着いて下さい桃香様。確かに、呼んでもらえない事には悲しいですが、旦那様はこう言いました…”今は”と)

(鈴々解ったのだ!きっと旦那様は照れて呼べないだけなのだ!ここは呼んでくれるまで待つのが、いい妻になる為の試練に違いないのだ)

(そっか。そうだよね。自分の事ばかり押し付けるんじゃなくて、旦那様の事も気遣ってあげないとだね。よし、旦那様から呼んで貰えるように頑張ろうね!)

 

 

 

 

 

一刀は彼女たちに悪い事したかな…と少し罪悪感を感じているが、裏で彼女たちの思考が斜め上にいってる事を知らない。出会ったばかりで見極めるというは無理な話だが、彼女たちのポジティブさは並みではない。

そんな”少し”思考のずれた4人の旅は始まったばかり。

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
貞操観念逆転外史2話目です
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コメント
mokiti1976-2010さん>一応、3姉妹にも大陸を憂う心はあり…マスヨ?”ちょっと”一刀に対して暴走シテルダケデスネー(おぜぜ)
…三姉妹にとっては大陸の平和より自分達が一刀の子を産む事の方が重要なのかな?序盤でこれじゃ、最終は何処までいくのやら…。(mokiti1976-2010)
未奈兎さん>誤字報告ありがとうございます。修正しました!詳しい時代背景は次回描こうと思ってますが、一刀さんの受難は続きます…(おぜぜ)
なにその初見殺しが→なのその初見殺しになっていますよと誤字報告、この状態だと知らずに真名呼び=責任とって結婚して下さいもあり得る・・・一刀さんイケメンだし(未奈兎)
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恋姫 貞操観念逆転 北郷一刀 桃香 愛紗 鈴々 

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