光を眺めながら |
「お前、こんなところにいたのかよ」
「へ?」
夜空を肴に、大木の幹を椅子代わりにして一人酒を楽しむ聖Vヤマトに声をかけたのは聖Iアリババだった。夜空にふわりと純白の羽が広がる。
「もう寝てなかったっけ?」
「あのなぁ。今日は俺が不寝番なんだよ」
「そうだっけ?」
「お前は明日早いんだろ」
呆れながらもヤマトの隣に座り、夜空を眺める。
「早いけどこれだけはやめられないんだよね」
くい、と杯を傾ける。喉に流れる酒の味に、ヤマトは笑みを零していた。
「くそー仕事じゃなかったら、俺も飲むんだけどな……ってお前は、少しは遠慮しろよ」
仕事中のアリババの前で堂々と酒を飲み続けるヤマト、怒りが増幅されるばかりだ。
「もう空だよ、徳利の中身。これでおしまい」
一気に飲み干すと、ふうと酒臭い息を吐く。
「というか、何か用があったの?」
「……ストライク天使が探してたぞ」
「げ」
ストライク天使は、聖Vヤマトの補佐官でもあり恋人でもある。
「もう寝たと思って出てきたのになぁ」
「内緒じゃなくてもいいんじゃないか、別に」
「でもここは僕の息抜きができる場所なんだよ、ほら」
ヤマトの指先は、聖フラダイスの都を指し示していた。点々とついた光は、天使やお守りが多く移住してきた印、建設を始めてから人口も増えている。
「夜の空も星でいっぱいだけど、都も住んでいる人たちの家の灯りが星みたいできれいなんだ。ここから眺めながら酒を飲むのが好きなんだよ」
「一人で?」
「うん。賑やかな酒も勿論好きだけど。一人で飲みたいこともあるから」
感慨に更けたいわけではない。ただこの場所から眺めることのできる光景を、楽しみたかっただけだった。
「ここまできたんだなぁって実感もできるし」
「ああ、それは俺もそう思うよ」
次回までの旅路で色々なことがあった、いやありすぎた。だからこそ一人で考えにふけることもある。
「どんどん光が増えるのもわかるし。楽しいよ。それよりもアリババはどうやって僕をみつけたのさ」
「んー勘かな」
どう説明しろといわれても困ってしまう。単なる勘だった。多分ここにいるんじゃないかと、想像しただけに過ぎない。
「勘で僕の秘密の場所がみつけられちゃうのか」
「ってことは、ヤマトが見当たらないときはここにいることがあるんだな」
「まあ、そうかも」
「じゃあ今度食べられる酒のつまみを持ってくるよ。酒飲みながらさ、二人でロココ様の元に駆けつけたときの話とかさ」
「あ、それもいいね」
にへ、とだらしなく笑うヤマト。素直に嬉しいようだ。
「他の人には秘密で」
「男同士二人だけの秘密か、ストライク天使が聞いたら怒りそうだなー」
「だから内緒なんだよ」
あっはっは、と二人の声が夜の空気に響いていく。
どんなにパワーアップを重ねても、もともとの性格は変わりなくて、気さくに話すことができる。
永遠に続くかどうかはわからないけれど、ひとまず楽しみは増えた。
それでいいか、と二人は胸中で同時に呟いていたのだった。
説明 | ||
一人のんびりと酒を飲む聖Vヤマト、それが寝ずの番の聖Iアリババにみつけられて……【設定】聖フラダイスで過ごしている虹帝たちで、虹層球特攻前。突発的になんか書きたかっただけなので、細かい設定おかしい突っ込みはなしでお願いしますorz | ||
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ビックリマン 虹神帝 聖Vヤマト 聖Iアリババ | ||
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